《櫻井ジャーナル》

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2011.01.31
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ホスニ・ムバラク大統領の独裁体制は限界に達し、エジプトの体制変革は不可避になった。 本コラムではすでに指摘 したことだが、 アメリカ政府はこうした展開を見越し、「反ムバラク派」の「4月6日運動」とも2008年には接触している

 過去を振り返っても、アメリカは高学歴の若者、つまりエリート/特権意識を持ち、庶民とは一線を画しているであろうグループを手なずけ、支配の道具にしてきた。今回も同じような手法を使おうとしているのだろうが、成功するとは言い切れない。

 これまで、エジプトの国民は体制に不満を持ちつつも、おとなしくしてきた。それだけに怒りのエネルギーは蓄積されてきたわけで、吹き出し始めた怒りのエネルギーを押さえ込むことは難しいだろう。アメリカ政府としては、穏やかな方法でムバラクを退場させたかったかもしれないが、すでに150名という死者が出ているとも伝えられるような状況だ。

 「ムバラク後」はモハメド・エルバラダイ前IAEA(国際原子力機関)を軸に動くことになりそうだが、この人物はイラクの「大量破壊兵器」をめぐってアメリカ政府と意見が衝突していた。アメリカがイラクを先制攻撃する理由に挙げていた「核兵器開発」は根拠がないと語っていたのである。ちなみに、エルバラダイの後任は アメリカに忠実な日本人、天野之弥 だ。

 それでもアメリカにとってエルバラダイは許容できる人物だと言える。その周辺を4月6日運動の「親米リーダー」で固めれば・・・というところだろう。

 しかし、エジプトには「ムスリム同胞団」という勢力が存在する。イスラム復興運動を推進することを目的にして、1928年に創設されている。イスラエルが建国された1948年、エジプトのマームド・ファーミ・ノクラシ首相を暗殺した。

 言うまでもなく、イスラエルなる国が出現する前、そこには多くのアラブ系住民が住んでいた。そうした人々を追い出すためにシオニスト(イスラエルの建国を目指していた勢力)は武力を使っている。その仕上げとも言えるものが1948年4月の「ダーレット作戦」。この作戦では、デイル・ヤーシーン村の254名が虐殺されている。そして、5月にイスラエルの建国が宣言されたわけだ。アラブ軍が参戦するのは、その後だった。こうしたアラブ諸国政府の姿勢にムスリム同胞団は怒ったということだ。

 ムスリム同胞団は1954年にガマール・アブデル・ナセル大統領を暗殺しようと試み、非合法化された。10年後にナセルは投獄されていた同胞団メンバーに恩赦を与えて懐柔しようとしたが、失敗する。1981年にはアンワル・アス・サダト大統領を暗殺した。イスラエルと平和条約を結んだことに対する報復だという。

 とりあえず、ムスリム同胞団もエルバラダイを支持するとしているようだが、アメリカ政府がパレスチナ問題と真剣に取り組んでこなかったこともWikiLeaksで再確認されているわけで、「暫定政権」がアメリカの親イスラエル政策を受け入れたなら、「革命第2幕」が始まる可能性もある。





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最終更新日  2011.01.31 16:53:41


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