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ジョー・バイデン米大統領は1月27日、ロシア軍が来月にもウクライナへ軍事侵攻する可能性があると主張、それをロシア政府は否定した。その前日にロシア、ウクライナ、フランス、ドイツがパリでウクライナ情勢について討議、事態を平和的に解決することで合意している。 こうした和平の動きをアメリカは壊したいのだろうが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは西側の記者に対し、侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にすると発言、パニックを作り出そうとしないように求めた。すでにウクライナ国防省はロシア軍の軍事侵攻が迫っているという話を否定、ドミトロ・クレバ外相も軍事侵攻するために十分な兵力は集結していないと語っている。 アメリカがネオ・ナチを使って実行した2014年2月のクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権は倒されたが、ネオ・ナチ体制への反発からゼレンスキー政権は生まれた。そのゼレンスキー政権もこれまではアメリカの命令に従ってきたが、その好戦的な政策がウクライナの存続を危うくする事態になり、アメリカ離れを始めたということだろう。 ロシアがアメリカに求めているのは、アメリカの軍事的支配地をこれ以上拡大させるなということ。それはロシアを奇襲攻撃で破壊する準備になるからだ。ドイツが1941年6月に始めた「バルバロッサ作戦」でソ連は大きなダメージを受け、1991年12月に消滅するまで完全に立ち直ることはできなかった。その二の舞は御免だというわけだ。 アドルフ・ヒトラーはソ連への侵攻作戦に約310万人を投入した。西側には約90万人しか残していない。西側から攻められたらひとたまりもなかったのだが、そうしたことは起こらなかった。西部戦線でドイツ軍と戦っていたのは事実上、レジスタンスだけだ。 イギリスとアメリカが動き始めたのは、ソ連へ攻め込んだドイツ軍が1943年1月にスターリングラードでの戦いで敗北した後。その年の7月にアメリカ軍とイギリス軍はマフィアの協力を得てシチリア島へ上陸した。レジスタンスの主力はコミュニストだが、シチリア島でもコミュニストの影響力は大きかった。コミュニスト対策でマフィアと手を組んだのである。それ以降、マフィアはアメリカの情報機関と同盟関係にある。 同じ頃、アメリカとイギリスの情報機関はレジスタンス対策で「ジェドバラ」というゲリラ部隊を編成する。戦後、その人脈が軍の特殊部隊やCIAの破壊活動部門を作り上げた。1949年に結ばれた条約に基づいて作られた「NATO(北大西洋条約機構)」の主要な目的はヨーロッパを支配することであり、加盟国には破壊活動を行う秘密部隊が編成されている。中でも有名な部隊がイタリアで爆弾テロやを繰り返し、クーデターを試みた「グラディオ」だ。 アメリカやイギリスの金融資本から資金を提供されていたナチスがソ連へ攻め込み、その時にイギリスは動かなかった。そのほかにも米英の私的権力とナチスとの連携を示す事実は少なくないが、アメリカやイギリスを「善玉」ということにしたい「親米派」はこれを認められない。 この幻影を世界に広めるためのプロジェクトをCIAは第2次世界大戦が終わって間もないころから行っている。「モッキンバード」だ。このプロジェクトについてデボラ・デイビスが『キャサリン・ザ・グレート』という本で詳しく書いている。このプロジェクトを指揮していたのは4人で、第2次世界大戦中からアメリカの破壊活動を指揮していたアレン・ダレス、ダレスの側近で戦後に極秘の破壊工作機関OPCを率いていたフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で後にCIA長官に就任するリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだ。(Deborah Davis, “Katharine the Great,” Harcourt Brace Jovanovich, 1979) ワシントン・ポスト紙はCIAと緊密な関係にあるわけだが、その新聞の記者としてウォーターゲート事件を取材したカール・バーンスタインは同紙を辞めた後、1977年に「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌で書いている。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) また、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出し、世界各国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。ウルフコテは2017年1月、56歳の若さで心臓発作のために死亡した。 そうした情報操作はソ連が消滅した後、1990年代から露骨になる。ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビアを先制攻撃する前にも偽情報を流していたが、シリアの場合は有力メディアの「報道」から事実を探す方が難しくなる。 例えば、リビアの体制転覆に成功した後、アメリカなど侵略国はシリアへ戦力を集中させる。その際にダーイッシュ(ISIS、ISIL、IS、イスラム国とも表記)の種を蒔き、DIA(国防情報局)から危険だと警告されているが、この事実は無視された。この話を取り上げると、ダーイッシュを作り上げたのがバラク・オバマ政権だと知らせることになる。その政策を警告したマイケル・フリン中将を有力メディアは後に攻撃したが、それも難しかっただろう。 2012年5月にシリア北部ホムスで住民が虐殺されたが、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと宣伝する。イギリスのBBCはシリアで殺された子どもの遺体だとする写真を掲載したが、これは2003年3月にイラクで撮影されたもの。オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく、廃墟に変えて掲載したことも発覚した。 西側の有力メディアは自分たちで取材せず、現地の情報源を使う。嘘が発覚した場合、責任を回避することが目的だろう。そうした情報源のひとりがシリア系イギリス人のダニー・デイエムだったが、デイエムの「情報」が作り話だということが発覚する。撮影スタッフと演出の打ち合わせをしている場面が2013年3月にインターネット上へ流出したのだ。 2012年の前半、メルキト東方典礼カトリック教会の修道院長、フィリップ・トルニョル・クロがシリアへ入って調査、その報告をローマ教皇庁の通信社が伝えている。 この人物は「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」と報告していた。虐殺しているのは外国から侵入したサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)の戦闘員で、資金や武器はカタールやサウジアラビアから得ているとしていた。これは事実だが、アメリカ、イギリス、フランス、トルコなども侵略に加担していた。 フィリップ・トルニョル・クロの報告は2012年のシリアだけでなく、現在の世界情勢全てに当てはまる。西側の有力メディアが流している話を鵜呑みにすることは犯罪的である。
2022.01.31
ロシア、ウクライナ、フランス、ドイツは1月26日にパリでウクライナ情勢について討議、事態を平和的に解決することで合意した。軍事的な緊張を高めているアメリカは参加していない。アメリカの好戦派が得意とする「偽旗作戦」も実行しにくいだろう。生物戦争も見え見えだ。 アメリカ軍はシリアやイラクを含む中東に軍隊を送り込み、軍事作戦を展開しているものの、影響力は低下している。おそらくアメリカが黒幕だったであろうカザフスタンでのクーデターも失敗した。そこで注目されているのが台湾だ。独立を望む勢力を焚き付け、軍事的な緊張を高めている。ロシアより中国の方が組みやすいと考えているのかもしれないが、現在、ロシアと中国は戦略的な同盟関係にある。 日本は明治維新以来、基本的にアメリカやイギリスの巨大金融資本の影響下にある。日本に支配されていた時代の台湾は間接的にアングロ・サクソンの影響下にあったと言えるが、一時期、中国との関係を優先していた。それが変化したのは蔡英文が総統に就任にした2016年以降。アメリカに従属し他のだが、アメリカはフィリピンにも強い圧力を加えている。橋頭堡と位置づけられているであろう韓国でもアメリカの圧力は強いようだ。 ハルフォード・マッキンダーがまとめた長期戦略では、ユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げ、最終的にロシアを制圧して世界の覇権の握ることになっていた。この長期戦略をその後も放棄されていない。その戦略にとって日本列島から琉球、台湾、フィリピンへ連なる島々は重要な意味を持つ。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」につながった。 明治政府がアメリカやイギリスの外交官に煽られて台湾へ派兵したのは1874年。その翌年に李氏朝鮮の首都を守る要衝、江華島へ軍艦が派遣して挑発し、大陸侵略が始まる。その日本をアヘン戦争で大儲けしたアメリカやイギリスが支援した理由は言うまでもないだろう。 ハワイの真珠湾を攻撃して日本はアメリカやイギリスと戦争を始めたが、大戦後に主従関係は復活する。ウォール街に天皇制官僚システムが従属するという関係だ。 GHQ/SCAPに保護された旧日本軍の将校は少なくないが、そのひとり、岡村寧次大将の下へ蒋介石のグループは接近する。1949年4月に岡村の下へ曹士徴を密使として派遣する。当時、岡村はGHQ/SCAPの保護下に入っていた。岡本たちの行動の背後にアメリカがいたのだろう。 曹は岡村や富田直亮少将と東京の高輪で会談して台湾義勇軍を編成することで合意、富田少将が「白鴻亮」の名前で義勇軍を指揮することになった。そこで義勇軍は「白(パイ)団」と呼ばれている。 白団は1950年の正月頃に台湾へ渡り、日本軍の戦術や軍事情報を台湾軍に教育して国家総動員体制を伝授しはじめたが、その工作には陸軍士官学校34期の服部卓四郎、西浦進、堀場一雄、あるいは海軍の及川古四郎、大前敏一らが協力していた。翌年の夏までに83名の旧日本軍参謀が台湾へ渡り、1969年のことまで顧問団として活動を続けたが、途中で工作の主導権はアメリカが握る。 その一方、CIAの顧問団に率いられた約2000名の国民党軍は1951年4月に中国領内へ軍事侵攻、一時は片馬を占領したが、反撃にあって追い出された。翌年の8月にも国民党軍は中国へ侵攻しているが、この時も人民解放軍の反撃で失敗に終わっている。 1958年8月から9月にかけて台湾海峡で軍事的な緊張が高まるが、ダニエル・エルズバーグによると、その際、ジョン・フォスター・ダレス国務長官は金門島と馬祖に核兵器を投下する準備をしていた。ジョー・バイデン政権は同じことが国防総省で議論されているという。現在、アメリカの特殊部隊と海兵隊の隊員約20名が昨年から台湾で兵士を訓練しているという。 アングロ・サクソンが19世紀から続く長期戦略を放棄せず、日本が現在もその戦略に従っている以上、似たことが起こるのは必然だろう。「戦争ごっこ」に興奮していると、取り返しのつかないことになる。
2022.01.30
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は1月21日現在、前の週より414名増え、2万2607名に達した。 一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われ、実際は20万人から200万人に達するということになる。また、死亡を含む深刻な副作用を引き起こしている「COVIDワクチン」が限られたロットに集中していることはVAERSでも確認できる。
2022.01.29
今にもロシアがウクライナへ軍事侵攻するかのような話をアメリカの政府や有力メディアは流し、軍事物資を運び込み、軍事訓練も行なっているが、ヨーロッパでは事態の沈静化を図る動きが進んでいる。 1月26日にはパリでロシア、ウクライナ、フランス、ドイツが軍事的な緊張が高まっている問題について協議、事態を平和的に解決することで合意した。ウクライナの現体制は2014年のクーデターで誕生したのだが、その際に結ばれた停戦合意を尊重するということだ。 ロシア軍の軍事侵攻が迫っているという話をウクライナの国防省は否定していたが、ドミトロ・クレバ外相も軍事侵攻するために十分な兵力は集結していないと語っている。ウクライナのNATO加盟問題にロシアは口を出すなとしていたEUのジョセップ・ボレル外務安全保障政策上級代表でさえ、対話を継続するべきだと語っていた。反ロシア感情が強いはずのクロアチア大統領も全面戦争へ向かって動き出したならNATO軍へ派遣している自国軍を撤退させるとしている。 パリで会議が開かれる4日前、ドイツ海軍の海軍総監だったケイ-アヒム・シェーンバッハ中将が辞任を申し出た。ロシア軍がウクライナへ軍事侵攻しようとしているとする話は「ナンセンス」であり、ウクライナがクリミアを取り戻すことなど不可能だと21日にニューデリーのシンクタンクで語ったことが問題にされたのだが、問題にしたのはアメリカ政府だろう。 ウクライナで軍事的な緊張を高めてきたのはアメリカ/NATOにほかならない。そこでロシアはアメリカの軍事的支配地の拡大をこれ以上容認できないとしている。そこで、NATOをこれ以上東へ拡大させないこと、モスクワをターゲットにできる攻撃システムをロシアの隣国に配備しないこと、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わないこと、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけないこと、定期的に軍同士の話し合いを実施すること、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないことなどを文書で保証することを求めている。アメリカ政府はロシア政府へ「回答文書」を渡したが、肝心の問題には触れていないと言われている。 ウクライナでの問題に限らず、軍事的な緊張を高める上で西側の有力メディアが果たしてきた役割は小さくない。2003年3月にイラクを先制攻撃する前、アメリカの政府や有力メディアはイラクが「大量破壊兵器」を保有し、すぐにでも使うかのように宣伝していた。 そうした宣伝に熱心だったひとりがウォールストリート・ジャーナル紙のマイケル・ゴードン。2002年に彼はニューヨーク・タイムズ紙でジュディス・ミラーと一緒に偽情報を広めていた。 2020年に入ってから世界はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で麻痺している。その感染症の実態はいまだに明確でないが、その病気を引き起こしているとされているSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は武漢病毒研究所から漏れ出たとする話をゴードンは盛んに伝えていた。 また、ミラーは2005年にニューヨーク・タイムズ紙を離れ、07年にウィリアム・ケーシーの政策研究マンハッタン研究所へ入り、08年にはFOXニュースへ移動、2010年にはニューズマックスへ移った。ここはケイシーやCIAと関係の深い富豪、リチャード・メロン・スケイフから支援を受けていた。またCFR(外交問題評議会)のメンバーにもなっている。 アメリカに抑え込まれていたヨーロッパが独自の動きを見せ始めたように見えるが、そのタイミングでCOVID-19騒動も沈静化の動きがヨーロッパでは出てきた。その時期にCOVID-19騒動を煽っている日本は軍事的にも前のめりになっている。この国の「親米派」は自分たちのボスに忠誠を誓うことしかできないようだ。
2022.01.29
2000年のオリンピックで吊り輪の金メダルを獲得、引退後はハンガリーで器械体操のコーチをしていたシルベスター・チョラニーが1月24日に死亡した。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)で死亡したかのように伝えた有力メディアもあるが、実際は「COVID-19ワクチン」を接種した後に死亡したのだと言われている。 アメリカのCDC(疾病予防管理センター)のMMWR(罹病率死亡率週報)に発表された報告の中で、「COVID-19ワクチン」を最初に接種してから14日未満の人は非接種者と見なすとされているが、ハンガリーでどのように分類されているかは情報がない。生前、チョラニーは「ワクチン」に反対していたともされているが、それを示す証拠は見つかっていない。 日本では現在でもPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の陽性者を「感染者」と見なしているようだが、PCRは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術であり、その目的は分析。その増幅サイクル(Ct)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になるだけでなく、偽陽性が増えていく。これは本ブログでも繰り返し書いてきた。 偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。PCRを使うならば、少なくともCt値を同時に公表しなければ意味がない。なお、WHO(世界保健機関)が2020年12月14日、PCRのCt値を高くしすぎないようにと通告している。要するに、SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)を含む病原体を検出する手段としてPCRは不適切であり、感染を確認できない。 PCRを利用したSARS-CoV-2の診断手順はドイツのウイルス学者、クリスチャン・ドロステンらが2020年1月に発表、その手順をWHOはすぐに採用して世界に広まったが、その当時、単離されたウイルスを使えなかったことをCDCは認めている。少なくともその時点でSARS-CoV-2の存在が確認されていない。しかも手順に科学技術的な間違いがあるとする指摘が出されるようになり、2021年1月20日にはWHOでさえPCR検査が診断の補助手段だとしている。 CDCは当初、アメリカで診断のために使われていた「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」はインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるとしていた。 しかし、2021年7月21日、この診断パネルのEUA(緊急使用許可)を12月31日に取り下げるとCDCは発表。COVID-19の原因とされるSARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できないからだという。SARS-CoV-2とほかのコロナウイルスを区別できるのだろうか? COVID-19は重症の急性呼吸器症候群を引き起こすというストーリーはすでに崩壊、「COVID-19ワクチン」が深刻な急性の副作用を引き起こすことは明確になっている。中長期的にどのような副作用が引き起こされるかは不明だ。 日本では「オミクロン」なる悪霊が広がっていると宣伝されている。この「変異種」が最初に発見されたのはボツワナと南アフリカだが、南アフリカ政府の主席顧問を務めるバリー・シューブによると、オミクロンは深刻な事態を引き起こしていないと語っている。「感染力」はあるかもしれないが、「危険度」は小さいということだ。それにもかかわらず、社会システムをさらに破壊する口実に使っている。 こうした事実が知られるにつれ、各国で「ワクチン」の強制的な接種やロックダウン、あるいは強制収容所の建設に抗議する活動が展開され始めた。そうしたこともあり、デンマークではCOVID-19に関係する規制を止めるという。他の国でも軌道修正の動きがある。 そこで、COVID-19騒動を仕掛けたグループが新たな手を打ってくる可能性がある。タグで誤魔化せないなら、新たな生物兵器を投入する可能性も否定できない。 中国科学院の「武漢病毒研究所(WIV)」の研究員へアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から資金が提供されていたとされているが、アメリカはウクライナ、アゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、ジョージアなどロシアの周辺部で研究施設を建設していきた。 アメリカにおける生物化学兵器開発の中心はフォート・デトリック。そこへは日本から生物化学兵器に関するデータや研究員が送り込まれている。 日本の生物化学兵器開発は1930年代から軍医学校、東京帝国大学医学部、京都帝国大学医学部を中心に生物化学兵器の開発が進められた。中国大陸では生体実験が行われている。そうした実験実行するために「関東軍防疫部(731部隊)」や「関東軍軍馬防疫廠(100部隊)」が組織され、「南方軍9420部隊」、「北支那方面軍1855部隊」、「南支那派遣軍8604部隊」も編成されたのだ。 また、アメリカでは国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)も生物化学兵器の開発で重要な役割を果たしている。2018年からコロナウィルスのコウモリからヒトへの感染に関する研究へ数百万ドルを提供したという。
2022.01.28
