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無関係な事だと、この極楽トンボは感じている。まるで切迫感がない。相変わらずである。もう
下がる事のない定位置に鎮座しながら、ふと、行く高校あるのかな?・・・そんな心配する位な
い事ばかり考えている。ある放課後、先生が「進路について話し合いがあるから覚悟してお
け。」覚悟しておけ、とは進学をあきらめろということか・・・。あきらめるのは自分にとっては容
易いことだが、最低の高校でも入ってほしいと願う母親の気持ちを考えると妙に切ない感情が
溢れてくるものだ。校長室に呼ばれ中に入ると、部屋には校長、教頭、そして担任が悲壮感漂
う空気の中で、私の成績表を見ながら明らかに言葉を失っている。担任は眉間にしわを寄せ、
タバコを吸うよりもしがんでいる。教頭も怪訝な顔で此方を見ており、おそらくどうしたらこんな
悲惨な点が取れるのかその術を聞きたいような感すら感じられるのだ。勉強は嫌いか?行く
高校無いぞ・・、ほら来たぞと思いながら、はげあがった教頭の頭を眺めていると、校長が徐に
「絵が好きなんか・・・。わしと同じやな。長谷川等伯が好きなんや。君は誰が好きなん?」以外
な質問に当然一年前に万博で見たジョアン・ミロが好きです。と言ったもののミロ以外の作家
の名前は当然、頭の中には見当たらない。もし詳しい突っ込みでもされたら、此方は困るの
だ。ボロが出て収拾がつかなくなる。「ほぉ~ミロか」校長は少し嬉しそうな顔をし、「絵やデザ
インの勉強出来る学校はどうや。絵が好きなら絵の勉強をやってみたらええんとちがうか」そ
んな高校あるのかといくつかの質問をした。凄くやりたい、やってみたい、そんな気分がもう単
純明快な男に取り付いてしまった。帰り道、珍しいことに高校について真剣に考えてみた。親
にそのことを言うと、開口一番「行かしてくれる高校があるだけでもありがたい。補欠でもなん
でもいい。入ったらビリでもいい・・・」毎日言っているお題目であり、はたして、絵やデザインを
習う高校を受験すると親は理解しているんだろうか。息子も困った者だが、親も困った親であ
る。受験する高校はわずか10分で決まってしまった。