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金融商品取引法の解説をオールアバウトでしていましたが、多忙のため、ご質問に回答することができずに読者にご迷惑をかけると思い、今月末日でオールアバウトは閉鎖することにしました。代わりに、これでわかった!金融商品取引法と、別のブログに掲載していますので、ご参考にしてください。今後ともよろしくお願いいたします。
2009/10/24
楽天ブログは広告があまりに多くなったので、ブログの更新は、別のブログに引っ越しました。タイトルはもちろん、「これでわかった!金融商品取引法」です!今後ともよろしくお願いします!
2009/08/12
久しぶりの更新です。最近、私が行政書士として独立して金融商品取引法の専門アドバイザーをしていたときのお客様に、証券取引等監視委員会の検査が入るのを見かけることがあります。正直、少し驚いているのは、比較的規模の小さい旧投資顧問会社にも検査が入っていることです。「うちは規模が小さいから当社に検査が来るはずがないよ!」と自信(?)を持っていた会社にも検査が入っています。私がアドバイスをした会社は、最低限の社内規則の整備と役員以下に説明をしているので、私は心配していませんが、検査に入られた当のお客様は、ビックリだと思います。金融商品取引法が施行されたばかりの頃、当局の検査の話をすると、多くのお客様から言われたのは、「うちには来ないよ!」という台詞だったことを思い出します。当時、私は、仕事が欲しいためではなく、本当にお客様を心配して、「検査は入るものだと思って準備してください」と日本全国(と言っても、東京地区と大阪地区だけですが)のお客様にお話しましたが、なかなか信じてもらえませんでした。「コンサルティングの仕事が欲しくて大げさなことを言ってるんじゃないの?」と言われたことはありませんが、皆さん、あまり真剣に考えていなかったことだけは確かです。登録をしないで業務を続けると刑事罰の対象になりますので、登録だけはしっかりやっても、登録した後のことまで真剣に気にかけていたお客様は、残念ながら多くはありませんでした。「検査」と言っても、特別な「準備」はいりません。のべ10回程度受けているので自信を持っていえます。「準備」は必要ありませんが、「普段」から、内部管理態勢を充実させて業務をすることは絶対に必要です。コンプライアンス担当者を置けばいい程度の中途半端な内部管理態勢では、はっきり申し上げて、検査で撃沈します。金融商品取引業者には、金融商品取引業者特有の内部管理態勢が求められます。残念ながら、金融商品取引業者のコンプライアンスについて書かれた本は存在しません。弁護士や学者の方は、検査を受けたことがないのですから、「想像」でしか書けません。私のような実務家が書こうとしても、出版社の「売れませんよ」の一言で終わりです。ですから、金融商品取引業者の検査の実態や求められる内部管理態勢が表に出ないのです。金融商品取引業者の皆さんにおかれましては、「検査が入るかどうかは、会社や事業の規模や内容とは一切関係がない!」ということを忘れずに、普段から、内部管理態勢について考えながら、業務を進めるようにしましょう。
2009/05/25
今日の話は、金融商品取引法とはまったく関係がありません(汗)昨晩、テレビ朝日で放映していた「レッド・クリフ」を観ました。初めて観ましたが、想像していたよりも良かったです。「赤壁の戦い」の話ですので、呉が中心で、周瑜がかなり”いい人”に描かれているのと、孔明の活躍が少ないのがちょっと気になりましたが、十分に楽しめました。三国志を初めてご覧になった方は、背景や人物関係がわかりにくかったかったような気がします。私は、たまたま高校生のときに(かなり古い!)NHKで放送していた「人形劇 三国志」を全部観ていたことが役に(?)立ちました。孔明周瑜曹操人形劇 三国志は、「紳助・竜介」(デビュー当時だから若い!!)が進行役をつとめる一風変わった人形劇で、声の出演は谷隼人(劉備)、森本レオ(孔明)、岡本信人(周瑜)という、「えっ?」と一瞬思ってしまいますが、みんな声がピッタリで、人形は川本喜八郎氏のものですから、生き生きと、しかも迫力満点に描かれている傑作です。「赤壁の戦い」の場面も、人形劇であることを忘れてしまう迫力でした。DVDにして全17巻と長く、諸葛亮孔明が出てくるのは第6巻、赤壁の戦いは第9巻ですので、第6巻から見始めても楽しめると思います。「レッド・クリフ」をご覧になかった方は、必見です!それにしても、「レッド・クリフ」のテレビ放送の後に「レッド・クリフ2」の一部を放送していましたが、「あれ、レッド・クリフ2のいいところ、全部流してない?」と観ているこちらが心配してしまいましたが、映画館で観ていないので、続きが楽しみです!
2009/04/13
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。<ファイアーウォール規制の見直しについて>銀行と証券会社との間にあったファイアーウォール規制の見直しの期日が迫り、対応されている方も多いのではないかと思います。特に、利益相反防止の管理体制の整備は、ファイアーウォール規制の緩和とは別の観点で(金融庁パブリックコメント回答)新たに規定された規制ですので、すべての銀行・証券は、5月31日までに、体制の整備をしなければなりませんので、大変です。ファイアーウォール規制の見直しですが、なぜか、ファイアーウォール規制の緩和と説明されることがあります。金融庁が公式にあるいは雑誌等で今回の改正を話すとき、ファイアーウォール規制の「見直し」とは言っていますが、ファイアーウォール規制の「緩和」とは言っていません。事実、今回の改正では何も緩和されていません。いつも通りですが、ここに書くことは、私見で、私の所属する団体の意見を反映したものではなく、また、私は、別の機会には別の意見を述べることがあります。内容も正確性を保証できませんので、ご注意ください。<ファイアーウォール規制の何が変わるのか>今回の改正で変わる唯一の点は、銀行役職員が証券役員を兼任できないという規制が廃止されることです。今のところ、銀行に所属している者なら誰でも、子会社証券の役員に就任することができません。ですから、実務では、銀行から子会社証券に役員として「出向」するということは、いったん「銀行」を辞めて、「子会社証券」の役員に就任する必要があります。私も、ある日系銀行の職員として子会社証券に出向していたとき、銀行では「部長」で役員でも何でもありませんでしたが、子会社証券で役員(取締役)に就任することに決まったため、銀行を退職して子会社証券の役員になりました。この改正によって、銀行の役職員は誰でも証券会社の役職員を兼職できるようになったように見えます。実際、金融庁パブリックコメント回答でも、銀行の役職員が子会社証券の役職員を兼任することを認めるコメントをしています。でも、これは自由に兼職ができることを意味しないことに注意する必要があります。<鍵は外務員登録制度>兼職の壁になるのは、外務員登録制度の存在です。既にご存知の通り、銀行で外務員登録をした者は証券会社で外務員登録ができず、逆に証券会社で外務員登録をした者は銀行で外務員登録ができません。外務員登録制度とは、外務員の所属団体と明確にする制度だからです。この結果、何が起きるか。今、論じられているのは、証券会社で外務員登録をすると、銀行で有価証券取引はもちろん、デリバティブ取引もできないという点です。でも、これはむしろ小さいことです。肝心な点は、銀行の役職員と証券の役職員のレポーティングライン(上司・部下の関係)の問題です。銀行で外務員登録をしている者は、証券会社の役職員に業務報告をすることができないし、逆に、証券外やで外務員登録をしている者は、銀行の役職員に業務報告ができないことが、実務上の最大の問題になります。言い換えると、銀行職員は証券職員の上司になることはできないし、証券職員は銀行職員の上司になることはできません。例えば、親銀行から子会社証券に出向している者がいるとします。彼・彼女は、確実に子会社証券で外務員登録をしているはずです(そうでないと仕事にならない)。彼・彼女なりが、親銀行所属で子会社証券も兼任している者を上司として、業務報告ができるかという問題ですが、結論は、業務報告はできるが、業務の指示を出すことは許されないとなります。典型的には邦銀で問題になるケースです。逆に、銀行で外務員登録をしている者が証券所属で銀行も兼任している者を上司として、業務報告ができるかというと、これも不可です。典型的には外資で問題になるケースです。なぜか。外務員登録制は、外務員の所属会社を明らかにすることによって、外務員の行為の責任の所在を明らかにすることを目的とした制度です。従って、外務員登録をしている者は、外務員登録をしている会社の者以外から、監督を受けたり、指示を受けたりすることができません。なぜなら、このようなクロスレポーティングを許してしまうと、責任の所在を明らかにするという外務員制度の趣旨に反してしまうからです。例えば、銀行で外務員登録をしている職員が、証券で外務員登録をしている者の指示を受けて業務を行った結果、顧客に不測の損害が発生した場合、外務員制度の趣旨上、責任は銀行に発生することになりますが、証券で外務員登録をしている者の指示を受けているとなると、責任は証券にあることになってしまい、外務員制度上、このような状態は許されないからです。証券で外務員登録をしている職員が銀行で外務員登録をしている者にレポートする場合も同様です。この結果、結局、銀行と証券会社は別々に管理する必要が生じて、現行制度と何も変わらないことになる点に要注意です。
2009/04/07
金融商品取引法入門が、遂に出版されました!!金融商品取引法入門書店には既に並んでいるようですが、私はポイントがついて割引価格で本を買えるので、いつも、アマゾンで本は購入するようにしています。出版ばかりの本はよくあるのですが(拙著もそうでした)、アマゾンでは既に品切れでしたが、来週には出荷できると連絡がありました。「金融商品取引法入門」は、証券取引法入門の「金融商品取引法」版です。証券取引法入門「証券取引法入門」は、私にとっては、証券取引法のバイブルです。今でも、「金融商品取引法」で制度の趣旨や背景を確認するときには「証券取引法入門」を参照しています。「証券取引法入門」は、現在、「金融商品取引法」に関連する業務に携わっている方は、必携の本です。「証券取引法なのにどうして?」それは、一般論として、金融商品取引法は、あまりにも多くの業態をカバーしているために、入門書を作る際、どうしても、詳細を割愛しないと、一冊の本にまとめることができないのに対して、証券取引法は、有価証券の売買等に集中している法律なので、入門書を書く際に、一つ一つの条文について、趣旨や背景を詳細に書くことができるからです。要するに、証券取引法の入門書の方が、金融商品取引法の入門書よりも詳しいこと多いからです。「証券取引法入門」は、金融所品取引業に関連する仕事に携わるすべての人に必携です。実際、私が金融商品取引法について、ご相談を受けた際の回答の考え方の基本は、例外なく「証券取引法入門」で学んだ知識がベースになっています。「金融商品取引法入門」を読む前に、「証券取引法入門」も読むことをお勧めします。''「2冊も読んでいる時間がない!」''という方は、もちろん、金融商品取引法入門だけをまず読んでみてください。「金融商品取引法入門」の中身を見ていないので書評をすることはできませんが、証券取引法入門と同じ先生方が書かれているので、間違いなく、金融商品取引法の解説書の中では、最もわかりやすく、しかも、実務に必須の本であるはず。大げさに聞こえるかもしれませんが、実は、まだ、本の良さを伝え足りないくらいです(笑)来週、本が届くのがとても楽しみです。
2009/03/30
最初に、読者の皆さん、どうもありがとうございます。アクセス数が10,000件を超えました。ペーストしては、決して早くありませんが、10,000件になるまでお付き合いいただきました皆さんに心から感謝しています。「これでわかった!証券取引法」から始まり、中断やタイトル変更などを経て、「これでわかった!金融商品取引法」となったこのブログ。今でも、アクセス数が落ちないのは、グーグルで上位にヒットするからかもしれませんが、ここまでたどり着いてご覧いただいた皆さんに、御礼申し上げます。私は、実は、金融商品取引法よりも、民法の方が、学生のときから勉強していたことから、個人的には馴染みがあるのですが、1992年2月から、今に至るまで、金融商品取引法(旧証券取引法)に関する仕事に携わってきた関係で、書籍を出版させていただいたり、講師をさせていただいたり、雑誌の連載やインタビューを受けさせていただいたり、いろいろと、体験させていただきました。学生のときに民法を勉強したといっても、何度か書いていますように、私は文学部出身ですから、すべて独学でした。「就職に有利」と聞いたので、国家公務員一種試験を法律職で合格することだけが目的で、毎晩、遅くまで民法の本を読んでいました。ちなみに、私が最初に読んだ民法の本は、「ダットサン」です。「ダットサン」は、ちょっと(かなり!)古いので、わからない方も多いかもしれませんね(笑)でも、おもしろかったんですよね、ダットサン。非常に論理的な本で、論理的矛盾をまったく起こさずに、しかも簡潔に、民法を語りきってしまっている名著だと今でも思っています。話がそれましたが、もともと、私は、仕事に関する日記を書くことを目的にこのブログを始めたのですが、仕事のことを書いてしまうと、なんだか、「暴露本」のようになってしまうので、今のように、金融商品取引法の一般論を書くようになりました。個人のブログですので、普通の日記を書きたい気もするのですが、タイトルから逸れてしまいますので、それはやめておきますね(笑)私の公式な(?)金融商品取引法に関する話の場は、オールアバウトに移していますが、忘れた頃に、ブログを更新することもありますので、ぜひ、たまに、いらっしゃってください。先月から、ビックカメラの件(有価証券報告書の訂正)について興味があるのですが、まだ、頭の中が整理されていないので(遅い!)、整理できたら、オールアバウトで書こうと思っています。有価証券報告書の虚偽記載や誤解を生ぜしめる記載は、刑事罰だけでなく、民事上の損害賠償の話にもつながり、投資家にとっては大きな話なのですが、報道も見る限り、虚偽ではないという話で進んでいるようですので、「思い違い」と「虚偽・誤解」との間の関係がよくわからず、なかなか書けないでいます。なお、原則として、刑事罰の対象になるのは故意(わざと)の場合に限りますが、民事上の損害賠償は故意でなくても、過失があれば対象になります。今後とも、ブログともども、よろしくお願い申し上げます。
2009/02/23
