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2016年04月05日
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カテゴリ: 羅刹
 道雅はいまやすっかり己を失っているようだった。

 どこか得体の知れない感じは影をひそめ、あの奇妙な瞳の輝きだけが異常なほどに増している。

 斉子女王はそんな道雅の様子を見極めたのか、もう一度小さく吐息をつくと、最も肝心な用件を切り出した。

「老尼は昔を懐かしがって、しきりにあなたのお話をしておりました。実は、老尼はあまり身体の具合が良くありませぬ。もう年でございますから、それほど長くはないでしょう。死ぬ前に一度でよいからあなたに会いたいと常々申しておりました。そう言って何度も涙を流すので、わたくしも哀れでなりませぬ。どうでしょう。一度密かに老尼に会ってやってはいただけませぬか」

 道雅にはまるで関心はないようだった。酔ったように斉子女王の方を見つめながら、気のない声で答える。

「いや、そういうわけにも参りますまい。今更会っても、どうなるわけでもありませぬゆえ」

 斉子女王は声に優しさを込め、幼子を諭すようにゆっくりと言った。

「あなたの顔を見れば、老尼もきっと元気になるでしょう。もしそうでなくても、これで心残りがなくなって、安らかに浄土へ参ることができると思います。老尼には子供の頃からいろいろと可愛がってもらい、わたくしの方でもまるで本当の祖母のような気持ちでおりますの。わたくしのたっての頼みでございます。どうぞ一度会ってやってくださいまし」


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最終更新日  2016年04月05日 11時06分39秒
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