音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2021年04月25日
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テーマ: 洋楽(3407)
多彩な曲とヴォーカルの名作


 ハース・マルティネス(Hirth Martinez)は、1945年、ロサンゼルス出身のシンガーソングライターで、残念ながら、2015年に死去している。1970年代に2枚のアルバムをひっそりと残したが、決して多くの聴衆の人気を集めたりしたわけではなかった。むしろ愛好家の間でこの『ハース・フロム・アース(Hirth From Earth)』が隠れた名盤として語り継がれてきた。ザ・バンドのロビー・ロバートソンに見いだされ、彼のプロデュースで1975年にリリースされたのが、この盤ということになる。

 表題の『ハース・フロム・アース』は最初の語(アーティストの名前)と最後の語(“地球”)が韻を踏んでいるが、日本語に訳すと“地球からやってきたハース”といったようないみになる。しかもジャケット写真は、何やら海から姿を現した杖を手にした謎の人物(というかハース本人)なわけで、“地球外生命体ではなくて、海から出てきた謎の人物(生物)?”などという想像をさせかねないものである。

 ところが、実際に曲を聴いてみると、そんな不気味な想像とは正反対に、優しい素朴なヴォーカルの1.「オルトゥゲザー・アローン」からアルバムが始まる。とはいえ、彼のヴォーカルが柔らかく聴きやすいだけというのは間違いである。シンプルで朴訥に見える部分がある一方で、時としてR&B的であったり、南部っぽかったりと、泥臭さを含んでいる。そういう観点から気に入っている曲をいくつか挙げておくと、2.「ウィンター・アゲイン」、3.「ジンジ」、7.「ザッツ・ザ・ウェイ」、9.「ピティ・オン・ザ・フール」、12.「コールド・ダーク・モーニン」といった具合だろうか。

 “七変化”とまでは言わないが、多様な顔をさりげなく覗かせるヴォーカルがいい。その理由は、収録曲の多様さということなのだろうけれど、いずれも自作曲であり、なおかつそれをすんなり表現できてしまっているところに、本盤の素晴らしさがある。決してメジャーなアルバムではないけれど、聴き継がれたい名作の一つだと思う。


[収録曲]

1. Altogether Alone
2. Winter Again
3. Djinji
4. Be Everything
5. Comin Round the Moon
6. It
7. That's the Way It's Gotta Go
8. Silent Movies
9. Pity on The Fool
10. I Don't Know Why the Hell
11. Saturday Night
12. Cold Dark Mornin’
13. You Are a Star

1975年リリース。




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【国内盤CD】ハース・マルティネス / ハース・フロム・アース




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Last updated  2021年04月25日 17時42分32秒
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