Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2023年04月05日
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カテゴリ: 霊魂論
「神秘学」解析
シュタイナーのキリスト観-2- 2:四つの福音書のキリスト叙述
第1講 福音書の光に照らした人類生成の深遠な秘密の二 ルカ福音書
 シュタイナーは第1講でヨハネ福音書に次いでルカ福音書についての講義を行います。我々はルカ福音書から前項のヨハネ福音書講義から、また別のものを見てとります。ヨハネ福音書についての考察において語られたことを、「私は宇宙の光である」という言葉の理解のための手段と看做すなら、場合によってはルカ福音書についての考察は、ただルカ福音書を十分深く把握すれば、イエスの磔での「父よ、彼らをお許しください、彼らは自分が何をしているかわからないのですから」、若しくは、「父よ、あなたの御手に私の霊[Geist]を委ねます」という言葉の言い換えと解してよいかもしれませんが、キリスト・イエスであるもの、今や単に宇宙の光としてではなく、原初の人間の契約違反の罪を献身という最大の供犠を齎した存在、自身を失うことなくすべてを自分のなかで一つにすることを許された存在としてキリスト・イエスであるもの、献身という供犠として特徴づけられるもの、自己自身のなかに最大の供犠、考え得る最大の献身という供犠の可能性を孕み、そしてそれによって未来のあらゆる人間の生と地球の生を貫き暖かく注ぎ込む泉である存在、つまりこの言葉のなかに捉えられ得たすべては、私たちがキリスト・イエス存在と呼ぶものの第二の面を与えるのです。
 このように私たちはこの存在を、その同情において大いなる供犠を実現することができる存在、その光の力によって現存するあらゆる人間を照らす存在として特徴づけました。私たちは、キリスト・イエスという存在のなかにあった光と愛を描写したのです。それで、ヨハネ福音書およびルカ福音書をその完全な範囲において捉えるひとは、キリスト・イエスのなかで「光」であったもの、キリスト・イエスのなかで「愛と同情」であったものについて、ある意味で予感を抱くことができます。私たちはキリスト・イエスのなかに、二つの特性をその普遍的な意味において理解しようとしたのです。悠久の叡智としてあらゆる事物にのなかに注ぎ込み、それらのなかで生き活動する宇宙の霊的な光としてキリストについて語られねばならなかったこと、これは霊的な考察に明らかになり得ます、これはまたヨハネ福音書から私たちに向かって光り輝きます、そして、人間に到達できる叡智であって、ある意味でヨハネ福音書に含まれていないものはありません。宇宙の叡智はすべてこのヨハネ福音書のなかに含まれています、なぜならキリスト・イエスのなかに宇宙の叡智を見るひとは、単にその叡智がはるかな過去にいかに実現されたかということのみならず、はるかな未来においていかに実現されるかも見るからです。したがって、ヨハネ福音書に関わる考察においてひとは、人間的なあらゆる生存の上空高く、鷲のように舞います。ヨハネ福音書の理解を可能にする大いなる理念を繰り広げなければならないとき、広大無辺な理念とともに、個々の人間の魂のなかに起こることを超え、空中を舞うのです。包括的な宇宙理念(世界理念)は、ヨハネ福音書に関連して考察を行うときに私たちに流れ込むあのソフィア(Sophia]を働かせます。そしてこのとき、ヨハネ福音書から流れ出るものは、日々刻々移ろう人間の運命のなかで起こることすべてを越え、ひとり鷲の高みで旋回しているように私たちには思われるのです。
 それから下降し、そして、刻々と日に日を継ぎ、年を経て、世紀から世紀へ、千年紀から千年紀へと続くひとりひとりの人間の生を観察するなら、とりわけ、そこに人間の愛と呼ばれるあの力を観察するなら、生きている人間の心と魂のなかでこの愛が数千年を通じてうねり息づいているのが見えます。さらに、この愛が一面においては人類の内部で最大の、最も意味深い、最も英雄的な行為を成し遂げるのが見られます。それから、人類の最大の供犠が、あれこれの存在あるいはあれこれの事柄に対する愛から流れ出したのが見られます。そしてさらに、この愛が人間の心のなかで最高のことを成し遂げるのを、けれども同時にそれが諸刃の剣のような何かであることが見られます。