東京琉球館で2月19日午後6時から「行き詰まった米国の恫喝戦術」というテーマで話します。予約制とのことですので興味のある方は事前に下記まで連絡してください。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8電話:03-5974-1333http://dotouch.cocolog-nifty.com/ アメリカのジョー・バイデン政権はロシアや中国を恫喝、軍事的な緊張を高めています。ロシアとの関係を悪化させる政策を打ち出していたバラク・オバマ政権で副大統領を務めていたバイデンなら不思議ではありませんが、ロシアや中国は恫喝に屈しません。そこで恫喝がエスカレートすることになります。 それに対し、ロシアや中国は受けて立つという姿勢です。通常兵器での戦闘ならば、アメリカはロシアや中国には勝てません。アメリカは経済戦争を仕掛けていますが、一線を超えて本格的な衝突になれば、生産を放棄したアメリカに勝機はないでしょう。 戦争になった場合、ヨーロッパや日本を含む東アジアは戦場になります。アメリカでは政府や有力メディアがロシアのウクライナへの軍事侵攻が近いと宣伝する一方、そのウクライナへ部隊を派遣し、武器/兵器を持ち込むだけでなく、アメリカ南部でウクライナの特殊部隊を訓練しています。 しかし、ヨーロッパの雰囲気は違うようです。例えば、クロアチアの大統領は全面戦争へ向かって動き出したならNATO軍へ派遣している自国軍を撤退させると発言、またウクライナの国防省は危機が差し迫っているとする話を否定しました。1月18日にはドイツのアンナレーナ・ベアボック外相はモスクワでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談しています。 ウクライナをNATOへ加盟させたり、ウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)を制圧することも核戦争で脅せばロシアは黙認するとでも思っていたのかもしれませんが、見通しは外れたようです。ロシア政府はアメリカ政府に対し、交渉を再開する理由が見つからないと言われました。 ウラジミル・プーチン露大統領は「戦争を望まないが、戦争したいなら受けて立つ」という姿勢です。「戦争が不可避なら先手を打つ」と考えているとも言われています。ロシアは本気でしょう。アメリカの恫喝は限界に達しました。 ロシアが復活したことを世界は2008年8月に知ります。それまでアメリカの私的権力はロシアと中国を先制第一撃で殲滅できると信じていました。北京で夏季オリンピックが開幕するタイミングでジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したのですが、ロシア軍の反撃で惨敗したのです。この攻撃にはイスラエルとアメリカが深く関係、両国の衝撃は大きかったでしょう。 イスラエルは2001年からジョージア軍へ兵器を含む軍事物資を供給、軍事訓練も行なっていました。訓練していたのはイスラエル軍のガル・ヒルシュ准将(予備役)が経営する「防衛の盾」で、予備役の将校2名の指揮下、数百名の元兵士が教官としてジョージアに入っていたと伝えられています。 供給された物資の中には、無人飛行機、暗視装置、防空システム、砲弾、ロケット、電子システムが含まれ、イスラエル軍の機密文書が使われていたとする証言もあり、作戦を立てたのはイスラエルだとも言われています。しかもジョージア政府にはヘブライ語を流暢に話す閣僚がふたりいました。 そのほか、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズが元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣して軍事訓練を実施、7月にアメリカのコンドリーサ・ライス国務長官がジョージアを訪問します。そして8月の奇襲攻撃。 つまり、2008年のジョージア軍による南オセチアへの奇襲攻撃はイスラエルとアメリカが黒幕。通常兵器による局地戦で両国はロシアに勝てないことを南オセチアでの戦争は示唆しています。 そこでオバマ政権は2010年に戦術を切り替え、正規軍による軍事侵攻からムスリム同胞団を中心とするジハード傭兵による攻撃を始めたのでしょう。この方法はオバマの師にあたるズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に始めたものです。 アメリカはカザフスタンでもジハード傭兵を使ったようですが、中国の新疆ウイグル自治区でも使おうと画策してきました。ウクライナにもジハード傭兵は入りましたが、あくまでも主力はネオ・ナチ。 現在、ウクライナの周辺ではアメリカ/NATOが軍事的な挑発を繰り返していますが、それと連動してネオ・ナチを含むグループがウクライナ東部で軍事的な活動を活発化させています。アメリカの私的権力は挑発をエスカレートさせていますが、ロシアはその挑発に乗りません。バイデン政権は苦境に陥っていると言えるでしょう。 バイデン政権はロシアや中国を屈服させると決意してルビコンを渡りましたが、両国は恫喝に屈しません。そこで恫喝をエスカレートさせ、両国が設定した「レッド・ライン」に迫っています。アメリカは準備してきた生物戦をロシアや中国に対して始めるかもしれませんが、もし実行したなら、それが致命傷になる可能性があります。 2022年に入って早々、「アメリカ後」のヘゲモニーを誰が握るかという戦いの山場に入りましたが、アメリカの思惑通りには進んでいないようです。そうした点について考えて見たいと思います。
2022.01.27
岸田文雄首相は1月21日にジョー・バイデン米大統領とバーチャル会議を開き、軍事問題を中心に話し合ったという。その翌日にはフィリピン海」でアメリカ海軍の自衛隊が軍事演習を実施している。アメリカからは「カール・ビンソン」と「エイブラハム・リンカーン」の2空母を中心とする艦隊や26機のF-35戦闘機、日本からはヘリコプター空母、あるいは強襲揚陸艦とみなされている「ひゅうが」が参加した。 アメリカはユーラシア大陸の周辺部を支配し、そこから内陸部を締め上げるというアングロ・サクソンの長期戦略を踏襲している。アメリカ海軍の「インド・太平洋軍」にもその戦略を実行する役割があるが、中国が中東から石油を運ぶルートをコントロールすることが特に重要だ。 アメリカはオーストラリアやイギリスと「AUKUS」なる軍事同盟を結んだが、これについてロシア国家安全保障会議のニコライ・パトロシェフ議長は中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だとしているが、イギリスは大陸の反対側にある国であり、アメリカとオーストラリアの同盟に近い。そこへ日本が引き摺り込まれた。 バイデン政権としては、太平洋の西側にもアメリカと一緒に戦う同盟国が存在しているとアピールしたかったのだろうが、これは中国やロシアに対する挑発でもある。23日には中国の航空機39機が、24日には13機が台湾近くを飛行したという。これは日本やアメリカへの警告だとみなされている。日本人は気にしていないようだが、COVID-19の感染拡大を演出している岸田政権は危険な「火遊び」、あるいは「戦争ごっこ」を行っている。 大統領に就任して以来、バイデンは軍事的な緊張を高めてきたが、今年に入ってそうした傾向はエスカレートしている。カザフスタンでのクーデターが成功していれば、中国やロシアへの脅しになっただろうが、これは失敗した。 ウラジミル・プーチン露大統領はアメリカ/NATOがロシアの安全を脅かしていると主張、軍事的な支配地をこれ以上東へ拡大させることを容認できないと発言、安全保障上の保証を文書化することを求めた。 しかし、バイデン政権は支配地域の拡大を続ける姿勢を崩さず、そうした方針に逆らうなとしている。EUの外務安全保障政策上級代表を務めるジョセップ・ボレルは自分たちのことを決める権利を持っているのは自分たちであり、ロシアは口をはさむなと言っている。 ブリンケンにしろ、ボレルにしろ、プーチンに唾を吐きかけたようなものだが、ロシア側の反応は厳しいものだった。1月10日にはアメリカのウェンディ・シャーマン国務副長官がロシアのセルゲイ・リャプコフ外務次官と会談したが、合意には至らなかった。その後、リャプコフ次官は交渉が袋小路に入り込んだと表現、交渉を再開する理由が見つからないともしていた。 ここで「戦争を望まないが、戦争したいなら受けて立つ」というプーチン大統領の姿勢がアメリカ側へ重くのしかかるのだが、アメリカの軍や情報機関、あるいは背後の私的権力にはマイケル・マクフォールのような好戦的な人物がいる。ウクライナに兵器を持ち込み、将兵を訓練、その一方で有力メディアが「ロシアの侵略的な姿勢」を宣伝している。状況を理解できない「チンピラ」は警戒しなければならない。
2022.01.26
ドイツ海軍の海軍総監だったケイ-アヒム・シェーンバッハ中将は1月22日に辞任を申し出た。ロシア軍がウクライナへ軍事侵攻しようとしているとする話は「ナンセンス」であり、ウクライナがクリミアを取り戻すことは不可能だと21日にニューデリーのシンクタンクで語ったのだが、これが問題にされたという。この発言は常識的なものだが、こうした常識的な発言を許さない雰囲気が西側では広がっている。 そうした雰囲気を作り出してきたのはアメリカ、イギリス、NATOの好戦的な支配グループであり、その宣伝をしているのが有力メディアだ。このグループはロシアや中国を恫喝してきたが、屈服させることはできていない。今も兵器を運び込み、ウクライナ兵を訓練、ロシア周辺で軍事演習を実施するなど挑発を続けている。追い詰められた鼠のような状態とも言えるだろう。 恫喝しながらロシアの隣国であるウクライナまで軍事的な支配地を拡大させようとしているが、ロシア政府は自国の安全を脅かす行為だと抗議、保証する文書を作成するように求めている。ウラジミル・プーチン露大統領は「戦争を望まないが、戦争したいなら受けて立つ」という姿勢だ。 ロシア政府はこれ以上恫喝に付き合っていられないという意志を鮮明にしはじめた。アメリカのウェンディ・シャーマン国務副長官らは1月10日にジュネーブでロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官らと会談したが具体的な進展はなく、ロシア側から交渉を再開する理由が見つからないと言われた。 EUの外務安全保障政策上級代表を務めるジョセップ・ボレルは自分たちの行うことにロシアは口をはさむなと脅し、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務局長はウクライナをめぐり、NATOはロシアとの軍事衝突に備えなけらばならないと発言。それに対し、1月18日にドイツのアンナレーナ・ベアボック外相はモスクワでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相を会談している。事態の沈静化を図ったのかもしれないが、今後のことはアメリカ政府次第だと言われたという。 現在の状況を作り出したのは19世紀のイギリスであり、同じアングロ・サクソン系のアメリカが引き継いできた。その戦略をまとめたのが地政学の父とも言われるハルフォード・マッキンダーで、彼は大陸を締め上げる「三日月帯」の西端をイギリス、東端を日本に設定。中東でイギリスは帯の上にサウジアラビアとイスラエルを作り上げた。 イギリスの首相を務めたウィンストン・チャーチルは第2次世界大戦でドイツが降伏した直後、日本が降伏する前にソ連への奇襲攻撃を目的とする「アンシンカブル作戦」を立てた。1945年7月1日にアメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始めるという内容だったが、参謀本部が拒否してため、実行されなかったという。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000など) 1945年7月26日にチャーチルは首相の座を降りるが、その10日前にアメリカのニューメキシコ州にあったトリニティ(三位一体)実験場でプルトニウム原爆の爆発実験を行って成功、副大統領から昇格したハリー・トルーマン大統領は原子爆弾の投下を7月24日に許可、広島と長崎に落とされた。 核兵器の開発はハンガリー出身のふたりの物理学者、レオ・シラードとユージン・ポール・ウィグナーが草稿を書いたアルバート・アインシュタイン名義の勧告書がフランクリン・ルーズベルト米大統領へ送られた1939年8月から始まると言われている。 1940年2月にイギリスではバーミンガム大学のオットー・フリッシュとルドルフ・パイエルスの案に基づいてMAUD委員会が設立され、その委員会のマーク・オリファントが1941年8月にアメリカでアーネスト・ローレンスと会い、同年10月にフランクリン・ルーズベルト米大統領は計画を許可してアメリカとイギリスの共同開発が始まった。これが「マンハッタン計画」だ。 この原爆開発計画を統括していたアメリカ陸軍のレスニー・グルーブス少将は1944年、ポーランドの物理学者ジョセフ・ロートブラットに対し、計画は最初からソ連との対決が意図されていると語ったという。その目的はドイツの脅威に対抗するためでも日本の降伏を早めるためでもなかったということだ。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) 大戦が終わった翌年、1946年3月にアメリカのフルトンでチャーチルは「鉄のカーテン演説」を行った。バルト海のステッティンからアドリア海のトリエステに至る「鉄のカーテン」が存在しているというのだ。FBIの文書によると、チャーチルは1947年、アメリカのスタイルズ・ブリッジス上院議員に対し、ソ連を核攻撃するようトルーマン大統領を説得してほしいと求めている。 ソ連を核兵器で壊滅させたいというチャーチルの思いはその後も消えず、彼は1951年4月に自宅でニューヨーク・タイムズ紙のジェネラル・マネージャーだったジュリアス・アドラーに対し、ソ連に最後通牒を突きつけ、それを拒否したなら20から30発の原爆をソ連の都市に落とすと脅そうと考えていると話していた。このことを示す文書が発見されている。その半年後にチャーチルは首相へ返り咲く。 チャーチルの父親はロスチャイルド家に膨大な借金があり、ウィンストンも金銭的に縛られていた。チャーチルの言動にはそうした背景がある。ロスチャイルド家はイギリスを含む国々で大きな影響力を持っていたが、その一員であるネイサン・ロスチャイルドはエリザベス1世の時代にセシル・ローズ、ウィリアム・ステッド、レジナルド・バリオル・ブレットたちと政策を決定する力を持っていた。 ローズは1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けした人物。1877年には「信仰告白」を書き、その中で彼はアングロ・サクソンを世界で最も高貴な人種だと表現、その人種が支配地域を広げることは義務だとしていた。 こうした優生学的な考え方でまとまったグループも存在した。トーマス・ハクスリーが1864年にイギリスで創設した「Xクラブ」だ。そのメンバーには支配階級の優越性を主張する社会ダーウィン主義を提唱したハーバート・スペンサー、チャールズ・ダーウィンの親友だったジョセフ・フッカー、このダーウィンのいとこであるジョン・ラボックも含まれていた。 マッキンダーの理論はこうしたグループが考え出したもので、それは1840年から42年にかけてのアヘン戦争、56年から60年にかけての第2次アヘン戦争(アロー戦争)、そして明治維新にもつながる。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその戦略に基づいていた。 1995年2月にジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表して以来、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれたが、それはマッキンダーの戦略に日本も従うことを意味する。アメリカやイギリスと共通の価値観を持つとはそういうことでもある。 マッキンダーがまとめた戦略の最終目標はロシアを制圧して覇権を握ること。ウクライナを含む中央ヨーロッパを支配することはロシアを制圧して長期戦略を実現するための重要なステップだ。ロシア側もこうしたことを理解している。
2022.01.25
日本の政府、自治体、マスコミは社会を収容所化して経済活動を麻痺させる政策に執着している。世界的に見ると放棄されつつある政策を正当化するため、中国のロックダウン政策を持ち出す人もいるようだ。 こうした政策が打ち出される原因を作ったのは「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」と名付けられた悪霊。2019年12月に中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た症状の肺炎患者が見つかったところから始まる。ただ、その患者がどこで感染したのかは明確でない。 しかし、武漢市内の海鮮市場で売られていた野生動物から人にウイルスが感染したとする話が世界へ伝わる。2020年1月22日に中国の国務院新聞弁公室で行われた記者会見で疾病預防控制中心(CCDC)主任、つまり中国における感染症対策の責任者である高福がそのように「推測」したからだ。 この人物は西側の医療利権と緊密な関係にある。武漢で患者が見つかる直前、2019年10月18日にコロナウイルスが全世界で流行するという想定のシミュレーション「イベント201」がニューヨークで行われている。その主催者はジョンズ・ホプキンス健康安全保障センター、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、そしてWEF(世界経済フォーラム)。そのシミュレーションに高福は「プレイヤー」として参加していた。 本来なら武漢のケースでも高福が対策を指揮するのだろうが、実際に指揮したのは彼でなく、中国軍の医療部門で細菌戦の専門家と見なされている陳薇。2002年から中国で広まったSARSを押さえ込んだのは陳のチームだ。 その時の経験からキューバで研究されている「インターフェロン・アルファ2b」が有効だと考えて今回も使用、実際に効果があったという。この薬はリンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされ、吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できたことも幸いした。中国の習近平国家主席は2020年2月28日、キューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたと伝えられている。 インドやメキシコでは駆虫薬として知られているイベルメクチンが有効だったと報告されている。メキシコの保健省と社会保険庁によると、2020年12月28日からCOVID-19の治療に使われ、入院患者を大幅に減らしたという。 抗マラリア剤として知られているヒドロキシクロロキンを抗生物質のアジスロマイシンと一緒に処方すると効果があることは早い段階から研究者や現場の少なからぬ医師が主張、ヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り去った構造をしているクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文も存在する。 2005年8月22日、ウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。ちなみに、アメリカで伝染病対策を動かしているアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)はNIHの下部機関だ。効果があるのは亜鉛で、ヒドロキシクロロキンは亜鉛を細胞へ運ぶ役割を果たしているとも言われている。 アメリカではCOVID-19と診断された患者にイベルメクチンを処方したメイン州の医師、メリル・ナスは同州当局から30日間の医師免許停止を言い渡された。 イベルメクチンにしろ、ヒドロキシクロロキンにしろ、クロロキンにしろ、インターフェロン・アルファ2bにしろ、COVID-19と診断された患者に「ワクチン」以外の方法を使うことを許さないという意志を医療利権は明確にしている。 この「COVID-19ワクチン」は正式に承認されたわけではない。緊急事態だということで、特別に使用が許可されたわけで、ほかに治療法があるとなると、その許可を取り消さなければならなくなる。治療薬の存在を認めることはできない。 緊急事態だというイメージを作り出す上で「ダイヤモンド・プリンセス」というクルーズ船での出来事は重要な役割を果たした。この船は2月4日に横浜から出港する予定だったのだが、感染者が出たということで乗員乗客3700名は隔離状態になり、世界的に注目された。55名が死亡したとされている。 この船を所有しているカーニバルPLCは2003年にP&Oプリンセス・クルーズを買収している。プリンセス・クルーズが作られたのは2000年。1972年にイスラエル系実業家のテッド・アリソンがメシュラム・リクリスからの支援を受けてカーニバル・クルーズを創立、1993年に社名はカーニバルへ変更された。現在の会長はアリソンの息子であるミッキー・アリソン。ミッキーは2003年6月までカーニバルのCEOだったが、アーノルド・ドナルドへ交代している。 この会社の船が2005年から13年8月までオイルを含む廃液を海洋へ廃棄していたことが判明、17年には4000万ドルの罰金が言い渡された。その後も違法行為は続けられ、今年に入って100万ドルの罰金がまた言い渡されている。
2022.01.24
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が1月21日にジュネーブで会談した。これ以上ロシアの安全保障を脅かさないことを文書で保証、その文書を渡すようにロシアはアメリカ/NATOに求めている。 具体的には、NATOをこれ以上東へ拡大させないこと、モスクワをターゲットにできる攻撃システムをロシアの隣国に配備しないこと、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わないこと、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけないこと、定期的に軍同士の話し合いを実施すること、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないこと。 21日の会談後、ラブロフ外相はルーマニアやブルガリアを含む国から外国の軍隊を引き上げさせることも求め、ブリンケン長官は次の週に回答するとしている。回答期限を1週間延期したということだ。 ジョー・バイデンは2021年1月にアメリカ大統領となってから中国やロシアを恫喝してきた。例えば、3月18日にブリンケン国務長官はジェイク・サリバン国家安全保障補佐官とアンカレッジで中国の中央外事活動委員会弁公室の楊潔篪主任と王毅外交部長に会って脅したのだが、国土を守る中国の決意を過小評価するなと警告したと伝えられている。 7月26日にウェンディ・シャーマン国務副長官が中国を訪問するが、会えたのは謝鋒外務次官や王毅国務委員兼外相。しかも場所は北京でなく天津だった。その時、楊潔篪主任には会えていない。バイデンが習近平と電話で「気候」について話せたのは9月9日だ。 アメリカは東シナ海から南シナ海にかけての海域で軍事的な圧力を加え、新疆ウイグル自治区へはシリアやアフガニスタンで訓練したジハード戦闘員をアメリカは潜入させていると言われている。有力メディアを使ったプロパガンダも盛んだ。 バイデン政権にしろ、その前のドナルド・トランプ政権にしろ、こうした挑発行為をアメリカ政府は繰り返しているが、マーク・ミリー統合参謀本部議長は中国側に対し、大統領が中国を軍事攻撃することを許さないと伝えたという。 CSIS(戦略国際問題研究所)のシニア・フェローであるブリンケンはネオコンと関係が深い好戦派だと言えるだろうが、バイデン政権に反ロシア的な政策を採らせようとしているグループの中心にはマイケル・マクフォールが含まれているという。 この人物は現在、スタンフォード大学の教授で、ネオコンと関係が深いフーバー研究所のシニア・フェローでもある。2012年1月から14年2月まではロシア駐在大使を務めていた。ロシアの大統領選挙を2カ月後に控えた時期に赴任、ウクライナでクーデターを成功させた時期に離任したわけだ。 マクフォールがモスクワへ到着したのは2012年1月14日。その3日後には反プーチン派のリーダーたちがアメリカ大使館を訪れている。活動方針を指示されたと見られているが、この人びとはロシア国民には相手にされていない。 やはりロシア国民から相手にされていない反プーチン派のアレクセイ・ナワリヌイは奨学生としてエール大学で学んでいる。その手配をしたのもマクフォール。 バラク・オバマ大統領は2010年8月、ムスリム同胞団を使って中東から北アフリカにかけての地域でアメリカ支配層にとって目障りな体制を転覆させる工作を実行するためにPSD-11を承認したが、その計画を作成したチームのひとりもマクフォール。 その前、マクフォールはビル・クリントンと同じようにローズ奨学生としてオックスフォード大学へ留学、博士号を取得している。この奨学制度はセシル・ローズの遺産を利用して1903年に創設されたのだが、そうした背景もあり、アメリカやイギリスの情報機関と関係が深いと噂されている。
