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2013.06.16
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カテゴリ: 映画/戦争・史実
【戦争のはらわた】
20130616

「シュタイナー、彼は・・・シュトランスキーはお前を嫌っている」
「分かってる、大丈夫さ」
「ナチ党のタイプと関わるな・・・まったく、プロイセンの貴族軍人金持ちめ!」


もうタイトルからしておどろおどろしく、見ようかどうしようか迷いに迷って、やっとの思いで視聴することにした。

一言で言ってしまえば、戦争映画以外の何ものでもない。
1949年のロシア戦線における、ドイツ軍とソ連軍の攻防を描いている。
冒頭からいきなり「ちょうちょ~ちょうちょ~♪」のメロディーが流れて、一瞬困惑してしまった。これは日本の唱歌だと思っていたが、もとはドイツ民謡だったのかと改めて知った。しかも、あれだけ壮絶な戦闘シーンに、「ちょうちょ~ちょうちょ~♪」のメロディーが後ろで流れていると、かえって不気味だ。
さらには、作中に登場する新任のシュトランスキー大尉という貴族の末裔とやらに、怒り心頭だ。(無論、作中のキャラクターに腹を立てているわけで、映画に対する中傷ではないのであしからず)
このシュトランスキーという男、軍人の風上にも置けない人物で、とにかく名誉欲が強く、自己中心的なのだ。この人物の登場で私はラストまでイラっとしっぱなしだった。

ストーリーはこうだ。
第二次世界大戦の対ロシア戦において、ドイツ軍は敗色を濃くしていた。
それでもシュタイナーの率いる小隊は、ソ連軍の猛攻撃に必死で対抗するのだった。
ある日、フランスからシュトランスキー大尉が新任として着任した。プロイセン貴族の末裔であり、並外れて名誉欲が強く、鉄十字勲章に執着していた。
そんなシュトランスキーと折り合いが悪いシュタイナーは、ソ連軍の少年兵についての扱いや、部下に対する管理をめぐってとことん対立してしまう。
その後、ソ連軍の激しい攻勢にシュトランスキーは怖気づいて、指揮を執ることができず、次々と兵士たちを犬死させてしまった。
また、そのせいでシュタイナーさえも重傷を負い、病院へと送られる。
だがシュタイナーは、持ち前の正義感と、仲間を思う気持ちから完治を待たず、再び最前線に出向くのだった。

このような戦争映画のほとんどが、反戦をテーマにしていることは言うまでもないが、『戦争のはらわた』はどうやら少し違っているようだ。
私が見たところ、このシュトランスキーみたいな卑怯な男を糾弾する意図も感じられるのだ。
こんな貴族の末裔とやらに、軍を率いられてなるものかという反骨精神と、敵はソ連軍ではなく味方の中にいるのだという血生臭い現実を突きつけている。
敵を何人も殺して英雄扱いをされるキャラクターには、もう飽きた。
そんな戦争映画はいつか廃れていくことだろう。
だが『戦争のはらわた』は、本来の現実をイヤというほど見せつけて、視聴者の機嫌を取ることは一切ない。
映画としては、それも一つの手法であろう。それこそが映画としての役割でもあるのだから。
対象は男女問わず、と言いたいところだが、女性には少し退屈な戦闘シーンばかりが続くこともあるので、男性向けかもしれない。
この世で一番見苦しい、卑怯な男の末路をこの作品から学んで欲しい。

1977年公開
【監督】サム・ペキンパー
【出演】ジェームズ・コバーン、マクシミリアン・シェル

20130124aisatsu





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最終更新日  2013.06.16 06:22:13
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