Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2024年07月31日
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カテゴリ: 霊魂論


ルドルフ・シュタイナー
「精神科学と医学」(GA312) 第一講(本文・解説付)解説
全体概要
 人類進化の経過にともなう医学的見解の変遷。病気と健康。スタールの生気説とその克服。モルガーニ以来の病理学的な解剖学の登場とその意味。体液病理学と細胞病理学。病気のプロセスと自然のプロセス。比較解剖学の意味。形式の力。筋肉の生理学。トロクスラーの病気概念。
第1講-第1回
 最初は、医学者を対象とした「精神科学と医学」の連続講演をはじめるにあたっての前置きの部分になっています。いわゆる唯物論的な方向性をもった現代医学のあり方への批判的視点が提示され、これまでのそうした見方から自由になることの必要性を語っています。おそらくほとんどの皆さんが、医療生活の未来に期待しておられるであろうことのうち、ほんのわずかな部分しかこの講習で触れることができないのは当然のことかもしれません。と申しますのも、この点については皆さんにもご同意いただけると思いますが、医学の分野における、真の、将来確実な活動は、医学的研究そのものの改革に関わっていると言えるからです。一回の講習で伝えられることだけで、せいぜい何人かの人々にこのような医学的研究の改革に参画しようとする衝動を起こさせるぐらいでは、こういう改革を促進するにはほど遠いのです。とはいえ、今日でも医学の分野で論義されていることは、そのもう一方の極、背景に、医学的活動が解剖学、生理学、及び生理学全般によって準備されるという方法を有していて、こうした準備を通して医師たちの考え方は最初から特定の方向に導かれております。何よりもまず、こうした方向から離れることこそが必要なのです。さらに、シュタイナーは、今回の連続講演をはじめるにあたって、そのプログラムを提示しています。その内容は4つに分類されているといいます。 
1)病気の本質を把握することを阻んでいる事柄について
2)医学活動の基盤としての人間認識の方向性について
3)治療の可能性について
4)参加者からの質疑応答
今回の連続講演でお話したいことに行き着くために、考察すべきことを以下のような一種のプログラムに分類したいと思います。まず第一に私が皆さんに、今日一般に行われている研究において、真に事実に即した病気の本質そのものを把握することを阻んでいる事柄をいくつか提示したいと思います。続いて私は、医学的活動の真の基盤となり得る人間の認識を、どのような方向に求め得るかを示したいと思います。第三に、人間とその他の世界の関係を認識することによる、合理的な治療の可能性を指摘したいと思います。そしてこの時に、治療というのはそもそもが可能であると考えられるのかという問いに答えたいと思います。さらに四番目に、これが考察の一番重要な部分かもしれませんが、これは他の三つの観点と組み合わされねばなりませんが、参加者の皆さんひとりひとりに、ご自分の希望、すなわち聞いてみたいこと、この講習で話してほしいことを、明日か明後日までに紙片に書き込んでいただきたいのです。どのようなご希望でも結構です。このプログラムの第4の部分などから、シュタイナーの基本的姿勢がうかがい知れるのではないでしょうか。抽象的な内容を話すのではなく、あくまでも、医学を実践されている方のもっともアクチュアルな問題に答えていくことで、机上の空論ではなく、実践を前提とした内容にしていこうとする意気込みです。なんとしてでもこの講演を意義あるものにしていこうとしているわけです。私はプログラムのこの第四の部分によって、これは先ほど申しましたように他の三つの部分にも取り入れられねばなりませんが、皆さんが、聞きたいことが全然きけなかったと感じつつこの講習からお帰りにならなくてすむようにしたいのです。ですから、皆さんが質問、希望として書かれたこと全てが消化されるようにこの講習を構成するつもりです。それで明日か、でなければ明後日のこの時間までに、皆さんのご希望を記入していただきたいのです。そうすればこの講習を実施する枠内である種完璧にするのに一番良いと思います。 この講演は、精神科学的な見地から医学に提示できる視点を結集して医学者の方々に提示しようとするものです。ですから、既成の医学講習のような枠の中での講演内容ではなく、医学、医師にとって欠かすことのできない重要な内容を考察しようとするものであることが提示されています。今日のところは、前置き、方向づけのための考察にとどめておきたいと思います。出発点としたいのは、私は主として、いわば精神科学的な考察から医師のかたがたに与えることのできる全てを結集するよう努めているということです。私の試みが、そういうものであろう一つの医学的な講習と混同されることは望みませんが、あらゆる点から医師にとって重要と言えることを主として考慮しようと思います。と言いますのも、真の医学あるいは医術というものは、こう言ってよければ、やはり、暗示しました意味で問題になるあらゆる事柄が、そのような医学あるいは医術の構築のために真に考慮されることによってのみ達成されるからです。
