「思考と直覚」人間の霊魂を思考/ルネ・デカルト-12(二百九十七) ルネ・デカルトの複層し、また輻輳した性格は彼の生涯の境遇と体験に由縁します。デカルトは生涯結婚はしませんでしたが、若年の折には社交界に出入りもし、歳40にしてメイドに生ませた娘で、5歳の時死亡した娘フランシーヌを誕生させています。其の死後は愛嬢に似せたドールを常に傍らに置いています。彼は探求の人でありながら書庫に篭もるたちではなく、デカルトとは彼が亡くなるまで活発な文通を続け、デカルトの最も熱心な弟子の一人であったドイツのプファルツ=ジンメルン家の公女エリーザベト・フォン・デア・プファルツ(Elisabeth von der Pfalz)との書簡のなかで、自己の中心思想の思索には日々極僅かしかか時間を用いず、残りの時間は官能のくつろぎと精神の休養に割り当てていたとしたためているように、現代に捉える職能的な学究肌の人間ではありませんでした。レオナルド・ダ・ビンチが恋した「モナリザの微笑」のように、彼も恋する人間であり人間肌を持ち合わせています。但し、レオナルド・ダ・ビンチ同様その学究の分野は、彼が最も好む解析幾何学と屈折興学(ガリレオ・ガリレイとの心流が此処に見えます。)の創始者であるばかりでなく、建築・造園・動植物・解剖・水力・天文・水路・航海術にも秀でている万能の天才でした。彼の複雑な性状から政治面には関わろうと表面上は観得ますが、彼の女性関係を見れば何らかの政治的な欲望も推察できます。何れにしても、レオナルド・ダ・ビンチに始まるルネッサンス期の典型人の最後を飾るには相応しい人物です。但し、デカルトの弱点は経験論及び自然論に重きを置いた故のアリストテレスの流れをくむ「霊魂」を蔑ろにしたことでしょう。其のこと故に彼の終末が惨めなものとなります。 cap-hiroのプロフィール 哲学・思想 ブログランキングへ