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これまで9カ月連続、このコラムで「裏金をつくっていた自民党議員はなぜ辞めないのだろう」と書き続けてきたが、衆議院選挙を経て、さすがにこの言い方は使いにくくなってきた。いや、なぜ、使いにくいのだろう。そんなことはない。今、一瞬、使いにくくなったと自分が感じてしまったのはなぜなのか。
ある程度の裏金議員が落選し、それでもやっぱり当選した裏金議員がいる。その後者について、自分から、あるいは支援者から「禊(みそぎ)が済んだ」なんて言い方が聞こえてくる。今回の選挙、「自民党とカネ」への評価が下される選挙にはなったものの、当選したからといって裏金が許されたわけではない。議論してから解散すると明言していた石破茂首相が一転して、議論の機会をつくらずに解散に踏み切ったのは、選挙による勝敗の「勝」を「これで許された」につなげたかったからだが、それ以前に、裏金をつくっていた議員は政治の世界から去るべきだった。
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大分2区から出馬するも落選した自民党・衛藤征士郎は「野党やマスコミが不記載問題を『裏金』と訴えたことが大きく影響した」と述べたそう。裏金を必死に「不記載」と言い換えて矮小化に励んだものの、それが及ばないと、野党とマスコミのせいにしてみせる。さすがに見苦しい。
現状、派閥の領袖(りょうしゅう)は裏金の経緯を知らず、会計責任者が勝手にやったことになっている。この「設定」を信じてみるとして、すると、限られた会計責任者の暴走によって、自民党は衆議院選挙で過半数割れになるほどの敗退を喫した。ふと思う。どうして、自民党のトップ・幹部・議員・支球者は、この会計責任者を問い詰めないのだろう。糾弾しないのだろう。
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政治家だろうが、自分のようなライターであろうが、あらゆる仕事には信頼関係が必要。細かい取引が多くなったので、ここ数年は税理士に相談しながら確定申告しているが、もし税理士が書類を改ざんし、不当な利益を得て、その結果、自分の名誉が著しく毀損(きそん)されたと知ったら、自分は自分のために、その税理士を告発する。提訴するかはさておき、事の流れを明らかにして、自分の潔白を立証する。当たり前の話だ。
でも、会計責任者が特に悪かったことになっている今回の裏金問題、政党としての土台がグラつくほどの事態になったのに、なぜか会計責任者を責める声は聞こえてこない。むしろ、野党やマスコミのせいにしたりもする。なぜだろう。
石破政権は裏金問題を受けて、年内にも政治資金規正法を再改正するという。 そもそも、今回の裏金問題、誰がどのように始め、一度やめたものを再開するように指示したのは誰で、その金を何に使っていたのか、全体像は明らかになっていない。 「ルールを守る」という、小学校の掲示板に貼られているようなメツセージを選挙で掲げた自民党、彼らはまだ何も明らかにしていない。選挙を経たからといってリセットは不要。同じように問えばい 。
(たけだ・さてつ ライター)
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