2022.01.23
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は1月14日現在、前の週より448名増え、2万2193名に達した。一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われ、実際は20万人から200万人に達するということになる。また、死亡を含む深刻な副作用を引き起こしている「COVIDワクチン」が限られたロットに集中していることはVAERSでも確認できる。
2022.01.22
ロシア政府はアメリカ/NATOに対し、NATOをこれ以上東へ拡大させないこと、モスクワをターゲットにできる攻撃システムをロシアの隣国に配備しないこと、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わないこと、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけないこと、定期的に軍同士の話し合いを実施すること、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないことなどを保証する文書を作成し、1月23日までに提出するよう求めている。 そうした中、1月18日にドイツのアンナレーナ・ベアボック外相はモスクワでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相を会談、今後のことはアメリカ政府次第だと言われたという。ドイツの外相はアメリカ政府のためにロシア政府の本心を探ろうとしたのかもしれないが、ロシア政府から駆け引きをしていないと言われたわけだ。 アメリカはユーラシア大陸の周辺部を支配、内陸部を締め上げるという長期戦略を持ち、その戦略に基づいてジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」も作成されている。 この長期戦略を始めたのはイギリス。19世紀のことだ。それをまとめたのが地政学の父とも言われるハルフォード・マッキンダー。大陸を締め上げる「三日月帯」の西端がイギリス、東端が日本であり、中東でイギリスは帯の上にサウジアラビアとイスラエルを作り上げた。 明治維新にイギリスとアメリカが深く関与しているが、琉球を併合してから台湾、朝鮮半島を経て大陸を日本が侵略した背景にも米英両国が存在していた。これは本ブログで繰り返し書いてきたこと。金子堅太郎やセオドア・ルーズベルトは日本がロシアと戦ったのはアメリカのためだとしている。 その後も日本は北を目指し、1939年5月11日にノモンハン付近で満州国警備隊と外モンゴル軍が交戦、日本側は関東軍が陸軍省と参謀本部の方針を無視して戦闘を継続して敗北している。関東軍が陸軍省や参謀本部を無視できた理由はひとつしか思いつかない。 ソ連は西側でナチスが支配するドイツを警戒、イギリスやフランスに協力を要請、ドイツとの国境線まで軍隊を派遣すると提案したが、受け入れられなかった。そして1939年8月23日、ソ連はドイツと不可侵条約を結ぶ。 そのドイツは飛び地の問題を解決しようとしていた。第1次世界大戦後、ドイツは本国と東プロイセンの間にポーランド領(ポーランド回廊)ができ、東プロイセンは飛び地になったのだ。 その問題を解決するためにドイツ政府はひとつの案を出す。住民投票を実施してドイツへ回廊を返還する意見が多ければ返還、その際にドイツはポーランドに鉄道やバルト海へ通じる高速道路を渡すという案を出した。その案をポーランドは受け入れ、1939年3月21日に同国のジョセフ・ベック外相がドイツの首都ベルリンを訪問することになる。 しかし、ベックは姿を現さなかった。ロンドンへ向かったのだ。そして26日にポーランドはドイツに対して回廊を返還しないと通告、ドイツ軍は9月1日にポーランドへ軍事侵攻、3日にイギリスとフランスはドイツに対して宣戦布告したが、そこから半年ほどの間、本格的な戦闘は行われていない。 この時期は「奇妙な戦争」と呼ばれている。ドイツは戦争を拡大しようとせず、イギリスやフランスも動かなかったのだ。イギリス軍やフランス軍はドイツ軍の電撃作戦で敗北したわけではない。 ドイツ軍は1941年6月22日、310万人を投入してソ連へ向かって軍事侵攻を開始する。「バルバロッサ作戦」だ。西側に残ったのは約90万人だけだった。この非常識な作戦を命じたのはアドルフ・ヒトラーにほかならない。 ドイツ軍がソ連へ攻め込んだ直後の1941年7月に日本軍はソ連へ軍事侵攻する目的で関東軍特種演習(関特演)を計画したが、8月に中止を決定、ターゲットを東南アジアへ切り替えた。 バルバロッサ作戦でドイツ軍はレニングラード、モスクワ、スターリングラードなどへ肉薄、最終的にはソ連が勝利したものの、2000万人以上のソ連国民が殺され、工業地帯の3分の2を含む全国土の3分の1が破壊されている。ドイツはレニングラードを攻撃した際に兵糧攻めを実施、多くの餓死者を出したが、そのひとりがプーチンの兄だ。 この作戦が始まる直前にドイツがいた場所までアメリカ/NATO軍は来ている。CIAは2015年から、つまりウクライナでアメリカ政府がネオ・ナチを使ったクーデターを成功させた翌年にアメリカの南部でウクライナの特殊部隊を訓練、アメリカ/NATO軍は兵器をウクライナへ持ち込み続けている。 こうしたアメリカの恫喝にロシアは動じず、当初の要求を言い続け、その一方で中国やイランと軍事演習をインド洋などで実施している。ウラジミル・プーチン露大統領は「戦争を望まないが、戦争したいなら受けて立つ」という姿勢。2003年にアメリカはイラクを先制攻撃、100万人とも推測されている人びとを殺したが、その前に有力メディアは存在しない「大量破壊兵器」で攻撃を正当化していた。そうしたプロパガンダは今でも通用しているようだが、「脅せば屈する」というアメリカが繰り返してきた戦法は通じていない。 他国にアメリカが何をしでかすかわからない国だと思わせれば自分たちが望む方向へ世界を導けるとリチャード・ニクソンは考え、狂犬のように思わせなければならないとイスラエルのモシェ・ダヤン将軍は語った。ジョー・バイデン政権の好戦派は正気を失っているようにも見える。
2022.01.22
死亡を含む深刻な副作用を引き起こしている「COVID(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」は限られたロットに集中しているとする報告が公表されている。ファイザーのアレルギー・呼吸器研究担当の副社長だったマイケル・イードンによると、副作用の90%を引き起こしたロットは全体の10%以下だというが、ロンドンを拠点としている研究者のクライグ・パーデクーパーは数%程度の毒性の強いロットが存在しているとしている。 この偏りが偶然なのか故意なのか不明だが、現在使われている「ワクチン」はいずれも正式に承認されたわけでなく、いわば「臨床試験」の段階。「プラセボ(偽薬)」が使われていも不思議ではないが、90%以上がプラセボなのかもしれない。少なくとも中身が違う可能性がある。 接種が始まる前から「COVID-19ワクチン」の危険性は指摘されていた。そうした懸念をWHO(世界保健機関)、FDA(食品医薬品局)、CDC(疾病予防管理センター)といった公的な機関は押し切って接種を始めた。もし毒性の強いロットが事前にわかっているなら、それを特定の地域で使うことも可能だ。 アメリカのCIAはベトナム戦争で特殊部隊を使い、住民を虐殺する秘密作戦を展開していた。「フェニックス・プログラム」だが、その目的のひとつはアメリカにとって好ましくない人びとを殺し、共同体を破壊することにあったとみられている。裏付ける証拠が存在するわけではないが、アメリカや日本の支配層にとって好ましくない考え方をする人が多い地域に毒性の強いロットを投入することも理屈の上では可能だ。 ちなみに日本では昨年8月下旬、政府が「モデルナ製ワクチン」の中に磁石へ反応する物質が見つかったとして160万本を回収したと伝えられている。
2022.01.21
イスラエルでも「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の追加接種(ブースター)が「オミクロン」に対して有効でないと言われている。昨年4月、mRNA(メッセンジャーRNA)を利用した若者や子どもに心筋炎や心膜炎を引き起こしていると最初に報告されたのはこの国においてだ。 日本では今でもPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の陽性者を「感染者」と見なしているようだが、これが科学的に意味のないことは本ブログでも繰り返し書いてきた。医療関係者は勿論、マスコミの記者や編集者も知っているだろう。 この技術を利用したSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)の診断手順はドイツのウイルス学者、クリスチャン・ドロステンらが2020年1月に発表、その手順をWHO(世界保健機関)はすぐに採用、世界に広まったのだが、その当時、単離されたウイルスを使えなかったことをCDCは認めている。つまり、その時点でSARS-CoV-2の存在は確認されていない。しかも手順に科学技術的な間違いがあるとする指摘が出されるようになり、2021年1月20日にはWHOでさえPCR検査が診断の補助手段だとしている。 アメリカのCDC(疾病予防管理センター)が使っていた「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」はインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるとされたが、2021年7月21日にCDCはこの診断パネルのEUA(緊急使用許可)を昨年12月31日に取り下げると発表している。COVID-19の原因とされる「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」とインフルエンザ・ウイルスを区別できないからだという。ならば、コロナウイルス内の違いも区別できないだろうと考えてもおかしくないだろう。現在、世界に蔓延しているとされている「オミクロン」の正体が明確だとは言えない。 正体の明確でない「オミクロン」を新たな悪霊として演出、新たな行動の規制を打ち出した国もあるが、イギリスのボリス・ジョンソンはマスクの着用やデジタル・パスポートの携帯を要求するという政策を取り消すようだ。 しかし、COVID-19騒動がこれで治るとは断定できない。アメリカ軍はロシアの周辺に生物化学兵器の開発施設を建設してきたと言われている。2005年からウクライナでもオデッサ、ビンニツァ、リビフ、キエフなどを含む都市にそうした施設を建設。クリミアのシムフェロポリにもあったが、2014年にバラク・オバマ政権がキエフでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させた際、クリミアがウクライナから離脱したので活動は停止したと見られる。 ウクライナだけでなく、アメリカはアゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、ジョージアなどロシアの周辺部で研究施設を建設していきた。そこで、ウクライナでクーデターが引き起こされる前からアメリカが細菌兵器によると攻撃を目論んでいるのではないかという疑いを持つ人もいた。 アメリカにおける生物化学兵器開発の中心はフォート・デトリック。1930年代から日本ではこの種の兵器を研究開発していたが、第2次世界大戦後、ここへ資料が運び込まれ、研究員も協力している。 日本の生物化学兵器開発は軍医学校、東京帝国大学医学部、京都帝国大学医学部を中心に生物化学兵器の開発が進められ、中国大陸では生体実験を行なう。そうした実験実行するために「関東軍防疫部(731部隊)」や「関東軍軍馬防疫廠(100部隊)」が組織され、「南方軍9420部隊」、「北支那方面軍1855部隊」、「南支那派遣軍8604部隊」も編成された。 1950年6月に朝鮮戦争が勃発するとアメリカ軍は輸血体制を増強しなければならなくなり、「日本ブラッドバンク」を設立。1942年から45年2月まで731部隊長を務めた北野政次が顧問に就任する。後に社名は「ミドリ十字」へ変更され、現在は田辺三菱製薬の一部だ。 1952年2月に朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に抗議、アメリカ側は事実無根だと主張したものの、1970年代にCIA長官だったウィリアム・コルビーが議会で、1952年にアメリカ軍が生物化学兵器を使ったと証言している。 戦後、第731部隊を含む生物化学兵器人脈は「伝染病対策」の中枢を形成することになる。その拠点として1947年には国立予防衛生研究所(予研)が創設された。当初は厚生省の所管だったが、1949年には国立になる。1997年には国立感染症研究所(感染研)に改名された。日本におけるCOVID-19対策を指揮しているのはここだ。 アメリカでは国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)も生物化学兵器の開発で重要な役割を果たしている。2018年からコロナウィルスのコウモリからヒトへの感染に関する研究へ数百万ドルを提供。コウモリが媒介するウイルスが人間に感染するようになった原因を解明するためのプロジェクトへこの機関は2018年に1000万ドルを出したという。またDTRA(国防脅威削減局)が資金を出している別の研究ではカザフスタンのコウモリが媒介するコロナウイルスが発見され、研究が始まったとされている。 1月早々、クーデター未遂があったカザフスタンにはアメリカの生物化学兵器に関する施設があり、コロナウイルスとの関係も指摘されている。そこで細菌戦が仕掛けられる可能性もあると懸念されている。
2022.01.20
世界は新しい時代へ入りつつある。その新時代でもヘゲモニーを握ろうとしているアメリカを中心とする欧米の私的権力はロシアと中国を中心とする勢力を屈服させようと必死で、ウクライナや東アジアなどで軍事的な緊張が高まっている。中東やアフリカも2勢力が衝突する舞台になってきたが、ここにきてアメリカは中央アジアに火をつけようとしている。 その一方、私的権力の代理人的な存在であるWEF(世界経済フォーラム)の創設者、クラウス・シュワブはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を利用して資本主義システムを大々的に「リセット」するべきだと主張した。 現在のシステムはドルが中心。そのドルを発行する特権を持つアメリカの私的権力は圧倒的に優位な立場にある。そのシステムを維持するためにドルを実世界から私的権力の下へ還流させる必要がある。そこで考えられたのが石油取引のドル決済と金融規制の大々的な緩和。 1971年までドルは兌換紙幣であり、金という裏付けがあった。その頃まで金はイギリスの支配下にあった南部アフリカが産出量で圧倒していたことから金本位制の通貨をコントロールできたのだが、その比率が急速に低下していく。そしてリチャード・ニクソン米大統領はドルと金の交換を停止すると発表したわけだ。 金という制約なしにドルを発行できるようになったとも言えるが、何も対策を講じないと実世界にドルがあふれ、インフレになってしまう。そこでドルを還流させる仕組みが作られたのだ。 世界は石油を必要としている。その石油を買うためにドルが必要となれば、各国はドルをかき集めるしかない。そして産油国へドルは集まるが、そのドルがアメリカへ戻る仕組みが作られたのだ。サウジアラビアをはじめとする産油国に対し、アメリカの私的権力はドル決済を認めさせる代償として、ニクソン政権は産油国に対して国の防衛と油田地帯の軍事的な保護、必要とする武器の供給、支配的な地位や収入の保障などを約束した。いわゆる「ペトロダラー」の仕組みだ。 その還流効率を高める意味もあり、私的権力は原油相場の大幅な引き上げを実行した。サウジアラビアのファイサル国王の腹心で石油鉱物資源相を務めたシェイク・ヤマニによると、1973年5月にスウェーデンで開かれた「秘密会議」でアメリカとイギリスの代表が400%の原油値上げを要求、オイル・ショックにつながったという。この会議はビルダーバーグ・グループの会合だったことが後に判明する。この会合は1973年5月11日から13日にかけてスウェーデンで開かれている。 ヤマニによると、ファイサル国王は価格の高騰が代替エネルギー源の開発を刺激するとして値上げに反対していた。そこで国王はヤマニをイランのパーレビ国王の下へ派遣したのだが、そこで「なぜ原油価格の値上げに君たちは反対するのだ?そう願っているのか?ヘンリー・キッシンジャーに聞いてみろ、値上げを望んでいるのは彼なんだ」とパーレビから言われたという。 石油相場が急騰した直接的な原因は1973年10月の第4次中東戦争。戦争勃発から10日後、OPECに加盟するペルシャ湾岸の6カ国が原油の公示価格を1バーレルあたり3.01ドルから5.12ドルへ引き上げると発表している。 この戦争はエジプト軍の奇襲攻撃で始まり、イスラエルは窮地に陥った。キッシンジャーはエジプトのアンワール・サダト大統領をアラブ世界の英雄に仕立て上げると同時にイスラエルへ和平交渉に応じるようプレッシャーをかけようとしたとされているが、石油相場を急騰させることもシナリオに含まれていたはずだ。 当初、戦争はキッシンジャーの思惑通りに進むが、これを懸念する声が国防長官や統合参謀本部議長などから出てくる。そして統合参謀本部ではイスラエルを助ける方法を検討するが、キッシンジャーは妨害したという。後にネオコンの中心的な存在になるリチャード・パールやポール・ウォルフォウィッツはキッシンジャーの動きに激怒している。(Len Colodny & Tom Shachtman, “The Forty Years War,” Harper, 2009) 1970年代から金融規制の大幅な緩和で投機市場が肥大化していくことは言うまでもないだろう。実世界から資金を吸い上げて「バブル」という現象が現れるが、これは「ハイパーインフレ」の別形態だ。 しかし、その後、アメリカの中東における支配力が弱まっていく。ウェズリー・クラーク元NATO欧州連合軍最高司令官によると、2001年の9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された直後、ラムズフェルド長官の周辺では攻撃予定国リストが作成されていた。イラクを手始めに、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランを破壊するとされていたという。 ドル体制からの離脱を目論んでいたサダム・フセインが支配していたイラクを先制攻撃で破壊したのは2003年。2010年から「アラブの春」というムスリム同胞団を中心とする体制転覆運動が始まり、アフリカに共通通貨を導入しようとしていたリビアのムアンマル・アル・カダフィの体制は2011年に潰された。2001年に攻撃が予定されていた国々は実際、攻撃の対象になっている。 しかし、それでも中東での支配力を回復するというアメリカの計画は実現していない。そこで中東への依存度を低下させる必要性が強まっているわけだが、これはペトロダラーへの依存を低下させるということでもある。その目的を達成するためにも「カーボンゼロ」、そして通貨のデジタル化は必要なのだろう。デジタル化が進めばコンピュータによる通貨の管理が容易になる。 リセットを実現するためにも使われているCOVID-19騒動は人びとの行動を制限、生産活動を麻痺させたが、石油の需要を低下させる要因にもなる。その騒動が始まって3年目に入ろうとしている今、「感染」に対する疑問が強まり、「COVID-19ワクチン」の危険性が明確になってきた。COVID-19の蔓延を演出する道具として使われてきたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が診断には不適切だということをWHO(世界保健機関)やCDC(疾病予防管理センター)も否定できなくなっているが、それでも日本は使い続けている。PCRのほかに「感染拡大」を演出する有効な手段が思いつかないのだろう。
2022.01.19
