《櫻井ジャーナル》

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2012.06.30
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 歴史を読み解くカギは報道されない事実の中に隠されていることがある。例えば、首相官邸前で行われている原発再稼働に反対するデモ。日本では無視されるか、小さな扱いに止まっているが、外国のメディアは今回のデモを比較的に大きく取り上げている。

 アメリカの不公正な政治経済システムに抗議する「占拠運動」には冷淡だったアメリカのメディア、例えば ニューヨーク・タイムズ紙 も紙面を割き、主催者発表で15万人、警察発表で1万7000人、地元メディアの推計で2万から4万5000人と詳しく伝えている。

 しかし、原発問題よりも報道に及び腰なテーマがある。リビアやシリアの情勢だ。報道していると言う人も多いだろうが、それはアメリカやイギリスを中心とするNATOや湾岸産油国の宣伝が流されているだけ。リビアやシリアの体制を転覆させるために都合に良い話だけを大々的に伝えているということだ。

 リビアをNATOや湾岸産油国が軍事侵攻した際、空爆だけでなく、イギリスなどは特殊部隊を潜入させ、 アル・カイダ系のLIFG (リビア・イスラム戦闘団)を使っていたのだが、日本できちんと報道されたという話を聞かない。ムアンマル・アル・カダフィ体制が崩壊した後、 ベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられたとする映像 が伝えられたが、これも無視された。

 体制転覆後、 リビアではサハラ以南の出身者が拉致、拘束 されたうえ、拷問を受け、中には処刑された人もいたことが明らかになっている。明らかに人権が侵害されている。

 アメリカと敵対関係にある国や団体を攻撃するとき、 アムネスティー・インターナショナル やヒューマン・ライツ・ウォッチは盛んに利用されるが、「西側」にとって都合の悪話では無視する。リビアでもアムネスティ・インターナショナルはNATO軍による住民殺害の問題について調査を要求、 ヒューマン・ライツ・ウォッチ は反カダフィ軍がカダフィ派とも見られる人びとを不適切な手段で拘束していると批判しているものの、日本では伝えられていないのではないだろうか。

 シリアでも、アメリカのネオコンやイギリスの工作について触れられることはほとんどない。例えば、アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権がサウジアラビアなどの国々と手を組み、シリアやイランを攻撃する秘密工作を始めたと2007年の時点で調査ジャーナリストの シーモア・ハーシュは警告 しているのだが、この1年の間にハーシュの警告を日本で取り上げられたという話は聞かない。

 また、ニューヨークの世界貿易センターやペンタゴンが攻撃された2001年9月11日の直後、 ブッシュ政権は攻撃予定国をリストアップ、そこにはイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが載っていたとウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官は語っている が、日本のマスコミは無視している。 1991年の段階でネオコンのポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)は、旧ソ連圏の国々、シリア、イラン、イラクを5年から10年の間に掃除するともクラーク元司令官は述べている のだが、日本のマスコミは重要視していない。

 最近の例では、ホウラ地区での住民虐殺が重要だろう。日本でも政府軍、後には親政府派の武将集団が住民を殺したと盛んに報道されたが、 ローマ教皇庁のフィデス通信 やドイツの フランクフルター・アルゲマイネ紙 は反政府軍による親政府派住民の虐殺だと伝えている。この報道を日本のマスコミが伝えたという話は寡聞にして知らない。反政府軍に出撃拠点を提供、兵士を訓練、武器を与え、最近では兵士に賃金を渡すという話も伝わっているが、マスコミは興味がないようだ。

 日本のマスコミは原発以外の話でも信用できない、つまり単なるプロパガンダ機関だということ。国際問題の場合、原発に関してはマスコミを批判しているような人でもプロパガンダで踊らされている。





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最終更新日  2012.07.01 02:58:00


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