<不祥事の相違点>鹿島建設と西松建設は裏金問題を原因とする脱税で、神戸製鋼は政治資金規正法違反で、ゼネコン両社は社長の逮捕を含む事件として、神戸製鋼はトップの辞任を決定する不祥事として新聞紙上を騒がせています。実際に誰がどこまでかかわっていたのかは私は関係者ではないので全くわかりませんが、新聞報道を見る限り、鹿島・西松のケースと神戸製鋼のケースは、法令違反という点で共通していますが、中身が全く異なっています。新聞(日経と朝日を購読しています)を読む限りでは、鹿島・西松のケースは社長以下の組織ぐるみの犯罪であったのに対して、神戸製鋼のケースは組織ぐるみの法令違反ではないという点です。そして、くししくも、両社は、コンプライアンスに対する「正しい認識」を持っていることが新聞で明らかにされています。<コンプライアンスとは何か>「コンプライアンスは法令遵守ではない」ということは、私は10年以上前からいっていることで、このブログでも何度も書いてきていることです。コンプライアンスは、法令や規則を守ることではなく、社会的要請に従うことであるというのが私の持論ですが、このことも、機会がある毎に、公表させていただいてきました。もう一つ、企業コンプライアンスを定義する上で大切なことがあります。これは初めて書くことですが、「会社トップの不祥事はコンプライアンスの領域ではない」ということです。鹿島や西松のように、トップが関与する事件は、もはや、コンプライアンスの話ではありません。企業のコンプライアンス活動とは、経営者がコンプライアンスを経営の最重要課題と位置づけて、社員に社会的要請に従うように促す仕組みづくりを行うことを指します。経営者にコンプライアンスに対する重要性の認識があってこそのコンプライアンスです。経営者がその認識を欠いていたとなると、麻薬の密売組織(というものが本当にあるのかどうか知りませんけれど)と同じで、企業の存在自体に違法性があると考えざるを得ないのであって、コンプライアンスを語る余地など露ほどもありません。それを知ってか知らずか、鹿島も西松も「順法精神に欠けていた」というような、コンプライアンスに関連する発言をしていません。一方の、神戸製鋼のケースは「コンプライアンス」の問題です。神戸製鋼のケースでは、経営者が関与していなかったようですが、社員の不祥事を防止できなかったことに対して引責辞任したと報道されています。そして「順法精神が行きわたっていなかった」という反省の弁を述べています。経営者は、社員が社会的要請に従うように教育したり、監視したりする責任があるところ、責任を全うできなかったという理由で引責辞任するのは、(ご本人たちには気の毒ですが)コンプライアンスの観点からは、当然の帰結です。<むすび>鹿島事件に関連してコンサルタント会社社長が逮捕されたり、昨年の一連の食品偽装事件で中小企業の経営者が退陣したり逮捕されたりと、企業不祥事の報道が続くと、すぐに「コンプライアンス」という言葉が使用される傾向がありますが、経営者・企業トップが関与した事件は、「コンプライアンス」の問題ではなく、企業の存在そのものに違法性が認められるといわざるを得ないこと、「コンプライアンス」とは、経営者のコンプライアンスに対する高い認識があってこそ成り立ち、経営者が社員が社会的要請に従うような教育体制や監視体制を整備する活動のことであるということを、すべての企業の経営者に理解していただきたいと、一連の報道を見て、感じました。
2009/02/11
昨日と今日にわたり、日経新聞がBNPパリバのアーバンコーポレイション事件について書いています。これは、まったく私の主観的な感想ですので、オールアバウトではなく、楽天ブログで、この記事に関する感想を書かせて頂くことにしました。拙著の作者紹介その他で公表していますように、私は、BNPパリバ証券と銀行を統括するコンプライアンス部長でしたが、退職してから2年半が過ぎ、BNPパリバの役職員と会話をする機会がまったくありませんので、BNPパリバのアーバンコーポレイション事件については、新聞報道以上の情報を持ち合わせていないこと、また、ここでお話する感想・意見は、私の所属するあらゆる団体と関係がなく、私個人の意見であること、ここでお話する意見とは異なる意見を別の場面では表明することがあり得ますことを、最初にお断りしておきます。正直な感想としましては、以下の点から、日経新聞に抗議したいという思いです。まず、昨日の記事は、個人攻撃であったこと。私は、昨日の記事で書かれた「K氏」を知りませんが(私はウソがつけない性格で、本当に知りません)、会社名と部署名とイニシャルまで特定されては、業界関係者の方は誰であるかを特定できるはずです。被疑者でも容疑者でも被告でもない個人を攻撃する権利が、いつから新聞社に認められるようになったのでしょうか。読者の方も冷静に考えれば「明日は自分のことを書かれるかもしれない」(ちなみに、私なら同じくK氏ですね)という不安を与える行為が、公共のメディアで許されるとは到底思えません。次に、「外資系証券の虚実」と、「外資系証券」を一括りにしていること。日系の銀行、証券、投資顧問会社のコンプライアンスを経験している私からお話させて頂くと、外資系証券会社の一般的なコンプライアンス体制は、日系のそれ以上に厳格です。私は、15年以上日系・外資金融でコンプライアンスを担当していますが、私が「コンプライアンスの観点からダメだ!」といったことでも強行する日系金融はありましたが、外資系金融はありませんでした。実際、最近、私にご相談に来られる企業経営者の方の中には、日本の銀行に、不適切な取引を強要された方もいらっしゃいますが、記者は、そのような事実を知っているのでしょうか。なお、私は、コンプライアンス原理主義者で、法令に禁止条文がないことであっても、社会的に認められないと私が感じる行為はすべて許可しない、「ダメなものはダメだ!」と一歩も引かない、営業部門からすると、甚だ迷惑なコンプライアンス担当者です。さらに、今日の記事では「主要証券の見方」が記載されていますが、主要証券とはどこかはともかく、具体的に「誰の」見方なのか、記載されていないこと。ネットが普及して以降、「匿名」流行りですが、「誰」なのか、名前を明らかにしない条件で、メディアで意見を述べることが許させるなら、無責任な意見でも公表することができてしまいます。この点は、日経新聞の記者も記者ですが、12社中回答した7社の「回答者」にも問題があったと思います。お名前が出ている郷原先生のご著書は最新の「社会的要請」(第二版)も含め、普段の業務に大変役立たせていただいておりますが、金融商品取引法のご専門ではなく、日経新聞の記者に聞かれたからお答えになったものと推察いたします。最後に、記者の名前が記されていないこと。私は、意見・見解を示す際には、いついかなる場面でも本名のみならず、顔写真、経歴をすべてあきらにしています。コソコソすることが性に合わないという、それだけの理由なのですが、新聞記者たるもの、記事を書いたことと、記事の影響に対して責任を持つべきです。特に、批判的な見解を述べるときには、記者の名前を明らかにしていただきたいと考えます。匿名では、(私は見たことがありませんが、噂に聞く)2チャンネルと同レベルではないかと思います。話が逸れますが、私は陰口が嫌いで、イヤな意見でも本人に話す主義なのですが、それが人生において得だったか損だったかは、未だ、わかりません。昨年の11月13日にオールアバウトでも指摘しましたように、BNPパリバ証券の行為は「コンプライアンスを法令遵守とはき違えて法令違反がないという一点に、胡坐をかいてしまっていたこと」であり、有価証券取引の公正性を担保するための根本的な規制である「開示規制」をないがしろにしかねない行為であったことは確かです。だからかといって、公共のメディアであり、多数のビジネスパーソンが愛読する(私もその一人です)日経新聞が、以上に掲げた点を残しながら、2日にわたって記事を連載することが適切な行為であったとは、私には思えません。
2009/01/09
11月28日、金融庁はBNPパリバ証券会社に業務改善命令を出しました。1.業務改善命令とは何か2.金融庁の指摘のポイントは何か3.今回の処分を受けて、金融商品取引業者等は何を学ぶことができるかの3点について、私見として、オールアバウトでコメントしています。特に、金融商品取引業者等の方は、ぜひ、ご覧になってください。川崎善徳
2008/12/01
驚きました!久しぶりに熱くなった金商法違反事件が起きました。本当は、オールアバウトに書きたかったのですが、メンテナンス中ということ更新不可能なため、楽天ブログで、1か月ぶりに金融商品取引法のお話をします。量販店ドン・キホーテの東名横浜インター店で商品を放火する事件がありました。容疑者は、電気設備会社社員(36歳男)。当然のことながら、彼は、放火未遂(現住建造物等放火未遂)と業務妨害(威力業務妨害の罪)で逮捕・起訴されました。未遂とはいえ、放火で熱くなるなんて、なんて不謹慎な!違います!放火は許し得ない犯罪です。放火で熱くなることはありません。熱くなったのは、この男、逮捕された後で、金融商品取引法違反だったことがわかったという驚愕の事実で、です。暴力又は脅迫の禁止規定(金商法158条)違反で追送検されました。実は、暴力・脅迫違反の適用は、証券取引法時代を含めても、史上初なんです。おそらく、空前絶後の事件として金商法の歴史に刻まれるのではないでしょうか。<暴行・脅迫違反>普段、金融商品取引法にかかわる仕事をされている方の中でも、「暴力・脅迫違反」は聞いたことがない方もいらっしゃると思います。その方も「風説の流布・偽計取引の禁止」と聞けば、「あ、知ってる」ということになると思うんです。「偽計取引」は、堀江氏が逮捕されるきっかけとなった証券取引法の禁止規定(違反は懲役を含む刑事罰)として有名になりました。この「風説の流布・偽計取引の禁止」も金商法(証取法)第158条です。風説の流布・偽計取引の禁止規定は、本当は、「風説の流布、偽計、暴行又は脅迫の禁止」です。条文を確認してみましょう。「何人も・・・相場の変動を図る目的をもって、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。」(金商法・証取法共通)(なお、「何人」は、「ナンピト」と読みます。)私は、講演だったか、ブログだったか、何かで、この規定について、「相場を変動させる目的で、暴行や脅迫をするケースは、想像がつきません。何かあったときに、法律の隙間を作らないための、念のための規定でしょう。」と説明したことを覚えています。拙著「金融商品取引法の基本がよくわかる本」でも、「風説の流布」を説明したページで、暴行・脅迫の禁止は説明していません。違反事例を、想定していなかったからです。そんな条文が、適用される事件が、こんな形で起きようとは想像もつきませんでした。実際、「この禁止規定は、こういう犯罪に適用されるんだ」と初めて知りました。<事件の概要>この男、こともあろうに、ドン・キホーテの株式を「空売り」していたというのです。空売りですから、株価が下がれば儲かります。そこで、株価を下げようとして起こした行動が、放火(未遂)だったといことが、男の供述でわかったという事件です。相場(株価)の変動(下落)の図る目的で暴行(放火未遂)をしたそれが、この放火未遂事件の真相だったということがわかったので、神奈川県警の捜査本部に、証券取引等監視委員会が参加、合同捜査をしているというのが、記事の概要です。ヤフーのサイトで、金商法違反(以前は証取法違反)のサイトがあります。毎日見ているサイトの一つですが、そこに、この記事が掲載されていて、気がつきました。情けないことですが、この事件は、私の記憶のみならず、昭和23年に誕生した証券取引法・金融商品取引法の歴史の1ページにに刻まれることでしょう。
2008/11/27
楽天ブログってすごいです!今日は、雑感でしかありません。楽天ブログ、侮りがたしです。楽天ブログに記事を更新しなくなってから間もなく1か月が過ぎようとしていますが、アクセス数が落ちません!グーグルで「金融商品取引法」と入れて検索すると「これでわかった!金融商品取引法」(このブログ)が、比較的上位(と言っても3ページ目か4ページ目)に表示されるからという理由ではなさそうです。現在、オールアバウトで、少なくても2回/日はアップしていますが、更新をやめた楽天ブログの方が、アクセス数が多いときがあります(笑)オールアバウトで、連日3回更新する日もあります。楽天ブログで続けて3回も更新すると、大変なアクセス数に膨れ上がりますが、オールアバウトでは、そうはいきません。楽天ブログの力に、今更ながら驚いています。ところで、今度の日曜に、久しぶりに、「証子の日記」の新作を公開します。もちろん、オールアバウトでです(汗)興味のある方、覚えていてくだされば、ぜひ、ご覧になってください。よろしくお願いします。川崎善徳
2008/11/25
最近、「特例投資運用業務届出者は、特例業務届出者として業務ができる」と誤解されている特例投資運用業務届出者の方がいらっしゃいました。これは、大きな誤解です。特例投資運用業務とは何か、特例業務届出者とは何か、特例投資運用業務の届出者と特例業務届出者の違いは何かを、あらためて、オールアバウトで書いています。オールアバウトのコラムを、ぜひ、ご覧ください。川崎善徳
2008/11/20
駒沢大学が、デリバティブ取引で150億円以上の損失を発生させたことが、一部の報道で話題になっています。報道によると、外資系金融機関とスワップ取引(デリバティブ取引の一種)を締結し、金融危機の影響で、152億円の損失を生じさせ、穴埋めするために、キャンパスを担保に100億円以上の融資を日本の銀行から受けたということです。駒大が150億円以上もの損失が発生するような取引をして、キャンパスを担保に融資を受けて損失を穴埋めするという事態です。「責任は誰にあるのか」は、当然検討されるべき事柄で、駒大では、「調査委員会」を設けるということです。でも、実際、責任は誰にあるのでしょうか。この疑問について、オールアバウトでコメントしています。ぜひ、ご覧ください。
2008/11/20
一昨日から、BNPパリバ証券が新聞やテレビで報道されています。先日、破たんしたアーバンコーポレーションとの取引に問題があったのでないかという内容です。私は、過去4年以上、証券取引に関連する事件が起きると、毎回、このブログでコメントしてきました。報道される識者と言われる方々のコメントが、必ずと言ってよいほど、いい加減なものが散見されるからです。今回も、いい加減なものが散見され、また、問題の「本質」に触れている人が誰一人としていないことから、コメントすることにしました。私のことを個人的にご存じの方はもちろん、拙著でも、経歴を公表していることからもわかるように、私は、BNPパリバのコンプライアンス部長だった時期があります。でも、退社から2年以上が経過していること、また、BNPパリバの知人とは、この件については、一度も連絡を取ったことがないことから、事件の真実は知りません。読者の方同様に、報道・公表の範囲で、何が起こったのか推測する以外にありません。ですから、私の意見は、BNPパリバはもちろん、その他のいかなる団体の意見を反映したものではなく、個人的な見解です。また、情報源は報道・公表された情報しかありませんので、正確でない可能性があることを、あらかじめ、ご了承ください。なお、既にお話していますように、私は、記事の更新を、楽天ブログからオールアバウトのプロファイルに引っ越していますので、コメントの内容はオールアバウトのプロファイルをご覧ください。