アメリカやイスラエルと同じように「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動」を主導してきたイギリスから「ワクチン」の危険性に関する新たな情報が伝わってきた。イングランドとウェールズにおける15歳から19歳の男性の死亡者数に関する情報だ。 それによると、2020年の第1週から第52週にかけての期間に死亡した人数は434名だったのに対し、2021年の同じ期間では577名に増えている。32.9%の増加だが、第1週から第17週に限ると170名と172名。第18週から第52週では264名と405名。53.4%増えたことになる。 若者や子どもは「ワクチン」を接種した後に心筋炎や心膜炎を引き起こすとイスラエルで指摘され始めたのは昨年4月。日本で接種が急増する直前だ。日本の政府、自治体、マスコミなどは「ワクチン」接種を推進するため、この事実を隠したと言われても仕方がないだろう。いわば共謀者。 全世代で見ると、早い段階から帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)の発症、あるいは体の麻痺が指摘されていた。神経変性疾患という話も聞く。大きな血栓で脳梗塞や心筋梗塞になるケースもあるが、微小血栓によって脳、脊髄、心臓、肺などがダメージを受けているとも言われている。 接種が始まる前から懸念されていたADE(抗体依存性感染増強)も実際に起こっているという。「ワクチン」が作り出す「結合(非中和)抗体」がウイルスを免疫細胞へ侵入させ、免疫の機能を混乱させる現象。 コロナウイルスは変異しやすいことで知られているが、「変異株」に対して「中和抗体」が「結合抗体」化することも考えられている。通常の風邪を引き起こしてきたコロナウイルス、あるいは感染しても無症状だったウイルスでも深刻な影響が出てきている可能性がある。 EMA(欧州医薬品庁)で生物学的な健康への脅威やワクチン戦略を指揮しているマルコ・カバレリにしろ、FDA(食品医薬品局)の「ワクチン研究評価室」の室長を務めてきたマリオン・グルーバーと生物学的製剤評価研究センターで副センター長を務めてきたフィリップ・クラウスにしろ、「ワクチン」の追加接種(ブースター)に警鐘を鳴らしているが、当然だろう。 「mRNAワクチン」では不安定なmRNAを輸送するためにLNP(脂質ナノ粒子)が使われるが、そのLNPは人体に有害。投与されたLNPは肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布すると報告されている。LNPが卵子に影響、不妊につながることは否定できない。 「COVID-19ワクチン」の危険性が明確になる中、日本でもCOVID-19の蔓延が宣伝されている。その根拠とされているのがPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査。 この技術を利用したSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)の診断手順はドイツのウイルス学者、クリスチャン・ドロステンらが2020年1月に発表、その手順をWHO(世界保健機関)はすぐに採用、世界に広まったのだが、その当時、単離されたウイルスを使えなかったことをCDCは認めている。少なくともその時点でSARS-CoV-2の存在が確認されていないわけだ。しかも手順に科学技術的な間違いがあるとする指摘が出されるようになり、2021年1月20日にはWHOでさえPCR検査が診断の補助手段だとしている。 アメリカのCDC(疾病予防管理センター)が使っていた「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」はインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるとされていたのだが、CDCは2021年7月21日、この診断パネルのEUA(緊急使用許可)を12月31日に取り下げると発表している。COVID-19の原因とされる「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」とインフルエンザ・ウイルスを区別できないからだという。インフルエンザ・ウイルスと区別できないなら、コロナウイルス仲間を区別することもできそうにない。 そもそもPCRは分析の手段で、特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術。その増幅サイクル(Ct)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になるだけでなく、偽陽性が増えていく。 偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。WHO(世界保健機関)が2020年12月14日、PCRのCt値を高くしすぎないようにと通告したのはそのためだ。 SARS-CoV-2を検出する手段としてPCRは不適切で、感染を確認などできない。これは「感染者」を数値化するための政治的な道具に過ぎないのだ。 しかも、ボツワナに続いて「オミクロン」が発見された南アフリカでは深刻な事態になっていないと南アフリカ政府の主席顧問を務めるバリー・シューブは話している。「オミクロン」とは何なのかを検証することなく、日本政府もPCRを科学的に無意味な使い方をして「感染」を演出、社会を麻痺させようとしている。
2022.01.18
ホワイトハウスの報道官を務めているジェン・サキは1月14日、ロシア政府がウクライナの東部地区、つまりドンバス(ドネツクやルガンスク)の周辺で「偽旗作戦」を行おうとしているとする情報があると発言したが、ウクライナで戦争の準備を進め、挑発的な行為を続けてきたのはアメリカにほかならない。 恫喝外交を継承したジョー・バイデン政権のウェンディ・シャーマン国務副長官は1月10日にジュネーブでロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官と会談、安全保障問題について話し合ったようだが、合意には至らなかった。 アメリカがNATOを東へ拡大させ、ついにウクライナへ到達しようとしている。こうした状況を容認できないとロシア政府はアメリカ政府に抗議してきた。 ウクライナをNATOへ加盟させず、モスクワを攻撃するシステムをロシアの隣国に配備しないように求めているほか、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わず、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけないようにとも言っている。さらに定期的な軍同士の話し合いを実施、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないことも要求。そして、それらを保証する文書を作成するように求めている。 こうしたロシア政府の要求をアメリカ政府は拒否、リャブコフ次官は交渉が袋小路に入り込んだと表現した。双方の問題への取り組み方が違い、交渉を再開する理由が見つからないともしている。ロシア政府はアメリカに見切りをつけたと言えるだろう。 バイデン政権は2021年1月に誕生して以来、ウクライナ周辺で挑発的な行動を繰り返してきた。例えば、3月10日にNATO加盟国の軍艦がオデッサへ入港、同じ頃にキエフ政府は大規模なウクライナ軍の部隊をウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)やクリミアの近くへ移動させてロシアを挑発。 4月に入るとアメリカ空軍は1週間の間に少なくとも3度、物資を空輸していると伝えられた。4月5日にはウクライナのゼレンスキー大統領はカタールを訪問、そのカタールの空軍は5機の輸送機を使い、トルコを経由でウクライナへ物資を運んでいるという。 そのトルコはウクライナでアメリカと連携、3月14日には少なくとも2機のC-17A輸送機がトルコからウクライナへ物資を輸送、トルコ軍兵士150名もウクライナへ入る。 4月10日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はトルコを訪れてレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談、その直後にトルコの情報機関は「ジハード傭兵」を集め始めている。 その直前、4月6日と7日にはNATO軍事委員会委員長のスチュアート・ピーチ英空軍大将がウクライナを訪問、9日にアメリカは「モントルー条約」に従い、トルコ政府へ自国の軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まるとると通告した。 その前にアメリカの軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まると通告されていたが、ロシアの反発が強いため、米艦船の黒海入りはキャンセル。 そうした中、ウクライナの国防大臣が辞意を表明し、その一方でネオ・ナチ「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュが参謀長の顧問に就任したと伝えられた。 6月28日から7月10日にかけてアメリカ軍を中心とする多国籍軍が黒海で軍事演習「シー・ブリーズ」を実施したが、これには日本も参加している。 シー・ブリーズに参加するために黒海へ入っていたイギリス海軍の駆逐艦「ディフェンダー」は6月23日にオデッサを出港した後、ロシアの領海を侵犯してクリミアのセバストポリへ接近。それに対してロシアの警備艇は警告のために発砲、それでも進路を変えなかったことからSu-24戦術爆撃機が4発のOFAB-250爆弾を艦船の前方に投下している。この爆弾は模擬弾ではなく実戦用。その直後にディフェンダーは領海の外へ出た。 当初、イギリス海軍は警告の銃撃や爆弾の投下はなかったと主張したが、問題の駆逐艦に乗船していたBBCの記者ジョナサン・ビールが周囲にロシアの艦船や航空機がいて、銃撃音や爆弾を投下した音を聞いたと伝えている。 6月24日にはオランダのフリゲート艦「エバーツェン」がクリミアへ接近したが、ロシア軍がSu30戦闘機とSu-24爆撃機を離陸させると、領海を侵犯しないまま、すぐに離れていった。 12月に入るとアメリカの偵察機が黒海の上空を何度も飛行、民間航空機の飛行ルートを横切るなど脅しを繰り返し、ウクライナ軍はアメリカ製の兵器を誇示してロシアを挑発している。その前にはアントニー・ブリンケン国務長官がロシアを恫喝、ロード・オースチン国防長官はウクライナを訪問していた。 一方、ウクライナの現政権は部隊をドンバスの近くへ移動させて軍事的な圧力を強めている。ゼレンスキー大統領は外国の軍隊が領土内に駐留することを議会に認めさせ、キエフ政権側で戦う外国人戦闘員にウクライナの市民権を与えることも議会は認めた。脅しのつもりだろう。 また、CIAがウクライナ軍の特殊部隊を秘密裏に訓練しているとする情報も伝えられている。この訓練は2015年、つまりウクライナでアメリカ政府がネオ・ナチを使ったクーデターを成功させた翌年にアメリカの南部で始められたという。訓練を受けた戦闘員はドンバス周辺で活動することが想定されているはずだ。ウクライナ軍の活動をアメリカ政府は「ロシアの偽旗作戦」だと宣伝する可能性がある。 アメリカは侵略戦争を正当化するため、偽情報を流すが、偽旗作戦も計画している。中でも「ノースウッズ作戦」は有名だ。 ソ連や中国を先制核攻撃する計画を持っていたアメリカの軍や情報機関はキューバが目障りだった。ロシアと国境を接しているウクライナほどではないが、アメリカはキューバを脅威と考えていた。そこへソ連が中距離ミサイルを持ち込めば、反撃の拠点になるからだ。 統合参謀本部議長だったライマン・レムニッツァーは1962年3月にロバート・マクナマラ国防長官に対してノースウッズ作戦の内容を説明したが、拒否される。10月にジョン・F・ケネディ大統領はレムニッツァーの議長再任を認めなかった。 ノースウッズ作戦に関する資料の大半は廃棄されたが、わずかながら残された重要な文書もある。それが1962年3月13日付けの機密文書。それによると、グアンタナモにあるアメリカ海軍の基地をキューバ側の工作員を装って攻撃したり、マイアミを含むフロリダの都市やワシントンでの「テロ工作」も実行、民間旅客機を装った無人機をキューバ近くで自爆させ、キューバ軍に撃墜されたように見せかけることも含まれていた。この計画を阻止したケネディ大統領は1963年11月22日にテキサス州のダラスで暗殺される。
2022.01.17
EMA(欧州医薬品庁)で生物学的な健康への脅威やワクチン戦略を指揮しているマルコ・カバレリは「COVID(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の追加接種(ブースター)を繰り返すと免疫反応に問題が生じ、免疫反応が思うようにいかなくなる可能性があると発言したというが、こうしたことは以前から指摘されていたことである。 例えば、FDA(食品医薬品局)の「ワクチン研究評価室」の室長を務めてきたマリオン・グルーバーと生物学的製剤評価研究センターで副センター長を務めてきたフィリップ・クラウスを含む研究者はバイデン政権が強制的に「ワクチン」を接種させるという方針を打ち出したことに抗議し、辞表を提出している。 このふたりを含む学者が執筆した報告書をイギリスの医学誌「ランセット」が昨年の9月13日に掲載しているが、その中で「COVID-19ワクチン」の追加接種(ブースター)を慌てて頻繁に実施することは危険だとしている。 その報告によると、「mRNAワクチン」を利用したモデルナやファイザー/BioNTechの製品は「心筋炎」を、また、アデノウイルスをベクター(遺伝子の運び屋)に利用したジョンソン・アンド・ジョンソンやオックスフォード/アストラゼネカの製品はギラン・バレー症候群(根神経炎の一種)を引き起こす恐れがあるという。 「COVID-19ワクチン」を接種した後に帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)が現れると早い段階から報告されていたが、「ワクチン」の接種で先行したイスラエルでは昨年4月頃からmRNAを利用した「ワクチン」が年少者に心筋炎や心膜炎を引き起こすと言われるようになる。 COVID-19騒動では感染して死亡したとされた人の大半は高齢者で、心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肺疾患、肝臓や腎臓の病気を複数抱えていたと報告されている。何が本当の死因でもPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性になれば、COVID-19で死亡したかのように伝えられてきたのだ。 「COVID-19ワクチン」でもそうした傾向が見られていたが、心筋炎や心膜炎は若い人に見られた。この問題でFDAがすぐにオンライン会議を開き、6月にはCDC(疾病予防管理センター)が緊急会議を開催したのだが、やはり若者が犠牲になっていることに驚いたのかもしれない。その後の調査で、12歳から17歳でそうした副作用が目立つと言われている。 こうした副作用を国際機関も各国の関連機関も追跡調査していないようだが、「ワクチン」のロットで副作用の出方が違うと囁かれてきた。ファイザーのアレルギー・呼吸器研究担当の副社長だったマイケル・イードンによると、報告されている副作用の90%を引き起こしたロットは全体の10%以下だという。「ワクチン」の中身がロットによって違う可能性がある。 通常のワクチンでも問題になっているADE(抗体依存性感染増強)が「COVID-19ワクチン」でも問題になっている。「ワクチン」が作り出す抗体には感染を防ぐ「中和抗体」と防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させる可能性があるという。 コロナウイルスは変異しやすいことで知られているが、「変異株」に対して「中和抗体」が「結合抗体」化することも考えられている。またコロナウイルスは構造が似ているため、通常の風邪を引き起こしていたウイルス、あるいは感染しても無症状だったウイルスでも深刻な影響が出てくることも考えられる。 また、スペインのパブロ・カンプラ教授は昨年6月、「mRNAワクチン」の中に「酸化グラフェン」があることを電子顕微鏡などで発見したと発表した。有力メディアはこの発表に否定的な話を流したが、7月になると少なからぬ人が注目するようになる。8月下旬になると、日本政府が「モデルナ製ワクチン」の中に磁石へ反応する物質が見つかったと発表、160万本が回収されたと伝えられた。 パンプラは11月、周波数の分析で酸化グラフェンが「ワクチン」に含まれていることを確認したと発表したが、その論文を読んだドイツの化学者、アンドレアス・ノアックは酸化グラフェンでなく水酸化グラフェンだろうと解説している。 ノアックによると、この物質は厚さが0.1ナノメートルの小さな板のようなもので、彼はカミソリの刃になぞらえていた。「mRNAワクチン」を接種すると、血管の中を小さな「カミソリの刃」が動き回るというわけだ。 COVID-19のパンデミックが本当に起こっているのかどうか疑問なのだが、「COVID-19ワクチン」が深刻な副作用を引き起こしていることは間違いない。中長期的に何が起こるのかはわからない。 そうしたこともあり、「ワクチン」に関する情報の開示は重要。そこでファイザー/BioNTechが製造している「ワクチン」の使用許可に関する文書を公表するように30名の科学者、教授、ジャーナリストが昨年8月、情報公開法に基づいて求めた。 それに対し、FDA(食品医薬品局)は昨年11月5日、連邦判事に対して文書の公開期限を2076年にするよう求めた。「55年待て」ということだが、その後、期限をさらに20年延ばしてきた。それに対し、テキサス州北部連邦地裁のマーク・ピットマン判事は8カ月以内に公開するよう命じた。議会の動きも含め、「ワクチン」接種を推進している勢力に逆風が吹き始めている。
2022.01.16
世界は1月10日から12日にかけての期間に大きな節目を通り過ぎたようだ。アメリカとNATOと安全保障について話し合った後、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務副大臣は交渉が袋小路に入り込んだと表現、双方の問題への取り組み方が違うし、交渉を再開する理由が見つからないとも語ったようだ。少なくとも1980年代からアメリカ政府は約束を守らず、交渉できる相手ではないので、当然の結論だと言えるだろう。 ミハイル・ゴルバチョフはアメリカやEUのエリートが信頼できる相手だと信じてソ連を解体へと導き、ボリス・エリツィンはロシアを欧米を支配する私的権力の属国にした。ロシアを再独立させたと考えられているウラジミル・プーチンも完全にはそうした枠組みから抜け出せないできたのだが、1月10日と12日の話し合いで一歩踏み出した可能性が高い。 ネオコンは恫喝が好きなようだが、アメリカの大統領だったリチャード・ニクソンはアメリカが何をしでかすかわからない国だと思わせれば自分たちが望む方向へ世界を導けると考えた。イスラエルのモシェ・ダヤン将軍は、狂犬のように思わせなければならないと語った。「脅せば屈する」という信仰だ。 ニクソンはベトナム戦争をアメリカにとって都合のいい形で「和平」を実現するために核攻撃で脅したと言われているが、これは彼が副大統領だった時代の経験に根ざしている。 1953年から大統領を務めたドワイト・アイゼンハワーは泥沼化した朝鮮戦争から抜け出そうと考え、中国に対して休戦に応じなければ核兵器を使うと脅したとされている。そして同年7月に休戦は実現した。この時の副大統領がニクソンである。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) ジョー・バイデン政権もロシアや中国を恫喝してきたが、当然のことながら、通じない。アメリカの「外交」は買収と恫喝が基本であり、これが通じないと袋小路。恫喝をエスカレートさせれば最終的に核戦争だが、ロシアはその覚悟をしたようだ。ネオコンは経済戦争で誤魔化そうとしているが、それも通じないだろう。そのアメリカへ従属することで地位と富を手に入れてきた日本のエリートは戦争への道を進む。自衛隊は前のめりになっている。
2022.01.15
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は1月7日現在、前の週より363名増え、2万1745名に達した。 一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われ、実際は20万人から200万人に達するということになるが、COVID-19の副作用は通常より隠されていると見られている。 アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は2020年4月、死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら、その死因をCOVID-19として良いとしていたが、「COVID-19ワクチン」の場合は対照的だ。
2022.01.15
