《櫻井ジャーナル》

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2013.01.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 CIAが拷問(日本のマスコミは「過酷な尋問手法」と表現)を行っていることを告発した元CIAオフィサー、ジョン・キリアクーに対し、バージニア州東地区の連邦判事、レオニー・ブリンクマは懲役30カ月、つまり2年半を言い渡した。

 拷問を内部告発した人物は厳しく罰せられ、拷問を指揮した人物は責任が問われない国がアメリカ。例えば、司法省の法律顧問として「拷問」にゴーサインを出したジョン・ユーは処罰されず、拷問に深く関与しているジョン・ブレナンはバラク・オバマ政権でCIA長官に指名されている。「自由」、「民主主義」、「人権」を看板に掲げながら、監視、拘束、拷問、最近では無人機を使った殺人も行っている。

 勿論、ユーやブレナンの背後で拷問を認めていたジョージ・W・ブッシュ政権の高官たちも不問に付されている。本来なら、大統領だったブッシュだけでなく、副大統領だったリチャード・チェイニーや国防長官だったドナルド・ラムズフェルドたちも戦争犯罪人として裁かれなければならない。

 情報を引き出すという点で拷問が有効でないことはすでに判明している。拷問に耐えられず、嘘を言うからだ。警察の取り調べでさえ、やってもいない犯罪を「自供」することが珍しくない。「テロとの戦争」でも、拷問された結果、いろいろな情報を話したというアブ・ズベイダの話も嘘のオンパレードだったことが明らかになっている。取り調べ側は、自分たちの描くシナリオを正当化するために嘘をつかせている可能性もある。

 本ブログや拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)では書いたことだが、アメリカの支配層は第2次世界大戦の前から親ファシズムであり、ナチに資金を流していた。もし、1932年の大統領選挙でハーバート・フーバーが再選されていたなら、「ファシストに優しい」政策を展開したことだろう。

 そうした流れを断ち切ったのが反ファシズムのフランクリン・ルーズベルト。大統領に就任する前に銃撃され、就任後には巨大金融機関のJPモルガンを中心とする勢力がルーズベルトを排除し、親ファシズムの政権を樹立するためのクーデターを計画している。関東大震災の復興資金を用立てたJPモルガンが日本に大きな影響力を及ぼしていたことも忘れてはならない。

 名誉勲章を2度授与された伝説的な軍人、スメドレー・バトラー少将が計画に強く反対し、議会で告発したので計画は失敗に終わっただけである。「冗談」という弁解は通じない。戦時下ではルーズベルト大統領も動きづらかっただろうが、戦争が終われば、クーデター派に対する何らかのアクションもありえた。

 しかし、大戦の終盤、1945年4月にルーズベルトは執務中に急死する。クーデター派にとってはさらに都合が良いことに、1944年の大統領選挙では反ファシスト派と見られていたヘンリー・ウォーレスが副大統領の座から引きずり下ろされ、政界の黒幕として有名だったトム・ペンダーガストの子分、ハリー・トルーマンが選ばれていた。

 大戦後、アメリカ政府はナチの残党を匿い、逃走を助け、手先として雇ったが、親ファシスト派が実権を握ったことの必然的な結果だった。日本で「右旋回」が起こり、冷戦が始まり、世界各国で民主的に選ばれた政権をクーデターで倒していく原因でもある。

 軍事クーデターを引き起こし、ベトナム戦争では農民を大量に虐殺したフェニックス・プログラムをCIA/特殊部隊は実行、ほかにも多くの秘密工作が行われたことが今ではわかっている。1970年代に行われた議会の調査で多くが明らかにされたのだ。

 アメリカにOPCというテロ組織が存在したことも、この過程で判明している。なお、OPCは1950年代に入ってからCIA計画局、1970年代からは作戦局へ名称が変更され、2005年からNCS(国家秘密局)の一部になっている。

 議会が調査を進めていた当時、ウィリアム・コルビーCIA長官がアメリカ支配層の暗部をかなり明らかにしたが、ほかにも少なからぬ内部告発があった。そこで、1970年代の後半からは告発が困難な仕組みに変更、メディアにいる気骨ある記者の排除も本格化していく。

 そうした締め付けが続いているのだが、ブッシュ・ジュニア政権の反民主主義的な性格は目にあまったようで、内部告発者が出ている。そのひとりがキリアクーだった。ウィキリークス、あるいはインターネットの監視、検閲、弾圧を強化するCOICA(オンライン上の権利侵害や模倣と戦う法)と戦った アーロン・シュワルツ に対する攻撃も情報管理の強化が目的だろう。情報が漏れたなら、支配層の反民主主義的な体質が明確になってしまう。日本の官僚が情報公開に消極的な理由も同じだ。





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最終更新日  2013.01.26 04:35:31


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