Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2024年06月23日
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カテゴリ: 霊魂論


ルドルフ・シュタイナー
ゲーテの自然科学論序説並びに精神科学(人智学)の基礎(GA1)
第17章 ゲーテ対原子論 佐々木義之訳 1-9項
第五項
 世界観を形成するための能力がデカルト、ロック、カント、そして、現代生理学によってまだ破壊されていない人たちにとって、光、色、音、熱、等々を人間有機体の単なる主観的な状態として考え、同時に、完全に客観的なプロセスの世界が有機体の外に存在していると主張することがどうして可能なのかを理解することは決してできないでしょう。もし、人間有機体そのものが音、色、熱を創造すると主張するのであれば、私たちは同時に、それは広がり、大きさ、位置、動き、力、等々を創造すると言わなければならないでしょう。これらの数学的、機械論的な特徴をその他の知覚可能な世界から実際に分離することはできないのです。熱、音、色、そして、その他の感覚的な特質から空間、数、動き、そして、その他の力の表現を分離するのは抽象的な思考だけです。数学的、機械論的な法則は経験の世界から導かれた抽象的な実体やプロセスと関係しており、したがって、それらはそのようなものとして経験世界に適用することができるだけです。もし、私たちが、数学的、機械論的なプロセスもまた主観的なものであると主張しなければならないとしたら、客観的な事物やできごとについての私たちの概念の内容として役立つものは何も残っていないことになるでしょう。そして、空虚な概念から現象を導き出すことはできないのです。現代の科学者たちとそのカバン持ちである哲学者たちは、感覚的な知覚は客観的な事象によって引き起こされた主観的な状態に過ぎないという考えにしがみついています。そうであるならば、健全な思考は、彼らは空虚な概念を弄んでいるのではないか、あるいは、主観的であると宣告された世界のあの部分から借りてきた内容を客観的な世界に割り当てているのではないかと反論しなければならないでしょう。私はいくつかの私の著作の中でこの不条理について言及しました。(編注:「ゲーテの世界観の中で暗示された認識論の概要」1886年、「真実と科学」1892年、「自由の哲学」1894年)。私は、それらを生じさせる波動プロセスや力、最近の物理学はすべての自然現象をそれらから導き出しますが、それらを感覚的な知覚の形態とは異なる現実についての形態に帰属されるべきかという問題に立ち入るつもりはありませんが、ただ、数学的、機械論的な世界観によって達成されるものとは何かと問うかも知れません。アントン・ランパの意見は次のようなものです。「数学なしでも数学的な方法を用いることはできる。したがって、課題としての数学と方法としての数学とは同じものではない。二項式も満足に解けなかったファラデーは、電気に関する彼の実験的な研究において、このことについての古典的な例を提供している。数学とは、私たちの通常の論理的な思考様式にとっては過剰であることが分かるはずの多くの複雑なことがらについて、単に論理的なプロセスを簡略化することにおいて、私たちの助けとなる方法であるに過ぎない。しかし、数学にはそれ以上のことが可能である。つまり、各定式がそれ自身の生成過程を表現する程度に応じて、それは探求の出発点として役立つ基本的な現象への生きた橋を架けることができるのである。したがって、大きさが測定できないときにはいつでもそうなのだが、数学を用いることができないような手法においては、それが数学的な方法論を用いるべきものであったとしても、単に厳密な論理に固執するだけではなく、非常に注意深く、ものごとを基本的な現象にまで遡って追求するようにしなければならない。そうでなければ、それは、正にそれが数学的な構造を欠くところにおいて、正道を踏み外すことになる。しかし、それが達成されるとき、それは、その正確さという特徴をもって、「数学的」であると正しく主張することができるであろう(「探求者の夜」P92)。ランパが現代の自然科学者としてそれほど完璧な例でなかったとしたら、私は彼のためにこれほど多くの時間を費やすことはなかったでしょう。彼は彼の哲学的な必要をインド神秘主義によって満足させますが、それは彼が彼の機械論的な世界観をあらゆる雑多な哲学思想によって混乱させていないということを意味しています。彼が心に抱いていた自然についての理論とは、いわば今日の科学の「純粋な」観点なのです。