2008/11/13
(ほぼ)毎日更新してきました「これでわかった!金融商品取引法/ブログ編」を、年11月1日から、「All About プロファイル」で続けることにいたしました。↓↓↓↓↓ここをクリックすると、私のプロファイルの「コラム」が開きます。↑↑↑↑↑ここで、これまでのように、金融商品取引法のお話を続けることにしました。個人的には写真がイマイチだなあ、と思っているんですが。こんなものですか?違いますよね(本人は、かなりこだわっている・・・笑)↓↓↓↓↓↑↑↑↑↑神戸で活躍されている公認会計士の友人の紹介で、オールアバウトのプロファイルに「金融商品取引法のコンプライアンスの専門家」として、掲載して頂けることになりました。楽天ブログとオールアバウトの2つをかけもちしようかとも思ったのですが、両方を継続する時間は取れないことと、かと言って、一方を書いて、一方はコピー&ペーストというのも気が引けましたので、金融商品取引法の話はオールアバウトのみで続けて行くことにしました。これからも、金融商品取引法に関係される方々の実務に役立つ情報を提供していきますので、↓↓↓↓↓オールアバウトの私のプロファイルの「コラム」↑↑↑↑↑を、ぜひ、よろしくお願いいたします。あ、楽天ブログも、ときどき、こっそり更新するかもしれません(笑)これからも、よろしくお願いします!川崎善徳
2008/11/01
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。本日、2回目の更新です。<特定投資家等とは>特定勧誘等で有価証券を取得した(又は買付けた)特定投資家は、特定投資家等以外の投資家には、取得した(又は買付けた)有価証券を譲渡することはできません。これが、最後の条件でしたね。特定投資家等とは、特定投資家と一定の条件を満たす非居住者です。一定の条件を満たす非居住者とは、非居住者のうち、金融商品取引業者等が仲介に入って、有価証券を取得した非居住者のことです。直接、有価証券を取得する非居住者は対象にならないという意味です。その理由は、はっきりいうと、よくわかりません。これまでの応用で考えると、外国法人は、特定投資家以外の投資家として取扱うことを金融商品取引業者等に申出ることができる特定投資家ですので、金融商品取引業者等が仲介する必要があるから、と言えるかもしれません。ただ、そうとも言い切れないのは、特定勧誘等で有価証券を取得できるのは「外国法人」ではなく「非居住者」と規定されていることです。法人でない非居住者も含まれてしまっているということです。今回の金融商品取引法の改正には、法律としての一貫性がない(説明がつかない)条文がいくつかありますが、これも、その一つだと思います。<最終回?>今日は、ここまで。「これでわかった!金融商品取引法」の更新は、今日で終わりかもしれません。「かもって何だよ?!」ホントですね(笑)ちょっと私にもわからないのですが、もしかすると、このブログの更新は今日までとして、来週以降は、別の媒体で続けるかもしれません。そのご報告は、来週、火曜日(月曜日は休みなので)に、ブログ上でも紹介いたしますね。「これでわかった!証券取引法」から数えて、約5年が経過します。これまで、継続してご覧いただいた方々、どうもありがとうございました。媒体は変わっても、今後ともよろしくお願いいたします。川崎善徳金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/31
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。<特定勧誘等に該当するための条件>前回までにお話した特定投資家私募や特定投資家私売出しに該当するための条件を整理すると、次の通りになります。1.発行者が、特定証券情報と発行者情報を提供又は公表すること。2.金融商品取引業者等が、取引の仲介に入ること。例外として、取引相手が、適格機関投資家、国、日本銀行の場合には、直接取引が認められる。なお、「金融商品取引業者等の仲介」と言った方がわかりやすいので、そういう表現を使っています。正確には、特定投資家私募の場合は、金融商品取引業者等が「私募の取扱い」を行うこと、特定投資家私売出しの場合は、金融商品取引業者等が「売出しの取扱い」をする場合を指します。今日は、最後の条件の説明です。<特定投資家等>3番目の条件は、次の通りです。3.有価証券を取得しようとする者が、特定投資家等以外の投資家には、取得した有価証券を譲渡しないという約束をする契約を、発行者、金融商品取引業者等、取得者の間で結ぶこと。「契約を結ぶ」と言っても、日本の場合、契約は口頭でも成立しますので、契約書を作成することが条件となっているわけではありません。ただ、今後の実務を見ないとわかりませんが、おそらく、契約書を交わすことが実務になるのではないかと思います。<特定投資家等とは>最後の条件の「特定投資家等」とは、特定投資家と一定の条件を満たした非居住者のことを指します。一定の条件とは何でしょうか。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/31
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。<特定勧誘等の取引の例外>特定勧誘等に該当するための条件として、金融商品取引業者等が仲介に入らなければならないという原則があることを、前回お話ししました。理由は、取引の相手方となる投資家が、特定投資家であるか一般投資家であるかがわかるのは、特定投資家制度の宿命で、金融商品取引業者等しかあり得ないからです。「ということは、この条件には、例外があるじゃないか!」と、既に気づいていている読者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。あたりです!この条件には、例外があります。取引の相手方が、適格機関投資家、国、日本銀行の場合には、金融商品取引業者等が取引の仲介に入る義務はありません。どうしてでしょうか。これも、特定投資家制度の特徴から説明できますよね。そうです。適格機関投資家、国、日本銀行は、どんなときでも、誰に対しても、常に「特定投資家」だからです。その他の特定投資家は、一般投資家として取扱うように金融商品取引業者等に申出れば、一般投資家と同じ立場になります。また、特定投資家制度は、特定投資家は、自分は特定投資家であるか一般投資家であるかという自分の立場を、取引をする金融商品取引業者等ごとに選択できることになっています。従って、ある特定投資家が特定投資家なのか、そうでないのかは、金融商品取引業者等にしかわかりません。例外として、適格機関投資家、国、日本銀行は、常に特定投資家であるというのが特定投資家制度の特徴に一つとして、金融商品取引法に規定されています。その結果、例外として、取引の相手方が、適格機関投資家、国、日本銀行の場合には、金融商品取引業者等が仲介に入らなくても、特定勧誘等に該当するということになるわけです。ややっこしいかもしれませんね(笑)わかりにくい時は、もう一度読んで頂くか、ご質問をください。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/29
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。<特定勧誘等の取引の原則>特定投資家私募や特定投資家私売出し(特定勧誘等)に該当するためには、まず、発行者が、「特定証券情報」と「発行者情報」を提供又は公表していることが条件でした。特定勧誘等に該当するための次の条件は、金融商品取引業者等が、仲介に入らなければならないという原則を満たすことです。例えば、特定投資家私募の場合、発行者が直接投資家を探してきた、発行者と投資家が直接取引をした場合、この取引は、特定投資家私募に該当しません。特定投資家私売出しの場合は、既に発行された有価証券を所有している投資家が、別の投資家を探してきて、直接、投資家同士で取引をした場合、この取引は特定投資家私売出しに該当しません。どうしてでしょう。金融商品取引業者等を儲けさせるためでしょうか。<金融商品取引業者等の仲介の意味>どうして、金融商品取引業者等が仲介に入らなければ、特定勧誘等に該当しないと金融商品取引法が規定しているのか。この謎(?)を解くためには、金融商品取引法の「特定投資家私制度」を理解していることが必要です。適格機関投資家、国(日本)、日本銀行と上場会社、資本金5億円以上と見込まれる株式会社、金融商品取引業者(第二種・投資助言等のみ)、外国法人などは、「特定投資家」です。特定投資家私募も特定投資家私売出しも、この「特定投資家」の間でのみ流通することが原則です。(少ないですが、例外があるため、原則と書きました。)特定投資家制度の特徴の一つに、適格機関投資家、国、日本銀行以外の特定投資家は、金融商品取引業者等に、特定投資家以外の投資家(一般投資家)として取扱うように申出ることができます。そして、金融商品取引業者等は、その申出を承諾する義務があります。ここでピン!ときた読者の方もいらっしゃると思います。そうです。投資家が、特定投資家であるか、一般投資家(特定投資家以外の投資家として取扱うことを申出た特定投資家を含みます)であるかは、金融商品取引業者等でなければわかりません。だから、特定投資家私募も特定投資家私売出しも、金融商品取引業者等が仲介しないとダメだと金融商品取引法は規定しているわけです。特定投資家私募の場合、発行者では、取引相手となる投資家が特定投資家であるか一般投資家であるかの区別をつけることが、特定投資家制度があるため、理論的にできません。特定投資家私売出しの場合も、既に発行された有価証券の所有者が、取引相手となる投資家が特定投資家か一般投資家かを区別することは不可能です。この結果、特定勧誘等は、金融商品取引業者等が、取引の仲介に入らなければならないわけです。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/28
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。<特定勧誘等の情報の提供又は公表>前回までに、特定勧誘等(特定投資家私募と特定投資家私売出し)の際の「発行者」の役割を確認しましたね。発行者は、有価証券届出書や有価証券報告書の開示書類を提出しないでも良い代わりに、有価証券を特定投資家向けに発行するとき(特定投資家私募)又は既に発行した有価証券を50人以上の特定投資家に売付けるとき(特定投資家私売出し)には、「特定有価証券情報」を提供又は公表する義務があります。また、「特定有価証券情報」を提供又は公表した発行者は、1年に1回以上、「発行者情報」を提供又は公表しなければなりません。ここで注意しておきたいことは、「特定証券情報」や「発行者情報」の提供や公表は、開示規制ではないということです。あるいは少なくても公衆縦覧型開示規制ではないという点です。<特定勧誘等は開示規制の適用除外>ここをしっかり理解しておかないと、金融商品取引法で規定されている「有価証券に関して開示が行われている場合」といったときの「開示」の意味が理解できなくなり、間違った実務的対応が行われる可能性があります。金融商品取引法で「開示」と出てきたときには、「有価証券届出書の提供のこと」と同じ意味であると記憶しておいて、実務的な問題はまず生じません。特定勧誘等において、有価証券届出書の提出の代わりに行われる「特定証券情報」の提供又は公表は、「開示」ではなく、従って、特定証券情報等の提供や公表は開示ではない、つまり、特定勧誘等は、開示規制の適用除外であるということになります。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/27
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。<特定勧誘等の発行者の役割>特定勧誘等を行う発行者は、有価証券の発行前に有価証券届出書を提出したり、発行後に有価証券報告書を提出したりする必要がありません。発行者は、有価証券届出書の代わりに「特定証券情報」を投資家に提供又は公表し、有価証券報告書の代わりに「発行者情報」を提供又は公表することが求められています。9月19日に金融庁が公表した政令案・内閣府令案等を公表しましたが、その中に、「新設」された内閣府令として、「特定証券情報等の提供又は公表に関する内閣府令案」(「特定情報等府令」とここでは呼ぶことにします)というものがあります。「新設」と書いてある通り、平成20年の金融商品取引法の改正にあわせて、初めて設置されることになった内閣府令です。<復習>有価証券の募集や売出し(正確な言葉ではありませんが、よく「公募」と呼ばれます)の際、発行者は「有価証券届出書」を財務局長に提出します。有価証券届出書に記載されていることは、投資者の投資判断に役立つ情報ですが、具体的には、有価証券に関する情報である「証券情報」と発行者に関する情報である「企業情報」です。証券情報には、発行される有価証券の数などが含まれます。一方、企業情報には、発行者の経営成績や財務状況が含まれます。このうち、変化するのはどちらでしょうか。そうです。発行者の情報ですよね。発行者は、有価証券を発行した後も、当然、毎日、事業を行っているので、経営成績(売上や利益等)も、財務状況(資産や負債等)が日々変化します。このため、金融商品取引法は、有価証券届出書を発行した発行者に、企業情報を更新したものを、一定の場合を除き、年1回、財務局長に提出することが求められています。この企業情報を更新したものが「有価証券報告書」です。詳しくは、拙著金融商品取引法の基本がよくわかる本をご覧ください。<特定証券情報と発行者情報>ここまで読んで、「ということは、有価証券届出書や有価証券報告書の代わりになる特定証券情報と発行者情報ってきっと・・・」と既にピン!ときている方がいらっしゃると思います。そうです。特定情報等府令によると、特定勧誘等の対象となる株券や社債を発行する発行者は「特定証券情報」という有価証券の情報と発行者の情報等を提供又は公表し、特定証券情報を提供又は公表した発行者は「発行者情報」という発行者の事業や経理に関する情報等を提供又は公表するということになっています。具体的な内容は、今後、特定投資家のみが参加できる市場である「プロ向け市場」を開設する取引所が決めることになります。現在、東京証券取引所とロンドン証券取引所が合弁で新しい取引所を来年早々稼動させる計画になっていますが、新取引所が「プロ向け市場」を開設する予定です。<提供又は公表>特定証券情報や発行者情報を「提供又は公表する」という言葉を何度も使ってきましたが、提供とは、投資家に提供することで、公表とはインターネット等で公表することを指します。ただ、この具体的な方法も、新取引所が決めることになっています。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/24
