ある内科医の独り言

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2005.12.15
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少し前の話題で恐縮だが、健診などで用いられるバリウム製剤によって過去50年間に少なくとも4名が死亡していたという記事が 報道 された。

この報道によると年間1750万人が使用しているらしいのだが、単純に見積もっても死亡例4例/1750万×50年として約2億分の1程度の確率となるようだ。もちろん、重複例などもあるだろうし年間使用数も増えたり減ったりであてにはできないが、相当低い確率であることは確かなようだ。

住民健診や会社での健診として普通に行われている胃透視などによって死亡例があるというのは一般の方の目から見ればどうなのだろうか?

こうした報道がなされるたびに僕は少々嘆いてしまう。

我々のしている医療行為は、可能性の大小も含めればほぼすべてに何らかの健康被害が及ぶものばかりだ。しかし、ごくまれな被害から十分想定される被害までその範囲は幅広く、そうした可能性を詳細に提示しながら医療行為を行うことは少ない。

胃透視などを受ける方には「非常にまれですが死亡に至る場合があります」などとアナウンスされているのだろうか? 中にはこうした文言を過剰に受け止めて検診を受けなかった結果、原疾患の進行によって命を落とす危険性が高まる可能性だってある。

我々医療行為を行う側にも安全性・危険性の認識を行い、患者さんに対して必要に応じ提示していく義務がある。しかし、100%という安全性や危険性の保障はどこにもない。病院に来て検査や治療を受けること自体がすでにリスキーなわけで、その点を患者さんは納得しておく必要性がある。

イチャモンになるかもしれないが

『病院へ来る途中交通事故に遭った。これは病院が再診の指示を出していたからであり、不要な再診指示さえなければ交通事故には遭わなかった』

という笑えない話が身近であった。下手をすれば訴訟沙汰にもなりかねない事案だったが、周囲の努力により回避されたようだ。

「日本人は平和ぼけ」といわれているが、昨今の医療に関する報道をみるとどうも過剰な反応をしすぎているように思う。危険性の認識は医療サイドだけではなく、その行為を受ける患者さん自身にも必要となってくる。リスクマネジメントといえばついつい関係者だけの話で終わってしまいがちだが、危険性をはらんでいるという問題をいかに患者さんに伝えていくか、にもあるような気がしている。

インフォームド・コンセント、なんて知ったかぶった横文字など使わず、双方納得できるような医療が実現される日は来るのだろうか。微力ながら努力していきたい。





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最終更新日  2005.12.15 10:42:09
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