《櫻井ジャーナル》

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2012.07.03
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカ上院の情報特別委員会で委員長を務める ダイアン・ファインスタイン上院議員 は、オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙に対し、内部告発を支援しているウィキリークスとジュリアン・アッサンジを起訴するべきだと語った。

 言うまでもなく、アッサンジはウィキリークスの「顔」。このアッサンジをスウェーデン検察は2010年8月に指名手配、11月には逮捕令状が出た。今年、滞在先のイギリスではスウェーデン当局への身柄引き渡しを裁判所が認めた。これに対し、アッサンジ側は現在、エクアドルに庇護を求め、交渉中だ。

 アッサンジに対する容疑は「性犯罪」。もう少し具体的に言うならば、合意の上で始めたセックスにおけるコンドームをめぐるトラブルだ。コンドームを装着して始めたが、途中で破けたので止めるように頼んだが続けたとひとりの女性が主張、もうひとりはコンドームが使用不能の状態になったのに続けたと訴えているようだ。もっとも、アッサンジ側は女性の訴えを事実無根だとしている。

 このほか、アッサンジが非難されている理由の中には、セックスをした翌日に女性へ電話しなかった、バスの切符をアッサンジが女性に払ってくれと頼んだ、1週間のうちにふたりと関係したことなどが含まれていると伝えられている。

 ともかく、ふたりの女性は2010年8月20日にスウェーデンの警察に出向いて被害を訴え、「臨時検事」が逮捕令状を出し、スウェーデンのタブロイド紙が警察のリーク情報に基づいて「事件」を報道するのだが、容疑が曖昧だということで、その翌日には主任検事のエバ・フィンが令状を取り消してしまう。

 8月30日にアッサンジは警察から事情を聞かれているが、容疑を否認している。その翌日、9月1日に事態は急変する。検事局長だったマリアンヌ・ナイが前の決定を翻し、捜査再開を決めたのである。しかも、捜査資料がメディアにリークされた。

 こうした事件の展開に疑問を抱く人は多く、アメリカのニュースレター、 カウンターパンチ でもそうした視点から事件を取り上げている。

 「被害者」とされる女性のひとり、31歳のアンナ・アーディンはウプサラ大学の研究学生で、メディアに関する会議での講演をアッサンジに依頼したスタッフ。その際にアッサンジはアーディンのアパートに泊まり、セックスをしたという。

 その数日後にセックスした別の女性、26歳のソフィア・ウィレンはアッサンジのグルーピーだったとされている。ふたりの女性は知り合いで、一時期YouTubeにアップされていたアッサンジの記者会見を撮影した映像には、ふたりが一緒に映っていた。

 ふたりの女性のうち、アーディンは男に対する「法的な復讐」を主張するフェミニストだというだけでなく、キューバの反体制派を支援する活動家だと言われている。アメリカ政府から資金援助を受けている反カストロ/反コミュニストの団体と結びつき、CIA系の定期刊行物で、フィデル・カストロを罵倒してきた。彼女のいとこ、マチアス・アーディンはスウェーデン軍の中佐で、アフガニスタンに派遣されたスウェーデン軍の副官を務めていたともいう。

 この「事件」が発覚した直後、ある別の事件が一部で話題になっていた。 ギリシャを旅行していた4名以上のイギリス人男性を婦女暴行で訴えた26歳のスウェーデン人女性が多額の保険を請求 したのだが、暴行されたという訴えが嘘だった可能性がきわめて高いのである。女性はスウェーデンに帰国し、法廷に姿を現さなかった。女性は組織的な保険金詐欺の一員だったと見られているが、行方は不明だ。

 スウェーデンでは2010年9月19日に総選挙が予定されていた。与党は苦戦が予想されていたのだが、フレデリック・レインフェルト首相は強烈なコンサルタントを雇っていた。アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権で次席補佐官を務めた カール・ローブ だ。アッサンジの件がレインフェルトにとってプラスだったことは間違いないだろう。

 このローブは検察を「政争の道具」に使おうとしてきた人物で、ブッシュ政権では意に添わない連邦検察官10名近くを解雇、最終的には93名の検察官を解雇するつもりだったという。またカール・ビルト外相は個人的にカール・ローブと親しい。

 アッサンジを最も激しく攻撃しているのはスウェーデンではなく、北アメリカの支配層である。カナダ首相の補佐官だったトム・フラナガンがアッサンジを暗殺しろと叫んだのは別としても、ファインスタイン上院議員のほか、アメリカ下院の情報特別委員会で委員長を務めるピーター・キングもアッサンジを起訴しろと息巻き、ネオコンのジョー・リーバーマン上院議員は内部告発自体を攻撃している。

 ウォーターゲート事件で「英雄」になったワシントン・ポスト紙のオーナー(当時)、キャサリン・グラハムは1988年に次のように語っている。

 「我々は汚く危険な世界に生きている。一般大衆の知る必要がなく、知ってはならない情報がある。政府が合法的に秘密を維持することができ、新聞が知っている事実のうち何を報道するかを決めることができるとき、民主主義が花開くと私は信じている。」





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最終更新日  2012.07.03 18:30:16


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