あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

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粗忽のたかびー

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2023.04.30
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カテゴリ: 緩和ケア

脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体 (幻冬舎新書) [ 中野信子 ]

患者さんやその家族への説明で、一番難渋するのが麻薬についてである。

本書を読んで貰えれば、その辺りがすっきりする筈なので、是非一読して欲しい。

麻薬=覚醒剤と認識してはいるが、よくわかってない人が多いし、実際麻薬を投与された人を見て、眠らされるので、痛みがなくなったまま死に至らしめられる、という印象を持っている人も多い。

確かにまだ昭和に使われた覚醒剤であるヒロポンは医薬品として残っている。
効能としては、ナルコレプシー、各種の昏睡、嗜眠、もうろう状態、インシュリンショック、うつ病・うつ状態、統合失調症の遅鈍症の改善に用いる、とある。
覚醒剤にはドーパミントランスポーター阻害とドーパミン放出促進作用があり、ドーパミンが溢れんばかりの状態になるため、興奮状態となることで上記のような効能が得られる。しかし、不眠となったり食欲低下をきたしたりするほか、耐性、依存性が問題になる。

医師が使う麻薬、主にモルヒネは、オピオイド受容体に作用し鎮痛をもたらすだけで、ドーパミンには関与しないし、眠らせる作用もない。
モルヒネを適切に投与されている方は、痛みに苦しむことが失くなり、不安も消え、よく動き、よく食べられるようになる。もちろん眠れるようにもなる。これは『ライオンのおやつ』を読むとよくわかって貰えるかなと思う。

ただ、癌が進行しすぎてから投与が始められると、よく動きよく食べることが出来ないまま、痛みに苦しむこともないが、よく眠るようになり、そのままお別れになる。こういった方たちが多い現状は否めない。
緩和ケアが普及し、モルヒネが誤解されることなく受け入れて貰える社会になるよう努力を続けよう。





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Last updated  2023.05.01 10:01:11
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