時間の陥穽364 アインシュタインの「Ideas and opinions (概念と見解)」の概要は、歴史を顧みて史実上の「神」の存在が、人格神、即ち、擬人的な神を据え置くというレベルの宗教を超えた場合には、第三の宗教体験が浮上し存在を観想すると説きます。それをアインシュタインは「宇宙的宗教感覚」と名称します。此の「宇宙的宗教感覚」の観想のなかには全く擬人的な神の概念は全く以ってない。此の感覚を体験したことのない者には説明が困難だと言います。更に付け加えて、「宗教のない科学は片端、科学のない宗教は盲目」と例え、「理性における成功を強く体験した者は誰しもが、万物に顕れている合理性に畏敬の念を持っている」とし、「科学、宗教、芸術など様々な活動を動機づけているのは、崇高さの神秘に対する驚きだ」としていました。然し乍ら、アインシュタインの相対性理論の美的世界にも陰りが見えます。それは進展する観測天文物理学を基とした時空のもつ大域的構造の研究に取り組んだホーキングとペンローズによって証明された特異点定理です。