PR
Keyword Search
Freepage List
Calendar
Comments

作りたくなった。と言うのも、多少木工には自信があって、約3年間ほど丹波年輪の里で木工
技術を習った事がある。仕上がりの良さは別として、自宅のブックケース、テレビ台、電話台、
椅子、食器棚などほとんど手作りの木工品で占められている。紅松特有のぬくもり感が好きで
ほとんどこの木を使っているし、オイル仕上げをすると年が経てば経つほど白木が独特のア
メ色になる。こうなると道具も凝りだした。ホームセンターの道具では許されず、鉋は東源次、
鑿は高昇などブランドを買い求め、もはや道具を見ると誰もが木工作家と見間違えるほどであ
る。そして息子のためにこの腕を振るおうと考えたのである。いいではないか・・。父親の作っ
た学習机と椅子で勉強できる・・・こんな幸せなことはない。と自棄に自画自賛しながら制作に
取り掛かった。既製の商品にない広々とした天板、机の上に乗せる引き出し付の本箱、椅子
は肘宛付・・・・。悪戦苦闘の連続でありながら向こうに息子の笑顔がある・・・その事だけ心の
糧としてこの父は頑張ったのである。年輪の里には一般見学者も多い。一応に「息子さんの為
に・・・?いいお父さんね・・・。」そのマニュアルどうりの感想ながらもひそかにほくそ笑んだ。
浅はかな頭の私は、完全に息子は喜ぶと思っていた・・・・・。しかし結果は不評であった。どう
しても既製品のマリオの机が欲しいと言うではないか。「友達が来たらかっこ悪い!」・・・・かっ
こ悪い・・・。強烈な一言を放たれ全身の力が抜けていく。いくら説得しても聴く耳を持たないの
は父親譲りか。家族もどちらか言うと息子側である。それから数日後息子の笑い声と驚嘆す
る声が部屋から響いてきた。マリオのシステム机がそれほどいいものなのか。日の目を見な
かった私の愛する机は第二の人生を歩む事になった。天板を大きく作ったのが幸いしたのか
キッチンテーブルになってしまった。