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2016年01月12日
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カテゴリ: 羅刹
 急に牛車が止まり、外で咳払いの音がする。

 下ろされた御簾の向こうから、兵藤太の低い声が聞こえてきた。

「ご到着でございます。どうぞ牛車からお降りくださいませ」

 御簾が上げられたので、能季は扇で顔を隠しながら牛車を降りた。

 簀子に打ち掛けられた牛車の長柄の脇には、人目を避けるための几帳が並べてある。

 案内の者らしい年若い女房が、簀子の上でかしこまって平伏しているのに、兵藤太が声をかけた。

「こちらは女王の乳母でござる。今日は忍びゆえ、お供はこの尼君だけ」

 能季は老女らしく身を屈め、顔を尼頭巾と扇で隠して階を昇ると、あまり目立たぬよう簀子の隅に座った。

 続いて斉子女王が車から降りる。

 鮮やかな袿姿は、まるでそこにだけぱっと花が咲いたかのようであった。

 能季は扇の陰から顔を上げて、そっと辺りを盗み見た。

 脇の随身所の半蔀が一つだけ不自然に上げられている。御簾は下ろされているものの、中には人の気配がある気がした。

 道雅はきっと自分の目で斉子女王の姿を見たいと思うはずだ。屋敷へ入って御簾の奥に隠れてしまうその前に。

 どうやら能季の狙いは的中したらしい。


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最終更新日  2016年01月12日 13時08分56秒
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