Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2013年02月01日
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カテゴリ: 夢有無有
「オリエントの神々」序章29・ギルガメシュ叙事詩・第十の書板(後半)
 ウトナピシュティムは遠くからこれを眺め、いろいろと想像して、言葉に出して自問自答した。「何故、舟の石は壊されているのだろう。その船主でない者が乗り、櫂を漕いでいるのだろう。やってくる者は私の従者ではない。」ウトナピシュティムはギルガメシュに言った。「何故、貴方の頬はこけて、疲れた顔をしているのか。何故、貴方の心はズタズタで、やつれた格好をしているのか。何故、悲しみが貴方の胸に押し寄せるのか。貴方は長旅をした人のように疲れた顔をしています。貴方の顔は暑さと寒さで焼け付いています。貴方は獅子の皮を着て野をさまよっています。」ギルガメシュは船頭ウルシャナビに語った。「どうして、私の頬がこけて、疲れた顔をしていないはずがありましょう。私の心がズタズタで、やつれた格好をしていないはずがありましょう。悲しみが私の胸に押し寄せない筈がありましょう。私が長旅をした人のように疲れた顔をしてない筈がありましょう。私の顔が熱さと寒さで焼け付かない筈がありましょう。私が獅子の皮を着て野を彷徨わない筈がありましょう。私の友エンキドゥは狩られた野騾馬、山の騾馬、荒野の豹だ。私たちは力を合わせて、山々を渡り歩きました。都城を奪い、天の牛を討ち取りました。杉の森に住むフンババを滅ぼしました。山の麓でライオンどもを殺しました。私が愛し、労苦を共にした我が友、私が愛し、労苦を共にしたエンキドゥ、彼に死の宿命が襲ったのです。昼も夜も、彼に向かって私は涙を流しました。彼を墓へ運びこませたくなかった。もしや我が友が私の嘆で生き返るのではないかと思いました。七日と七晩の間、彼の鼻の穴から蛆虫がこぼれ落ちるまで。私の友の言葉は私に重くのしかかり、私は遠い道のりを旅しました。エンキドゥの言葉が私に重くのしかかり、私は遠い道のりを旅しました。私はどうして沈黙を保てましょうか。私が愛した友は粘土になってしまった。私が愛したエンキドゥは粘土になってしまったのです。私も彼のように横たわるのでしょうか。私も永遠に起きあがらなくなるのでしょうか。」ギルガメシュはまたウトナピシュティムに言った。「私は行って、人々が語り伝える遥かなるウトナピシュティムに会いたいと思いました。全ての国々を歩き回り、困難な山々を越え、全ての海を渡り、私はずっと安眠することができなかったのです。私は眠れぬまま、自分に不安を抱き、自分の肉体を悲しみで満たしたのです。女主人のもとに辿り着かないうちに、私の衣服はボロボロになりました。私は熊、ハイエナ、ライオン、豹、虎、大鹿、野山羊、野の動物たちを殺し、それらの肉を食べ、それらの破れた毛皮を着ています。悲しみの門はアスファルトと瀝青をもって閉ざしたらよいのに。ところが悲しみは私を弄び、私の心に触れ、私に不幸を放つのです。」ウトナピシュティムはギルガメシュに言った。「ギルガメシュよ。何故、貴方は悲しみを長引かせるのか。貴方は神々と人間との肉をもって造られたのだ。貴方の父と母のように神々は貴方を造ったのだ。ギルガメシュよ。いつ、貴方は愚か者になったのだ。人々は集会に玉座を据え、愚か者にはバターの代わりに泥糟が与えられる。くず麦やクックシュ粉をパンの代わりに食べる。彼は粗末な毛皮を衣服の代わりに着る。ギルガメシュよ。もし、貴方が神々の神殿を世話するならば、神々は貴方から悪者、敵、邪術を遠ざけて下さるだろう。人間は必ず死ぬ運命にある。そして、神々がエンキドゥをその運命に連れ去ったのだ。何故、貴方は眠らずにいたのか。貴方は眠らずに、自分を疲れさせ、貴方自らの体を悲しみで満たしている。そして、貴方は死に急いでいる。人間の名前は葦原の葦のようにへし折られる。美しい若者も、美しい娘も死にへし折られる。誰も死を見ることはできない。誰も死の顔を見ることはない。誰も死の声を聞くことはできない。残酷な死は、ただ人を打ち倒す。何時か、我々は家を建てて、ねぐらを造る。何時か、兄弟たちが遺産を分け合う。何時か、国同士が敵対する。何時か、川が氾濫して洪水が起こる。トンボたちは水面をただよい、その顔は太陽を見上げる。けれども、突然全ては消滅する。眠る者と死ぬ者はよく似ている。人々は死の姿を描くことはできない。私もかつては若者だった。私に対する祝福が告げられた時、偉大な神々アヌンナキ(地上と冥界の神々の集合名詞)は集まり、創造の女神マミートゥム(ネルガルの配偶神で運命を司る)が天命を定め、彼らと友に天命を決めたのだ。彼らが死と生の定めを確立したのだ。ただ、人間自身は死ぬ日のしるしも、生のしるも見ることはできないだ。」
 死の川渡りを体験し、漸く不死の命を持つウトナピシュティム(旧約聖書ではノア)に会う。しかし、不死の命の謎を、いくら聞いても教えてくれなくて、神がそうしたと言うだけです。人間にとって、死は与えられた平等な出来事で逃れることができないとギルガメシュを諭します。なお、アヌンナキ「神々の貴公子」と訳され、シュメールの豊饒と冥界を司る神々の総称です。古くは上位の神々を指し、イギギと並び称されることもありましたが、後には、冥界での裁きをも担うようになります。アヌッキとも呼ばれました。創造の女神マミートゥムはマミトゥ「誓い・宣誓(アッカド語)とも呼称され、アッカドの偽証者に罰を与える女神です。後には、冥界に関わりのある女神とされ、配偶神はネルガルまたはエラといわれます。また、古バビロニア語版では、舟師の名はスルスナブ、ウトナピシュティムはウタナピシュティム。櫂の数は300となっています。

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最終更新日  2013年02月01日 09時04分04秒
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