「思考と直覚」統合文明イスラム(八十四) イスラム圏とりわけ其の文化の中心であったバクダッドでは、「千夜一夜物語(One Thousand and On Nights)日本では英語式にアラビアン・ナイト(Arabian Nights)ともいわれる。」を見るように西洋的には魔法と言っても理解できない科学水準とお伽の地域と言っても東亜細亜大陸の宗教や哲学及び北アフリカとの文化の融合による統合思考国でしたが、其の内実も現代のIT技術では可能とされるものが網羅されています。「開けゴマ」(音声認識開閉ドア)に始まり、は空飛ぶ絨毯は自動ジャイロ飛行位置感知グライダーであろうし、何でも夢を聞き凡その夢を叶えてくれるジニーの指輪は現代ではある程度は可能とない、其の実現も100%不可能事ではないでしょうに此等は総てがイスラムの科学技術が想定されていたものです。九世紀にもなるとイスラムは大帝国化されイスパニア(スペイン)をも支配下に置きますが、其処のコルドバを中心とする地域にやはりギリシァのアリストテレスを畏敬し、新プラトン学派からの解釈の適用を極力少なくしたイブン・ルシェド(アヴェロエス)の思想、即ち、哲学と宗教の関係を明晰を持って分断し、哲学が拒否する霊魂の不滅は、神学にとっては真である「二重真理説」を唱えます。彼の真意はアリストテレスの霊魂観を基督教会の監視から解放させることにあります。此の時期の基督教は思想的には柔軟性を失っており極めて権威的であり保守的な傾向にありますからイブン・ルシェドの思考は以降の西洋にとっては少なからずの衝撃を齎します。同様に霊魂の不滅を説く哲学説も信仰も相反する要素を持つことは歪めませんが、存在論から眺めれば「二重真理説」も成立するのでしょう。但し、「思考と直覚」からみれば真理は別つことは認められません。思考と直覚が求める直覚知とは一つの真理、理法の創造者を自己の絶対意識の様態にある限りに於いて通常生活からは隠された「内覚」に求めるのですから根元の「有」しか認識しようとするものであり他の志向はあり得ません。