少なからぬ人が「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動」に気を取られている中、1月10日にロシアとアメリカが、また1月12日にロシアとNATOがウクライナを舞台とした安全保障問題について話し合ったが、予想された通り成果はなかった。 そうした会議を控えた1月2日からカザフスタンの旧首都アルマトイなどで暴力的な反政府活動が始まる。燃料価格急騰への抗議が切っ掛けだとされているが、始まって間もなく様相は一変、救急車やパトカーが放火されるだけでなく、市庁舎も放火され、銃撃戦が始まる。死者は160名以上に達し、そのうち18名以上が治安部隊員で、そのうち少なくとも2名は首を切り落とされていた。 この流れはリビア、シリア、ウクライナなどと共通。リビアにおける反政府軍の地上における主力はアル・カイダ系のLIFGだったが、2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制体制が倒された後、LIFGがアメリカやイギリスの情報機関から支援を受け、NATOの空軍とも連携していたことが明確になる。 リビアでの役割を終えた戦闘員や兵器はアメリカ/NATOによってシリアへ運ばれた。「アル・カイダ」の象徴だったオサマ・ビン・ラディンが2011年5月、アメリカの特殊部隊によって殺されたことになっているが、象徴の消滅も人びとから関心を奪う一因になったかもしれない。 2012年7月から14年8月にかけてアメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)の局長を務めたマイケル・フリンはバラク・オバマ大統領のジハード傭兵支援は危険だとする報告書を2012年8月にホワイト・ハウスへ提出した。 その中で、シリアにおける反政府軍はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団で構成され、戦闘集団の名称としてアル・ヌスラを挙げている。そのアル・ヌスラはAQI、つまり「イラクのアル・カイダ」と実態は同じだともDIAは指摘しているが、その主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団。 オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告しているが、それは2014年に入ってダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実になった。その年の8月にフリンは解任される。 2015年に入ると、2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ交代、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代する。いずれも戦争に慎重な人物の排除だ。 この流れからすると2015年にシリアでもリビアと同じようにアメリカ/NATOが地上のジハード傭兵と連携して本格的な空爆を始めるつもりだったと推測できるが、統合参謀本部議長の交代から数日後、ロシア軍がシリア政府の要請で介入、アメリカが手先にしていたサラフィ主義者やムスリム同胞団を主力とする武装勢力は敗走、新たな手先としてクルドを使うようになる。 これがアメリカとトルコの関係悪化を招くのだが、つまりトルコは当初、侵略軍の一翼を担っていたのだ。その後、アメリカはトルコでクーデターも試みて失敗。トルコ政府がロシアへ接近したことも一因だが、少し前から再びトルコはアメリカに接近、カザフスタンでのクーデターでも重要な役割を果たしたと言われて知る。 ところで、2014年に登場したダーイッシュは拘束した人びとの首を切り落とすなど残虐性を宣伝していた。アメリカ軍の軍事介入を容認させるためだったのだろうが、ロシア軍の介入でそうしたシナリオは破綻した。 こうしたジハード傭兵の一部はウクライナでネオ・ナチと合流、ビクトル・ヤヌコビッチ政権をクーデターで倒した。この際、ネオ・ナチは治安部隊員を市民と同じように広場で狙撃、さらに拉致して拷問、殺害している。目を潰された状態で発見された隊員の死体も少ない。 アメリカがヤヌコビッチ政権を倒すのは2014年が2度目。2004年の選挙で大統領に選ばれたヤヌコビッチを排除、西側の私的権力は配下のビクトル・ユシチェンコにすげ替えるために「不正選挙だ」と宣伝、成功している。いわゆる「オレンジ革命」だ。 これは「カラー革命」のひとつだが、「革命」ではなく「クーデター」と表現する方が適切。かつて、CIAはアメリカの私的権力が持つ利権を守り、拡大するため、配下の軍人にクーデターを実行させ、目障りな人物を拘束、殺害していた。そのイメージを消すため、「革命」という用語を使うようになったのだろう。 こうしたタグの付け替えは効果的だった。1991年12月のソ連消滅で「唯一の超大国」になったと思われたアメリカ。そのアメリカに歯向かえば不利益を被ることは避けられない。「リベラル」を演じながらアメリカが支配するシステムの中で成功したい人びとは、タグの付け替えを喜んだことだろう。 1980年台からアメリカはクーデターに「NGO(非政府組織)」というタグを使うようになった。その背景にはロナルド・レーガン大統領が1983年1月に署名した「NSDD11」がある。これによって始まったのが「プロジェクト・デモクラシー」や「プロジェクト・トゥルース」。「デモクラシー」という看板を掲げながら民主主義を破壊、「トゥルース」という看板を掲げながら偽情報を流し始めたのだ。 このプロジェクトの一環として創設されたのがNED(ナショナル民主主義基金)。「民主主義のための国家基金法」に基づいて創設された組織で、CIAが秘密工作で使用する資金を流すことが目的だ。ここが政府から受け取った公的な資金はNDI(国家民主国際問題研究所)、IRI(国際共和研究所)、CIPE(国際私企業センター)、国際労働連帯アメリカン・センターへ流れるが、その資金がどのように使われたかは議会へ報告されていない。USAID(米国国際開発庁)もCIAの秘密工作にとって重要な役割を演じてきた。 NEDやUSAIDと並ぶクーデターの後ろ盾が投機家と言われているジョージ・ソロスが創設した団体。そうした団体である「オープン・ソサエティ財団」が2020年にカザフスタンの政治団体へ提供した資金は約380万ドル、NEDは120万ドル以上だ。
2022.01.14
アメリカの伝染病対策を指揮している「権威」、NIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチへの批判が強まっている。年明け後、公聴会でランド・ポール上院議員やロジャー・マーシャル上院議員と激しいやり取りがあった。その際、ファウチはマーシャル議員を知的障害者と口にしたのだが、それをマイクが拾い、話題になっている。 公聴会ではCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)が議論された。COVID-19の感染状況や対策を気にしている人が少なくないようだが、病気の深刻度が政府や有力メディアの宣伝と違うと感じている人が増えているようで、ロックダウンや「ワクチン」などCOVID-19対策が問題になってきた。 感染対策として「ソーシャル・ディスタンス」やマスクの着用が打ち出された。携帯電話のアプリを利用した監視システムは広まらなかったようだが、ロックダウンや「自粛」で行動は制限され、オーストラリアのように政府の方針に従わない人びとを拘束する収容所も建設されている。ファウチを含む「COVID-19ワクチン」の接種促進派は現在、全ての人間にデジタル・パスポートを携帯させようとしている。 こうした対策の実施は2010年5月にロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)が公表した「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」で予告されていた。 そのシナリオによると、2012年に新型インフルエンザのパンデミックが起こって全人口の20%近くが感染、7カ月で800万人が死亡、その多くは健康な若者だとされている。 対策として、マスクの着用や公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くとしている。市民は行動を制限されるわけだが、安全と安定を得るために自らの主権やプライバシーを放棄するとも見通しさらに全ての市民に生体認証が義務づけられるとも考えている。 WHO(世界保健機関)は2020年3月11日にCOVID-19のパンデミックを宣言、ロックフェラー財団の報告書に書かれているような対策が打ち出された。 この宣言はパンデミックの定義が変更されていたので可能だった。2009年1月にWHOは「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」の感染が拡大しているとしてパンデミックを宣言したが、その直前、条件の中から「多くの死亡者」が削除されていたのだ。COVID-19もかつての定義ならパンデミックを宣言できなかった。 COVID-19に感染して死亡したとされた人の大半は高齢者で、心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肺疾患、肝臓や腎臓の病気を複数抱えていることは世界共通。何が本当の死因でもPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性になれば、COVID-19で死亡したかのように伝えられてきた。 アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は2020年4月、死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら、その死因をCOVID-19として良いとしていた。そのCDCでさえ、COVID-19以外に死因はないと言えるケースは全体の6%にすぎないとしている。死亡者数は水増しされている。 感染者数を増やすために「無症状感染者」なるものが考えられた。それを演出するために使われてきたのがPCRだが、この技術は特定の遺伝子型を試験管の中で増幅させるためのもので、病気の診断には適していない。増幅回数(Ct)を増やせば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、しかも偽陽性の比率が高まる。 偽陽性を排除するためにはCt値を17に留めなければならないとする報告もあるが、そうなると感染が拡大していると宣言はできない。Ct値が35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。WHOでさえ、2020年12月14日にPCRのCt値を高くしすぎないようにと通告、21年1月20日にはPCR検査を診断の補助手段だと表現している。 アメリカでは「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」が使われてきた。そのEUA(緊急使用許可)の発行をCDCがFDA(食品医薬品局)に求めたのは2020年2月のことで、8月にはインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるものも開発されたとされた。 しかし、この検査方法のEUAを2021年12月31日に取り下げるとCDCは同年7月21日に発表。COVID-19を引き起こすとされるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)とインフルエンザ・ウイルスを区別できる手段を探すように求めている。 つまり、これまで使われてきた方法ではSARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できないということ。ならば風邪の原因として蔓延しているコロナウイルスの変異種を区別することも難しいだろう。 この発表が出る前、5月1日にカリフォルニア大学、コーネル大学、スタンフォード大学を含む7大学の研究者は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性になった1500サンプルを詳しく調べたところ、実際はインフルエンザウイルスだったと発表している。この結論をカリフォルニア大学は間違いだと主張したが、その根拠は示されていない。 現在、世界は軍事的な緊張が高まっている。アメリカが世界制覇の野望を捨てないからだ。「ソフト戒厳令」とも言えそうな状況を作る口実になってきたCOVID-19の感染拡大は好都合だろうが、アメリカと対立している国がCOVID-19の事実を知らせ始めるかもしれない。
2022.01.13
ジュネーブで1月10日にアメリカとロシアの政府高官がウクライナ情勢について話し合った。アメリカはウェンディ・シャーマン国務副長官、ロシアはセルゲイ・リャブコフ外務副大臣を中心とするチームによるものだが、具体的な進展はなかったようだ。 もっとも、この会談は始まる前から失敗に終わると言われていた。ロシアはアメリカ/NATOが自国の安全を脅かさないことを保証する文書を作成するように求めているのに対し、アメリカ/NATOは自分たちのすることに文句を言うなという姿勢だからだ。ロシア政府は自分たちの安全が脅かされる事態になれば軍事力を行使することもありえるとしている。ロシアの場合、アメリカと違って口先だけではない。日本もこの流れの中に飛び込んだわけだ。 会議が開かれる3日前、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官がNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務局長はロシア政府の要求を拒否、ウクライナのNATO加盟に文句を言うなとする姿勢を示したのである。EUの外務安全保障政策上級代表を務めるジョセップ・ボレルも自分たちの行うことにロシアは口をはさむなと発言している。会議を受け、ストルテンベルグはウクライナをめぐり、NATOはロシアとの軍事衝突に備えなけらばならないと発言した。 1991年12月にソ連が消滅した後、NATOは東へ拡大し続けてきた。この軍事同盟はソ連の軍事侵攻に備えるという名目で組織されたが、ソ連が消滅してから支配領域を広がり始めたことになる。 そうした支配領域の拡大はソ連が消滅する前年に始まった。東西ドイツが統一されたのだ。その際、アメリカ政府はソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフに対し、NATOを東へ拡大させないと約束していたとロシア駐在アメリカ大使だったジャック・マトロックが語っているが、アメリカ政府の約束を信じたソ連が悪い。 ドイツの外相だったハンス-ディートリヒ・ゲンシャーは1990年にエドゥアルド・シェワルナゼと会った際、「NATOは東へ拡大しない」と確約し、シェワルナゼはゲンシャーの話を全て信じると応じたという。シェワルナゼが外交の素人だということを明確に示している。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) それだけでなく、アメリカのジェームズ・ベイカー国務長官がソ連側に対し、統一後もドイツはNATOにとどまるものの、NATO軍の支配地域は1インチたりとも東へ拡大させないと1990年に語ったとする記録が公開されている。 イギリスやフランスもNATOを東へ拡大させないと保証したが、言うまでもなく、こうした約束を守らなかった。1インチどころか1000キロメートル近く東へ拡大、ロシアとの国境は目前に迫っている。そして2014年のウクライナにおけるクーデターだ。このクーデターを仕掛けたのがアメリカ政府であり、その手先がネオ・ナチだということは本ブログでも繰り返し書いてきた。 ロシアがウクライナ情勢に神経を使っている理由は過去から学んでいるからである。ナチスに支配されたドイツは1941年6月にソ連へ向かって軍事侵攻を開始した。「バルバロッサ作戦」だ。現在、そのスタートラインと同じ場所にアメリカ/NATOは迫っている。 この作戦でレニングラード、モスクワ、スターリングラードなどへドイツ軍は肉薄。最終的にはソ連が勝利したが、戦争で2000万人以上のソ連国民が殺され、工業地帯の3分の2を含む全国土の3分の1が破壊されている。ドイツはレニングラードを攻撃した際に兵糧攻めを実施、多くの餓死者を出したが、そのひとりがプーチンの兄だ。第2次世界大戦後、ソ連はドイツとの戦争で受けたダメージから立ち直ることは結局、できなかった。 アドルフ・ヒトラーが「ミュンヘン一揆」を試みる前年、中央ヨーロッパの統一を目的とするPEU(汎ヨーロッパ連合)が創設された。その中心グループにはオーストリア・ハンガリー帝国のオットー・フォン・ハプスブルクやリヒャルト・フォン・クーデンホーフ-カレルギー、またイタリアのバレリオ・ボルゲーゼ、イギリスのウィンストン・チャーチルがいた。 このプランは「ポーランド・リトアニア連邦」の復活を夢見るポーランド人一派の思いとも一致していた。ポーランドやウクライナの西部はカトリック圏であり、ポーランドでは1925年に「プロメテウス同盟」という地下組織も編成されている。 ローマ教皇庁の内部には、大戦の前からバルト海からエーゲ海までの中央ヨーロッパをカトリックで統一しようという勢力が存在した。「インターマリウム」だ。その組織はイギリスやフランスの情報機関から支援を受け、国家間の勢力争いと深く結びつくことになる。 ソ連/ロシアの西側に支配地を建設するという計画はイギリスが19世紀から持っている。海軍力を使ってユーラシア大陸の周辺部を支配、内陸部を締め上げるという長期戦略だが、その戦略の中に含まれているのだ。 この長期戦略をまとめたのが地政学の父とも言われるハルフォード・マッキンダー。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその戦略に基づいている。大陸を締め上げる「三日月帯」の西端がイギリス、東端が日本であり、中東でイギリスは帯の上にサウジアラビアとイスラエルを作り上げた。 大戦の終盤からアメリカの情報機関OSSの幹部で、ウォール街の大物弁護士でもあるアレン・ダレスをはじめとするグループはナチスの高官や協力者を保護、南アメリカへの逃亡を助け、後に雇っている。このプロジェクトにローマ教皇庁も強力していた。 日本が降伏する前からイギリスのチャーチル首相はソ連を奇襲攻撃する計画を立てていたが、アメリカにもソ連に対する核攻撃プランが作成されている。1954年にSAC(戦略空軍総司令部)は600発から700発の核爆弾をソ連に投下、118都市に住む住民の80%、つまり約6000万人を殺すという作戦を作成、さらに300発の核爆弾をソ連の100都市で使うという「ドロップショット作戦」も計画している。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイなど好戦派は1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。この攻撃を成功させるためにもアメリカ軍はキューバを制圧する必要があったのだ。キューバからなら中距離ミサイルでアメリカに反撃できる。これが「キューバ危機」の背景だ。 この先制核攻撃計画を阻止したジョン・F・ケネディ大統領は1963年11月22日に暗殺された。その責任をキューバやソ連になすりつけて戦争を始めようとする動きもCIA内に存在したが、これはFBIからリンドン・ジョンソン新大統領へ伝えられた情報で実行されなかった。 ロナルド・レーガン政権はソ連に対する軍事的な圧力をかけたが、それに歩調を合わせて中曽根康弘首相は1983年1月にアメリカで日本列島を「巨大空母」とワシントン・ポスト紙のインタビューで表現した。続けて、「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母とすべき」であり、「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語る。 それから間もない1983年4月から5月にかけてアメリカ海軍は千島列島エトロフ島の沖で大艦隊演習「フリーテックス83」を実施、3空母を集結させた。エンタープライズ、ミッドウェー、コーラルシーを中心とする機動部隊群が集まって挑発手金が軍事演習を実行したのだ。この重大な出来事を日本のマスコミはほとんど報じなかった。 そして1983年8月31日から9月1日にかけて大韓航空007便がソ連の領空を侵犯するという事件が引き起こされる。この旅客機はアンカレッジを離陸して間もなく航路を逸脱、NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が設定したアラスカの「緩衝空域」と「飛行禁止空域」を横切ってソ連軍の重要基地の上を飛行、ソ連側の警告を無視して飛び続けた末にサハリン沖で撃墜されたとされている。航路を逸脱してソ連へ向かう旅客機にNORADは何も警告していない。その後、レーガン政権は戦術弾道ミサイルのパーシングIIを西ドイツへ配備する。 007便の事件を利用してアメリカ政府は大々的な反ソ連キャンペーンを展開、その年の11月にはNATO軍が軍事演習「エイブル・アーチャー83」を計画、核攻撃のシミュレーションも行われることになっていた。1981年の段階で西側からの全面攻撃を想定していたソ連のKGBはこれを「偽装演習」だと疑い、全面核戦争を仕掛けてくるのではないかと警戒、その準備を始めている。 この時は勿論、キューバ危機の時より現在の状況は危険だとも言われている。そした中、アメリカ政府は「脅して屈服させる」というやり口を維持しているが、ロシア政府は行動で答える姿勢。バルバロッサの二の舞は御免だということだろう。 しかし、イギリスもアメリカもマッキンダーの戦略を維持している。中国、そしてロシアを制圧し、アングロ・サクソンのエリートが世界の覇者になるという夢を捨てていない。その基盤を作り上げたのがNMロスチャイルド&サンを資金的な後ろ盾にしていたセシル・ローズ。南部アフリカを侵略し、金やダイヤモンドで巨万の富を手に入れた人物だ。 ローズは1877年に「信仰告白」を書いたが、その中でアングロ・サクソンを世界で最も高貴な人種だと表現、その人種が支配地域を広げることは義務だとしていた。優生学と深く結びついた考え方で、トーマス・マルサスの人口論とも親和性は強く、社会ダーウィン主義を提唱したハーバート・スペンサーにつながる。 このスペンサーのほか、チャールズ・ダーウィンの親友だったジョセフ・フッカー、ダーウィンのいとこであるジョン・ラボックを含む「Xクラブ」をトーマス・ハクスリーは1864年に創設した。『すばらしい新世界』を書いたオルダス・ハクスリーはトーマスの孫だ。その小説にはオルダスの祖父たちが描いていた世界観が反映されていると言えるだろう。
2022.01.12
アメリカとロシアの政府高官が1月10日にジュネーブでウクライナ情勢をテーマにした協議を始めた。アメリカはウェンディ・シャーマン国務副長官、ロシアはセルゲイ・リャブコフ外務次官が中心だ。 ロシア側の要求は安全保障上に関係している。アメリカがNATOを東へこれ以上拡大させず、モスクワを攻撃するシステムをロシアの隣国に配備せず、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わず、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけず、定期的な軍同士の話し合いを実施、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないといったことを保証する文書を作成するように求めている。 すでにアメリカ/NATOは、ドイツが1941年6月に「バルバロッサ作戦」を始める直前とほぼ同じ場所までロシアへ近づいている。今の状態が「レッドライン」であり、それを踏み越えるなとウラジミル・プーチン露大統領は警告したのだ。 これに対し、EUの外務安全保障政策上級代表を務めるジョセップ・ボレルは自分たちの行うことにロシアは口をはさむなと発言、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は1月7日に「ロシアのさらなる侵略に対する強力な報復を準備している」と主張した。ふたりはプーチン大統領に対して唾を吐きかけたと言える。 ウクライナはアメリカの対ロシア戦略で重要な場所にあり、そこへアメリカ/NATO軍を配備できれば、いつでもロシアに止めを刺せる。ロシアの西側に支配地を築くことは19世紀以来、アングロ・サクソンの戦略だ。 カザフスタンの混乱は、こうしたアングロ・サクソンの戦略に対抗するロシアの手を縛ることになる。この混乱は外国勢力が仕掛けたクーデターだったことが明確になってきたが、もしクーデターが成功していたならば、ロシアだけでなく中国も厳しい状況に陥っていただろう。ロシアと中国に接する戦略的に重要な場所にあるカザフスタンはウランやレア・アースの産出国であり、ロシアの宇宙開発でも重要。カザフスタンでクーデターを成功させ、ウクライナを完全に制圧するというプランをアメリカは立てていた可能性がある。 しかし、クーデターは失敗した。1月6日にはカザフスタンの安全保障会議で議長を務めていたカリム・マシモフが解任され、反逆罪で逮捕されたと伝えられている。未確認情報として、ヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領の甥も反逆罪で拘束されたという。 1月10日には取り調べを受けていた治安機関の大佐が飛び降り自殺、やはり捜査の対象になっていたジャンブール州の警察署長も自殺したと伝えられている。どのような背景があるか不明だが、今回のクーデターが何らかの形で関係しているのかもしれない。 2014年にあったウクライナのクーデターでは治安部隊の隊員がネオ・ナチの戦闘員に惨殺されたが、今回も17名以上の隊員が殺されている。首を切り落とされた人もいるようだ。 カザフスタンではCSTO(集団安全保障条約)の平和維持部隊が速やかに派遣された。重要な施設を警備しているようだが、カザフスタンの治安部隊を支えるというメッセージにもなっている。逆に、国外から侵入したジハード戦闘員に対しては脅威だ。アメリカ政府も動揺しているだろう。