第1講-第2回
 この第1講はこの連続講演を方向づけるための考察を主な内容としているということが明示されていますが、その方向づけに関して基本的なところからシュタイナーははじめています。通常は、「病気とは何か」ということについて、病気というのは「正常な生命プロセスからの逸脱」であり、それによって機能的な障害が起こるというような病気の否定的な規定」だけがなされるのが現状です。しかし、いくらそういう規定をしたところで、「病気と関わる時に何らかの助け」にはなりません。シュタイナーがこの講演で意図しているのは、そういう否定的なあり方ではなく、「病気と関わる時に助けとなり得る実際的なこと」です。そのために、シュタイナーは「時代の流れのなかで成立してきた病気に関する見解」に注目し、それによって方向づけをしようとしています。今日はいくつかの方向づけのための考察から始めるだけにしておきましょう。医師としての皆さんに課題として提示されているものについてお考えになったなら、おそらく皆さんは、「いったい病気とは、病人とはそもそも何なのか。」という疑問に一度ならず遭遇されたことと思います。実際のところ、病気や病人について、あれこれの一見客観的な挿入句で覆われていたとしても、次のような説明以外のものはめったに見いだせません、すなわち、病気のプロセスは、正常な生命プロセスからの逸脱である、人間に作用し、正常な生命プロセスにある人間にはまずもって適合しないある種の事実によって、正常な生命プロセスと生体組織に変化が引き起こされる、そして病気とは、肉体部分の、これらの変化に結びついた、機能的な侵害である、といった説明です。けれどもこれは、病気の否定的な規定以外の何物でもないということは認めざるをえないでしょう。病気と関わる時に何らかの助けになるようなことではありません。そして私がここで何にも増して目指したいのは、まさしくこの、病気と関わる時に助けとなり得る実際的なことなのです。この分野で標準になるものに行き着くためにはやはり、時代の流れのなかで成立してきた病気に関する見解に注目するのが良いと思われます。それは、これが現代において病気という現象を把握するのに必要だと思うからというよりも、病気についてのより古い見解、とはいえ、この見解は現代のそれにまで通じているのですが、この古い見解を考慮すれば、方向付けがより容易になるからです。通常、医学の歴史は古代ギリシアのヒポクラテスからはじまるとされていますが、シュタイナーはヒポクラテスの医学は、古代の医学の終焉だと述べます。古代の医学的見解は、「隔世遺伝的な観照法」によって獲得されたもので、ヒポクラテスの医学でそういう「隔世遺伝的な観照法」が終わったというわけです。そして、ヒポクラテスの医学的見解としてあらわれ、体液病理学として続くような、そういう「西洋における本質的な医学」とされている流れこそが、根本的な誤謬であり、病気の本質についての洞察を妨げているのだというのです。ヒポクラテス派の医学では、「人間の生体組織において共に作用している体液の適正でない混合のなかに、あらゆる病気の本質を探究」し、「正常な有機体において体液はある一定の比率を保っていなければならず、病んだ肉体においては、体液にこの混合比率からのずれが生じる」としていました。また、自然存在を構成しているものを土、水、空気、火の4つだとし、生体組織においても、その4つの要素が、黒胆汁、黄胆汁、粘液、血液として特徴づけられていて、そうした体液の適正な混合を「クラーシス(Krasis)」、不適正な混合を「ディスクラーシス(Diskrasis)」と呼んでいました。そして、体液が不適正な混合である場合、それに働きかけるのが治療だったわけです。皆さんがご存知のように、通常、医学の歴史が考察される際、5世紀と6世紀の古代ギリシアにおける医学の成立が指摘され、ヒポクラテスが指摘されます。そして少なくともその際、ヒポクラテスにおいて見解として現れ、その後いわゆる体液病理学へと続き、根本的には19世紀に入ってもなおある程度重視されていたものによって、あたかも西洋における本質的な医学が展開され始めたかのように感じさせられると言うことができます。しかしながら、このことがすでに、人々の犯す最初の根本的な誤謬であり、これは実際根本においてあとあとまで影響を残し、今日においてなお、病気の本質についてとらわれのない見解に至るのを妨げているのです。