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。昨日は、皇居の周りをジョギングしました。約5キロあるらしいです。皇居を走るのは1年半ぶりでした。渋滞まではしませんでしたが、とても多くの人が走っていました。私はというと、走り初めこそ調子が良かったのですが、上り坂辺りから苦しくなり、ついに歩き出し、多くの人に抜かされては、また走り、また歩くの繰り返しでした。皇居の周りは、走り始めると近道がありません。私は、皇室でも宮内庁職員でもないので、皇居の中を横切ることができませんからね。荷物はスタート地点に置いてあるので、とにかく、一周しないと帰れません。走ると眠りが深くなるので、習慣にしたいと思ってます。ただ、今朝は、起床時から疲れています(笑)さて、本題。<特定投資家私募と特定投資家私売出しの要件>特定投資家私募と特定投資家私売出しを合わせて、ここからは「特定勧誘等」と呼びます。有価証券の発行や売買が特定勧誘等になるためには、つまり、開示規制の適用除外となるためには、いくつかの要件をクリアーしなければなりません。ここからは、現行の「開示規制」の理解が必要です。このブログでも、相当長いシリーズで開示規制を説明しましたので、現行規制の説明は省略します。わからないときは、私の著書金融商品取引法の基本がよくわかる本をご覧ください。図解入りで、短いページに、でも、開示規制の全てを簡潔に説明しています。<発行者の作業>まず、発行者が作業しなければなりません。特定勧誘等に該当する有価証券の発行者には、開示規制は適用されません。つまり、財務局に、発行の際に有価証券届出書を提出したり、発行後に有価証券報告書を提出したりする必要はありません。その代わり、といことになるのですが、有価証券届出書に相当するものと有価証券報告書に相当するものを、発行者は、投資家に提供するか、インターネット等で公表する義務があります。もっとも、提供又は公表する内容は、簡素化されそうですし(取引所が決定し、まだ、その取引所がありませんので、詳細はわかりません)、財務局に提出するのではなく、インターネットの公表で認められそうですので、作業に係る時間とコストは、開示規制が適用される場合に比べると、比較にならないほど軽減されます。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/23
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。特定投資家私募と特定投資家私売出し最初に、改正金商法のポイントの1つである特定投資家私募と特定投資家私売出しについて、もう一度、要件等を確認してみましょう。特定投資家私募とは、新たに発行される有価証券について、特定投資家のみに取得の申込みの勧誘(金商法で「取得勧誘」といいます。)を行う行為です。一方、特定投資家私売出しは、既に発行された有価証券について、均一の条件で50人以上の特定投資家のみに売付けの申込み又は買付けの申込みの勧誘(金商法で「売付け勧誘等」といいます。)を行う行為です。このように、特定投資家私募と特定投資家私売出しは、定義がまったく異なりますが、該当するための要件は、ほぼ同じです。法務・コンプライアンス担当者でない限り、「全く同じ」と考えても問題ありません。特定投資家私募と特定投資家私売出しの最大の特徴は、要件を満たしていれば、開示規制が適用されないことです。開示規制の適用除外ここからは、少しわかりにくいかもしれませんが、開示規制の適用除外として理解することの重要性をあらためて確認してみましょう。繰り返しになりますが、特定投資家私募と特定投資家私売出しには、開示規制が適用されません。この点、実は、理解の統一が必ずしも図られていません。金融庁や改正作業に加わった方たちは「特定投資家私募と特定投資家私売出しは、公衆縦覧型開示規制が適用されない」と説明しています。でも、「公衆縦覧型」以外の開示規制ってあるんでしょうか?「公衆縦覧型開示規制」という言葉を使っている方からすると、回答は「それが特定投資家私募と特定投資家私売出しの開示方法です。」となるんでしょうけれど、それは論理的矛盾で、「公衆縦覧型開示規制以外の開示規制はない」と言っているのと同義ですよね。また、東証は、プロ向け市場に上場している有価証券の発行者が、特定投資家の投資判断に必要な情報(詳しくは後日説明します)の提供又は公表をする行為を「開示制度」と呼んでしまっています。東証のこの捉え方は明らかに間違いです。東証の理解よりは「公衆縦覧型開示規制の適用を受けない」という説明の方が遥かに正確です。ただ、公衆縦覧型以外の開示規制は、現行金商法にはありませんので、やはり、特定投資家私募と特定投資家私売出し(及びプロ向け市場に上場している有価証券の取引)は、「開示規制の適用除外」と素直に考えた方が、実務では役立ちます。なぜなら、繰り返しになりますが、「開示規制が適用されないからこそ、特定投資家私募と特定投資家私売出しには要件があり、この要件を一つでも外れると、開示規制が適用されてしまうんだ」ということを意識することが、実務では大切だからです。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/22
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。気持のいい秋晴れの朝ですね!今日も一日頑張りましょう!改正金融商品取引法の要点2.プロ向け市場の創設2つ目のポイントは、特定投資家等のみが参加することができる「特定取引所金融商品市場」ができることです。「プロ向け市場」と呼ばれます。特定取引所金融商品市場は、取引所金融商品取引市場の一種です。つまり、取引所金融商品市場という集合の中に、特定取引所金融商品取引市場が含まれているという構図です。なお、取引所金融商品市場とは、例えば、東京証券取引所が開設する金融商品取引市場のことで、要するに、普通は「東証」と呼ばれている市場のことです。東証に上場されている株券等は誰でも取引することができますが、特定取引所金融商品市場に上場される有価証券は、特定投資家等以外の者は取引することができません。特定取引所金融商品市場に上場される有価証券を「特定上場有価証券」といいます。3.課徴金制度の改正3つ目のポイントは、課徴金制度が改正されたことです。制度の改正は大きく分けると2点です。一つ目は、課徴金の制裁を厳しくするために、インサイダー取引の課徴金の計算など、計算方法が改正されたことです。もう一つは、課徴金が科される行為の対象が拡大したことです。実務では、こちらの改正の方が大きな意味を持ちます。改正金融商品取引法を作った人たち(立案担当者)は考えていないというか、おそらく気がついていないと思いますが、この改正は、金融商品取引業者の実務に大変なインパクトがあります。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/21
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。深い意味はありませんが、ちょっと、タイトルを変えてみました。今日は、週明けですので、改正金融商品取引法の要点を、さっと一覧してみましょう。明日からは、今日一覧する要点について、角度を変えて詳しく見ていくという、前回までの方法で説明をしていくことにしますね。改正金融商品取引法の要点考えてみると、特定投資家私募といった個別の話ばかりしていいて、これまで、全体像である改正のポイント整理をしていなかったことに気付きました!改正金融商品取引法は、大部分が12月6日までに施行となりますが、金融商品取引業者等や株式会社といった実務者にとって、重要な改正点は、以下の3つのポイントに絞られます。1.開示規制の適用外の取引に「特定投資家私募」と「特定投資家私売出し」が追加されたこと。改正前(つまり現行)の金融商品取引法では、開示規制の適用外の取引は、(少額募集等を除き)新たに発行される有価証券について、50人未満に取得の勧誘をする「少人数向け取得勧誘」(少人数私募)と適格機関投資家のみに取得の勧誘をする「適格機関投資家向け取得勧誘」(プロ私募)の2つしかありませんでした。これ以外の取引の場合、株券や社債の発行者である株式会社は、「有価証券届出書」を内閣総理大臣(実務上は財務局長)に提出したり、「目論見書」を投資家に交付したりしなければ、有価証券の取得の勧誘をしたり、実際に取得されたりすることができません。なお、「開示規制」とは、有価証券届出書の提出や目論見書の交付、また、有価証券発行後の有価証券報告書の提出などについての義務のことを言います。この2つに、改正金融商品取引法で、新たに発行される有価証券について、特定投資家のみに取得の勧誘をする「特定投資家向け取得勧誘」(特定投資家私募)と、既に発行された有価証券について、均一の条件で50人以上の特定投資家に売付け勧誘等をする「特定投資家向け売付け勧誘等」(特定投資家私売出し)の2つが、開示規制の適用除外取引に追加されました。なお、ここでいう有価証券は、第一項有価証券のみを指します。第二項有価証券は、500人以上が取得しない限り募集に該当しないという、第一項有価証券とは全く異なるルールが適用されています。開示規制の適用除外を意識しよう私募(現行の少人数私募とプロ私募に加えて特定投資家私募も)と特定投資家私売出しは、「開示規制の適用除外」であるということを強く意識するようにしましょう。単に、「私募が増えたんだなあ」とか「私売出しっていう新しい言葉ができたんだなあ」程度の記憶は、例えば二種外務員の試験対策では良いかもしれませんが、実務に生かすことは不可能です。「開示規制の適用除外」ということをわざと意識しないと実務に生かすことは「不可能」と言っているのは、大げさではありません。どうしてかというと、ここまでの説明の段階では少し難しいかも知れませんが、逆に、どうなると開示規制が適用されてしまうのかがわからなくなるからです。「私募」や「私売出し」の要件から少しでも外れた勧誘をすると、募集や売出しとなり、開示規制が適用されて、後で説明する改正金融商品取引法の課徴金制度の改正によって、一発で、あなたの名前は金融庁等のホームページで公開されて、一生を棒に振りかねません。「私募や私売出しは、開示規制の適用除外なんだ!ということは、私募や私売出しの要件から少しでも外れたことをすると、開示規制違反となって、課徴金を徴収されたり、最悪、懲役なんだ!(執行猶予つきだろうけど・・・)」ということを意識して、実務には臨んで欲しいのです。今日は長くなってしまいました!今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/20
毎日、更新したいのですが、最近、休日も含めて、とても忙しくて、毎日更新は、難しくなってきました。(休日まで忙しい理由は、近いうちに公表できるかもしれません。)それでも継続できるのは、大勢の方に訪れていただけているからです。毎日、大勢の方が訪れてくれてありがとうございます。正直、アクセス数が多い時は、とてもうれしいです(笑)また、質問をいただきときも、負けず劣らず、うれしいですね。質問していただけるということは、このブログやHPが、ほんの少しでも、読者の方のお役に立てているということだと思えるからです。質問にはできるだけ早く回答しようと心がけていますが、遅くなってしまった時は、すみません。必ず、回答するようにしていますので、すぐに回答がなくても、お待ちください。今日のように、ときどき休む時があると思いますが、長く続けていきますので、これからもよろしくお願いします。川崎善徳金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/17
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。<特定投資家私売出しと特定投資家私募の相違点>特定投資家私募と特定投資家私売出しは、次のような違いがあります。1.特定投資家私募は、「新たに発行される有価証券」を特定投資家のみに取得の申込みの勧誘をする行為であるのに対して、特定投資家私売出しは、「既に発行された有価証券」を特定投資家のみに売付けの勧誘等をする行為である点。つまり、私募の方は、まだ流通していない新品の有価証券の取引であるのに対して、私売出しの方は、既に流通している中古の(?)有価証券の取引であるということです。ほとんどの読者の方がお気づきだと思いますが、特定投資家私募と特定投資家私売出しの違いは、ちょうど、募集と売出しの違いに当たります。2.特定投資家私募は、「金融商品取引業ではない」が、特定投資家私売出しは、「金融商品取引業である」という点。つまり、私募の方は、誰でも、金融商品取引業者として登録を受けていない者でも、行うことができますが、私売出しの方は、金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者で、有価証券関連業を行う者に限る。要するに証券会社)以外の者は、行うことができません。その他の条件、つまり、取引の対象となる有価証券が大量に市場で流通していいないこと、発行者と投資家の間に金融商品取引業者が入って、3者間で、投資家は取得した有価証券を特定投資家等以外の投資家に譲渡しないことを約束する契約を交わすことは、私募も私売出しも変わりません。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/16