2022.01.11
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領の広報担当者によると、暴動に参加したとして逮捕された人は約6000名に達し、拘束された人びとへの取り調べから外国勢力が関係している実態が明確になってきたようだ。 外国人を含むジハード戦闘員2万名ほどが暴動に参加、銃撃戦を始めたとされているが、それだけでなく、「抗議活動」を演出するために近隣諸国から人を集めたようだ。 そうしたひとりとされる人物がカメラの前で語っている様子が公開されているが、それによると、1月1日に見知らぬ人びとが彼に接触、抗議活動へ参加する代償として9万テンゲ(2万5000円強)を支払うと言われ、失業していた彼は承諾したという。彼はチケットを受け取り、カザフスタンのアルマトイにあるアパートへ連れて行かれたが、そこにはタジキスタン人やウズベキスタン人もいたとしている。 1970年代にズビグネフ・ブレジンスキーはアフガニスタンへソ連軍を誘い込み、「ベトナム戦争」を味合わせるという計画を立て、ソ連軍と戦わせる戦闘集団を編成した。資金と戦闘員を提供したのがサウジアラビア、情報を提供したのがパキスタンの情報機関。集めた戦闘員はアメリカの軍や情報機関が訓練した。その時に戦闘員として訓練を受けた人びとの「データベース」が「アル・カイダ」だとロビン・クック元英外相は2005年7月に説明している。 戦闘員の多くはサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団で、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)にもつながる。 ブレジンスキーが作り上げた「ジハード傭兵」の仕組みをバラク・オバマ大統領は採用したのだが、その理由のひとつはオバマがブレジンスキーの影響を強く受けているからだと考えられている。もうひとつは、ジョージ・W・ブッシュ政権が始めた正規軍によるイラクへの先制攻撃が泥沼化したことだろう。 シーモア・ハーシュが2007年にニューヨーカー誌に書いた記事によると、ジョージ・W・ブッシュ政権はシリア、イラン、そしてレバノンで活動するヒズボラを最大の敵だと定め、スンニ派の過激派と手を組むことにしたという。「スンニ派の過激派」はサラフィ主義者やムスリム同胞団を指すが、アメリカが潰したサダム・フセイン政権の軍人も含まれていた。 オバマ大統領は2010年8月にPSD-11を出し、ムスリム同胞団を主力とする体制転覆プロジェクトを開始。同年12月にはチュニジアでいわゆる「アラブの春」が始まり、2011年2月にはリビア、3月にはシリアで戦争が勃発する。西側の政府や有力メディアは「内戦」と表現するが、侵略戦争以外の何ものでもない。2014年のウクライナにおけるクーデターも今回のカザフスタンの暴動もシナリオは似ている。
2022.01.10
カザフスタンの混乱は沈静化しつつあるようだ。1月2日から旧首都のアルマトイなどで暴力的な反政府活動が始まり、救急車やパトカーが放火されるだけでなく、市庁舎も放火される事態になっていた。カザフスタンへの派遣が始まったCSTO(集団安全保障条約)の平和維持部隊は重要な施設の警備を行うだけだとも言われている。 すでに約4500名が逮捕されているようだが、それだけでなく、1月6日にはカザフスタンの安全保障会議で議長を務めていたカリム・マシモフが解任され、反逆罪で逮捕されたと伝えられている。未確認情報として、ヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領の甥も反逆罪で拘束されたという。ナザルバエフはトニー・ブレア元英首相からアドバイスを受けていた人物で、1995年から投機家のジョージ・ソロスもカザフスタンへ食い込んでいた。今回の暴動はクーデターだった可能性が高くなった。 カザフスタンにおける抗議活動のベースにはエネルギー資源価格の急騰があるが、暴力的になったひとつの理由は、外国人を含むジハード戦闘員2万名ほどが銃撃戦を始めたことによる。その一部は訓練を受けたスナイパーのようだ。 地図を見ればすぐにわかるが、カザフスタンはロシアと中国に接する戦略的に重要な場所にあるほか、ウランやレア・アースの産出国で、日本も食い込んでいた。ロシアの宇宙開発でも重要な国だ。 アメリカが生物兵器の開発に関係した研究施設を作っている国のひとつでもあるが、アメリカはカザフスタンの混乱がロシアのウクライナに対する選択肢を減らすことになるとも見ていたようだ。 ロシアは1月10日にアメリカと首脳会談を行い、12日にはNATOとも首脳階段を予定。すでにアメリカ/NATOは1941年6月にドイツが「バルバロッサ作戦」を始める直前とほぼ同じ場所までロシアへ近づいている。今の状態が「レッドライン」であり、それを踏み越えるなとロシアのウラジミル・プーチン政権は警告している。 NATOをこれ以上拡大させず、モスクワを攻撃するシステムをロシアの隣国に配備せず、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わず、NATOの艦船や航空機はロシアへ近づかず、定期的な軍同士の話し合いを実施、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないといったことを保証する文書を作成するようにロシア政府は要求している。 それに対し、EUの外務安全保障政策上級代表を務めるジョセップ・ボレルは自分たちの行うことにロシアは口をはさむなと発言している。つまりNATOを東へ拡大し、ロシアとの国境近くにミサイルを配備するのも自分たちの勝手であり、黙っていろというわけだ。アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は1月7日、「ロシアのさらなる侵略に対する強力な報復を準備している」と発言したが、カザフスタンでウクライナのようなクーデターを成功させられなかったことはショックだろう。アメリカの好戦的な策はまた裏目に出たようだ。勿論、この様子を中国政府も注視している。
2022.01.10
正月明け後、「新型コロナウイルス」の「感染者数」が増えていると騒がれ始めた。騒いでいるのは言うまでもなく政府、自治体、マスコミなど。2020年3月11日にWHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言して以来、恐怖を煽り、「ワクチン」の接種を推進してきた集団だ。もしPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の陽性者を「感染者」と見なしているなら、この数字は科学的に無意味である。 アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」への感染を確認するためだとして「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」を利用してきた。 そのEUA(緊急使用許可)の発行をFDA(食品医薬品局)に求めたのは2020年2月のこと。SARS-CoV-2が引き起こす「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」の診断のみに使うという条件がついていたのだが、8月にはインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるものも開発されたとされた。 しかし、この検査方法のEUAを2021年12月31日以降、取り下げるとCDCは同年7月21日に発表、SARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できる手段を探すように求めている。つまり、これまで使われてきた方法ではSARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できないということだ。実際、COVID-19騒動が始まってからインフルエンザは姿を消した。 この発表の前、5月1日にカリフォルニア大学、コーネル大学、スタンフォード大学を含む7大学の研究者は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性になった1500サンプルを詳しく調べたところ、実際はインフルエンザウイルスだったと発表している。この結論をカリフォルニア大学は間違いだと主張したが、その根拠は示されていない。 インフルエンザウイルスとコロナウイルスを区別できないなら、コロナウイルスの「旧型」と「新型」も区別できないだろう。インフルエンザだけでなく風邪もCOVID-19だとカウントしている可能性があるということだ。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、PCRを利用したSARS-CoV-2の診断手順はドイツのウイルス学者、クリスチャン・ドロステンらが2020年1月に発表、その手順をWHO(世界保健機関)はすぐに採用、世界に広まった。 この診断手順が採用された当時、単離されたウイルスを使えなかったことをCDCは認めている。少なくともその時点でSARS-CoV-2の存在が確認されていたとは言えないのだ。 しかも、その手順に科学技術的な間違いがあるとする指摘が出されるようになる。昨年1月20日にはWHOでさえ、PCR検査が診断の補助手段だとしているが、PCR検査を利用しないと「無症状感染者」を作り出すことができず、「パンデミック」のストーリーは語れなくなってしまう。 PCRを開発し、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスはこの技術は分析のものであり、診断を目的にしていないと語っていた。PCRは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術で、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になるだけでなく、偽陽性の確立が増えていくことも知られている。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されているのだが、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40。医学的には無意味だ。 PCRは「感染者」を見つけるためには不適切な手段であり、この技術を使うにしてもCt値がいくつなのかは重要な情報で、必ず発表しなければならない。陽性だからといって感染しているとは言えない。しかも、ここにきて蔓延しているという「オミクロン」は症状が「マイルド」だとされている。 それに対し、COVID-19への恐怖心を煽っている政府、自治体、マスコミなどが接種を推進している「ワクチン」の深刻な副作用は明確。若者や子どもに心筋炎や心膜炎を引き起こしているほか、帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)の発症も早い段階から指摘されていた。 最も広く使われている「mRNAワクチン」はSARS-CoV-2のスパイク・タンパク質を体内で製造、それによって抗体を作り出すとされているのだが、これにはリスクが伴う。 抗体は感染を防ぐ「中和抗体」と防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させる可能性がある。 コロナウイルスは変異しやすいことで知られているが、「変異株」に対して「中和抗体」が「結合抗体」化することも考えられる。またコロナウイルスは構造が似ているため、通常の風邪を引き起こしていたウイルス、あるいは感染しても無症状だったウイルスでも深刻な影響が出てくることも考えられる。ADE(抗体依存性感染増強)だ。 また、スペインのパブロ・カンプラ教授は昨年6月、「mRNAワクチン」の中に「酸化グラフェン」があることを電子顕微鏡などで発見したと発表した。有力メディアはこの発表に否定的な話を流したが、7月になると少なからぬ人が注目するようになる。8月下旬には日本政府が「モデルナ製ワクチン」の中に磁石へ反応する物質が見つかったと発表、160万本が回収されたと伝えられている。 パンプラは11月、周波数の分析で酸化グラフェンが「ワクチン」に含まれていることを確認したと発表したが、その論文を読んだドイツの化学者、アンドレアス・ノアックは酸化グラフェンでなく水酸化グラフェンだろうと解説している。 ノアックによると、この物質は厚さが0.1ナノメートルの小さな板のようなもので、彼はカミソリの刃になぞらえていた。「mRNAワクチン」を接種すると、血管の中を小さな「カミソリの刃」が動き回るというわけだ。 また、「mRNAワクチン」で使われている有害なLNP(脂質ナノ粒子)は肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布すると報告されている。LNPが卵巣に分布する量は微量なので心配しなくて大丈夫だと主張する人もいるようだが、ごく微量であろうと存在してはいけない物質が存在する。LNPが卵子に影響、不妊につながることは否定できない。
2022.01.10
アントニー・ブリンケン国務長官は1月7日、「ロシアのさらなる侵略に対する強力な報復を準備している」と発言した。勿論、侵略しているのはアメリカだが、自分たちの悪事を相手が行っていると宣伝するのはアメリカの常套手段だ。ロシアはアメリカと1月10日に、またNATOと1月12日にウクライナ情勢などについて話し合う予定で、その前にジャブを出したつもりなのかもしれない。 アメリカが東へ向かった進撃を始めたのは1990年の東西ドイツ統一からである。その際、アメリカ政府はソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフに対し、NATOを東へ拡大させないと約束していたとロシア駐在アメリカ大使だったジャック・マトロックが語っているが、アメリカ政府が約束を守るはずはなかった。 また、ドイツの外相だったハンス-ディートリヒ・ゲンシャーは1990年にエドゥアルド・シェワルナゼと会った際、「NATOは東へ拡大しない」と確約し、シェワルナゼはゲンシャーの話を全て信じると応じたともいう。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) それだけでなく、アメリカのジェームズ・ベイカー国務長官がソ連側に対し、統一後もドイツはNATOにとどまるものの、NATO軍の支配地域は1インチたりとも東へ拡大させないと1990年に語ったとする記録が公開されている。イギリスやフランスもNATOを東へ拡大させないと保証したが、言うまでもなく、こうした約束を守らなかった。1インチどころか1000キロメートル近く東へ拡大、ロシアとの国境は目前に迫っている。そして2014年のウクライナにおけるクーデターだ。 ウクライナにおける軍事的な緊張を一気に高めたのは、2014年2月にネオ・ナチを主力とするクーデターをウクライナで成功させたアメリカのバラク・オバマ政権である。2010年の選挙で当選したビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したのだ。ヤヌコビッチはロシア語を話す人が多いの東部と南部を地盤とし、アメリカの私的権力から見ると自分たちへの従属度が足りなかった。 キエフのクーデター政権はヤヌコビッチの地盤で住民を虐殺し、生き残った人びとを追い出して反ロシアの住民を移住させようとする。中でもオデッサの虐殺は凄惨だった。ただ、自分たちの置かれた状況を早く察知したクリミアの住民はアメリカを後ろ盾とするクーデター政権を拒否、ロシアと一体になる道を選んだ。 東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)ではクリミアより対応が遅れ、住民とキエフのクーデター軍と戦闘が始まった。クーデターを拒否するウクライナの軍人や治安機関のメンバーも住民に合流、新兵主体のクーデター軍は劣勢だった。戦闘が続けば住民側の勝利は間違いなかったが、ロシア政府の意向もあって停戦、その後、キエフ側は体制の立て直しを図る。戦闘が再び激しくなったのは、立て直しできたということなのだろう。 こうしたアメリカの行為に対し、ロシアのウラジミル・プーチン大統領はNATOが東へ勢力をこれ以上拡大させることを容認できないと発言した。安全保障上の保証を文書化することを求め、この件で譲歩しないことを明確にしている。1月7日のブリンケン発言はプーチンに対して唾を吐きかけたに等しい。 EUの外務安全保障政策上級代表を務めるジョセップ・ボレルはプーチンの発言に対し、自分たちのことを決める権利を持っているのは自分たちであり、ロシアは口をはさむなと言っている。つまりNATOを東へ拡大、ロシアとの国境近くにミサイルを配備するのも自分たちの勝手だというわけだ。ボレルにブリンケンは同調したとも言える。 アングロ・サクソンは19世紀以来、世界の覇者となるためにはロシアを支配する必要があると考え、そのためにユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げ、ロシアの西隣に支配地を作ろうとしてきた。 第2次世界大戦の前、バルト海からエーゲ海までの中央ヨーロッパをカトリックで統一するために「インターマリウム」が組織されている。その組織はイギリスやフランスの情報機関から支援を受け、国家間の勢力争いと深く結びついていた。 1922年には中央ヨーロッパの統一を目的とするPEU(汎ヨーロッパ連合)が創設された。その中心にはオットー・フォン・ハプスブルク大公がいたが、オーストリア・ハンガリー帝国のリヒャルト・フォン・クーデンホーフ-カレルギーやイタリアのバレリオ・ボルゲーゼ、あるいはイギリスのウィンストン・チャーチルもメンバー。有力貴族のネットワークとも言える。 このプランは「ポーランド・リトアニア連邦」の復活を夢見るポーランドの勢力の思いとも一致していた。ポーランドやウクライナの西部はカトリック圏であり、ポーランドでは1925年に「プロメテウス同盟」という地下組織も編成されている。ポーランドはアメリカやイギリスの私的権力を中心とする勢力の一部。ポーランドを単独で見る姿勢は正しくない。 大戦の終盤からナチスの高官や協力者をアレン・ダレスたちを保護、南アメリカへの逃亡を助け、後に雇っているが、このプロジェクトにローマ教皇庁も強力していた背景には共通の対ソ連/ロシア政策があった。 オバマ政権が作り出したウクライナ情勢によってロシアとアメリカの間で軍事的な緊張が高まっているが、そうした中、プーチンに対して唾を吐きかけたのがブリンケン。そのブリンケンは1月7日に林芳正外相や岸信夫防衛相とバーチャル会議で話し合っているが、その際、ブリンケンは極超音速兵器や宇宙戦力などを念頭におき、日米が新たな研究開発協定に署名すると語っている。その前日、岸田文雄首相とオーストラリアのスコット・モリソン首相は「円滑化協定」に署名、自衛隊とオーストラリア軍は相手の国へ事前に話し合いなしに入国、軍事訓練を行えるようになった。日本はロシアや中国との戦争に向かって歩き始めた。
2022.01.09
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は12月31日現在、前の週より380名増え、2万1382名に達した。この数字は実際の1%から10%程度にすぎず、実際は20万人から200万人に達すると見られている。
2022.01.08
アメリカのインディアナ州を拠点とする保険会社「ワンアメリカ」の公表した統計が話題になっている。「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)パンデミック」が始まった後、18歳から64歳にかけて人びとの死亡率が前に比べて40%増え、大半の死因はCOVID-19以外だというのだ。これほど死亡率が上昇したことは過去になく、異常事態だと言える。 昨年10月にインドでも似たことが指摘されていた。COVID-19以外の病気で入院する人が急増、心臓に関係した深刻な病気が40%増えたとされている。 2021年4月にイスラエルで「COVID-19ワクチン」のうちmRNAを利用したものを接種した十代の若者を含む人びとの間で心筋炎や心膜炎が引き起こされるケースがあると報告されている。アメリカでも似た事例が見つかり、アメリカ軍の調査でもmRNA技術を使ったファイザー製とモデルナ製の「COVID-19ワクチン」が心筋炎を引き起こすという結果に達した。 こうした報告に対し、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は「COVID-19ワクチン」と心臓の炎症に関連性はないと主張するが、5月になると「ワクチン」のデータを見直すと言わざるをえなくなり、緊急会議を開催することになった。そして6月23日、CDCのACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)は「mRNAワクチン」と「穏やかな」心筋炎との間に関連がありそうだと語る。 また、FDA(食品医薬品局)は6月25日、mRNA技術を使ったファイザー製とモデルナ製の「COVID-19ワクチン」が若者や子どもに心筋炎や心膜炎を引き起こすリスクを高める可能性を認めている。 「COVID-19ワクチン」を接種した後に現れる副作用は心臓に関するものに限らない。接種が始まった直後から帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)が発症すると指摘されはじめ、「mRNAワクチン」で使われている有害なLNP(脂質ナノ粒子)は肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布すると報告されている。 LNPが卵巣に分布する量は微量なので心配しなくて大丈夫だとする議論もあるが、ごく微量であろうと存在してはいけない物質が存在する。LNPが卵子に影響、不妊につながることは否定できない。
2022.01.08
