「霊魂論」エチカ詳解30 スピノザの「エチカ」の完成に5年もの月日を費やさせた{神学・政治論」を此処では問題とします。スピノザ(Baruch de Spinoza/1632-1677)におけるスピノザの信仰理解について考察したいからです。スピノザによれば、信仰とは啓示的認識においてのみ問題となる事柄であり、またそれは「神に従順であること」を意味する。そして彼は『神学・政治論』において信仰と行いが循環の関係にあることを主張する。つまり行いを成立させているのは信仰であるが、信仰は行いを媒介とすることによってのみ証しされる。スピノザに従えば、この信仰と行いの循環の関係は、或る人間が救済を得るためには、その人間によって、絶えず新たに産み出されなければならないことである。人間たちがその循環を生きるための起動力こそ、「自己で有り続けようとする努力」であるコーナートゥス(Conatus)に他ならない。またスピノザが提示する信仰の根拠は人間たちに対する神の愛であり、その対象は神である。要するに信仰を証示するための行いの根源は、神に由来するコーナートウスです。「コナトゥス」とも和訳される此の語彙は、生物の本能的な「生きる意志」を指したり、運動と慣性に関する様々な形而上学的理論を指したりもし、屡々、此の概念は汎神論者の自然観では神の意志と結びつけて考えられています。此の概念は定義が精神と肉体に分割されたり、遠心力と慣性について議論する際に分割されたりするときにも表現されますが、現在では明確で普遍的に受け入れられた定義を持たない術語となっており、スピノザの{神学・政治論」は「霊魂論」からすれば左程の重要性は置けないと考えます。