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。昨日の東京は、晴天でした。太陽は少し暑いくらいでしたが、風が冷たく、銀杏も色づき、そして私の大好きな栗も大きさも色も食べごろとなり、完全に季節は冬を迎える準備をしています。冬と言えれば、株式相場も冬枯れの様相。今日は、欧米の株価が堅調だったことから、東京も朝から買いが先行するのでしょうが、私は、株安でも個人の金融資産が1400兆円以上を維持している日本の潜在需要は全く衰えていないと見ていますので、原油安や円高という環境は、絶好の内需拡大のチャンスだと考えています。さて、本題。<特定投資家私売出し>特定投資家私売出しは、特定投資家私募と内容はほとんど変わりません。<特定投資家私募の復習>特定投資家私募の条件を簡単に復習してみましょう。特定投資家私募は、株式会社が新たに発行する株券や社債などの有価証券を特定投資家にのみ取得の勧誘をする行為であって、特定投資家等以外の投資家に譲渡されないことを担保するために、次の条件を満たしている行為でしたね。1.発行される株券や社債などと同種の有価証券が大量に市場で流通していないこと2.金融商品取引業者が必ず発行者と投資家(適格機関投資家等を除く)との契約の間に入ること3.発行者と投資家と金融商品取引業者の間で、投資家が特定投資家等以外の投資家に取得した株券や社債を譲渡しないことを約束する契約を交わすこと<特定投資家私売出しと特定投資家私募の違い>特定投資家私売出しは、特定投資家私募とほとんど同じですが、若干異なる点があります。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/14
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。現在、金融商品取引法関係の政令と内閣府令の案を金融庁が公表し、意見(パブリックコメント)を募集しています。1箇所、どうしても理解できない(要するにおかしい)条文が政令にありますので、コメントを送っておきましたが、全体的に、今回の改正は理解しがたい条文が多いですね。プロ向け市場のルールを、取引所取引と、店頭取引(取引所を通さない取引)で分けてしまったことが、最大の失敗だと思います。さて、本題。<特定投資家私募の条件>引き続き、特定投資家私募の条件です。株式会社が、特定投資家私募で株券や社債を発行する場合、いくつもの複雑な条件があります。それらを一つ一つ確認していきましょう。たくさんありますが、自然に覚えてもらうために、どうしてそういう条件が付くのかという条件がある理由・背景も説明しますので、大丈夫です。<3者間契約>株式会社が発行する株券や社債を特定投資家私募で販売するときには、発行者、投資家、それに金融商品取引業者の3者の間で、契約を結ばなければなりません。契約の内容は、「有価証券を取得した投資家は、特定投資家以外の投資家に売却しない」という内容の契約です。ご存知の方も多いと思いますが、日本の場合、契約といった場合、書面を必要としませんから、この契約も口頭で交わしてもかまいません。実際、わずかこれだけの内容であれば、書面を作成して、3者で押印するのは、どう考えてもムダだと思います。もっとも、対象有価証券が、株券であれば、公開買付けの際には特定投資家以外の投資家に譲渡することができるなど、例外として特定投資家以外の投資家に譲渡することができる場合も契約の内容とする場合もありますので、そのような場合には、いわゆる契約書という書面を作成して、3者で押印するのも意味があるかもしれません。いずれにしても、実務では、契約書を作成することになるような気がします。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/10
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。読者の皆さんから、いつもご質問をいただきありがとうございます。質問に回答するということは、私の知識の確認にもなり大変助かっています。最近、ほぼ同じ内容のご質問が多数ありましたので、ここで紹介します。(質問者に対する守秘義務から、特定できないように質問自体は変えています。)質問:第二種金融商品取引業や投資助言・代理業を行っている会社に対して提供する資料は、広告等の規制が適用されますか。また、他に注意する点はありませんか。回答:第二種金融商品取引業や投資助言・代理業を行っている会社は、「特定投資家」に該当します。(金融商品取引法第2条第31項第4号の特定投資家)ですから、広告等の規制のみならず、契約締結前交付書面の交付義務や契約締結時等交付書面の交付義務もありません。他に注意する点は、第二種金融商品取引業や投資助言・代理業を行う会社と取引をしようとする際は、事前に、必ず、一般投資家に移行することができるという内容の「告知」をしなければなりません。(告知義務)これをうっかり忘れると、法令違反ですので注意が必要です。告知義務は、宅建業者など不動産関連会社の間の業者間取引にも適用されます。「業者間なら問題ないよ」と思って告知義務を怠ると立派な(?)法令違反ですので、くれぐれも注意するようにしましょう。以上、ご参考にしてください。では、本題。<特定投資家私募の条件>引き続き、特定投資家私募の条件です。株式会社が、特定投資家私募で株券や社債を発行する場合、いくつもの複雑な条件があります。それらを一つ一つ確認していきましょう。たくさんありますが、自然に覚えてもらうために、どうしてそういう条件が付くのかという条件がある理由・背景も説明しますので、大丈夫です。<3者間契約>他の私募にはない、特定投資家私募に特有の条件がいくつかあります。そのうちの一つが、政省令案で規定された「3者間契約」の必要性です。これは、金融商品取引法(旧証券取引法)の歴史で初めて付け加えられた私募を構成する要素です。しかも、この要素(条件)は、有価証券の私募の原則を揺るがしかねない不思議な条件です。どうしてかと言うと、プロ私募や少人数私募などの他の私募は、発行者は有価証券を発行した後、取得した投資家が(一定の縛りを除き)誰に譲渡されようと関与しないという規定ぶりになっているからです。発行者は、市場を流通する有価証券を発行した以上、社債権者が誰になるかについては関与しないという従来からのスタイルを特定投資家私募についても維持すべきであると考えます。特定投資家私募の場合だけ、発行者と投資家の間に契約を結ばせる理由はわかりません。<余談>ちょっと行政法規上の話になるので、ここからは、金融商品取引法の分析(?)に興味のない方は、読み飛ばしていただいても、この先の話がわからなくなることはありませんので大丈夫です。特定投資家私募の3者間契約の規定は、特定投資家私募で発行された有価証券が、特定投資家以外の投資家に譲渡されることがないようにするための保険だと考えられますが、であれば、従来からある適格機関投資家向け勧誘も、少人数向け勧誘も、既に同じルールが適用されているはずです。もっとも、逆に、「すべての私募について3者間契約を締結させるべき」という考え方もあります。「私募」とは、かつて、私募で発行された社債のことを「縁故債」と呼んでいたことからわかるように、元来、個別の性の強い取引で、融資の代わりだったものです。ちなみに、だから、私募の取扱いは、証券会社の業務ではなく、本来、銀行の業務です。個別性が強いということは、私募について、契約を締結すべきとするのは意味があることだから、「3者間契約を原則にすべきである」という議論も成り立ちます。いずれにしても、私募の要件に一貫性がないのは、ルールをいたずらに複雑にするだけのように思います。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/09
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。<特定投資家私募の条件>引き続き、特定投資家私募の条件です。株式会社が、特定投資家私募で株券や社債を発行する場合、いくつもの複雑な条件があります。それらを一つ一つ確認していきましょう。たくさんありますが、自然に覚えてもらうために、どうしてそういう条件が付くのかという条件がある理由・背景も説明しますので、大丈夫です。<特定投資家等>株式会社が株券や社債を発行するときに、特定投資家か非居住者(=特定投資家等)のみに取得の申込みの勧誘をする行為が、特定投資家私募です。特定投資家私募となるためには条件があります。従来から存在するプロ私募も少人数私募も同じですが、条件のひとつは、発行される株券や社債が取引所に上場されていたり、過去に募集又は売出しで発行されていたりしていないことです。取引所に上場されていたり、過去に募集や売出しで発行された有価証券は、世の中で広く流通していて、投資家は特定投資家でも一般投資家でも、適格機関投資家でも、誰でも購入することができます。ですから、発行者や証券会社が、いくら「投資家は特定投資家等に限りますからね!」と声高に宣言しても、他の投資家に譲渡される可能性が高いため、このような条件が付いています。発行しようとする株券や社債が上場されていたり、過去に募集や売出しで発行されていたりしていないこと、という条件は、あらゆる私募に共通の条件です。<3者間契約>特定投資家私募に特有の条件もあります。「あります」というか、特有の条件の方がはるかに多いです。そのうちの一つが、「3者間契約」の必要性です。これは、金融商品取引法(旧証券取引法)の歴史で初めて付け加えられた私募を構成する要素です。しかも、この要素(条件)は、有価証券市場の大原則を揺るがしかねない不思議な条件です。どうしてかと言うと・・・今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/07
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。今朝は寒かったですね。疲労しているせいで免疫が弱っているためか、いったんは治ってもすぐに風邪を引いてしまいます。今日も風邪気味です。皆さんは、大丈夫ですか。さて、本題。<特定投資家私募の条件>引き続き、特定投資家私募の条件です。株式会社が、特定投資家私募で株券や社債を発行する場合、いくつもの複雑な条件があります。それらを一つ一つ確認していきましょう。たくさんありますが、自然に覚えてもらうために、どうしてそういう条件が付くのかという条件がある理由・背景も説明しますので、大丈夫です。<特定投資家等>特定投資家私募となるためには、対象となる有価証券が特定投資家等以外の投資家以外に譲渡される可能性が少ないことが条件となっています。ここで、取引相手方が「特定投資家」ではなく、「特定投資家等」と「等」がついているのは、特定投資家ではない非居住者には譲渡することができるからです。つまり、特定投資家私募とは、実のところ、特定投資家+非居住者私募であるということです。これは、非居住者は金融商品取引法の保護の対象ではないという消極的な意味で、非居住者に譲渡することは認められたのではなく、改正金融商品取引法は、「プロ向け市場」(後で説明します)に外国の企業も上場させることを目的としているのに、非居住者の投資を確保しないと、バランスしないからです。要するに非居住者である外国の企業が「プロ向け市場」で発行する有価証券を取引する機会を非居住者に開放することによって、東京市場の活性化を図る意図です。<ここまでの確認>今日は月曜日で、休日を挟んでいますので、ここまでの復習をしておきましょう。改正金融商品取引法は、適格機関投資家、国、日本銀行、上場会社、資本金5億円以上の株式会社など特定投資家のみに販売する(正確に言うと、取得の申込みの勧誘を行う)行為を「特定投資家私募」と定義しました。従来からの、「プロ私募」(適格機関投資家向け勧誘)と「少人数私募」(50人未満という少人数向け私募)という2つの私募に、改正金融商品取引法は、「特定投資家私募」を追加したということです。また、特定投資家私募は、改正金融商品取引法は、特定投資家と非居住者を合わせて「特定投資家等」とし、特定投資家私募で販売する有価証券は、特定投資家+非居住者=特定投資家等に譲渡させることができると規定しています。さらに、特定投資家私募で発行された有価証券が、他の投資家に容易に譲渡されることがないように、改正金融商品取引法は、特定投資家私募で発行される有価証券は、既に上場されていたり、募集や売出しで販売されていたりしている有価証券を除くとしています。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/06
知人の行政書士が、昨日、報道ステーションに出演したそうです!個室ビデオ放火事件に関して、個室ビデオの一部は風俗営業法の適用を受けるのですが、風俗営業法のプロフェッショナルで有名な行政書士<大江ありす>先生が届出手続きなどについてお話したようです。残念ながら、私はその時間、他のことをしていて気がつきませんでした。話すのが上手な方なので、きっと良いお話されたことでしょうね。この事件を聞いた時にすぐに浮かんだのが大江先生でしたのでテレビやニュースを注意して観ていたのですが、観損ねたのは、本当に残念です!さて、本題。<特定投資家私募の条件>株式会社が、特定投資家私募で株券や社債を発行する場合、いくつもの複雑な条件があります。それらを一つ一つ確認していきましょう。たくさんありますが、自然に覚えてもらうために、どうしてそういう条件が付くのかという条件がある理由・背景も説明しますので、大丈夫です。<上場等をしていないこと>特定投資家私募で発行する株券や社債は、同種の有価証券が上場されていたり、同種の有価証券が、過去に募集や売出しで多くの投資家に販売されていたりしないことが条件の一つです。逆に言うと、上場されている有価証券や募集や売出しで多くの投資家の間で既に流通している有価証券を新たに発行する場合、特定投資家私募で発行することはできないということです。前回、「上場株券の私募はできません」という話をしましたが、私募の一種である特定投資家私募でも同様だということです。上場されていたり、多くの投資家の間で流通している有価証券は、「この有価証券は、特定投資家以外の投資家(=一般投資家)が買っていはいけませんよ!」とどんなに宣伝しても、取引所で売買されて、一般投資家が買付けてしまう可能性を避けることができないからです。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/03
