Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

2024年08月12日
XML
カテゴリ: 霊魂論
ルドルフ・シュタイナー
「精神科学と医学」 第二講(本講・解説) 1920年 3月22日 ドルナハ
第2講解説・第5回
 結核になりやすい素質は、下部の活動の上部への反作用です。こうした生体組織の持つ原素質、つまり結核になりやすい素質に遡ることで、結核の本質を見い出すことができます。細菌に感染するのは、そうした結核になりやすい素質の結果生じます。もちろん、結核菌に感染することで結核になるのですが、細菌による伝染は必要条件のひとつであるということであって、それだけで結核という病気が真に理解されるのではありません。ちなみに、「恐るべき範囲に広がっている」といっているように、シュタイナーがこの講義をした当時は、結核に罹(かか)る方が多かったようです。結核菌の発見から、結核の流行、死亡率の現象までに関しては、訳注を参照してください。これは興味深い関係です。結核になりやすい素質は、皆さんにただいまお話した通り、下部の活動の上部への反作用なのです。このように完全に終わりきらないプロセスが上部に反作用することによって生じる、この全く独特な相互作用が結核への素質をもたらすのです。この人間の生体組織の原素質(Ur-Anlage)とも言うべきものにさかのぼらないと、合理的に結核を扱う方法を見出すことはできないでしょう。と申しますのも、寄生生物(訳注)が人間の生体組織にはびこるということは、たった今皆さんにお話しました原ー素質の結果生じる現象にすぎないからです。
記:「Ur-Anlage」は、生物学に関連する用語で、特に遺伝や胚発生の初期段階を指すことがあります。具体的な文脈によって異なる可能性があるため、詳細については関連する文献や資料を参照することをお勧めします。(注:住宅関連用語と紛らわしい。)
 このことは、必要な条件がそろえば結核のような病気は伝染するという事実に矛盾するものではありません。もちろんそのために必要な条件が整わなければなりません。しかし、この下部の器官活動の優勢は、残念ながら今日の人類の極めて大多数に現れておりますので、結核になりやすい素質は、今日実際恐るべき範囲に広がっているのです。必要条件のひとつとはいえ、細菌に感染するという観点は有効なもので、結核に罹っている方はやはり、その周囲に作用を及ぼしていきます。そういう意味で、最初の原因である第一次発生と伝染という概念は、ともに特にこの結核においては正当なものです。しかし、伝染という現象に関しては、必ずしも細菌の存在を原因としなくても説明は可能であって、伝染という現象から結核の本質がわかるのではないのです。とはいえ、伝染というのはこの領域においてやはり有効な概念です。かなりな程度に結核を病んでいる人は、周囲の人々に作用を及ぼすからです。内部で結核患者が生活しているものに晒(さら)されていると、通常は単なる作用にすぎないものが、今度は原因になり得るということがまさしく起こってくるのです。私はいつも、ひとつのたとえ、アナロジーによって、この、病気の第一次発生と伝染との間の関係を明確に説明しようとしているのですが、たとえば次のように言えるのです。私が道で、ふだんそれほど親しくつきあっていない友人と出会ったと考えてください。彼は悲しそうにやってきます。彼の悲しみには理由があります。彼の友人が死んでしまったのです。私が彼に出会い、彼が自分の悲しみを私に告げることにより、私も彼と一緒に悲しくなります。彼は直接の原因によって、私は伝染によって悲しくなるわけです。この場合確かなことは、この伝染の条件は彼と私とのお互いの関係のみであるということです。従って、第一次発生と伝染、という概念はどちらもまったく正当であり、とりわけ結核においては極めて正当なものなのです。ただ、合理的な意味においてこれらを真に用いなければなりません。結核療養施設がほかならぬ人工結核孵化場となっていることは少なくありません。結核患者を結核療養施設に詰めこむと、この施設をできる限り何度も繰り返し取り壊して、別の施設に作り替えねばならないでしょう。一定期間ののちには、結核療養施設は結局さらに遠ざけられねばならないでしょう。なぜなら奇妙なことに、結核患者自身がきわめて感染させられやすい素質を有していて、彼らはもっと重い結核患者の近くにいると、そうでなければもっと良くなっているかもしれない病気がおそらくいっそう悪くなってしまうからです。こうした結核の本質に関する事例から、人間の生体組織のさまざまなプロセスについて理解できるようになります。つまり、人間の生体組織における、呼吸活動、感覚・神経活動に関連した「上部」と栄養分の摂取、栄養分の消化、新陳代謝に関連した「下部」とが密接な関連しあっているという事実から、病気の本質を探究することができるようになるのです。さて、まずはとりあえず、結核の本質を指摘しておくだけのつもりでした。私たちはこの結核を一つの例として、人間の生体組織におけるさまざまなプロセスが、いかにお互い密接に関連し合っていなければならないかを理解します。これらのプロセスは、皆さんにもご想像いただけると思いますが、お互いにポジの像とネガの像が相対しているように対応している、上部組織と下部組織があるのだという事実に常に影響を受けざるをえないのです。ご説明しましたような生体組織の構造が存在することによって結核が準備されるという、いわば極めて特異な現象を手がかりにして、その経過のなかでさらに、そもそも病気の本質をどのように見るべきかを研究することができるのです。
<訳注>
* 寄生生物:原文ではDie Parasiten(Der Parasit:寄生動物、寄生植物の総称)の複数形で、ここでは広い意味での「細菌」の意味あいも含まれていると思われます。ちなみに、ローベルト・コッホによる結核菌の発見は1882年で、同時に発表された論文により、この菌が結核の第一次的要因になるという説が認められました。20世紀になると、ストレプトマイシンの効果が1944年に発表され、同時期にパラアミノサリチル酸、その後イソニアジドの抗結核性も実証されるなど、新薬の発見が相次ぎました。なお、肺結核の死亡率は17世紀半ばに非常に高くなり、その後徐々に低下し、再びピークを迎えたのは、18世紀の終わりから19世紀前半ということで、この講演の時期(1920年)と一致しています。シュタイナーは1925年に亡くなっているので、ストレプトマイシンのことは知る由もないのですが。興味深いことに、イギリス、フランス、ドイツなどでは、すでにストレプトマイシンの投与が始まる以前から死亡率が下がり始めていたそうです。けれども、日本で肺結核による死亡率が激減した1950年代は、ちょうどストレプトマイシンと新しい肺外科の技術が導入された時期と一致しているそうです。(訳者)   
参考画:Heinrich Hermann Robert Koch



   第2講解説・第5回 了

哲学・思想ランキング





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2024年08月12日 07時15分56秒
コメント(0) | コメントを書く
[霊魂論] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

cap-hiro

cap-hiro

カテゴリ

キーワードサーチ

▼キーワード検索

バックナンバー

2026年05月
2026年04月
2026年03月
2026年02月
2026年01月
2025年12月
2025年11月
2025年10月
2025年09月
2025年08月

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: