Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2024年06月19日
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カテゴリ: 霊魂論


ルドルフ・シュタイナー
ゲーテの自然科学論序説並びに精神科学(人智学)の基礎(GA1)
第17章 ゲーテ対原子論 佐々木義之訳 1-9項
第一項
 今日、19世紀の自然科学の発展については非常に多くのことが語られています。私は、この関連で本当に話すことができるのは、重要な科学的経験と、それがいかに実際の生活を変えたかということに尽きると信じています。しかし、現代の科学がそれを通して経験の領域を「理解」しようとしている基本的な概念ということになると、それらは不健全で厳密な思考(第6章及び第15章)には耐えられないだろうと言わざるを得ません。この観点は、著名な化学者、フリードリヒ・ヴィルヘルム・オストヴァルト(Friedrich Wilhelm Ostwald、ラトビア語: Vilhelms Ostvalds、1853年-1932年)によってごく最近表明されました。
参考画:Friedrich Wilhelm Ostwald
記:ドイツ(バルト・ドイツ人)の化学者。オストワルトあるいはオストワルドとも呼ばれる。1909年、触媒作用・化学平衡・反応速度に関する業績が認められ、ノーベル化学賞を受賞した。ヤコブス・ヘンリクス・ファント・ホッフやスヴァンテ・アレニウスと共に物理化学という分野を確立した一人とされている。