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。<前回の復習>前回の復習です。改正金融商品取引法になるまで、募集も私募も金融商品取引業ではありませんでしたから、株式会社が、株式や社債を募集や私募で発行すること、つまり、発行者である株式会社が、自ら投資家を探すことは何の問題もありませんでした。募集や私募は金融商品取引業ではない!これが証券取引法の時代から引き継ぐ金融商品取引法の大原則です。(正確に言うと、投資信託や集団投資スキーム持分の募集は金融商品取引業ですが、ここで話したいこととは関係がありませんので、気にする必要はありません。)なお、上場会社の発行する株券を私募で取扱うことはできません。50人未満に向けて勧誘したとしても、取得した投資家が取引所で取引するとわからなくなってしまうからです。これは、後の説明に響いてきますので、ちょっと記憶しておいてくださいね。<特定投資家私募>ところが、特定投資家私募だけは、発行者である株式会社は、証券会社に手数料(取扱手数料といいます)を支払って、投資家を探してもらう必要があるのです。別の言い方をすると、たとえ、発行者が投資家を自分で見つけてきていても、証券会社を取引の仲介に参加させなければ、特定投資家私募はできないということです。スタートから、おかしな制度です。おかしな制度ですが、改正金融商品取引法が、特定投資家私募については、原則を適用しなかった気持ちはわかります。簡単にいうと、特定投資家私募で発行された有価証券を特定投資家以外の投資家(一般投資家と呼ばれています)が取得することがないように、証券会社に管理させたいというのが改正金融商品取引法の趣旨でしょう。理由はともかく、証券会社が取引の間に入らない取引は、特定投資家私募にはならないということです。<例外>例外として、取引の相手方が、適格機関投資家、国(日本)、日本銀行の場合には、発行者が直接有価証券を取得させても、特定投資家私募になります。投資家が、適格機関投資家等であれば、わざわざ証券会社が間に入らなくても、金融商品取引法を熟知しているので、特定投資家私募で発行された有価証券が一般投資家に流通する心配はないからでしょう。この例外は、実務的には、ほとんど役に立たないはずですが、その話をしていると長くなりますので、ここでは法令の説明までに留めておきます。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/10/01
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。<特定投資家私募・特定投資家私売出し>特定投資家私募も特定投資家私売出しも、ある一定の複雑条件をクリアーしなければ使えません。その条件を一つ一つ、検証していきましょう。<金融商品取引業者の仲介>まず、特定投資家私募の条件から見ていきましょう。特定投資家私募となるために最初の条件は、有価証券の取引に第一種金融商品取引業を行う金融商品取引業者、つまり、証券会社が仲介しなければならないというものです。なお、このルールには例外があるために、条件を一層複雑にしています。例外は後で説明します。繰り返しますが、特定投資家私募は、証券会社が発行者と投資家、又は投資家と投資家の取引を仲介しなければなりません。発行者と投資家の間に証券会社が入るという意味は、逆に言うと、発行者と投資家との間で「この取引は、特定投資家私募にしましょうね」と取り決めることはできないということです。株式会社が、株券を発行するとか社債を発行するといった場合、投資家を探してもらうために、証券会社に投資家を紹介してもらうことが実務では多いかもしれませんが、金融商品取引法上は、株式会社が、直接、投資家を探しても問題ありません。特に、私募の場合、知っている人や会社に投資家になってもらうことが多いですから、高い手数料を証券会社に支払って、証券会社にわざわざ仲介してもらう必要はありません。ところが、特定投資家私募となるための条件として、証券会社が顧客(投資家)の委託により、取得勧誘を行わなければなりません。つまり、実務的に言えば、高い手数料を証券会社に払わなければ、特定投資家私募は成立しないということです。特定投資家私売出しも同様です。証券会社が顧客(投資家)のために、売付け勧誘等を行わなければ、特定投資家私売出しにならないのです。ここまで、大丈夫でしょうか?この説明の意味を理解するためには、金融商品取引法の原則を理解していなければダメです。<金融商品取引法の原則と特定投資家私募>繰り返しますが、株式会社がプロ私募や少人数私募で投資家を探すときはもちろん、募集で投資家を集めるときでさえも、発行者である株式会社は、証券会社に投資家を探すように依頼する必要はありません。有価証券の募集も私募も「金融商品取引業」ではないからです。これが、金融商品取引法の原則です。ところが、特定投資家私募だけは、発行者である株式会社は、証券会社に手数料(取扱手数料といいます)を支払って、投資家を探してもらう必要があるのです。別の言い方をすると、たとえ、発行者が投資家を自分で見つけてきていても、証券会社を取引の仲介に参加させなければ、特定投資家私募はできないということです。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/29
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。今日の東京は、今年最後の夏日になるようですね。確かに、朝7時を過ぎたあたりから既に暑くなってきました。明日からは涼しくなるようですが、秋の実りの時期が待ち遠しいです。梨もおいしい季節になりました。栗はあと一歩というところ。さんまの塩焼きは毎日食べても飽きません。・・・と食べ物の話題はこのあたりで終りにして。さて、本題。<特定投資家向け取得勧誘>特定投資家私募に該当するための条件。これは、半端ではありません!でも、その前に、特定投資家私募の「仲間」である「特定投資家向け売付け勧誘等」をご紹介しましょう。<特定投資家向け売付け勧誘等>特定投資家向け取得勧誘(いわゆる特定投資家私募)は、特定投資家のみを対象にして、新たに発行される有価証券の取得勧誘です。これに対し、特定投資家向け売付け勧誘等は、特定投資家のみを対象にして、既に発行された有価証券の売付け勧誘等を指します。売付け勧誘等とは、「売付けの申し込み」(売却希望を伝えることですね)と「買付けの申し込みの勧誘」(買いたい!と手を上げされることです)を併せた言葉です。ここは、従来から、変わりません。なお、かなり前に話したことがありますが、「取得」という言葉は、金融商品取引法上、新規発行有価証券についてのみ使用できる言葉です。買付けと売付けは、金融商品取引法上、既発行有価証券についてのみ使用できる言葉です。この辺りの言葉の定義は、もう大丈夫ですよね?<特定投資家向け私売出し>特定投資家向け取得勧誘を「特定投資家私募」と呼ぶ一方、特定投資家向け売付け勧誘等は「特定投資家私売出し」と呼びます。金融庁がそう言っているのでそうとしか言いようがありませんけれど、そもそも、「私売出し」は何と読むのでしょう。募集の相手方を50人未満とか適格機関投資家とか特定投資家に限定すると「私」+「募集」=「私募」(しぼ)となりますので、売出しの相手方を特定投資家に限定すると(ちなみに、売出しには50人未満数の限定販売や適格機関投資家限定販売はありません)「私」+「売出し」=「私売出し」になるので、「しうりだし」と読むと思っているのですが、間違えていましたら、どなたか訂正してくださいね。いずれしても、特定投資家のみに対して新しく発行される有価証券を販売しようとする行為を「特定投資家私募」と言い、特定投資家のみに対して既に発行され市場に流通している有価証券を販売しようとする行為を「特定投資家私売出し」と言います。新しいかどうかの違いだけですから、「特定投資家私募」と「特定投資家私売出し」の条件は、同じと考えて結構です。いずれにも、同じ複雑な条件がつきます。本当は、次に「特定投資家向け有価証券」(これも改正金融商品取引法に取り入れられた新しい概念です)の説明をすべきところですが、これは後回しにした方が理解しやすいと思いますので、次回から「複雑な条件」の説明に入ることにします。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/26
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。三菱UFJ銀行のモルガンスタンレーへの出資(9000億円と報道)は、野村証券(HD)のリーマンブラザーズ取得よりも驚きました。日本の銀行が攻めモードに移行するのは、20年ぶりになりますね。米国最後の純証券会社(投資銀行)のゴールドマンサックスが銀行持ち株会社制度に移行するというのも歴史的な事件です。そもそも「証券会社の銀行からの分離」は、世界大恐慌を脱するためのニューディール政策の一部ですよね。ですから約80年前の話ですので、今と比較することはできませんけど、金融・証券業界は、いったい、この80年間は何だったのかをあらためて真剣に議論し、整理しておく必要があるでしょう。そうしないと、歴史上の同じ間違いを繰り返す可能性があるからです。さて、本題。改正金融商品取引法の2回目です。<特定投資家向け取得勧誘>まず、私募の復習をしましょう。改正前の金融商品取引法の私募とは、次のいずれかの行為を指しました。1.適格機関投資家に対する取得勧誘(いわゆるプロ私募)2.適格機関投資家以外の投資家であって、50名未満の投資家に対する取得勧誘(いわゆる少人数私募)なお、金融商品取引法の定義では「募集に該当しない取得勧誘が私募」ですが、実務的な対応としては、逆に「私募に該当しない取得勧誘が募集」と理解する方が法令違反をしないために有効ですので、先に私募を定義してしまいます。なお、「取得勧誘」とは、新たに発行される有価証券、つまり、まだ発行されていない有価証券について、投資家に取得の申し込みをする気にさせる行為を取得勧誘といいます。改正金融商品取引法で、私募に次の「特定投資家私募」が追加されました。3.特定投資家のみに対する取得勧誘特定投資家とは、適格機関投資家、国、日本銀行、金融商品取引業者、上場会社、資本金5億円以上と見込まれる株式会社、外国法人などでしたね。このような特定投資家のみに対する取得勧誘は、金融商品取引法で「特定投資家向け取得勧誘」といい、一般的には「特定投資家私募」と呼ばれます。ここまでであれば、私募が一つ増えただけですから、改正金融商品取引法の改正点はとても簡単です。ところが、私募の中でも、特定投資家私募は、他の私募であるプロ私募や少人数私募とは全く違う存在になっています。特定投資家私募に該当するための要件が、他の私募と比較するとり、かなり複雑になっているのです。その複雑さたるや、半端ではありません!金融商品取引法を生半可に理解されている方は「特定投資家私募って言うくらいだから、プロ私募と同じような転売制限を付けて販売すればOK!簡単、簡単!」と思ってしまいがちですが、「生兵法はけがのもと」ですので、注意して、次回以降の説明についてきてくださいね。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/24
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。金融庁が、先週金曜日の夜、今年の12月までに施行となる改正金融商品取引法に関連する政令案と内閣府令案を公表し、パブリックコメントを募集しました。私は仕事なので、週末にすべて目を通し、自分のファイルにまとめました。読んでいただければ皆さんもわかりますが、とにかく読みにくいです。読みにくい最大の原因は、実は、政令案・内閣府令案よりも、改正金融商品取引法そのものにあります。改正金融商品取引法は、金融商品取引法第一条の目的に記載されている直接的または間接的な目的から外れてしまっているので、引きずられてしまった政令案・内閣府令案が読みにくいのだと思います。とは言え、政令案・内閣府令案が出そろったことですので、今週は、シリーズでお送りしています「検査のポイント!」を一時中断して、政令案・内閣府令案を踏まえて、改正金融商品取引法をお話することにします。その中で、改正金融商品取引法のどこが目的から外れてしまっているのかも、明らかにしていくことにします。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/22
今日で、このシリーズも30回目です。さすがに、ちょっと長すぎた感じがしますね(笑)50回までやりましょうか!?さて、本題。<検査指摘事項>「金融商品取引業者等に対する検査の結果指摘した事項の主なもの」に基づく、ケーススタディの続きです。今回は、「法人関係情報の管理」についてです。<法人関係情報>「当社代表取締役社長、代表取締役副社長ほか1名は、その業務に関し、上場会社から取得した法人関係情報の一部について、法人関係情報として登録をしておらず、又は、登録が遅延していた。」<法人関係情報の管理>法人関係情報の管理については、以前にも何度かお話していますので、既に相当詳しくなっている読者の方もいらっしゃるかもしれませんね。法人関係情報とは、上場会社の非公開の情報のうち、投資家の投資判断に影響を与える情報がすべて該当します。金融商品取引業等に関する内閣府令第1条に正確な定義ありますが、要するに、そういう情報です。漠然としていますので特定するのは簡単ではありませんが、少なくても、内部情報(インサイダー情報)は法人関係情報です。集合で考えると、法人関係情報は、内部情報をすっぽり包含する情報です。言い換えると、内部情報でなくても、法人関係情報に該当する情報があるということです。例えば、(少し表現が専門的になりますが)機関決定されていない公募増資の情報は、法人関係情報に該当します。第一種金融商品取引業又は第二種金融商品取引業を行っている会社は、法人関係情報の一元管理し、法人関係情報に基づいて取引が行われていないかどうか、法人関係情報を顧客に提供して取引の勧誘が行われていないかどうかなどを管理する義務があります。法人関係情報の管理は、証券取引等監視委員会が必ずチェックする検査ポイントです。管理方法は各社各様ですので、唯一の正解というものはありませんが、法人関係情報の管理についてわからない点がありましたら、参考情報は提供できますので、お問い合わせてください。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/18
