《櫻井ジャーナル》

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2013.01.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アルジェリアの東部にある天然ガス関連施設を襲撃したグループに加わっていた3名が拘束された。そのうちのひとりの供述だとしてアルジェリア政府高官が語ったところによると、 グループに参加していた複数のエジプト人が昨年9月、ベンガジのアメリカ領事館襲撃に参加 したという。

 領事館が襲撃された際、クリストファー・スティーブンス大使を含むアメリカ人4名が殺された。今回の証言が正しいならば、ふたつの可能性が高くなる。

 つまり、多くの人が予想した通り、アル・カイダ系の武装グループが実行し、ムアンマル・アル・カダフィ体制を倒すまでは手を組んでいたアメリカとアル・カイダが何らかの事情で敵対するようになったのか、あるいは、どのようなグループにも雇われる傭兵だったということだ。

 リビアの体制転覆ではNATO軍が空爆、イギリスやアメリカは特殊部隊や電子戦の専門家などを送り込んでいたが、あくまでも地上軍の主力は アル・カイダ系のLIFG 。こうしたグループを含む 反カダフィ軍の攻撃プランをMI6のオフィサーが添削して整え、イギリス軍は武器、通信機器、そして精鋭部隊をトリポリに送り込んでいる イギリスの特殊部隊、SASも潜入していた疑い もある。

 このLIFGはアルジェリアやマリで活動している武装集団、AQIMとは緊密な関係にあると言われている。今回、アルジェリアで天然ガス関連施設の襲撃を命令したというモクタール・ベルモフタールはAQIMの「元幹部」だ。

 リビアのカダフィ体制が倒された直後、ベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられた。その 映像 がすぐにYouTubeにアップロードされ、 「西側」のメディア もその事実を伝えている。その後、 LIFG/アル・カイダの戦闘員が武器と一緒にシリアへ移動 したと言われている。

アメリカ政府はベンガジの領事館を利用、シリアの反政府軍を支援する秘密工作を実行していたと推測している人物 がいる。キリスト教原理主義(カルト)の狂信的な信者で、ジョージ・W・ブッシュ政権のときに国防副次官を務めたウィリアム・ボイキン中将。特殊部隊の出身で、CIAと仕事をしたこともある。

 2011年4月にスティーブンは特使としてリビアへ入り、カダフィが殺された翌月、11月にリビアを離れている。体制転覆工作に関わっていたということだろう。そして2012年5月に大使としてリビアへ戻ってくる。ベンガジへ入るのは9月10日のこと。11日にトルコの外交官と会談した直後に襲われている。

 シリアの反政府軍は2011年の春からトルコの米空軍インシルリク基地で訓練を受け、出撃拠点もトルコにあった。訓練の教官はアメリカのCIAや特殊部隊、イギリスとフランスの特殊部隊員だと伝えられている。リビアで体制が転覆した後、 NATOの輸送機で武器がトルコへ運ばれた ともいう。スティーブン大使はシリアの体制を転覆させる秘密工作を始めていたと疑われても仕方がないだろう。

 では、なぜ殺されたのだろうか?

 実は、襲撃したグループはまだ特定されていない。アル・カイダは仮説のひとつ。トルコ政府はシリア政府説、イスラエル政府はヒズボラ説、湾岸産油国はイラン説をそれぞれ唱えていたようだが、カダフィ派が実行した可能性もある。リビアでは「緑のレジスタンス」という言葉もあるようで、カダフィが惨殺された後もカダフィ派は活動を続けているとも言われている。

 もし、領事館を襲撃したいはカダフィ派だったならば、今回、出てきた「供述」は嘘なのか、エジプト人が主義主張のない傭兵なのか、ということになるだろう。アフガニスタンにしろ、イラクにしろ、戦乱は続いている。リビアも同じような展開になる可能性がある。





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最終更新日  2013.01.27 05:26:47


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