あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

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粗忽のたかびー

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2023.04.13
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カテゴリ: 緩和ケア

これは経費で落ちません!DVD-BOX [ 多部未華子 ]

NHKBS 幸運なひと 後編をみた。

患者の会に参加して思いを変えた拓哉は「これからはできることを数えていこう」と咲良に伝える。
そして、抗がん剤治療が始まるが、腫瘍は悪化していく。
ある日苦痛にうずくまっていた拓哉に、咲良が「しんどいなら寝たら?」と優しく提案するが、「もう少し優しくしてよ。」と答える拓哉の真意は。

「寝るのが怖いんだ。もし、そのまま眼を覚まさなかったら、と思うと。」

咲良は拓哉が心の内側を話してくれたことに感動して、これからも気持ちをちゃんと伝えてほしい、と話す。

この場面、癌に苦しむ人をきちんと取材したドラマだな、ということがよくわかるシーンである。
ホスピスでも多くの患者さんが、夜寝ることに不安を抱く。それは拓哉と同じ理由である。
だからこそ、私も必ず、「また明日!」と言ってその日の診察を終えるようにしている。

そして、拓哉「最後の授業」のシーンも良い。

「エゴは我のまま、わがまま。自分の本当とも言える。この社会でワガママをぶつけられるひとはそうそう出会えないが、もしそんな人と出会えたら勇気をもってエゴをぶつけ合ってください。」

自分らしく生きるには、我が儘に振る舞うことも時に必要である。でも、それには我が儘を許してくれる存在か必要である。

前編で、ビアノの仕事も子供も欲しがる咲良に、それはエゴだ、と拓哉が怒るシーンがあった。最後の授業はそれを伏線とした回収の場面である。

その最後の授業、咲良は産まれたばかりの娘と、同時配信された画面で眺めている。咲良はエゴをぶつけて良かったと授業を聞いて大きく頷く。

互いのエゴをぶつけ合い、そのなかで妥協点を見いだしていくことこそが大切なのだ。どちらかが我慢すればそれは片方のエゴを通させることになる。
しかし、どちらも我慢せずエゴの落としどころを見つけることが大事だ。相手ががん患者であっても、咲良のように全てを許すのではなく、自分の本音をぶつけることが大切だ。

良いドラマでしたね。





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Last updated  2023.04.13 21:51:08
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