親知らずを抜いたところが痛く、昨日は仕事を早く終わらせました。痛み止めを飲んで落ち着いてきたので、昨日アマゾンから届いた立川志の輔のDVD「志の輔らくごのおもちかえりDVD 1 「歓喜の歌2007」」を観ました。立川志の輔の落語は現代落語とか志の輔落語と呼ばれ、いわゆる古典落語とは違いますが、現代社会の一幕を笑いと涙で描いていて、劇場に観に行ったとことがありますが、面白すぎて腹痛を起こしました(笑)「志の輔らくごのおもちかえりDVD 1 「歓喜の歌2007」」は、映画化もされた傑作です。ママさんコーラスの一生懸命さには涙しそうになりますね。さて、本題。<検査指摘事項>「金融商品取引業者等に対する検査の結果指摘した事項の主なもの」に基づく、ケーススタディの続きです。今回は、「内部監査」についてです。<内部監査部門の認識>「当社は、内部監査担当者を組織的に独立していない業務本部内に1名配置しただけであり、実効性のある内部監査を実施できる態勢とは認められず、また、当該担当者による監査は一度も実施されていなかった。なお、当社は、当社グループの監査部門の内部監査を受けていたが、その監査は日本の法令等諸規則が実際に遵守されているかという実態面を検証するものとはなっておらず、東京支店における内部監査機能を代替するものにはなっていなかった。」<内部監査部門の独立性>内部監査部門は、組織的に独立していなければなりません。ここで、「独立」とは、営業部門や運用部門から組織的に独立していることは当然です。また、営業部門や運用部門が、内部監査担当者の人事評価をするというような関係も絶対に認められません。内部監査部門はすべての部門から独立し、社長直属であることが期待されます。そうでないと、自分のしたことを自分で監査するというおかしなことになるからです。<内部監査担当者の専門性>内部監査担当者は、最低限の法令の知識がある人が配置されなければなりません。証券会社の場合、5年程前から、内部監査担当者は、日本証券業協会主催の内部管理責任者試験合格者でなければならないことになりましたが、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業と金融商品取引業の種類にかかわらず、内部監査担当者の最低限の法令知識は必須です。例えば、不動産信託受益権を取扱う第二種金融商品取引業を行う会社の内部監査担当者は、金融商品取引法のみならず、宅地建物取引業法の知識があることが、金融商品取引法令上、求められています。また、内部監査担当者は、経験者であることが理想ですが、経験がない場合、内部監査に関する資格を取得するなどして、内部管理の目的や手法についての知識も必要です。サンプル調査など、最低限の監査知識は必要になります。内部監査部門とコンプライアンス部門は、すべての金融商品取引業者が必ず設置しなければならない部門であることも忘れてはなりません。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/17
今日のトップニュースは、リーマンブラザーズの破たんでしょう。破たん自体には特にコメントはありませんが、昨夜、金融庁のホームページを見たところ、リーマンブラザーズ証券の行政処分を2つも出していたのが印象的でした。今日は、多くの金融・証券関係者の方にとっては、「検査のポイント!」どころではないかもしれませんが、本題。<検査指摘事項>「金融商品取引業者等に対する検査の結果指摘した事項の主なもの」に基づく、ケーススタディの続きです。今回も、私募と募集・売出しに関する注意点です。<需要調査と勧誘>「当社は、投資信託を少人数向け私募により行うことを企図していたものであるが、顧客に対し商品の購入に関心があるかを調査する「需要調査」は勧誘には該当しないと誤認していたため、当社が勧誘と認識していたものと合わせて50名以上の顧客に対し本件投資信託の取得の申込みを誘引し、もって募集の取扱いを行っていた。(「需要調査」については顧客に対し勧誘資料と同一内容の資料で商品説明を行い、商品の購入を促していることから勧誘に該当すると認定した。)」<少人数私募の理解の重要性>有価証券(信託受益権と集団投資スキーム持分を除きます)の私募は、50人未満に取得の申込みの勧誘を行うこと、募集は、50人以上に行うこと。少人数向け勧誘(いわゆる少人数私募)をこのように理解している方はいませんか?でも、これは誤解です。勧誘の相手が49人までであっても、極端なことを言えば1人であっても、「募集」になることがあります。それは、どんなときでしょうか。考える時間は30秒です。(・・・・・30秒経過)有価証券の取得の申込みの勧誘をたった1人にした場合でも、募集になる場合とはどんな場合ですか。そうです。「転売制限」を付けずに、勧誘した場合です。金融商品取引法は、勧誘の相手方の数が50人未満の場合であって、かつ、「転売制限」を付けた場合に限って、私募となるとしています。逆に言えば、「転売制限」が付いていなければ、勧誘の相手方の数が1名でも募集ですから、有価証券届出書の提出をしないで勧誘をした営業員は、懲役刑の可能性があります。「私募」の定義の正確な理解は、営業員にとって、将来の人生を左右することになりかねないほど重要です。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/16
三笠フーズの事故米が問題なっています。今回の事件もご多分にもれず、「トップの指示」で行われ、さらに事件発覚の原因も、これもご多分にもれず、「内部告発」だったということです。コンプライアンスの最も中心的な課題は、いつの時代でも、どんな業界でも、役員やマネジメントという経営者が、職員に対してコンプライアンスの重要性をいかに理解させるか、そのためにどのような方策を講じるかにあります。言い換えると、経営者が自ら法令違反や詐欺的行為を働く会社は、コンプライアンスを論ずる価値がなく、それ以前の問題で、時代錯誤・旧態依然のコンプライアンスの考え方では救いようのない会社です。警察を含む行政当局は、経営者がダメな会社を継続させないように努力することが、消費者問題を中心課題に置こうという行政トップの考え方に沿うように思われます。さらに、社員の内部告発は、今の時代を考えると、「公益通報者保護法」を改正して、むしろ推奨されても良いのかもしれません。さて、本題。<検査指摘事項>「金融商品取引業者等に対する検査の結果指摘した事項の主なもの」に基づく、ケーススタディの続きです。今回は、私募と募集・売出しに関する注意点です。<需要調査と勧誘>「当社は、投資信託を少人数向け私募により行うことを企図していたものであるが、顧客に対し商品の購入に関心があるかを調査する「需要調査」は勧誘には該当しないと誤認していたため、当社が勧誘と認識していたものと合わせて50名以上の顧客に対し本件投資信託の取得の申込みを誘引し、もって募集の取扱いを行っていた。(「需要調査」については顧客に対し勧誘資料と同一内容の資料で商品説明を行い、商品の購入を促していることから勧誘に該当すると認定した。)」<勧誘とは>「顧客と話をしているとき、どこからが勧誘になるのか、微妙だよ!」と話す証券会社の営業員が多くいます。私の検査経験では、「顧客と口をきいたら勧誘」と検査官に指摘されたことがあります。これは一見極端なようですが、冷静に考えてみますと、営業の目的なしに、営業員が顧客に口をきくことはないでしょうから、あながち言い過ぎともいえない発言です。<境界線>とは言え、勧誘なのかそうでないのかの具体的な境界線はある程度、社内で決めておく必要があります。基準がないと誰も自信をもって業務に携わることができなくなるでしょう。この点、検査指摘事例は、一つの判断基準を示しているところが優れています。「需要調査資料と勧誘資料が同じだったから、需要調査を勧誘を判断したよ」とあります。勧誘資料には、当然のことですが、具体的な取引や商品の説明があります。顧客も、具体的な取引の説明がない資料を見て、「取引したい」とは言わないからです。逆に言うと、取引の具体性のない資料、例えば、調査資料であるとか、仕組債や投信の一般的な仕組みについての資料であって顧客の投資教育に役立つ資料などは、勧誘資料には該当しないということになるでしょう。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/12
今朝は涼しいですね。昨夜も涼しい風邪が吹いていました。先週に引き続き、昨夜も事務所周辺をランニングしました。ペ・ヨンジュンがプロデュースした「ゴシレ」近くからスタート、バス通りを恵比寿に向かう途中、伊達坂を左折、一本目を右に入ると恵比寿ガーデンプレイスに到着。ガーデンプレイスを越えると動く歩道の右側、線路に沿った坂道を下り、恵比寿駅側に到着。そこから、田町行のバス通りを田町方面に少し走ると「キムカツ」が見えたので、キムカツでテイクアウトのお弁当を購入し、ひたすらまっすぐ走るってゴール(=スタート地点)。走ってお腹がすいていたので、キムカツのお弁当がおいしかったです。散策気分のランニングは、これで2回目。いろいろなお店を見つけることが楽しみです。来週は、また、別のコースを走ってみます。さて、本題。<検査指摘事項>「金融商品取引業者等に対する検査の結果指摘した事項の主なもの」に基づく、ケーススタディの続きです。前回に引続き、今日、取り上げるのは、法令違反ではなくても検査で指摘され、改善を要請された事項です。<社内規則遵守の重要性>「当社は、1.当社の社内ルールである「コンプライアンス基本規程」において、「コンプライアンス・プログラム」を策定し、コンプライアンス・プログラムの運営体制、コンプライアンス実行計画、研修計画等、必要な事項を定めるとしているにもかかわらず、当該コンプライアンス・プログラムを策定しておらず、2.コンプライアンス基本規程において、定期的に法令・諸規則等の遵守に関する自主点検すると定めているにもかかわらず、当該自主点検の実施に関する規則を策定しておらず、また、自主点検も実施していなかった。さらに、3.広告等の審査に係る社内規程が整備されておらず、当該審査に係る記録・資料が組織的に保管されておらず、その結果、広告審査が実際に行われたか否かについて事後的に検証できる態勢となっていなかった。」<社内規則の整備>金融庁の監督指針でも、証券取引等監視委員会の検査マニュアルでも、証券会社の場合には日本証券業協会諸規則でも、数多くの社内規則を整備することが求められています。公に整備を求められている社内規則でなくても、必要に応じて社内規則を設けることは、金融商品取引業者等である限り、義務だと考えるべきです。<社内規則の種類>法律には実体法と手続法という分類がありますが、社内規則も大きく2つに分類することができます。一つは、規則そのものを規定する社内規則です。「役職員は、内部情報(インサイダー情報)を管理しなければならない」という規則そのものです。もう一つは、その規則を実現するための具体的な手続きを規定する社内規則です。「内部情報を取得した役職員は、当該情報を情報管理部に所定の報告書で報告しなければならない」は、内部情報の管理を実現するための手続き規定です。例示した指摘事項の中で「自主点検の実施に関する規則を策定していなかった」というのは、前者の規則そのものを規定する社内規則はあったけれども(コンプライアンス基本規程のこと)、後者の具体的な手続きを規定した社内規則がなかったという指摘です。私の経験では、手続き規定の方が、実際の業務運営にとっては重要である場合が多いと思います。手続き規定は、必ず、整備するようにしましょう。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/11
コンタクトレンズ大手のシードが、薬事法違反で東京都から21日間の業務停止処分を受けました。強度を保つ「架橋剤」の含有率が承認を受けていた量と異なっていたことが理由だということです。法令違反は決して許されるものではありませんが、コンタクトレンズの規制は厳しすぎて、消費者が迷惑していることは事実でしょう。「規制は誰のためにあるのか」が問われる数多くあるケースの一つだと思います。さて、本題。<ケーススタディ>検査の実態を知るために、今日から、実際に証券取引等監視委員会が金融商品取引業者の過去の検査で指摘した事項を取り上げて、ケーススタディーをしていきましょう。<検査指摘事項>手元に、「金融商品取引業者等に対する検査の結果指摘した事項の主なもの」を印刷して用意してください。今日、取り上げるのは、法令違反ではなくても検査で指摘され、改善を要請された事項です。<社内規則遵守の重要性>「当社は、1.当社の社内ルールである「コンプライアンス基本規程」において、「コンプライアンス・プログラム」を策定し、コンプライアンス・プログラムの運営体制、コンプライアンス実行計画、研修計画等、必要な事項を定めるとしているにもかかわらず、当該コンプライアンス・プログラムを策定しておらず、2.コンプライアンス基本規程において、定期的に法令・諸規則等の遵守に関する自主点検すると定めているにもかかわらず、当該自主点検の実施に関する規則を策定しておらず、また、自主点検も実施していなかった。さらに、3.広告等の審査に係る社内規程が整備されておらず、当該審査に係る記録・資料が組織的に保管されておらず、その結果、広告審査が実際に行われたか否かについて事後的に検証できる態勢となっていなかった。」<社内規則の重要性>指摘事項は、まず、「コンプライアンス・プログラムを定めると社内ルールにあったにもかかわらず、定めていなかった」という点です。一般化して言うと「社内規則を守らなかった」という指摘です。社内規則は、自主的に定めるものです。「自主的に定めた社内規則を遵守できない者が、どうして法令を遵守できようか!」(いやできない)と考えられますから、社内規則違反は、相当に重い罪であると考えなければなりません。逆に言うと、「できないことは社内規則に書くな!」ということです。参考までに、できないことの典型例に「定期的」と「徹底」がありますので、コメントしておきます。<定期的>よく、社内規則に「定期的に点検する」というような形で、「定期的」という言葉を使う会社がありますが(というか、多いですが)、「定期的」と書いた以上は、必ず、定期的(例:毎日、毎月末、四半期末)に実施しなければなりません。定期的にできないことを、格好だけで「定期的」とすると、はっきりいって命取りです。今日取り上げた検査の指摘事項でも、「定期的とあるのにやっていなかった」という点が指摘されています。また、私の検査経験でも、「定期的にミーティングを行うものとする」と社内規則に書いてあったにもかかわらず、頻度が「定期的」ではなかったという一点で、検査指摘事項となったことがあります。<徹底>これも多くの会社で見られますが、「社員に周知徹底する」というように「徹底」という言葉を安易に使うことも考えものです。私の検査経験では、「徹底とあるが、本当に徹底されているのか」と指摘されたことがあります。「徹底とは、文字通り徹底の意味で、社員に周知徹底する、というとことは、社員全員に完全に理解させた、という意味だが、本当か!?」という指摘です。徹底できる自信がないのであれば、「徹底」という言葉を軽々しく使用するものではありません。(もちろん、徹底を目指すのはいうまでもありません。)今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/10
