音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2021年01月09日
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テーマ: 洋楽(3407)
カントリー・ロックの金字塔


 フライング・ブリトー・ブラザーズ(フライング・ブリトウ・ブラザーズ,Flying Burrito Brothers)というバンド名は、かつては“フライング・バリット・ブラザーズ”なんて日本語表記されていた。ブリトーがコンビニエンスストアで売っている今となっては、隔世の感である。バンド名の意味するところは、“空飛ぶブリトー兄弟”。以前にも述べたように、ブリトーという食べ物を簡単に想像できる今の世に至り、このバンド名がいかにぶっ飛んでいたかも実感できるようになった。

 ところで、バンド名はこのように“斬新”だったわけだけれど、彼らの音楽性もまた新たな境地を切り開く性質のものだった。その源流は、ザ・バーズ(The Byrds)での活動にある。バーズの初期からのメンバーだった(1965年のデビュー以来在籍していた)クリス・ヒルマンと、後から加入した(1968年発表の 『ロデオの恋人』 のみ参加した)グラム・パーソンズは、バーズを脱退し、新バンドを結成する。それがこのフライング・ブリトー・ブラザーズであり、本ファースト作『黄金の城(The Gilded Palace of Sin)』は、1969年にリリースされた。

 結果、彼らは“カントリー・ロック”と呼ばれるジャンルの確立や普及に大いに寄与した。1970年代に入り、主に西海岸系のミュージシャンが商業的成功を収めていったけれども、その土台の重要な部分を提供した主要アーティストという意味で、フライング・ブリトー・ブラザーズが果たした役割は大きかったと言えるだろう。

 何と言っても、カントリーのどこか大らかで長閑な雰囲気を残したロックというのが、本盤の身上と言えるだろう。この観点からすると、カントリー・デュオ特有のクロス・ハーモニーの歌唱が印象的な2.「シン・シティ」は必聴。他の曲としては、個人的には、6.「ホイールズ」や7.「愛をもどして」のような、ほのぼのした感じのカントリー調がお気に入りだったりする。さらにあと一つだけ付け加えておくと、バンド名をそのまま反映させた8.「ホット・ブリトー#1」と9.「ホット・ブリトー#2」も注目曲だと思う。“温かいブリトー”というタイトルにも関わらず、エモーショナルなラヴ・ソングの8.とややファンキーな部分を含む9.というこれら2曲は、カントリー調に頼りすぎるワンパターンに陥ることなく、バンドとして新たなサウンドへのチャレンジという意識が表れているのではないかと思う。


[収録曲]

1. Christine's Tune
2. Sin City
3. Do Right Woman
4. Dark End of the Street
5. My Uncle
6. Wheels
7. Juanita
8. Hot Burrito #1
9. Hot Burrito #2
10. Do You Know How It Feels
11. Hippie Boy

1969年リリース。




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Last updated  2021年01月09日 06時21分21秒
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