ランパは数学におけるひとつの重要な特徴を完全に無視していたということが分かります。確かに、あらゆる数学的な方程式は探求に向けた出発点として役立つ基本的な現象への「生きた橋を架け」ますが、基本的な現象というものは、そこから橋が架けられるところのさらに複雑な要素と本質的には同じものなのです。数学者たちは複雑な空間的、数的構造の特徴やそれら相互の関連を最も基本的な数的、空間的な構造にまで遡って辿ります。力学的な技術者は彼らのフィールドで同じことを行います。彼らは「複合的な」動きや力を単純で容易に調べることができる動きや力にまで遡って辿ります。彼らはこれを行うために、数学的な法則を用いて、動きや力の効果が幾何学的な形や数式で表現されるようにします。力学的な法則を表現する数学方程式においては、個々の要素、あるいは方程式は、もはや純粋に数学的な様式ではなく、力や動きを表現しています。これらの定式がその中に組み込まれているところの関連性は純粋に数学的な法則によってではなく、実際の力や動きの特性によって決定づけられているのです。これらの力学的な定式の特定の意味を忘れるや否や、私たちはもはや力学的な法則性ではなく、単に数学的な法則性を扱っていることになります。力学と数学の間の関係は物理学と力学の間の関係に相当します。物理学者の使命は、色、音、熱、電気、磁気、等々の複雑なプロセスを「同じ領域の内部で」単純なできごとにまで辿っていくということです。彼らは、例えば、複雑な色の事象を最も単純な色の発生にまで追っていかなければなりません。そのとき、彼らは、色という現象が空間的、数的に分析可能な形式を含むように、力学的、数学的な法則を用いなければなりません。数学的な方法が物理学に適用されるとき、それは、色、音、等々の間の結びつきをそれらの現象自体の「内部で」調べる、ということを意味しているのであって、色や音に欠ける物質の中の力や動きにまで遡ってそれらを辿っていくということではありません。現代の物理学はそれ自体としての音、色、その他の性質を回避し、変化することのない引力や斥力、そして空間中の動きだけを調べます。このアプローチの影響の下で、物理学はほとんど応用数学や応用力学の形態を取るに至りました。科学のその他の領域もまたその方向に向かっています。無色の物質が空間中の特定の位置で一定の動きをしているという事実と、別の位置で誰かが赤色を見るという事実の間に「生きた橋」を架けることは不可能です。動きから導かれ得るのは動きだけです。感覚に影響し、したがって脳に影響する動きがあることから、数学的、力学的な方法にしたがえば、脳は刺激を受けて一定の動きに応答するということになるのですが、実際の色、音、その他を感知することにはなりません。デュ・ボア-レイモン(Emil Du Bois Reymond)が次のように問いかけたとき、彼はそのことを既に認識していました。「一方には、私の脳内の特定の原子の動きがあり、他方には、私が痛み、喜び、甘さ、薔薇の香り、オルガンの音楽、あるいは、赤を経験しているという直接的かつ定義はできないけれども否定することができない事実がある。しかし、それらの間にはどのような関係があり得るのか。・・・動きは動きだけを生じさせることができる。(「科学的認識の限界について」P34,35)」。
参考画:Emil Du Bois Reymond



 デュ・ボア-レイモンがここに見ているのは科学的な認識の限界です。しかし、私の意見では、赤色を見るという経験を特定の動きから導き出すことができない理由を示すのは簡単です。それは「赤」という性質と一定の動きのプロセスとは実際には分離不可能な統一体であるということです。知的、概念的なものが二つの出来事を分離するに過ぎません。赤という性質に対応する特定の動きは、独立した現実性を持つものではなく、抽象的なものです。動きのプロセスから赤色を見るという経験を導き出そうとするのは、ちょうど立方体に対応する数式から塩の立方晶が有する実際の性質を導き出そうとするのと同じくらい馬鹿げたことなのです。動きからその他の感覚的な性質を導き出すことが妨げられるというのは私たちの認識の限界ではありません。そうしようとすること自体がナンセンスなのです。    (第17章 ゲーテ対原子論 第五項了)

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最終更新日  2024年06月23日 06時10分08秒
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