あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

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粗忽のたかびー

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2023.11.10
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テーマ: 読書の記録(163)
カテゴリ: 緩和ケア

【中古】 新たな全人的ケア 医療と教育のパラダイムシフト / トム・A・ハッチンソン, 三宮 暁子, 恒藤 暁 / 青海社 [単行本]【メール便送料無料】【あす楽対応】

全人的ケアとは何か、よく問われることではある。この本によれば、治療と癒やしの統合である、との結論だ。

治療とは、病気を治し、可能な限り苦悩を取り除き、問題を解決すること、である。
癒やしとは、以前の自分とは違う新しい統合性と一体性を経験でき、自己を新たな人間として認識できるまでに成長することである。

治癒可能な病気ならば、全人的ケアはさほど難しいことではない、ということになる。
なぜなら、患者は治癒した時点で病気という苦悩から解放され、病気を克服したという自信のもとに新たに生きていけるのだから、すでに治療と癒やしは達成されているのである。こちらが意図していなくても、全人的ケアを受けたという感覚になっているであろう。

全人的ケアが難しいのは治癒しない病気を抱えている患者である。治癒しない限り、治療は死ぬまで続けるか、どこかで諦めるかの二択になるし、死ぬまで身体は変化し続けるわけだから、新たな人間として認識するのは難しいだろう。

治癒しない病を抱えた時点で、病気を直すことで苦悩を無くす治療スタンスから、病気と付き合い苦悩と共存する治療スタンスへ、と気持ちを転換できれば、治療のあり方が変わるのではないか。
病気、苦悩と最期まで付き合う覚悟ができれば、その時点で新たな人間に変わることが出来る。
これが終末期の患者に対する全人的ケアのあり方の答えだと私は思っている。





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Last updated  2024.01.04 14:31:05
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