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去年の今頃は結構蒸し暑くて台所もひどいものだったが、今年はどうやら過発酵の心配もなく秋になってしまいそうである。去年は生イーストのパンで何度も過発酵の恐怖に遭遇してスリル満点の夏を過ごしたものだが、おかげでイーストの働きを邪魔しながらおいしいパンを作る方法もいくつか見つかった。そのレシピの中からコーヒーを使ったものを日記でも紹介しているが、ついにその効果を再確認するチャンスがないままになってしまったようだ。 前置きが長くなったが、今日はそのパンを作ってみた。まだ準備中なのだが、レシピのページに配合だけ載せてあるので参考にされたし。作り方は全部の材料をパンケースに入れてピザ生地コースでガーッとこね、1次発酵後に取り出して8分割し、丸く成形して倍になったら180度で焼き上げると言うもの。なんて事はないシンプルな作り方である。 さて、ここで問題にするのはイースト投入のタイミングである。HBでは、機種によって水分を先にケースに入れるものと最後に注ぎ入れるものとがある。ドライイーストは、ナショナルのようにイースト投入口が別に付いているもの以外は粉の上にくぼみを作るなどして置くものが多いようだ。このドライイーストも、初めからセットせずにあとから加えてみた事がおありだろうか?たとえば全部の材料をセットしてスイッチを入れ、こね始めて3~5分後にイーストを加えるのである。こうすると、同じイーストの量でもパンはよりふっくらと膨らむのだ。手ごねでも同じ事で、ある程度グルテンを作ってからイーストを振り入れてやるとそれまでよりも更にふっくらしたパン生地になってくれる。 ところで、このドライイーストを粉の上に置くと言うのはどういう意味があるのだろうか?要はイーストが水に触れないようにすればいいわけだが、これは予約タイマーをセットして焼く時に大切になってくるようだ。つまり、パンを8時間後に焼くようにセットしても、イーストが水に溶けてしまうと勝手に発酵してしまうからである。次いで、イーストの発酵を邪魔する塩や油分から、粉で仕切りをつけて遠ざけておく意味もある。結局は全部こね合わせるのだが、最初に気持ちよく発酵出来そうな雰囲気を作ってやる事は大事なようである。手ごねの場合でも同様で、塩や特に油分などの邪魔物は最後のほうに加えると効率よく生地を作る事が出来る。腕力に自信のない方などは、初めに水と粉、砂糖だけをよくこね、次いでイースト、塩、油分の順に混ぜながらこねるとかなり楽に作業が進むと思う。これは私が初心の頃に経験した事である。 以上は、もちろんイーストが十分に働ける事を前提にしたものである。これが夏の蒸し暑い環境では裏目に出る事は前にも述べた。だから過発酵を抑えるには全てを、またはその一部を逆に扱えばいい事になる。ここではイースト投入のタイミングについてお話ししているのでそれに限定するが、HBに材料をセットする時には最初からイーストも加えてしまうとか(しかも少量)塩やバターの上に直接イーストを置くなどである。 ここで今日作ったパンの話に戻るが、パンケースに入れた順番はこうである。塩、砂糖、バター、スキムミルク。この上に粉を入れるが、今日はコーヒーを落とすタイミングを逃してしまったのでインスタントコーヒーを使う事になり、こっちを先にケースに加えてから粉を入れた。最後に水の大部分を回しかけ、残りの水に生イーストを溶かしてから注ぎ足す。これをピザ生地コースでこね、30分で1次発酵完了となった。ごく普通のペースである。 このレシピを考えた時は、上にも書いたようにサウナのような台所生活を続けている最中だった。HBもかなり参っていたらしく、イースト投入の時間になっても動きが止まってしまう事もしばしば。1次発酵などはスイッチを切ってしまっても最短で15分しかかからない事もあったほど。そこでこのコーヒーパンのレシピを考えたのだが、配合は同じでも材料をケースに入れる順番は次の通りだった。まず最初に生イースト。その上に塩とバターをまぶしつけるように入れ、次いでスキムミルクと砂糖。水分として濃いコーヒー液を作ってアイスコーヒーにしたものを使ったのだが、これもイーストの働きを鈍らせる要因らしい。しかしナショナルのHBは水分を最後に注ぎ入れる設定なので、粉を加えてからコーヒー液と言う順になる。あとは同様にピザ生地コースでこねて倍になるまで1次発酵。この時は40分もかかった。もし今日この順でケースに入れていたら、おそらくは1時間以上も発酵にかかったのではないかと思う。 以上のように、イースト投入のタイミングを変えるだけでもかなり面白い事が出来る。私はまだ使った事はないが、インスタントではない、つまり予備発酵の必要なドライイーストもあるようで、これを予備発酵せずに使うと更に発酵が遅れるのだろうかと興味津々である。もっともこちらはもう涼しいので、発酵を遅らせる意味などまるでないのだが。☆☆☆ 今日は焼いたパンの試食やら買い物やらでムッシュのケーキを食べ損ねてしまいました。明日もお墓参りだし。ケーキの感想を楽しみにされていた皆様、ごめんなさい。あと6種類、想像力をたくましくしてお待ちください。
2003年08月13日