天気予報によると、昨日で局地的な雷雨は終わったようですね。真夜中に、雷の音で起こされて眠れない日がありましたが、生まれて初めての経験です。気圧配置の問題だったようですが、雷の響きは、何だか、地球の「疲れた~!」という悲鳴にように聞こえました。さて、本題。「平成20事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画について」に基づく、検査のポイントのお話は今日で最後です。次回からは、別の角度で検査のポイントをお届けすることを予定しています。<プリンシプル・ベース>平成20事務年度の「基本方針」の特徴は、金融庁の「プリンシプル・ベース」を意識した、「業者の自己責任」をこれまで以上に強調しているところにあります。平成10年の「事前審査型行政」から「事後チェック型行政」への転換以来、業者の自己責任は、検査の基本となりましたが、平成20事務年度のそれは、これまでよりも、その点を前面に出した「基本計画」となっています。プリンシプル・ベースとは、わかりやすく言うと、業者が、原理原則に基づき、各社の創意工夫で自主的にバランスのとれた業務を遂行することを指します。<行政の認識と理解>そういうと聞こえはいいですが、いかにも「輸入もの」の感があり、はたして監督当局の中でも、プリンシプル・ベースについて、共通の理解と認識があるかどうか、甚だ疑問です。ましてや、検査当局に至っては、「業者を裁かなければ、税金の無駄遣い!」と言われかねないというプレッシャーから、どうしても、業者をさばく方向に向きがちですから、監督当局以上にプリンシプル・ベースに対する統一的な認識を期待することはできないでしょう。野村証券が、元社員のインサイダー取引が原因で「業務改善命令」が出されたのは、マスコミや財界の意向に沿ったもので、野村証券では、社員教育が足りなかったとか、社内監視機能が他社と比較して弱かったなどということは、考えられません。おそらく、野村証券の規模になれば、自主規制は業界ナンバーワンの厳しさと適切さがあったと想像されます。それでも、業務改善命令です。プリンシプル・ベースどころか、超法規的な処分であったと私には見えてなりません。話が逸れてしまいましたが、基本計画はプリンシプル・ベースを意識したものになっていますが、検査の対応はこれまでの検査と大差があるとは思えません。ということは、金融商品取引業者等は、何を基準に業務を遂行していれば、処分される可能性が少なくなるでしょうか。<社会規範ウォッチ>ひとつは、日々変化する社会規範や価値基準を常にウォッチすることです。業者の常識は一旦捨てて、業務に取り組む姿勢が必要です。もっと具体的に言うと、消費者が不公平感を覚えたり、マスコミが喜んで報道したりするような事件は何かをウォッチするということです。もう一つは・・・・・今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/08
今日は金曜日ですので、シリーズ「検査のポイント!」は一休みです。それにしても、今回のシリーズは既に23回目!長くなるとは予想していましたが、始めたときも今も、何回まで続けるかを決めていませんので、自分でもビックリです。今日は、本の紹介です。人を動かす!プレゼンテーション―心をとらえるコミュニケーションの技術。コンプライアンスを担当していると、社内研修の講師をする機会が多くなります。また、セミナーの企画会社が企画するセミナーの講師に招かれたりすると、全く知らない人たちの前で、長いときには5時間以上もほとんど通しで話し続けることもあります。そんなときに必要なのが「プレゼンテーションの技術」です。プレゼンテーションの技術は、何も研修やセミナーの講師をするときばかり役立つわけではありません。社内で企画を通すときや顧客に商品を売り込むときももちろん、一対一の会話も、立派なプレゼンテーションです。この本の中で筆者が一貫して主張していることは「プレゼンテーションとは、人に行動を起こさせること」だという点です。なるほど、その通りで、営業であれば商品を買ってもらう、社内の企画であれば企画を通させる、一対一の会話であれば、会話の相手に思い通りの行動をとってもらうなど、人に行動を起こさせることが、プレゼンテーションの目的に他なりませんよね。この本は「どうすれば他人に行動を起こさせることができるか!」について、具体的な方法論を展開します。他のプレゼンテーションの本は、理屈ばかりで役立たないものが多いですが、この本は、すぐに役立ち、誰でもできる技術がちりばめられています。恋愛の告白場面も、プレゼンテーションの技術を生かすことができます。家族関係、人間関係も、プレゼンテーションの技術があれば、快適に進めることができます。「何度言っても、子供が勉強しない!」というお母さんやお父さん、「部下が言うことを聴いてくれない」という上司の方は、子供を動かすプレゼンテーション、部下を動かすプレゼンテーションができれば、子供は自主的に勉強するようになり、部下は積極的に仕事に取り組むようになるでしょう。この本は、様々な場面で、人を動かす必要があるすべての人に役立つ内容でした。ぜひ一度ご覧になることをお勧めします。
2008/09/05
昨晩は、事務所の近くをランニングしました。走るのは1年ぶりに近いので少し疲れました。まだ、蒸し暑かったですが、時折冷たい風が吹き、秋の気配を感じました。上下ランニングウエア(半袖、短パン)で、「ホープ軒」辺りから明治通りを渋谷に向かい、途中の天現寺交差点を右に入り広尾駅の前を抜け、「らーめん香月」の前を通り、西麻生の交差点を右に曲がって坂を登り、「赤のれん」(博多ラーメン)を右に見ながら、六本木ヒルズのけやき坂を下り、つきあたりを右に入り麻生十番商店街を抜けて右折、一の橋の交差点を背にしてまっすぐ走り、「麻生ラーメン」(本店)が左に見えると、間もなくゴール(スタート地点)!4つのラーメン屋を目印に書きました。そうです。私は、ラーメンが大好きで、特に、私が福岡に住んでいた時と同じ味を提供する「赤のれん」が好きなのですが、まさかランニングの途中で食べるわけにもいかず、入りたい気持ちを抑えて、1周してきました(笑)話が逸れますが、東京で福岡並みの味を出しているラーメン屋は、「博多天神」と「赤のれん」だけです。皆さんも、一度試してみては?ちなみに、私の注文はいつも「粉落とし」です。生めんに付いた粉を落とす程度にしか麺をゆでない、最も硬い麺です。前置きが長くなりましたが、本題です。<重点検証分野>「平成20事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画について」の2.平成20事務年度の検査実施方針の(2)として「重点検証分野」についてです。<説明責任>ところで、業者の「説明責任」は、とても難しい概念です。ここではあまり深くは追求しませんが、少し、考察してみましょう。説明責任は、次の2つの文脈で語ることができます。1.事業者と消費者との対立構造事業者(ここでは金融商品取引業者等)は、消費者(投資家)よりも情報を多く持っている。この状態を、事業者と消費者の間に「情報の格差」があるとか、「情報の非対称性」というが、事業者は、消費者との間の情報の格差を埋めるために、情報を提供する義務がある。この文脈で金融商品取引法の説明責任を捕らえると、金融商品取引業者等は投資家よりも提供する商品やサービスに関する情報を持っているから、投資家に情報を提供することによって、投資家は金融商品取引業者等と同等の立場で投資判断をすることができるとなります。情報格差がなくなることで初めて、投資家は、自己責任の原則で投資判断をすることができるようになります。このように、業者の投資家に対する説明責任を情報格差の観点から考えるのが一般的です。事実、金融商品取引法の規制のうち、特定投資家との取引には適用されない規定は、広告等規制、契約締結前交付書面の規制など、情報格差を是正するための規制ですから、金融商品取引法の考え方に沿っているものといえます。しかし、実際には、例えば株券の売買を考えてみると、投資判断の一つのよりどころとなる発行企業の情報について、金融商品取引業者等も投資家も、有価証券報告書など金融商品取引法に基づく開示書類で確認する他に方法はありませんので、業者が説明するまでもなく、業者と投資家は同じ立場にあります。また、投資信託や債券の場合も、募集や売出しで発行されたものであれば、業者も投資家も有価証券届出書で内容を確認するしかなく、やはり、情報格差があるとはいえません。では、どうして、「情報の格差」という概念を金融商品取引法は導入したのでしょうか。消費者契約法等の影響だと考えられます。2.開示の原則の影響有価証券が発行されると、有価証券届出書や有価証券報告書で企業情報や証券情報が開示(法定開示)されます。ただし、法定開示が要求されるのは、募集と売出しのときだけです。少人数向け勧誘(「私募」で覚えている方が多いと思います)の場合、発行者は法定開示の必要がありません。そこで、少人数向け勧誘の場合でも、投資家の情報収集の機会を担保するために、法定開示の代替手段として、金融商品取引業者に説明義務を課したという見方もできます。ただ、この考えはムリがあるので一般的ではありません。説明義務者である金融商品取引業者は、必ずしも、発行者のことを知っているわけではありませんので、法定開示の代替にはなりえないからです。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/04
最近、どうも元気がでません。夏バテでしょうか。経済情勢が悪いからでしょうか。政治情勢が不安定だからでしょう。雑誌原稿の締め切りが近いからでしょうか。職場環境の問題でしょうか。いろいろあっても、ポジティブ・シンキンングですね!さて、本題。<重点検証分野>「平成20事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画について」の2.平成20事務年度の検査実施方針の(2)として「重点検証分野」についてです。<投資勧誘の状況や分別管理の適切性に係る検証>監視委員会は、金融商品取引業者等が適切に投資勧誘を行っているかどうかを検証するために、「(顧客属性に見合った)説明責任が果たされているかなど、特に適合性原則の観点から検証する」としています。<適合性の原則と説明責任>監視委員会の書き方は、説明責任が適合性の原則の一部を構成するような書き方ですが、これは間違いでしょう。適合性の原則とは、金融商品取引法に沿っていうと、「金融商品取引業者等は、商品やサービスを顧客に提供するときには、顧客の知識、経験、財産の状況、投資目的に照らして、適合する商品やサービスを提供するようにしなければならない」という原則(ルール)です。例えば、投資経験が短い=投資に関する知識や経験が浅い投資家にオプション取引を勧めるのは適合性原則の違反になり得ます。また、例えば、退職金を手堅く運用したいという顧客に、株券の信用取引やデリバティブ取引を勧めるのも適合性原則の違反になり得ます。適合性の原則は、業者に顧客を良く知ることを求めるルールです。業者は、顧客の知識、経験、財産の状況、投資目的など顧客についてよく知った上で、投資勧誘を行わなければならないというルールが適合性の原則です。一方、業者の説明責任とは、投資家の自己責任を担保するための業者の義務で、適合性の原則とは、直接の関係がありません。監視委員会の言いたいことはわかりますが、監視委員会の書き方は「誤解を生ぜしめるべき表示」でしょう。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/03
今日のトップニュースは、迷うことなく福田さんの総理辞任ですね。記者会見で「総理の話はひとごとのようだ」と記者に言われた福田さんは「私は、あなたと違って自分を客観的に見ることができるんです」と、最後まで、「自分は」、「自分が」と自分中心の人でした。「自分は」、「自分が」と"I"(私)を中心に話す人は、信用されません。一国の総理が「自分」中心、「自分は分かっている」、「あなたとは違う」という態度で、過去1年、日本を引っ張っていたと思うと、背筋が寒い思いをしますね。さて、本題。<重点検証分野>「平成20事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画について」の2.平成20事務年度の検査実施方針の(2)として「重点検証分野」についてです。前回に引き続き、ここでは特に、第二種金融商品取引業や投資運用業を行う会社の注意点をお話します。<第一種・第二種・投資運用業>投資助言・代理業を除き、その他すべての金融商品取引業者が注意しなければならない点は、適切な時価評価です。<第一種金融商品取引業>証券会社の場合は、月末時点で顧客に提供する「時価評価」が問題になります。顧客に提供する時価評価では次の点に注意する必要があります。1.営業部門と無関係の部門で計算されること。営業部門はできるだけ高い時価評価を顧客に提供したいと考えるため、恣意的に高い時価評価がされる恐れがあるからです。営業部門が時価評価のプロセスに少しでも入る可能性がある証券会社は、その時点ではゲームオーバーです。実際に、高い時価評価を提供し、会社法違反(違法な利益配当)に加担したとなれば、牢屋行きも避けられません。2.時価評価を計算するファクターと計算方法を変えないこと。ファクターや計算方法を変えるということは、とりもなおさず、恣意性があるということです。変更する合理的な理由があれば変更も可能ですが、そのときには必ず、事前又は同時に顧客に合理性を説明する義務があります。義務違反は、即、営業停止もあり得ることを覚悟しておく必要があります。最近の検査の指摘で、恣意的にではなく、単に間違った時価評価を提供した会社が、証券取引等監視委員会の検査で指摘されている事実には注目です。<第二種金融商品取引業>不動産信託受益権や貸付債権(金銭債権)信託受益権を投資家に販売する第二種金融商品取引業を行う会社は、顧客に提供する「取引価格」と取引後の「時価評価」が適切であることが求められます。不動産信託受益権では瑕疵ある物件の瑕疵を見落として時価を算定した場合や、貸付債権信託受益権では受益権の流動性を加味することなく時価を算定した場合は、アウトです。<投資運用業>投資運用業を行う会社で、不動産や未上場株など、取引所に上場されていない資産で運用する会社は、不動産価格や未上場株などの投資対象資産を適切に評価する義務があります。この義務を怠ることは、それが不注意であっても、忠実義務違反又は善管注意義務違反となり、金融商品取引法の禁止規定に違反することになりますので、営業停止を覚悟せざるを得ません。実際、最近の検査事例でも、投資対象資産の価格評価が不適切だったとして、営業停止になっている会社が数多くあることは、ご存知の通りだと思います。取引所で取引されていない資産で運用する会社は、鑑定士や評価会社など第三者機関の意見を取引価格に反映される必要があります。コストはかかりますが、金融商品取引業者の登録を取り消され、会社がなくなるダメージに比較すれば、必要最低限のコストであることがご理解いただけると思います。今日は、ここまで。続きは、明日以降お話します。金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。
2008/09/02
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