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2007.08.30
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テーマ: 大学入試(210)
カテゴリ: 入試問題検討
2007年度東工大前期の物理の問題 を考察してみます。

ことしの東工大の物理は厳しい内容でした。こういう時は、あまり無理をせず、無難な問題を確実に取っていく方が合格に近いように思います。力のある受験生が無理に難問にハマりこんで大ケガをしたのではないかと危惧します。

第1問 の、ベルトコンベア上の物体がバネにつながれている問題は、今年 東大[1] でも出題されており、時々見かけるテーマで、いろいろと注意が必要です。
東大[1]のように力学的エネルギー保存を用いて単振動の振幅を考えることが多いのですが、この問題では、「箱が滑っている時間が短く、その間のベルトの動きを無視する」という条件設定がついていて、この条件をどう利用するかということが問われる問題になっています。
[B](e)で、箱が滑り出すときの各要素の間の関係を、この条件設定のもとでうまく処理するのは、限られた時間の中では困難だろうと思います。
結局、摩擦の問題で、滑り出さない条件を考えれば済むことなので、[A](c)で用いたグラフを使って考えれば、滑り出した位置が振動端であることに気づけないことはないと思いますが、厳しかったことでしょう。
無理をせず、[A]を無難に正答しておくことが合格する上で有利になったのではないかと思われます。

第2問 が、今年の3題の中では取り組みやすい問題で、これを落としてしまうと合格は難しかったと思います。気体の問題では、仕事のした、された、仕事の符号に充分に注意する必要があります。
[B]では、入り組んだ状況のように見えますが、物理的状況をよく整理して、[A]の結果を利用せよ、というヒントをどう読むか、というところに神経を使ってもらえれば、完答できるでしょう。

第3問 は、波の絵を描いて、波がいくつ入るか、と、考えてゆけば大したことはないのですが、波の公式や正弦波の式にあてはめようとすると、問題文の意味がつかめないと思います。
「物理」という科目は、「物」で理解する科目です。「文理」ではないので、絵を描いて実際の波の動きはどうなっているのかを「物」を見ているかのように把握しながら解答したいものです。
とは言え、(d)では、問題文に記されている状況をよく理解して考えないと、時間ばかりロスすることになります。
物理の試験と言っても、この辺は国語の読解力が問われるので、高校の授業で、「国語」の時間は理系の内職の時間というような学習態度では、東工大は無理です。
将来、研究者として論文を書くようになれば論述力も必要です。
この問題を見ていると、たとえ入試に必要のない科目でも、高校の授業を大切にして頂きたいと思います。
(d)の意味がわかってしまえば、「精度」を問題にしていますが、後半は簡単な整数の問題でしかありません。

どんな本にも書いてあることですが、難関大学の物理の問題をこなすためには、付け刃(やいば)的な学習は不可です。
物理では公式の数は少ししかないので暗記して当然、公式の背景に潜んでいる物理的な意味をしっかり理解しておく必要があります。
特にことしの東工大では、それが厳しく問われた、ということです。
第1問[B]はやや、入学試験としては不適切に難しいように思いますが、確実に合格ラインに届く点数を確保した上で、残された試験時間を楽しませてもらおう、という感覚で取り組めば、点数につながる答案が書けるだろうと思います。

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最終更新日  2007.12.28 13:29:55
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