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2016年08月31日
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カテゴリ: 羅刹
 兵藤太は俄かに能季の方へ向き直った。

 真っ直ぐな瞳が、能季の瞳を見つめている。

「私が枕辺に行くと、あの方は私におっしゃいました。わたくしの命は、もうそれほど長くはないと思う。だから、せめて最期に、自分の本当の気持ちを打ち明けてから逝きたいと」

「母上は何と言ったのだ?」

「わたくしは長い間ずっと自分への求婚を退けてきた。幼い頃から、わたくしにはただ一人、心に想うお人がいたから。でも、頼宗様から求婚の文が来た時、父は大そう喜んで、すっかり婿に迎えることを決めてしまった。わたくしが身分の高い頼宗様と結婚すれば、わたくしの父も兄弟も栄達が望めるから。わたくしには父に逆らう術がなかった。だから、どうかわたくしを連れて逃げてくれと、そなたに何度も頼もうと思った。本当に、そなたのいる曹司の前まで行って、そう頼もうとしたのだけれど、結局勇気が持てず、言い出すことはできなかった、とおっしゃっておいででした」

「母上がそんなことを」

「ええ。そして、こう続けられました。結局わたくしは、わたくしの親や兄弟たちのためにと自分へ言い聞かせて、頼宗様との結婚を承諾してしまった。後で、それをどれほど後悔したか。いくら可愛がられ大切にされても、本当に愛してはいない夫との暮らしは空しいもの。それを、このいまわの際にまで、しみじみと思い知らされるなんて。そう言って、お泣きになりました」


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最終更新日  2016年08月31日 15時13分11秒
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