音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2022年11月21日
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テーマ: 洋楽(3407)
着実な進化を見せたサード作 


 トレイシー・チャップマン(Tracy Chapman)は、1964年、オハイオ州クリーヴランド生まれで、アフリカン・アメリカンの女性シンガーソングライター。1988年にデビュー盤を発表し、一躍人気を獲得して翌年にも2枚めのアルバムをリリースした。それから2年半のインターバルを経て発表されたのが、サード作となる本盤『マターズ・オブ・ザ・ハート(Matters of the Heart)』だった。セールス面では、大きな人気を獲得した初作(全米・全英ともに1位)、その勢いに乗っての第2作(全米9位、全英1位)に比べると、数字上は見劣りのする結果(全米53位、全英19位)だった。

 けれども、筆者は本盤がなかなか優れたアルバムだったと思っている。第一に、アルバム全体を通しての落ち着きぶりが前2作と明らかに違うように思う。言い換えると、いい意味で自信に満ち溢れているように感じるのである。それは、別の表現をすれば、“貫禄”を感じるようになってきたとも言えるかもしれない。第二に、個別の曲として完成度の高いものが多い。初作はどちらかというと社会的、第2作は内省的な色合いが強かったが、それらは共に“独白的”でもあった。本作所収のナンバーを聴いていると、一つ次元が上がって“詩的”な段階に入りつつあるように感じる。

 おすすめの曲をいくつか挙げておきたい。1.「バン・バン・バン」は静かに歌いかける曲で、多くのリスナーが求める彼女らしいナンバー。3.「アイ・ユースト・トゥ・ビー・ア・セーラー」も弾き語りシンガーソングライター的な雰囲気を保っているが、上述の通りの詩的世界に一歩踏み込んでいる感じがして、個人的には好み。5.「ウーマンズ・ワーク」は、わずか2分ほどの小品だが、女性をテーマにしていて、やたら心に残る。後半になると、サウンド的にも幅のある演奏が増えてくるが、個人的に勧めたいのは、8.「ドリーミン・オン・ア・ワールド」と表題曲の10.「マターズ・オブ・ザ・ハート」。前者は、上で書いた自信、アーティストとしての余裕が存分に感じられる。後者は、ギターの弾き語りという印象でデビューした彼女がもはや十分に違う地平に立って勝負しようとしていることがよく感じられる。


[収録曲]

1. Bang Bang Bang
2. So
3. I Used to Be a Sailor
4. The Love That You Had
5. Woman's Work
6. If These Are the Things
7. Short Supply
8. Dreaming on a World
9. Open Arms
10. Matters of the Heart

1992年リリース。




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Last updated  2022年11月21日 14時54分24秒
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