この根本的な誤謬をまずは取り除かねばなりません。他ならぬこのヒポクラテスの見解を捕らわれなく見る人にとって、この見解はひょっとするとすでに皆さんお気づきかもしれませんが、ロキタンスキーに至っても、つまり19世紀に入ってもある程度重視されているのですが、このヒポクラテスの見解は単なる始まりではなく、同時に、しかもたいへん重要な程度において、古くからの医学的見解の終わりなのです。いわばヒポクラテスから始まるものにおいて、私たちは太古の医学的見解の、最後の濾過された残滓に出会うのです。これら太古の見解は、今日私たちが探究する方法、つまり解剖学的方法によっては獲得されず、古代の隔世遺伝的な観照法によって獲得されたものなのです。ヒポクラテスの医学の位置づけをまず抽象的に特徴づけようとすると、実際、ヒポクラテス医学をもって、古代の隔世遺伝的な観照法に基づく医学が終わりを遂げたというのが一番良いでしょう。外的に言って、もっとも外的にしか言われていないのですが、ヒポクラテス派は、人間の生体組織において共に作用している体液の適正でない混合のなかに、あらゆる病気の本質を探究していたと云えるでしょう。彼らが指摘したのは、正常な有機体において体液はある一定の比率を保っていなければならず、病んだ肉体においては、体液にこの混合比率からのずれが生じるということでした。適正な混合がクラーシス(Krasis)、不適正な混合がディスクラーシス(Dis-krasis)と呼ばれました。さて、それから当然、再び適正な混合にもどるように、不適正な混合に働きかけようとする試みがなされました。外界において、あらゆる自然存在を構成しているとみなされた四つの構成要素は、土、水、空気、火です。火といっても、これは今日私たちがもっぱら熱とよんでいるものなのですが。人間の生体組織においては、動物の有機体においてもこれらの四要素は、黒胆汁、黄胆汁、粘液、血液として特徴づけられていると見なされました。そして、適正に混合された血液、粘液、黒胆汁、黄胆汁から、人間の生体組織は機能しなければならないと考えられたのです。
記:ヒポクラテスは、エーゲ海のコス島のケファロスという町に生誕。代々、医術を施してきた高貴な家系でした。父はヘラクレイデス、母はプラクシテア、祖父は初代ヒポクラテス、祖母はパイナレテで、彼は二代目ヒポクラテスになります。ヒポクラテスの生まれた家系は、医師アスクレピアデスの血を受け継ぐ家系でギリシア神話に登場する医学の神様であるアスクレピオスの子孫とされています。ヒポクラテスの最大の功績はそれまでの医術から呪術や迷信を切り離し、病気を科学的に捉え、科学としての医学を発展させ、医師という職業を確立し、西洋医学の基礎を築き上げた事です。
注:ヒポクラテスの誓い(日本語訳)
現実に医学部で使用されているものではなく直訳したものを記す。
 医の神アポローン、アスクレーピオス、ヒュギエイア、パナケイア、および全ての神々よ。私自身の能力と判断に従って、この誓約を守ることを誓う。
 この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。 師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。
 著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
 自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
 依頼されても人を殺す薬を与えない。
 同様に婦人を流産させる道具を与えない。
 生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。
 どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。
 医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。
 この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう。
 しかし、万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう。
参考画:Hippocrates



第一講(本文・解説付) 解説第1-2回了

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最終更新日  2024年07月31日 06時18分25秒
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