日本とアメリカの外交や軍事を担当する閣僚、つまり日本の林芳正外相と岸信夫防衛相、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官がバーチャル会議を1月7日(日本時間)に開いた。その冒頭、ブリンケン長官は極超音速兵器や宇宙戦力などを年頭におき、日米が新たな研究開発協定に署名すると語っている。日米の仮想敵国はロシアと中国だ。中国単独ということはありえない。 アメリカやイギリスの私的権力が19世紀から続けてきたユーラシア大陸周辺部から内陸部を締め上げるという長期戦略を維持してきた。その戦略をまとめたのが地政学の父とも言われるイギリスの地理学者、ハルフォード・マッキンダー。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその戦略に基づいている。 この戦略は1991年12月にソ連が掃滅した段階でほぼ達成されたように見えたのだが、21世紀に入ってウラジミル・プーチンがロシアを曲がりなりにも再独立させることに成功、アングロ・サクソンの計画は揺らぐことになった。ネオコンのようなアメリカの好戦派はロシアを再び屈服させようと2014年にウクライナでクーデターを実行したが、それが原因でロシアと中国は「戦略的同盟関係」を結んでしまう。裏目に出たわけだ。 2015年にアメリカ政府は好戦的な陣容に替えられる。2月に国防長官をチャック・ヘイゲルからアシュトン・カーターへ、9月には統合参謀本部議長をマーティン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させたのだ。 シリアへの本格的な空爆が始まると推測する人もいたが、統合参謀本部議長交代から5日後にロシア軍がシリア政府の要請で介入、アメリカの手先として動いていたアル・カイダ系武装勢力やダーイッシュの支配地域は急速に縮小していく。そこでアメリカは新たな手先としてクルドと手を組むことになった。 2017年4月にドナルド・トランプ政権は地中海に配備されていたアメリカ海軍の2隻の駆逐艦、ポーターとロスから巡航ミサイル(トマホーク)59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したものの、6割が無力化されてしまう。ロシアの防空システムがアメリカのシステムより優秀だということが明確になった。 それを目撃したサウジアラビアのサルマン国王はその年の10月にロシアを訪問、ロシア製防空システムS-400を含む兵器/武器の供給をサウジアラビアは購入する意向を示したと言われている。勿論、アメリカから取り引きを潰す強い圧力があったはずだ。 2018年4月にもアメリカはミサイルでシリアを攻撃している。この時はイギリスやフランスを巻き込み、100機以上の巡航ミサイルをシリアに対して発射したが、今度は7割が無力化されてしまう。前年には配備されていなかった短距離用の防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったと言われている。こうしたアメリカによるミサイル攻撃を含め、シリアでの戦争はロシア軍の強さとロシア製兵器の優秀さを世界へ知らせることになった。 アメリカ海軍が「太平洋軍」という名称を「インド・太平洋軍」へ変更、太平洋からインド洋にかけての海域を一体のものとして扱うことを明確にしたのは2018年5月のことである。これもマッキンダーの戦略に沿っている。 日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点にし、インドネシアが領海域をつなぐとされたが、インドがロシアとの関係を強化し、インドネシアもアメリカと距離を置き始めている。 アメリカは東アジアにおける軍事同盟として「クワド」を組織した。アメリカのほか、オーストラリア、インド、そして日本で構成されているが、インドはアメリカ離れしつつある。 そこで新たに作り上げたのがアメリカ、オーストラリア、そしてイギリスをメンバー国とする「AUKUS」だ。アメリカとイギリスの技術でオーストラリアは原子力潜水艦を建造するという。 このAUKUSについて、ロシア国家安全保障会議のニコライ・パトロシェフ議長は中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと指摘している。これは常識的な見方だ。相手がロシアであろうと中国であろうと、アメリカは自分たちのヘゲモニーに挑戦する国を許さないということである。防衛白書に出てくる「国際社会の安定」はアメリカのヘゲモニーが維持される状態を指しているのだろう。
2022.01.07
カザフスタンでは旧首都のアルマトイで暴力的な反政府活動が展開され、CSTO(集団安全保障条約)が平和維持部隊を派遣することになった。暴動は早晩鎮圧されると見られているが、こうした展開をアメリカ政府も予想、現地の大使館と領事館が12月に警告を発表している。 国防総省系のシンクタンク「RAND研究所」が2019年に出した報告書でも書かれているが、ロシアを倒す地政学的な手段のひとつが中央アジアにおけるロシアの影響力を低下させること。カザフスタンは中央アジアの国だ。 ソ連が存在していた当時、カザフスタンもソ連の一部だった。1991年12月にボリス・エリツィンが独断でソ連を消滅させたが、彼の背後にはシティやウォール街、つまりイギリスやアメリカの金融資本が存在していた。その手先となった人びとは「オリガルヒ」と呼ばれる富豪になるが、ウラジミル・プーチンが実権を握って以来、ロシアでは政府を凌駕する力はなくなった。 政府を支配していたオリガルヒのうち、プーチン体制へ従うことを拒否した人びとは資産を携えてロンドンやイスラエルへ逃亡したのだが、カザフスタンなどではオリガルヒの支配が続いている。そうした富豪は西側の私的権力と結びついているが、その強さはそれぞれ。完全に従属していれば何も言われないが、ロシアとの関係を断ち切らない人びとは「独裁者」と呼ばれる、攻撃の対象になる。 カザフスタンも西側との関係を断ち切ったわけでなく、同国における最大の石油会社はロックフェラー系のシェブロン。1991年12月から19年3月まで大統領を務めたヌルスルタン・ナザルバエフはトニー・ブレア元英首相からアドバイスを受けていた。CIAの資金が入っていたことも知られている。
2022.01.07
日本の岸田文雄首相とオーストラリアのスコット・モリソン首相は1月6日、「円滑化協定」に署名したという。これによって、自衛隊とオーストラリア軍は相手の国と事前に話し合うことなく入国して軍事演習を行えるようになった。 「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動」を利用して国全体を刑務所化したと言われいるオーストラリアは昨年9月、アメリカやイギリスと軍事同盟AUKUSを創設したと発表した。それと同時にアメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられている。事実上、アメリカの核攻撃力を高めることになるだろう。 一方、6月28日に防衛副大臣だった中山泰秀はネオコン系シンクタンクのハドソン研究所で講演、中国とロシアの脅威を強調、7月には2021年版の防衛白書が閣議で報告されたが、その中で「台湾をめぐる情勢の安定」が日本の「安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても重要」だと主張されている。 アメリカが中国やロシアとの軍事的な緊張を高めている中、安倍晋三元首相は台湾のシンクタンク「国策研究院」が主催したフォーラムに参加、台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもあると12月に発言している。「ひとつの中国」という建前を否定したわけだ。 この安倍は総理大臣だった2015年6月、赤坂にある赤坂飯店で開かれた懇親会で「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと伝えられている。 日本とオーストラリアが軍事的なつながりを強めたということは、日本がAUKUSにつながることを意味する。そのAUKUSをロシア国家安全保障会議のニコライ・パトロシェフ議長は中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと指摘している。少なくともロシアや中国はそう見ている。そのAUKUSと日本は結びついたのだ。 19世紀以来、日本はアメリカやイギリスの手先となってきた。日本列島は大陸を侵略するための拠点であり、日本人は事実上の傭兵だ。この構図は今も続いている。 イギリスは1840年から42年にかけて中国(清)に戦争を仕掛けた。アヘン戦争だ。1856年から60年にかけても同じ構図の戦争、第2次アヘン戦争(アロー戦争)が行われている。イギリスはインド産のアヘンを中国へ売りつけようとしたのだが、この時、アメリカはトルコ産のアヘンを中国へ売りつけて大儲けしている。つまり、イギリスとアメリカは麻薬取引のライバルだった。 アヘン戦争で勝ったイギリスだが、内陸部を占領するだけの戦力がない。そこで彼らは日本に目をつけた。 アメリカやイギリスの私的権力は明治維新以来、日本に大きな影響を及ぼしてきた。イギリスの外交官として日本にいたアーネスト・サトウやアメリカの駐日公使だったチャールズ・デロングや厦門の領事だったチャールズ・ルジャンドルたちはいずれも日本に大陸を攻撃させたがっていた。 ルジャンドルはアメリカへ戻る途中に日本へ立ち寄り、デロングと大陸侵略について話し合う。デロングは日本の外務省に対してルジャンドルを顧問として雇うように推薦、ルジャンドルは1872年12月にアメリカ領事を辞任して外務卿だった副島種臣の顧問になり、台湾への派兵を勧めた。その直前、1872年9月に明治政府は「琉球藩」をでっちあげて琉球を併合、74年5月に台湾へ軍事侵攻した。 1875年9月に明治政府は李氏朝鮮の首都を守る要衝の江華島へ軍艦を派遣して挑発、「日朝修好条規」を結ばせて清国の宗主権を否定させることに成功、さらに無関税特権を認めさせ、釜山、仁川、元山を開港させている。 朝鮮では1894年に甲午農民戦争(東学党の乱)が起こり、体制が揺らぐ。それを見た日本政府は「邦人保護」を名目にして軍隊を派遣、その一方で朝鮮政府の依頼で清も軍隊を出して日清戦争につながる。 当時、朝鮮では高宗の父にあたる興宣大院君と高宗の妻だった閔妃と対立、主導権は閔妃の一族が握っていた。閔妃がロシアとつながることを恐れた日本政府は1895年に日本の官憲と「大陸浪人」を使って宮廷を襲撃して閔妃を含む女性3名を殺害、その際に性的な陵辱を加えたとされている。その中心にいた三浦梧楼公使はその後、枢密院顧問や宮中顧問官という要職についた。 日本は1902年にイギリスと同盟協約を締結、04年2月に仁川沖と旅順港を奇襲攻撃して日露戦争が始まる。その際、日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフだ。 1905年5月にロシアのバルチック艦隊は「日本海海戦」で日本海軍に敗北するが、戦争が長引くと日本は持たない。そこで登場してくるのが「棍棒外交」のセオドア・ルーズベルト米大統領。講和勧告を出したのだ。9月に講和条約が調印され、日本の大陸における基盤ができた。 講和条約が結ばれた2カ月後、桂太郎首相はアメリカで「鉄道王」と呼ばれていたエドワード・ハリマンと満鉄の共同経営に合意したのだが、ポーツマス会議で日本全権を務めた小村寿太郎はこの合意に反対し、覚書は破棄されている。アメリカの私的権力は中国への侵略を本格化させるつもりだったのだろうが、小村によって阻止された形だ。 それに対し、アメリカ側の意向に従って動いていたのが金子堅太郎。金子は小村と同じようにハーバード大学で法律を学んでいるが、彼らの2年後輩がセオドア・ルーズベルトだ。1890年に金子とルーズベルトはルーズベルトの自宅で合い、親しくなる。 日本政府の使節としてアメリカにいた金子は1904年にハーバード大学でアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦っていると演説し、同じことをシカゴやニューヨークでも語っていた。日露戦争の後、ルーズベルトは日本が自分たちのために戦ったと書いている。こうした関係が韓国併合に結びつくわけだ。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) アメリカやイギリスの手先として日本は琉球と台湾を含む封鎖線を作り上げた。その南にあるフィリピンをアメリカは1898年に植民地化、その際に住民を虐殺している。アメリカにとって、このフィリピンも大陸を侵略する拠点であり、独立を容認しない。 アメリカは中国やロシアを経済や軍事で恫喝、屈服させようとしているが、中国もロシアも屈服しない。恫喝をエスカレートさせれば軍事的な緊張は高まり、どこかの時点で戦争が勃発する可能性がある。そうなれば、日本は戦争の最前線になり、廃墟と化すことは避けられない。原発が無傷でいられるとも思えない。
2022.01.07
カザフスタンの旧首都アルマトイで1月2日から暴力的な反政府活動が展開されている。抗議活動は暴動へエスカレートし、救急車やパトカーが放火されるだけでなく、市庁舎も放火される事態になった。この地区では非常事態が宣言され、夜間外出禁止令が出されている。その一方、事態を沈静化させるためにアスクル・マミン首相の政府は辞表をカシムジョマルト・トカエフ大統領へ提出、認められた。 そのトカエフは外国が介入していると非難、CSTO(集団安全保障条約)に平和維持部隊を派遣するように求め、認められたようだ。もしアメリカが関与しているなら、偵察衛星で得た治安部隊の動きを地上の「暴徒」へ知らせているはずだ。なお、CSTOの加盟国はカザフスタンのほか、アルメニア、ベラルーシ、キルギスタン、ロシア、タジキスタンが含まれている。 暴動を主導しているグループは統率がとれているようで、戦闘能力も高い。警官は袋叩きにあい、武器を取り上げられ、衣服を剥ぎ取られ、屈辱を与えられるというキエフでのクーデターを彷彿とさせることが展開されている。 こうした暴力行為に市民が対抗しようと武器店へ駆け込んでもそこには何もなく、西側の宣伝に対抗するためにインターネットで情報を発信しようとしても接続できないという。似たことがベラルーシやキルギスタンでも引き起こされたと伝えられている。 暴動の中心メンバーは国外で訓練を受けたとも言われているが、これはウクライナで2014年に引き起こされたクーデターと似ている。ウクライナのクーデターの主力はネオ・ナチだが、当時、ポーランドで伝えられていた情報によると、2004年からバルト3国にあるNATOの訓練施設でメンバーが軍事訓練を受けていたという。ネオ・ナチのグループにはシリアやチェチェンでの実戦経験のある人物も含まれていた。 2013年9月にはポーランド外務省がクーデター派の86人を大学の交換学生を装って招待、ワルシャワ郊外にある警察の訓練センターで4週間にわたり、暴動の訓練を受けたとも伝えられていた。その訓練には追跡技術、群集操縦、ターゲットの特定、戦術、指揮、緊張した状況における行動制御、警察のガス弾に対する防御、バリケードの建設、そして狙撃も学んだという。キエフでクーデターが始まると、負傷したクーデター部隊の戦闘員はポーランドへ運び込まれ、治療を受けたとも報道されていた。クーデター後、ポーランドで治安担当の大統領顧問を務めたこともあるイエルジ・ドボルスキがウクライナに乗り込み、ポーランドの軍事会社ASBSオタゴの戦闘員も東部での戦闘に参加していた。 カザフスタンにおける抗議活動のベースにはエネルギー資源相場の急騰がある。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動による流通の麻痺が一因だが、相場操縦の疑いもある。カザフスタンは産油国だが、相場をコントロールできていない状態だ。 アメリカは重要な交渉のタイミングに合わせて軍事的な行動に出ることが少なくないが、1月10日にはロシアと首脳会談が予定されている。またNATOとロシアの首脳も1月12日にウクライナ情勢などについて話し合う。
2022.01.06
オーストラリアでは「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)対策」を口実として基本的人権やプライバシーを放棄させる政策を推進してきた。行動を規制するためにロックダウンを実施、人びとを監視すると同時に「COVID-19ワクチン」の接種を強制する道具としてデジタル・パスポートが導入されつつある。 そうした政策に反発する人も少なくないが、そうした人びとを見つけるために警察はヘリコプターを導入、子どもに対しても容赦なくゴム弾や催涙ガスが使われている。そうした人びとを拘束するために収容所が建設されてきた。国全体が刑務所化していると言う人もいる。 伝染病対策と称して民主主義的なルールが破壊されているのだが、破壊の道具にされているロックダウンを2006年に主張していた人物がいた。当時のアメリカ大統領はジョージ・W・ブッシュ。その政権で大統領特別補佐官を務めていたラジーブ・ベンカヤだ。 この人物はバイオテロリズムを研究していたグループの責任者を務めていたが、その後、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団のワクチン・デリバリー・ディレクター、あるいはワクチンの推進団体のGAVIで理事を務め、今は武田薬品のグローバル・ワクチン・ビジネス・ユニットのプレジデントとしてワクチン開発に取り組んでいるという。 しかし、社会を収容所化しようという試みはその前からあった。例えば、戦争に反対する人びとの監視を含む治安作戦を定めた「ヒューストン計画」、多くのアメリカ市民を拘束することを目的とした「レックス84」などだ。ヒューストン計画はリチャード・ニクソン政権の司法長官、ジョン・ミッチェルが強硬に反対したことなどから実現しなかったが、ジミー・カーター政権で「FEMA」として再浮上した。 FEMAの延長線上に「COG」プロジェクトがある。このプロジェクトはロナルド・レーガン大統領が1981年に承認した「NSDD55」から始まる。憲法の機能を停止させ、地下政府を指導させるプランだが、当初は核戦争を前提にしていた。 アメリカではドワイト・アイゼンハワー大統領の時代にソ連を先制核攻撃で破壊する具体的な計画が作成された。300発の核爆弾をソ連の100都市に落とし、工業生産能力の85%を破壊するという「ドロップショット作戦」だ。開戦後、ソ連の反撃で正規の政府が機能しなくなった場合を想定、秘密政府を設置する仕組みを作ったのである。 ドロップショット計画に絡み、アレゲーニー山脈の中、ウエストバージニア州のグリーンブライア・ホテルの地下に「地下司令部」が建設された。いわゆる「グリーンブライア・バンカー」だ。1959年に国防総省が中心になって着工、62年に完成している。 沖縄では1953年に布令109号「土地収用令」が公布/施行され、武装したアメリカ兵を動員した暴力的な土地接収が行われた。いわゆる「銃剣とブルドーザー」による接収だが、これもアメリカの核攻撃計画に基づいているだろう。 1992年にワシントンポスト紙のテッド・ガップ記者がグリーンブライア・バンカーの存在を明らかにするが、その直後にバンカーは放棄された。現在「地下ペンタゴン」と呼ばれているのはペンシルベニア州にある「レイブン・ロック山コンプレックス」、通称「サイトR」だと言われている。 COGは1988年に変質する。大統領令12656が出され、始動させる条件が核戦争から「国家安全保障上の緊急事態」へ変更されたのだ。そして2001年9月11日、「国家安全保障上の緊急事態」が起こった。 社会を収容所化する政策はオーストラリアだけで進められているわけではない。アメリカやEUでも推進され、例えばオーストリアではロックダウンに続いて2月1日から「ワクチン」の強制接種を始める。ドイツでは「ワクチン」を接種していないと店へ入れない。 しかし、そうした政策に対する抵抗も強く、ドイツでは各地で抗議デモが繰り広げられている。フランスでも反発は強い。世界規模で展開されているクーデターの正念場が近づいているのかもしれない。
2022.01.05
アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスの5カ国は1月3日、核戦争の回避に関する共同声明(アメリカ、ロシア)を発表した。核戦争に勝者はないという言い古されたことが書かれているが、この声明の意味は5カ国、特にアメリカがこの声明に加わったということにあるだろう。 世界の覇者となるため、アメリカはさまざまな手段を講じて恫喝を続けてきた。その矛先はロシアや中国にも向けられたが、両国は脅しに屈しない。しかも2015年以降、ロシアと中国は「戦略的同盟国」。その両国に対し、アメリカは経済面から攻撃するだけでなく軍事的な恫喝を続けている。屈しない相手を屈服させようとしてアメリカは恫喝をエスカレート、ウクライナと東アジアにおける軍事的な緊張が高まってきた。 現在、ロシアの西側の防衛ラインは1941年6月にドイツが「バルバロッサ作戦」を始める直前とほぼ同じ位置にある。これはロシアの「レッドライン」でもあるが、アメリカ/NATOはそのラインを踏み越え、ウクライナへ入ろうとしている。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務局長はロシアが何を言おうと、ウクライナを加盟させるという意思を示し、NATO諸国はウクライナ軍を訓練、アドバイスを与え、軍事物資や技術を提供していると12月16日に宣言した。それだけでなくウクライナをNATOへ加盟させ、ミサイルをロシアとの国境近くに配備しようとしている。 このレッドラインを踏み越えるなとロシアのウラジミル・プーチン政権は言っている。プーチン大統領は12月15日に中国の習近平国家主席とバーチャル会議を開いて1時間14分にわたって話し合い、その2日後にロシア政府は文書を公表する。 その文書が求めているのは、NATOがこれ以上拡大させず、モスクワを攻撃するシステムをロシアの隣国に配備せず、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わず、NATOの艦船や航空機はロシアへ近づかず、定期的な軍同士の話し合いを実施、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないといったことを保証する文書を作成すること。アメリカ/NATOに対するプーチン政権の立場は明確で、「戦争は避けたいが、戦争したいなら受けて立つ」ということだ。 それに対し、EUの外務安全保障政策上級代表を務めるジョセップ・ボレルは自分たちの行うことにロシアは口をはさむなと発言している。つまりNATOを東へ拡大、ロシアとの国境近くにミサイルを配備するのも自分たちの勝手だというわけだ。 しかし、戦争になればヨーロッパは滅ぶ。ふたつの世界大戦の「成功体験」を思い出し、大西洋の反対側に位置しているアメリカは大丈夫だと考えている人もいるが、現在、ロシアや中国が保有している兵器を考えれば、アメリカも滅ぶ可能性が高い。「核戦争に勝者はない」ということだ。 ロシアはアメリカと1月10日に、またNATOと1月12日にウクライナ情勢などについて話し合うと伝えられている。1月に予定されているロシアとアメリカの首脳会談について、ロシア政府はNATOが安全保障上の保証をロシア側へ提出することが先だという姿勢を見せていた。そうした中、今回の共同声明は出てきた。
