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2015.07.18
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カテゴリ: 映画/SF
【猿の惑星 新世紀(ライジング)】
20150718

「ここは危険だ。無線が通じたからじきに兵隊が来る。仲間と逃げてくれ。ここに君がいたら戦争に巻き込まれる」
「戦争、すでに、始まった。エイプ、戦争、始めた。人間、エイプを、きっと、許さない。戦いが始まる前に、君、逃げろ。すまない、友よ」
「共存できると思ったのに、、、」
「私もだ」


これだけ分かりやすいと、安心して見ていられる。
創世記 の続編である新世紀(ライジング)は、人間と猿の共存・共生の難しさをテーマとしている。
もっと突っ込んで言うと、意外にも敵というのは味方・同胞の中にいて、なかなか一筋縄ではいかないという嘆きにも似た悲哀に包まれている。
人間も猿(エイプ)も、インテリ層はある一定の理解を示し、なるべく戦争を回避しようと試みるのだが、身内にうごめく武力や権力への欲望、恐怖心からの暴走、無知の悲劇等が戦争へと発展していくのだ。
一般的な考え方として、ハリウッドが製作していることから言っても、アメリカ国内において年々信者数を伸ばしているイスラム教徒への脅威を表現しているのは、まず間違いない。
なにしろキリスト教圏であるにもかかわらず、もうほぼ互角の信者数ではなかろうか。
宗教観の異なる日本人には理解しづらいことだが、国内の支配宗教がキリスト教→イスラム教へと変わるというのは、大変な意識の改革、変更にもつながる。
下手をすれば、文化伝統さえ覆されかねない。
アメリカは近年、その根幹を揺るがすほどの脅威にさらされていると言えるかもしれない。
とはいえ、日本にとって対岸の火事だと、たかをくくってはいられない。

ストーリーはこうだ。
10年前に始まった猿インフルエンザにより、人類は激減した。
わずかに生き残った生存者グループは、荒廃した都市部に身を潜めていた。
一方、森の奥に平和なコミュニティを築く猿の群れは、リーダー格であるシーザーのもとに団結していた。
ある時、武装した人間が猿の集落を脅かす。
猿に取り囲まれた人間は、恐怖のあまり銃を発砲。
猿にケガを負わせてしまう。
怒った猿たちはシーザーに先導され、人間の集落まで出向き、二度と縄張りに近づくことがないよう釘を刺し、争いを回避した。
そんな中、人間はどうしても猿の集落内にある水力発電施設に行く必要があった。
燃料の尽きかけている今、どうしても電力が必要だったのだ。
生存者グループを代表し、マルコムは命を懸けて猿の集落に再び出向くのだった。

敵が身内にいるというのは、もうどうしようもない。
考え方が異なる同種族間の争いは、だれにも止められない。
例えば、シーザーの側近であるコバは、なんとしても人間をやっつけてしまいたいから開戦派。
激減し、弱っている人間を徹底的に滅ぼすなら今しかないと考える。
ところがシーザーはあくまで不戦派。
むやみやたらと争いごとはしたくない、いざ戦いともなれば、味方にも多くの血が流れるからだ。
そんなわけで、意見の違うコバは、シーザーに反発。
クーデターを起こす。
このような流れから、戦争という行為が、実は身内の中から発生する危険性を示唆している。
また、様々な理由・要因から、戦いを回避できない状況になっていく流れのようなものが存在するのを知る。

時代は共存・共生などというキレイゴトから、もっと根幹となる実態を直視せねばならないところまでやって来た。
私たちに必要なのは知識か、理解か、それとも武力なのか。
この作品を見て、大いに論じ合おうではないか。

2014年公開
【監督】マット・リーヴス
【出演】アンディ・サーキス、ジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマン

※ご参考まで
前作、『猿の惑星 創世記』は こちら から。


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最終更新日  2015.07.18 06:55:37
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