音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2023年03月23日
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テーマ: 洋楽(3407)
“最も売れなかった盤”の実態は 


 1975年のデビュー盤『ドリームボート・アニー』以降、1980年代にかけて、ハート(Heart)というバンドは2度の成功を手にした。最初の成功は1970年代後半(シーンへの登場以降、1980年の『ベベ・ル・ストレンジ』および同年のベスト盤まで)の順調な快進撃で、2度目は1980年代半ば~後半の大セールス( 『ハート』 から1990年の 『ブリゲード』 まで)だった。

 その狭間で、1980年代初頭の“振るわない時期”があった。アルバム作品で言うと、 『プライヴェート・オーディション』 (1982年)と本盤『パッションワークス』(1983年)である。とりわけ、本盤の方はチャートも全米39位と、それまでで“最も振るわない盤”になった。

 前作に当たる『プライヴェート・オーディション』の項にも書いたように、バンドの過渡期と言える状況であった。その過渡期の中身には、実はメンバー間の問題というのもあった。当初、アンはマイク・フィッシャーと、ナンシーはロジャー・フィッシャーと付き合っていた。ロジャーはバンドの創設者、マイクはその兄である。しかし、1979年の時点でこれらカップルは破局し、ロジャーは脱退する。さらに、1982年にはバンドの創設メンバーだったスティーヴ・ホッセン、セカンド作から合流していたマイケル・デロージャーも脱退(『プライヴェート~』まで参加)し、メンバー交代を余儀なくされていた。つまるところ、“アンとナンシーの二人が残った”という状態で、バンドの音楽そのものも方向性を考えざるを得なくなった時期だったと言える。

 この『パッションワークス』を聴くと、確かにこの後の方向性の変化を示唆する部分がある。オープニング・ナンバーの1.「誓いのハート・ビート(ハウ・キャン・アイ・リフューズ)」なんかは、特にそんな感じのする1曲である。アルバム全体を通して、ハードさは影を潜め、テンポを落としたしっとりめのナンバーやバラードっぽいナンバーが支配的である。そういう傾向を代表するナンバーの一つとして、10.「愛のランゲージ(ランゲージ・オブ・ラヴ)」が挙げられる。

 いま思えば、というか、後になってから言えることだけれど、70年代ハートの魅力の原動力だった“強さ”の部分が影を潜め、だからと言って80年代の“ポップさ”や(いい意味でも悪い意味でも)大衆受けする要素はまだ部分的にしか見られなかった。聴衆だけでなく、バンド自体もまだ次の時代に追い付くには早すぎたといったところだろうか。とはいえ、個人的には酷評するようなアルバムとも思えず、案外好きだったりする部分もあるのだけれど。


[収録曲]

1. How Can I Refuse (誓いのハート・ビート)
2. Blue Guitar
3. Johnny Moon
4. Sleep Alone
5. Together Now
6. Allies
7. (Beat by) Jealousy
8. Heavy Heart
9. Love Mistake
10. Language of Love (愛のランゲージ)
11. Ambush

1983年リリース。




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Last updated  2023年03月23日 21時54分16秒
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