あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

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粗忽のたかびー

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2023.01.26
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カテゴリ: 緩和ケア

「在宅ホスピス」という仕組み (新潮選書) [ 山崎 章郎 ]

2ヶ月前にがん診療拠点病院から紹介となった男性患者さん。家で死にたい、と我がホスピスでの療養を希望された。

当ホスピスは訪問診療、往診、在宅看取りを手掛けている。でも、皆がみな、在宅看取りまで辿り着けるわけではない。
患者さん本人が不安になったり、ご家族が不安になったりして、やはりホスピスで診て欲しい、という場合もある。
なので、元気なうちに4泊5日の体験入院をして貰い、その後に訪問診療を開始することとしている。もちろん、不安になったらいつでも再入院できるよう体制は整えてある。

退院後1ヶ月は通院されていた。2週間前、私の再診外来の日、朝に出掛けようとしたが、ベッドから立ち上がれず、訪問診療開始となった。
昨日午前、妻から「2日前から内服が難しくなっている。」と連絡があり、「モルヒネの持続注射を開始しましょう。」と話した。
しかし、「先生が前に話してくれたように、尿毒症なのかウトウトしています。苦しむようならまた連絡します」と。

そして、今朝、旅立たれた、との連絡があった。
妻が「昨日、夜10時頃にパッと眼を開けて、おれはもういくよ、と言ったんです。」
それからまたウトウトしたので、家族も床についたらしい。
今朝4時ごろ、胸騒ぎとともに眼を覚ました妻。
隣の夫をみると息をしていなかったという。
息子たちも「お父さんは分かっていたんやなあ。お父さんらしいなあ、と思って。悲しむよりも先に感心してしまった。」と話してくれた。
聞けば、細かな予定をたて、必ず目的を果たす、有言実行型の人だったと。

人は生きてきたように死んでいく

今、看取ってきてこのブログを書いている。





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Last updated  2023.01.26 21:45:32
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