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10日の放送で主人公・寅子の学友だった轟とよねが帰ってきた。同じく学友だった花岡の死に気を落とす轟に、よねは声をかける。「惚れてたんだろ? 花岡に」。「俺にもよくわからない」といいながら花岡への思いを切々と吐露する轟。
この場面は私も見ていて「やるなNHK」と思ったのだが、ネット上のニュースによると「朝ドラにBL要素が必要なのかという疑問の声」がかなりあったらしい(BLとは男性同性愛、ボーイズラブの略語)。まーだこんなことをいってる奴(やつ)がいるのか、である。
橋本冶が『桃尻娘』にゲイの男子高校生を登場させたのは1978年、藤野千夜が『少年と少女のポルカ』で女性になりたい少年と男性が好きな少年を描いたのは96年だった。LGBTなんて言葉が普及するずっと前から文学は性的マイノリティーを描いてきたし、近年ではその傾向が特に顕著になりつつある。
「虎に翼」の脚本を担当する吉田恵里香さんはXに寄せた投稿で「それが特別なことと思われる世界が悲しく残念です」「私は、透明化されている人たちを描き続けたい」と述べている。
そうなのよ。最初からBL設定のドラマ(「おっさんずラブ」とか)ならOKでも、朝ドラだとNG? なわけないでしょ。それが差別ってものなのよ。
(文芸評論家)
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