 彼によると、世界の内的な成り立ちについてどう思うと聞かれるとき、数学者から開業医に至るまで、すべての思慮深い科学者は、事物は動き回る「原子」から成り立っている。それらの原子とそれらの間で働く「力」とが究極の現実であり、それらから個別の事象が現われると言うだろう。我々は皆、これが物理世界を理解するための唯一の方法であり、原子の力学に立ち返らなければならないと語られるのを我々は何百回となく聞かされてきた。自然現象の多様性全体がそこから導かれ得るところの唯一の概念とは物質と動きであると思われるのだ。人はこの観点を科学的唯物論と呼ぶだろう。私は前章第16章で、現代の物理学者たちの基本的な観点は受け入れ難いと書きました。オストヴァルドが同意して言うには、「この力学的な世界観は、それがそのためにデザインされた目的に寄与しません。・・・それは、議論の余地がなく、よく知られ、そして認められた真実に矛盾しています。」これについての是認は続きます。「私は、私たちに自らを提示するような感覚知覚可能な世界とはその根底に実質的な基盤を持たない変容する知覚の寄せ集め」(第16章)であると言います。そして、オストヴァルドが言うには、我々が物質について知っているあらゆることがらはその性質に関連しているということに気づくなら、「ある物質がそのいかなる性質も欠きながら存在していると主張することは馬鹿げている」ということが明らかとなる。そのような純粋に形式的な仮定が役に立つのは、化学プロセスの一般的な事実の間の整合性、特に、物質の量論的な法則、そして、不変的な物質という思いつきの概念を打ち立てるときだけである。(編注:「科学的唯物論の克服」、リューベックにて、1895年9月20日)。そして、本書の中では、「これらの考察は、知覚された世界の領域を道義的に越えて行くような自然についてのいかなる理論も不可能であると考えるよう私に強いるとともに、感覚的な世界を自然科学の唯一の対象として思い描くよう私を導いたものです。」(第15章)そして、オストヴァルドの講義では、物理世界に関する我々の経験とは何か。明らかなのは、それは我々の感覚器官が我々に与える以上のものではないということである。・・・科学の使命は「現実」を、つまり、もっともらしく、測定可能な性質を収集し、そして、それら相互の関係を見出すことによって、ひとつが与えられれば別のものが結果として生じるようにするということである。そして、これは、仮説的なモデルを仮定することによってではなく、測定可能な性質の相互に依存する側面を検証することによってなされなければならない。もし、私たちが、オストヴァルドは現代科学の観点から語っている、したがって、感覚世界の測定可能な側面だけを見ているという事実を無視すれば、彼のここでの論点は私の論点と一致しています。つまり、「理論とは、目で知覚可能なものを包含するとともに、この領域の内部で相互関係を探求するものでなければなりません。」(第16章)。一般的な科学の知的な基盤に反対するオストヴァルド教授の講義におけるのと同じ戦いがゲーテの色彩論についての私の議論の中で挑まれています。しかし、確かなことは後で示すように、彼は彼が反対する科学的な唯物論者と同じ表面的な仮定から出発している。私が焦点を当てている概念はオストヴァルドの考えとは完全には一致しないということです。私は、現代の自然観の間違った基盤はゲーテの色彩論への不健全な評価のためであるということもまた示しました。現代の自然観についての私の議論をさらに詳細に進めていきましょう。この観点の健全性を評価するために、それが自らに設定した「目標」について考えてみたいと思います。デカルトの中には、不当にというわけではなくして、現代の自然観が知覚可能な世界を判断するために採用した基本的な定式化が見られます。物理的な事物をより詳細に考察するとき、それらの中には、私が「明確に」、そして「はっきりと」把握できるものはほとんどない。それらは大きさ、つまり、長さ、幅、奥行きといった広がりであり、広がりが終わることで結果として生じる形態であり、相互に関連した様々な形態を持つ物体の位置であり、動き、つまり、位置の変化である。そして、それには物質、持続、そして数がつけ加えられるだろう。しかし、光、色、音、匂い、味、熱、冷たさ、そして、その他の感触、なめらかさや粗さが私の心に入って来るとしても、それはあまりにも「曖昧」で「混乱」しているため、それらが本当なのか、あるいは偽りなのか。言い換えれば、これらの性質について私が持つアイデアは本当に真の対象についてのアイデアなのか、若しくは、決して存在しないはずの想像上の事物を表現しているに過ぎないのかを決めかねるのである。(「省察」第3部)。デカルトによるこの論述は今日の科学者にとって習慣的な考え方となったものを表現しています。そのため、彼らにとって、その他の考え方は本当に考慮する価値のないものとなっています。彼らは、光は数学的に表現できる運動プロセスの結果として知覚されると言います。彼らは光が現われると、それを振動にまで辿り、そして、1秒当たりの波数を計算します。あらゆる知覚を数学的に表現できる関連性にまで辿ることができるとき、感覚世界全体を説明することができるであろうと信じられているのです。この観点によれば、そのような説明を提供できた心は自然界についての考え得る最も高次の洞察を達成しているということになります。そのような科学者の良い例であるデュ・ボア-レイモンは「そのような心は我々の頭髪でさえ数え上げ、1羽の雀でさえそれに知られることなく地面の上に落ちることはないだろう」(「自然科学の限界について」、1882年)と述べています。世界を数学的に処理することは一般的な科学の理想となっているのです。現代の科学者たちが世界を説明するために用いることができる要素の中に力そのものを組み入れているのは、仮想的な物質の各部分にとって、外的な力の介入なしに動き始める方法はないという理由からです。デュ・ボア-レイモンが、「自然を知るということは云々・・・物体内部の変化を、時間から独立したそれらの中心的な力によって引き起こされる原子の運動にまで辿ることを意味している。それは原子力学の意味で自然のプロセスを理解するということである。」(同著)と述べているように、力の概念を導入することによって、数学は力学になります。今日の哲学者たちが独立して考えるための勇気を全く失っているのは、科学者たちの影響をあまりにも深く受けているからです。彼らは科学者たちの観点を躊躇なく受け入れます。最も著名なドイツの哲学者の一人であるウィルヘルム・ヴントは、「物質の質的な不変性からして、あらゆる自然のプロセスは結局のところ動きから構成されているという原則にしたがえば、物理学の目標とは、その応用力学への翻訳ということになる。」(論理学、1830-1833年)と述べています。デュ・ボア-レイモンは、「そのような解決法、つまり、自然のプロセスを原子の力学に還元することがいつも因果論的な説明に対する我々の必要を一時的に満足させるだけに留まる」のは心理学的な経験の問題であると考えています。確かに、デュ・ボア-レイモンにとって、それは経験の問題かも知れません。しかし、物理世界についてのそのようなありきたりの説明では満足できない人たちがいるということも言っておく必要があります。そのような人物の一人がゲーテです。誰であれ、因果論的な説明に対する欲求が自然のプロセスを原子の力学に還元することで満足させられる人にとっては、ゲーテを理解することは不可能でしょう。
    (第17章 ゲーテ対原子論 第一項了)

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最終更新日  2024年06月19日 07時25分05秒
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