オランダのアムステルダムで11月7日にUEFA(欧州サッカー連盟)の試合があった。対戦したのはイスラエルのマッカビ・テルアビブとオランダのアヤックス。その際、イスラエルのフーリガンが地元住民の家と思われる建物に飾られていたパレスチナ国旗を引きずり下ろして引き裂き、燃やすという挑発行為を繰り広げ、通りかかったタクシーを襲撃し、オランドの若者とも衝突したと伝えられている。
パレスチナを支持するデモは禁止されていたが、現場で取材していた記者によると、衝突は数千人のマッカビ・テルアビブのファンがデモを組織したことから始まった。そうしたファンは試合前、スタジアムに向かいながら「IDF(イスラエル軍)にアラブ人をぶっ殺させてやれ」と叫び、子どもがいないガザには学校がないとも合唱していた。
こうした人びとや西側の有力メディアはこの衝突を「ユダヤ人弾圧」と宣伝する材料に使い始めている。オランダ第二院の第1党で反イスラムの自由党を率いるヘルト・ウィルダースは今回の衝突を「ポグロム」であり「ユダヤ人狩り」だと表現している。
タグ付けでイメージを作り出そうとしているのだが、イスラエルは実際にパレスチナやレバノンで住民の大量虐殺を繰り広げてきた。これは戦争の巻き添えではなく、計画的。 ネタニヤフ首相は昨年 10月7日にハマスがイスラエルへ攻め込んだ後、 「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という旧約聖書の一節を引用している 。神の命令として、「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は天の下からアマレクの記憶を消し去れと書かれている。パレスチナ人を皆殺しにするだけでなく、歴史から彼らが存在したことを消し去るとネタニヤフは主張しているのだ。
また、サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれている。これこそがガザやレバノンでイスラエルが行っていることにほかならない。
ガザでは昨年10月7日から4万3469人がイスラエル軍に殺されたとされているが、瓦礫に埋もれ、カウントされていない死体は少なくとも数千あると推測する人もいる。
EU諸国の政府はイスラエルを支持、パレスチナ人虐殺を容認する姿勢を示したきたが、アラブ系の人びとだけでなく、一般の人びとのイスラエルに対する怒りは募っている。その怒りのエネルギーをイスラエルのフーリガンは刺激した。
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【 Sakurai’s Substack 】