2022.01.04
イランのイスラム革命防衛隊の特殊部隊「コッズ軍」を指揮していたガーセム・ソレイマーニーがバグダッド国際空港でアメリカ軍に暗殺されたのは2年前の1月3日だった。その際、イスラエルが協力していたことも判明している。 その日、ソレイマーニーは緊張緩和に関するサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えてバグダッドを訪れたとイラクの首相だったアディル・アブドゥル-マフディは語っている。 2017年6月からサウジアラビア皇太子を務めているモハメド・ビン・サルマンは新自由主義の信奉者で、ドナルド・トランプを担いでいる勢力と関係は深かい。前任者のホマメド・ビン・ナイェフが皇太子に就任したのは2015年4月だが、その当時、次期アメリカ大統領にヒラリー・クリントンが内定したと噂されていた。そのヒラリーが2016年の大統領でトランプに負け、その結果としての皇太子交代だと推測する人は少なくない。 そのビン・サルマン皇太子がアメリカの意向に反する動きをしていたことになるが、その原因はイエメンへの侵略戦争が泥沼化、アメリカの政策によってサウジアラビア経済が苦境に陥ったことにあると見えられている。 アメリカのバラク・オバマ政権は2014年2月にウクライナでネオ・ナチを利用したクーデターを成功させ、アメリカとイギリスの情報機関は同年9月から12月まで香港で「佔領行動(雨傘運動)」と呼ばれる反中国運動を行った。 ウクライナのクーデターはEUとロシアを分断、両者を弱体化させることが目的。そこでアメリカは経済戦争も仕掛けている。ロシアは石油や天然ガスが輸出の主力商品だが、そのエネルギー資源による収入を減らすため、石油相場を下落させたと信じられている。 2014年にWTI原油の相場は110ドルを超す水準まで上昇したが、同年9月11日にアメリカのジョン・ケリー国務長官とサウジアラビアのアブドラ国王は紅海の近くで会談、それから相場は加速度的に下げ足を速めていった。この階段で原油相場を引き下げる謀議があったと言われている。年明け直後には50ドルを切り、2016年1月には40ドルを割り込んだ。 ところが、原油価格の下落はロシアでなくサウジアラビアやアメリカの経済にダメージを与えることになった。ロシアの場合、石油相場と同じようにロシアの通貨ルーブルも値下がりしたことからルーブルで決済しているロシアはアメリカの私的権力が望んだようなダメージは受けなかった。 アメリカでは生産コストの高いシェール・ガス/オイル業界が苦境に陥り、サウジアラビアも財政が悪化する。2014年にサウジアラビアは約390億ドルの財政赤字になり、15年には約980億ドルに膨らんだと言われている。 2019年12月に相場は1バーレル当たり66ドルだったが、年明け後から「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」騒動が本格化して経済活動が麻痺、相場は急落。2020年4月には20ドルまで下がった。そうしたタイミングで、ソレイマーニーをアメリカは暗殺したわけだ。イランやサウジアラビアを脅しておく必要があると考えたのだろう。その後、相場は上昇していく。 ソレイマーニーが暗殺された後、イランのジャマカラン・モスクには報復を象徴する赤い旗が掲げられた。イラン・イラク戦争の際にも掲げられなかったもので、その意味するところは重い。1月7日にはロシアのウラジミル・プーチン大統領がシリアを突如訪問してバシャール・アル・アサド大統領と会談した。 喪が明けた直後の1月8日早朝、イラン軍はアメリカ軍が駐留しているイラク西部のアイン・アル・アサド空軍基地やエル・ビルを含も2基地に対して約35機のミサイルで攻撃、犠牲者が出ているとも伝えられている。50分後にエルビル空港近くのアメリカ軍基地などに対して第2波の攻撃があったという。この攻撃に対し、アメリカは何もできなかった。 イラン革命防衛隊の海軍を指揮しているアリレザ・タンシリは昨年11月21日、多くは報道されていないが、イラン海軍がアメリカ海軍と海上で9度にわたって衝突、9名が犠牲になったと語った。そのうち6回は過去18カ月の間に起こったという。 昨年10月の終わりにアメリカ軍がオマーン湾でイランの石油を運ぶタンカーを拿捕し、その石油をベトナム船籍のタンカーへ移して盗もうとしたと発表された。 11月3日にイラン政府が公表した映像を見ると、イランが派遣した複数の高速艇がアメリカの艦艇の周辺を航行する一方、ヘリコプターからIRGC(イラン革命防衛隊)の兵士がタンカーへ降りている。
2022.01.03
アメリカやイギリスの私的権力は明治維新以来、日本に大きな影響を及ぼしてきた。イギリスの外交官として日本にいたアーネスト・サトウやアメリカの駐日公使だったチャールズ・デロングや厦門の領事だったチャールズ・ルジャンドルたちはいずれも日本に大陸を攻撃させたがっていた。 ルジャンドルはアメリカへ戻る途中に日本へ立ち寄り、デロングと大陸侵略について話し合う。デロングは日本の外務省に対してルジャンドルを顧問として雇うように推薦、ルジャンドルは1872年12月にアメリカ領事を辞任して外務卿だった副島種臣の顧問になり、台湾への派兵を勧めた。 1871年10月に宮古島の漁民が台湾に漂着、その一部が殺されるという事件があったとされているが、この事件を明治政府は日本の問題だと主張しようとし、1872年9月に「琉球藩」をでっちあげて琉球を併合した。殺された漁民は日本人だという形を作り出し、1874年5月に台湾へ軍事侵攻するのである。 1875年9月に明治政府は李氏朝鮮の首都を守る要衝の江華島へ軍艦を派遣して挑発、「日朝修好条規」を結ばせて清国の宗主権を否定させることに成功、さらに無関税特権を認めさせ、釜山、仁川、元山を開港させている。 朝鮮では1894年に甲午農民戦争(東学党の乱)が起こり、体制が揺らぐ。それを見た日本政府は「邦人保護」を名目にして軍隊を派遣、その一方で朝鮮政府の依頼で清も軍隊を出して日清戦争につながる。 当時、朝鮮では高宗の父にあたる興宣大院君と高宗の妻だった閔妃と対立、主導権は閔妃の一族が握っていた。閔妃がロシアとつながることを恐れた日本政府は1895年に日本の官憲と「大陸浪人」を使って宮廷を襲撃して閔妃を含む女性3名を殺害、その際に性的な陵辱を加えたとされている。その中心にいた三浦梧楼公使はその後、枢密院顧問や宮中顧問官という要職についた。 閔妃惨殺の4年後、中国では義和団を中心とする反帝国主義運動が広がり、この運動を口実にして帝政ロシアは1900年に中国東北部へ15万の兵を派遣する。その翌年には事件を処理するために北京議定書が結ばれ、列強は北京郊外に軍隊を駐留させることができるようになった。 イギリスはロシアに対抗するため、1902年に日本と同盟協約を締結し、その日本は04年2月に仁川沖と旅順港を奇襲攻撃、日露戦争が始まる。日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフだ。 1905年5月にロシアのバルチック艦隊は「日本海海戦」で日本海軍に敗北するが、そこで登場してくるのが「棍棒外交」のセオドア・ルーズベルト米大統領。講和勧告を出したのだ。9月に講和条約が調印され、日本の大陸における基盤ができた。 講和条約が結ばれた2カ月後、桂太郎首相はアメリカで「鉄道王」と呼ばれていたエドワード・ハリマンと満鉄の共同経営に合意したのだが、ポーツマス会議で日本全権を務めた小村寿太郎はこの合意に反対し、覚書は破棄されている。アメリカの私的権力は中国への侵略を本格化させるつもりだったのだろうが、小村によって阻止された形だ。 それに対し、アメリカ側の意向に従って動いていたのが金子堅太郎。金子は小村と同じようにハーバード大学で法律を学んでいるが、彼らの2年後輩がセオドア・ルーズベルトだ。1890年に金子とルーズベルトはルーズベルトの自宅で合い、親しくなる。 日本政府の使節としてアメリカにいた金子は1904年にハーバード大学でアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦っていると演説し、同じことをシカゴやニューヨークでも語っていた。日露戦争の後、ルーズベルトは日本が自分たちのために戦ったと書いている。こうした関係が韓国併合に結びつくわけだ。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) 当然のことながら、朝鮮側では独立運動が起こる。その拠点になったのが中国吉林省の間島地方だった。そうした事情もあり、日本では中国東北部への支配願望が強まり、1932年の「満州国」樹立につながる。この傀儡国家の矛先はソ連にも向けられていただろうが、それはイギリスやアメリカの金融資本の思惑とも合致していた。 その後、日本は米英と戦争状態に入るが、大戦後、ウォール街に天皇制官僚システムが従属するという関係が復活する。GHQ/SCAPに保護された旧日本軍の将校は少なくないが、そのひとり、岡村寧次大将の下へ蒋介石のグループは接近する。1949年4月に岡村の下へ曹士徴を密使として派遣したのだ。当時、岡村はGHQ/SCAPの保護下に入っていた。岡本たちの行動の背後にアメリカがいたのだろう。 曹は岡村や富田直亮少将と東京の高輪で会談して台湾義勇軍を編成することで合意、富田少将が「白鴻亮」の名前で義勇軍を指揮することになった。そこで義勇軍は「白(パイ)団」と呼ばれている。 白団は1950年の正月頃に台湾へ渡り、日本軍の戦術や軍事情報を台湾軍に教育して国家総動員体制を伝授しはじめたが、その工作には陸軍士官学校34期の服部卓四郎、西浦進、堀場一雄、あるいは海軍の及川古四郎、大前敏一らが協力していた。翌年の夏までに83名の旧日本軍参謀が台湾へ渡り、1969年のことまで顧問団として活動を続けたが、途中で工作の主導権はアメリカが握る。 その一方、CIAの顧問団に率いられた約2000名の国民党軍は1951年4月に中国領内へ軍事侵攻、一時は片馬を占領したが、反撃にあって追い出された。翌年の8月にも国民党軍は中国へ侵攻しているが、この時も人民解放軍の反撃で失敗に終わっている。 そしてアメリカ大統領は1953年にハリー・トルーマンからドワイト・アイゼンハワーへ交代。新大統領は泥沼化した朝鮮戦争から抜け出そうと考え、中国に対して休戦に応じなければ核兵器を使うと脅したとされている。そして同年7月に休戦は実現した。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) その後、1958年8月から9月にかけて台湾海峡で軍事的な緊張が高まる。ダニエル・エルズバーグによると、1958年の危機当時、ジョン・フォスター・ダレス国務長官は金門島と馬祖に核兵器を投下する準備をしていた。そして現在、バイデン政権は同じことが国防総省で議論されているという。 現在、アメリカの特殊部隊と海兵隊の隊員約20名が2020年から台湾で兵士を訓練しているという。19世紀から続くアングロ・サクソンの長期戦略はまだ生きているが、その戦略の手先が少なくなっている。アメリカが「AUKUS」を作らなければならなくなったのはそのためだろう。アメリカのほかオーストラリアとイギリス。日本はあまり頼りになりそうもない。 台湾の蔡英文は「中国憎し」が先走っている。蔡英文の場合、中国と戦う覚悟があるわけでなく、アメリカの威を借りれば独立の夢が叶うと考えただけだろうが、それによって台湾は危険な状態に置かれることになった。(了)
2022.01.02
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は12月24日現在、前の週より380名増え、2万1002名に達した。この数字は実際の1%から10%程度にすぎず、実際は20万人から200万人に達すると見られている。 「COVID-19ワクチン」による犠牲者は確実に増え続けているが、その原因だとされる「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」が単離されたという話はいまだに聞かない。 そのウイルスの感染が拡大しているという主張の根拠にされたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査は分析のために開発された技術であり、特定の遺伝子型を試験管の中で増幅するだけ。その長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、ウイルス自体を探し出すことはできない。PCRはウイルスを見つけるために使うべき方法ではないということだ。 しかも、増幅の回数(Ct)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性が増えていくことも知られている。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だった。医学的には無意味だ。 この技術を使った「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」をアメリカのCDC(疾病予防管理センター)は利用してきた。そのEUA(緊急使用許可)の発行をFDA(食品医薬品局)に求めたのは2020年2月のこと。8月にはインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるものも開発されたとされた。 しかし、この検査方法のEUAを2021年12月31日以降、取り下げるとCDCは同年7月21日に発表、SARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できる手段を探すように求めている。つまり、これまで使われてきた方法ではSARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できないということ。ならば風邪の原因として蔓延しているコロナウイルスと区別することも難しいだろう。 この発表が出る前、5月1日にカリフォルニア大学、コーネル大学、スタンフォード大学を含む7大学の研究者は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性になった1500サンプルを詳しく調べたところ、実際はインフルエンザウイルスだったと発表している。この結論をカリフォルニア大学は間違いだと主張したが、その根拠は示されていない。CDCもこの報告を認めざるをえなかったのかもしれない。 全てが怪しい「COVID-19騒動」だが、新しい規範を作るために使われていることも確かだ。例えば、2020年6月にWEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブはCOVID-19を利用して「資本主義の大々的なリセット」を実現すると宣言している。 また、EUの外務安全保障政策上級代表を務めるジョセップ・ボレルは21世紀をアメリカやEUが支配し続けるために新しい規範を作っていると語っている。これまで自分たちが世界を支配してきた理由は、自分たちが規範を作り、その規範を定着させ、技術をどのように機能させるかに精通しているからだと主張している。これからも世界を支配し続けるためにボレルたちは新しい規範を作っているのであり、それを妨害するなと彼はロシア政府を脅した。NATOを東へ拡大、ロシアとの国境近くにミサイルを配備するのも自分たちの勝手だというわけだ。 「COVID-19騒動」は悪霊を利用したクーデターであり、新たな悪霊として「オミクロン」が登場、アメリカやEUの政府や有力メディアは恐怖を広めようとしている。 この新たな悪霊が最初に見つかった地域は南部アフリカだが、南アフリカ政府の主席顧問を務めるバリー・シューブはオミクロンで入院患者が増えているわけでなく、深刻な事態とは言えないと語っている。実際、深刻な事態になっていることを示す情報は聞かないが、そうした情報は伝えられない。 そのクーデターの仕組みに気づく人が増えれば増えるほどクーデターは困難になる。有力メディアやシリコンバレーのハイテク企業が情報統制を強めている理由もそこにあるのだろう。
2022.01.01
そもそも核兵器の開発はソ連を想定していたとする証言がある。 核兵器の開発が始められる切っ掛けはアルバート・アインシュタイン名義の勧告書だと言われている。ハンガリー出身のふたりの物理学者、レオ・シラードとユージン・ポール・ウィグナーが草稿を書き、1939年8月にフランクリン・ルーズベルト米大統領へ送られた。 その後、1940年2月にイギリスではバーミンガム大学のオットー・フリッシュとルドルフ・パイエルスのアイデアに基づいてMAUD委員会が設立されている。その委員会のマーク・オリファントが1941年8月にアメリカでアーネスト・ローレンスと会い、同年10月にフランクリン・ルーズベルト米大統領は計画を許可してアメリカとイギリスの共同開発が始まった。これが「マンハッタン計画」だ。 この原爆開発計画を統括していたアメリカ陸軍のレスニー・グルーブス少将は1944年、ポーランドの物理学者ジョセフ・ロートブラットに対し、計画は最初からソ連との対決が意図されていると語ったという。日本の降伏を早めることが目的ではないということだ。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) 1945年4月にルーズベルト大統領が急死、その翌月にドイツは降伏する。その直後にイギリスのウィンストン・チャーチル首相はソ連に対する奇襲攻撃を目論み、JPS(合同作戦本部)に対してソ連を奇襲攻撃するための作戦を立てるように命令した。そして作成されたのが「アンシンカブル作戦」である。 その作戦によると、1945年7月1日にアメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始めることになっていた。この作戦が実行されなかったのは参謀本部が拒否したからだと言われている。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000など) その一方、アメリカのニューメキシコ州にあったトリニティ(三位一体)実験場では1945年7月16日にプルトニウム原爆の爆発実験を行って成功、副大統領から昇格したハリー・トルーマン大統領は原子爆弾の投下を7月24日に許可する。そして広島と長崎に落とされた。 チャーチルがソ連を攻撃しようとしたのは、ドイツ軍がソ連軍に負けてからだ。ドイツ軍は1941年6月にソ連に対する奇襲攻撃「バルバロッサ作戦」をスタートさせている。西側には約90万人だけを残し、310万人を投入するという非常識なものだったが、これはアドルフ・ヒトラーの命令で実行されたという。イギリスは動かなかった。 バルバロッサ作戦の準備には半年から1年程度は必要だったはず。つまり1940年代後半から41年前半にかけての時期だが、40年9月から41年5月までドイツ軍はイギリスを空爆している。陽動作戦と見ることもできるだろう。 ソ連への軍事侵攻は予定通りに進まず、スターリングラードでの戦闘でドイツ軍は負け、1943年1月に降伏する。この段階でドイツの敗北は決定的で、日本の負けも決まっていた。 スターリングラードでの敗北に慌てたイギリスはアメリカとその年の5月に協議、両国軍は1943年7月にシチリア島へ上陸している。シチリア島でもコミュニストが住民に支持されていたため、アメリカ軍はコミュニスト対策として犯罪組織と手を組んだ。ハリウッド映画の宣伝で有名なノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月のことで、視線の先にはソ連がいた。 スターリングラードでの戦い以降、ナチスの幹部はアメリカの戦時情報機関OSSの幹部としてスイスにいたウォール街の弁護士、アレン・ダレスと接触して善後策を協議している。これはルーズベルト大統領に無断だった。 その後、ダレスたちはナチスの元高官や協力者をラテン・アメリカへ逃がすためにラットラインを作り、大戦が終わると国務省やCIAはそうした人びとやドイツの科学者を雇い入れる。ブラッドストーン作戦とペーパークリップ作戦だ。そもそもナチスを資金面から支えていたのイギリスやアメリカの巨大金融資本、つまりシティやウォール街だ。 1945年5月にドイツは降伏、8月に日本は敗北を伝える天皇の声明が日本人に対して発表された。いわゆる「玉音放送」とか「終戦勅語」と呼ばれているものだ。 チャーチルは1945年7月に下野したが、46年3月にはアメリカのフルトンで「鉄のカーテン演説」を行う。バルト海のステッティンからアドリア海のトリエステにいたる「鉄のカーテン」が存在していると語ったのだ。 FBIの文書によると、チャーチルは1947年、アメリカのスタイルズ・ブリッジス上院議員に対し、ソ連を核攻撃するようトルーマン大統領を説得してほしいと求めている。 ソ連を核兵器で壊滅させたいというチャーチルの思いはその後も消えず、彼は1951年4月に自宅でニューヨーク・タイムズ紙のジェネラル・マネージャーだったジュリアス・アドラーに対し、ソ連に最後通牒を突きつけ、それを拒否したなら20から30発の原爆をソ連の都市に落とすと脅そうと考えていると話していた。このことを示す文書が発見されている。その半年後にチャーチルは首相へ返り咲く。 アメリカでソ連に対する先制核攻撃を計画していた好戦派には1950年代に琉球民政長官を務め、1960年9月から統合参謀本部議長に就任したライマン・レムニッツァーも含まれている。この人物は1943年7月のシチリア島でイギリス女王エリザベス2世の側近として知られるハロルド・アレグザンダーに目をかけられ、アレン・ダレスも紹介された。第2次世界大戦の終盤にはダレスの下でナチス幹部との秘密交渉を行っている。 第2次世界大戦後、アメリカのハリー・トルーマン政権はナチスの元高官や協力者を保護する一方、日本では一部将校や治安関係者を温存した。その理由が「冷戦」にあるとは言えない。大戦でドイツの敗北が決定的になった直後からアメリカにはナチスと善後策を協議、イギリス政府はソ連への奇襲攻撃を計画していたのだ。大戦前と大戦後の日本に対するウォール街のパイプ役が同一人物、つまりJPモルガン人脈のジョセフ・グルーだということは本ブログでも繰り返し書いてきた。ウォール街とシティ、つまりアメリカとイギリスの金融資本がファシストに資金を提供していたこともわかっている。(つづく)
2022.01.01
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