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加藤嘉一「『人事』こそ政治の神髄であり、一番面白い部分である」

アメリカや中国では、新政権の“人事”が大いに注目を集めました。
トップにとっては、人事こそが自らのリーダーシップを発揮する最初のチャンスなのです。

年末年始にかけて、国際政治が躍動しています。

注目されていた第二次オバマ政権の国務長官には、ジョン・ケリー氏が指名されました。
2004年の大統領選に出馬した大物議員ですが、
第一次政権では上院外交委員長として献身的にオバマ大統領をサポートしていました。

国務長官は外交のキーマンとなる要職ですが、ケリー氏は北朝鮮問題にも造詣が深く、
政権の「アジア太平洋重視路線」を示唆する人選です。
ただ、辣腕を振るったヒラリー・クリントン氏の後任だけに、
プレッシャーにさらされるなかで、どこまで手腕を発揮できるか見ものです。

あのポジションには誰が選ばれるのか。どんな意外性を見せてくれるのか。
「人事」こそ政治の神髄であり、一番面白い部分であるとぼくは考えています。

もうひとつの人事サプライズは、中国の最高指導部である共産党中央政治局常務委員会の
人数が9人から7人に減ったことでしょう。発表ギリギリまで、共産党による情報管理は
徹底していました。結果、新政権の人事が世界中から注目され、中国の国際的プレゼンスは
ますます高まった感がある。人事配分と国家戦略は表裏一体なのです。

サプライズと同じくらい重要なのが“流動性”。
例えばホワイトハウスでは、政権与党が変わると、そこで働くスタッフも刷新されます。
ドラスティックな変化が新たなトップの手腕を世に知らしめ、
世界中に新鮮な警戒感を与えるのです。

逆に言えば、人事が注目されなくなったら、その国の政治や国力は停滞する。
同じようなことは会社組織でもいえるかもしれません。
予想どおりのガチガチな人事しか演出しない会社を想像してみてください。
中から見ても、外から見ても、魅力的ではないのではないでしょうか。

こう考えると、日本政治の人事はそのほとんどが想定内、あるいは苦肉の策で、
「つまらない」と言わざるを得ない。

米中を中心に、各国の有識者と話をしても話題にすら上がらず、
ますますパッシングされる傾向にあります。

総理が毎年代わる奇妙な現象が、食事の席でジョークとして語られる程度です。
昨年末、ハーバード大学のある文系学部生に「日本の人事に興味はありますか」と聞くと、
「人事を語るほど、日本の政治に人材はいるのでしょうか」と即答してきました。

面白い人事を仕掛けることで、国内外で「日本は動いている」と感じてもらうことも
ひとつの打開策ではないかとぼくは思うのです。

手っ取り早い“サプライズ抜擢”は、与党内の議員でポストを回すのではなく、
民間、女性、若者に門戸を開くことです。例えば野田政権で民間人初の防衛大臣に就任した
森本敏(さとし)氏や、小泉政権で総務大臣などを歴任した竹中平蔵氏。彼らの仕事ぶりには
賛否両論があったと思いますが、民間人の抜擢という選択自体は“進歩的”と評価できる。

ただし、サプライズ抜擢が当たり前のアメリカや中国では、
“サプライズ解雇”もまた当たり前。慈善事業ではなく、結果が求められているわけですし、
予定調和で済むほど甘い世界ではない。緊張感なき円滑な国家運営などあり得ないのです。

昨年末に誕生した安倍内閣にも、サプライズ人事を待ち望んでいた人は
少なくなかったでしょう。しかし、一部の要職に女性議員が登用された程度で、
重要ポストに民間人や若手が抜擢されることはありませんでした。
個人的には、小泉進次郎氏に大いに注目しているのですが。

進次郎氏、事実上の旗揚げか 82人決起! メンバーは大物の子弟ズラリ

サプライズにリスクが伴うのは当然。しかし、仕掛けなければ何も起こらない。
順風満帆ならまだしも、危機だらけのこの時代、
トップが空気を読みすぎて何が変わるというのか、逆に教えて!!

●加藤嘉一(かとう・よしかず)

日本語、中国語、英語でコラムを書く国際コラムニスト。1984年生まれ、静岡県出身。
高校卒業後、単身で北京大学へ留学、同大学国際関係学院修士課程修了。2012年8月、
約10年間暮らした中国を離れ渡米。現在はハーバード大学ケネディスクールフェロー。
新天地で米中関係を研究しながら武者修行中。本連載をもとに書き下ろしを加えて再構成した
最新刊『逆転思考 激動の中国、ぼくは駆け抜けた』(小社刊)が大好評発売中!


今週のひと言

“サプライズ人事”なくして、日本政治の復活はありません!!





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最終更新日  2013.01.29 00:41:38
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