ここにある母親がいます。彼女は自分の子どもを心底から愛しています。子どもが何か乱暴な振る舞いをしても、彼女は子どもを愛していて、その深い熱烈な愛情にあっては子どもを罰するということがどうしても出来得ません。更に子どもが二度目に乱暴な振る舞いに及ぶと、今度も母親は深い愛情のために子どもを罰するに忍びません。引き続きそんな調子で、子どもは成長し、役に立たない人生の平和を乱す者となります。こういう意味深な事柄に触れるときは、現代から実例を取るのはよくありませんから、ずっと以前の例を挙げることにします。十九世紀の後半、わが子を愛し抜いた母親がいました。どんなものもこの愛を賞賛するのに足りない、何様なことがあっても愛は人間の最高の特性の一つとはっきり言っていたようです。さて、この母親は子どもを愛していたので、この子が家族のなかで働いたちょっとした盗みのためにこの子を罰するということがどうしてもできません。続いて二度目の盗みが起こり、彼女はまたも罰することができませんでした。その女の子は悪名高い毒殺者になりました。その子は、叡智に導かれない母の愛によって毒殺者になったのです。愛は叡智に浸透されたときに最も偉大な行為を成し遂げます。けれどもゴルゴタから世界に流れ出したあの愛の意味とは、まさに、愛がひとつの存在のなかで、宇宙の光と、叡智とひとつにされたということなのです。したがって、私たち、愛は世界で最高のものであると認識しつつ、同時に、愛と叡智が最も深い意味において補完し合っていることを認識するというようにふたつの特性を考察すれば、これはキリスト・イエスに眼差しを向けることなのです。 けれども今ヨハネ福音書およびルカ福音書についてこれらすべての考察が行われましたが、私たちは何を理解したのでしょうか。叡智の普遍的な光、愛の普遍的な熱、と呼ぶことができるあの特性、世界でほかのどんな存在にもなかったやりかたであのようにキリスト・イエスのなかに流れ込み、かつてどんな人間の認識力も近づけなかったあの特性、この特性以上のことは何も理解しなかったのです。そして、ヨハネ福音書との関連では、鷲の高みにあるかのように人間の頭を超えてゆく力強い理念について語られる一方、ルカ福音書に依拠すれば、瞬間ごとにひとりひとりのどんな人間の心にも語りかけてくるものが見出されます。ルカ福音書の重要な点は、それが愛の外的な顕(あらわ)れであるあのような熱で私たちを満たすということです、最大の犠牲を厭わない愛、自己自身を捧げ、自身を捧げること以外何も望まない心構えのあの愛への理解で私たちを満たすのです。
 ほぼ同様に感じられるのは、正しい意味で考察するときにルカ福音書に関連する考察する場合にそうなるあの心情の状態についてイメージを得たいと思うなら、そこへと急ぐ犠牲の牡牛の見られるあのミトラ像において私たちに現れてくるものです。牡牛の上に人間が座っているのが見え、上には大いなる宇宙の出来事の歩みが、下には地上的な出来事の歩みがあります。この人間は、血を流す牡牛の体に斧を打ち込みます、人間が克服せねばならないものを克服することができるように自らの生命を捧げるこの牡牛の体に。人間が生の道を行くことができるように犠牲にされねばならないこの人間の下の牡牛を観察すると、ルカ福音書に関わる考察に正しい基本的な気分を与える感情・心情状態をほぼ得ることができます。犠牲の牡牛つまり自分自身の中へと深まっていくべき愛の顕れのなかにあるものを理解していた人々にとって、いつの時代にも牡牛がそうであったところのものです、そういう人々はルカ福音書の考察が与えようとする愛の特性の描写についても何かを理解します。何故なら、それが描き出そうとしたのはキリスト・イエスの第二の特性以外のなにものでもないからです。けれども、ひとつの存在のなかの二つの特性を知るひとは、その存在全体を知っているのでしょうか。この存在においては最大の謎が私たちに向かって立ち現れてきますので、ふたつの特性を理解するための説明が不可欠でした。しかし、ふたつの特性の考察からこの存在そのものを見通すことができるなどと思う人があってはなりません。



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最終更新日  2023年04月05日 06時10分06秒
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