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2015年11月29日
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カテゴリ: 羅刹
 頼通はしばらくの間、すすり泣きながら師実の頭を撫でていたが、やがて乳母に師実の世話を頼み置くと、能季を促(うなが)して席を立った。

 能季も無言のまま、塗籠(ぬりごめ)を出ていく頼通に従う。

 頼通は師実の居間だったらしい寝殿の一間まで来ると、くるりと能季を振り返った。

 その顔にはもはや涙はなく、牛車の中で能季を震え上がらせた冷酷な政治家のものに戻っていた。

 頼通は疲れたように腰を下ろし、脇息(きょうそく)へもたれかかりながら能季に言った。

「私はかつて息子を一人失った。もう二度と我が子を失いたくはない」

 頼通の眉間に、また苦渋の皺(しわ)が現れる。

 頼通には師実以前に、藤原通房という嫡子がいたのだ。

 通房が生まれたのは、頼通がまだ若く道長も存命中の頃で、嫡子の誕生に二人は大いに喜んだという。

 その期待に答えるように、通房は容貌美しい優秀な公達(きんだち)に成長した。

 そして、次代を担う摂関家の嫡子として、世人の注目を一身に集める存在だったのだが、無情にもたった二十歳の若さで夭折(ようせつ)してしまったのである。

 通房に期待の全てをかけていた頼通は、悲嘆の極みに追いやられた。

 そして今、同じことが、またもや起ころうとしている。

 頼通が必死になってそれを防ごうとしているのも当然であろう。


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最終更新日  2015年11月29日 14時38分50秒
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