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昨日から、また以前のように掲示板に返信出来るようになって一安心。開くのにかなり時間はかかるけど、まあ良しとしましょう。 ところで、焼いたパンが縮むとのお問い合わせをいただいていた。返信は直接しておいたが、興味がおありの方もあろうかと思い、考えられる理由などをここにも少し書いてみる事にする。 まずは2次発酵の過発酵がある。経験された方は忘れられない恐ろしい思い出になっていると思うが、とにかく臭いがひどい。私の経験で最悪だったのは、オーブンに入れて焼き始めたと同時にパン生地が見る見る陥没していったもので、ほとんどアリ地獄状態。しかし見た目より何より悪臭がするので、とても食べる気になどなれない。これはイーストの場合だったが、ホシノ酵母でひどい2次発酵の過発酵になった時は、悪臭なんてものではない。モロに腐敗臭で、オーブン内にも臭いが染み付いて悲惨だった。以来、2次発酵はどうも早めに切り上げてしまう傾向にあるのだが。 それほどひどくなくても、焼成であまり膨らまず、なんとなく白っぽいままで焼き色が付かず、表面がピカピカした感じだったら、これも2次発酵での過発酵の可能性がある。生地のキメが粗くて蜂の巣のようで、硬くもちもちしていたら決定的である。ただし、酵母パンでこの程度の過発酵なら、特にリッチな生地のものだったら冷凍保存をおすすめする。少しくらい酸味が出ても、冷凍している間になぜかマシな味になってくれるからである。 焼成ではぷーっと膨らんだのに、出したら縮んでしまった、と言う場合。これもいろいろ原因が考えられるが、主に水分の割合が多い事、焼きが不十分な事などが挙げられる。水分が多いやわらかい生地は、焼きが足りないとどうしても縮んでしまいがち。が、ある程度までは水分の多いほうがふわふわに仕上がるので、どちらを取るかは食感の好みによるかもしれない。しっかりとコシのある生地が好きならば水分を減らせばいいし、水分を多くしてじっくり熱を通すのは我が家流。HBお任せでもぎりぎりまで水分を入れるので、パンケースから膨らんではみ出した生地は、形よく上に盛り上がらずにキノコの傘みたいにだらっと縁に乗っかっている。いかに生地がやわらかいかがわかろうと言うものだが、パンケースをバンバンたたいてショックを与えてやれば、そのあと網に取り出してもパンは縮まない。 型に入れないパンや、小さく丸めたパンは、もちろんバンバンたたくワケにはいかない。それでもふわふわに膨らんだものは縮む事もあるので、私はミトンで持ち上げて少し高い所からポンとテーブルの上などに落としてやる。それから網の上に乗せればいいのだが、メロンパンや、その他トッピングのあるパンは丁寧に扱いたいもの。たまにクッキー生地やチョコチップが吹っ飛んでしまう事がある。決してやけくそではないのだが……。 ちなみに、油分が多いとやわらかな、腰折れ(焼いたあとに、ふにゃっと崩れる状態)しやすい生地になるが、同じバターの量をクリームチーズに置き換えるとなぜかそれが起きない。クリームチーズはほとんどが油分と言う恐ろしくカロリーの高いチーズだが、バターの代わりに少量使うならそれほど心配でもないのでは? クセも少ないから、意外にあっさりしたパンに仕上がってくれる。 焼いたパンが縮む場合、生地のガスが充分に抜けていないと言う事もある。特にHBでお任せにする場合が多いのだが、もし2次発酵終了時までガスがどこかに残っていると、焼きに入った時にはそれがそのまま空洞を作ってしまう。その空洞がパンの上部にあったら、パンが冷めるに連れてパリッとしていた外側がしっとりとなり、空洞の部分がぽかっと落ち込む事があるのである。特に国産の粉を使うと、粘りが強いせいかこの現象が起きやすいようだ。その点、手で成形したものはガスがしっかり抜けるから、こんな事はあまり起きないように思う。HBお任せできれいにガス抜きしたいと思ったら、HBの最後のガス抜きの時に自分の手で丁寧に丸め直すといい。ついでに羽根も取ってしまえば、パンの底に大穴を開けずに済む。私はついつい最後まで放置してしまうが、プレゼントする時などは多少の手間はかけたいものである。
2004年04月02日
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昨日夏みかんのピールが出来上がったのだが、今回は最上の仕上がり。とにかくやわらかいし、しっとりして甘い。これは2度丁寧に茹でこぼしたせいもあるのかな。 ところが、今回のものは香りが薄い。本体にも乏しいものだから、当然シロップにも少ししか付いていない。これは、むいた皮を長々と冷蔵庫に放置しておいたせいに違いない。やはりカラカラになるまで、と言うのはいい事ではないらしい。 しかし、中身もしっかりと楽しみたい場合にはいい方法だと思うのだが、冷蔵せずに冷凍だったら香りは残ったのだろうか? 皮の新鮮さと香りのために中身を大急ぎで処理するか、香りは犠牲にしても中身をおいしく食べるか、う~む、究極の選択だな、こりゃ。あ、中身も冷凍すればいいのか?☆☆☆ ところで、最近ニュース番組でルバーブを取り上げることが多くなった気がする。先日は道央の栗山と言う所で栽培されているニュースをやっていて、そこのものは雪が降るまで収穫出来るのだとか。原産はロシアだと言うから、やはり寒い所で育てるのに適しているのだろう。 そして、今朝のラジオでもルバーブの話題をやっていた。ちょっと聞き逃したから確かではないが、多分帯広の近くで栽培されているような話だった筈。何年か前にアメリカのオレゴン州から持ち帰ったクリムゾン・ルバーブと言う品種のもので、加熱すると透き通るような鮮やかな赤に変わると言う。どれでもそうなんじゃないの? と思ったが、CUOCAさんで購入したフランス産のコンポートは緑だった。いくつか種類もあるのに違いない。 そういえば今年の初めに、ある百貨店でのケーキ・フェアの話題をやっていたが、実家の近くのケーキ屋さんで出しているルバーブのパイは、丘珠(飛行場の近く)で栽培されているものを使っているそうな。知られていないだけで、案外いろんな所で育てられているのかも。どこかに苗はないスかねえ。
2004年06月08日
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