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2008.10.04
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カテゴリ: 映画


ちくま 2008年10月号

やっぱりお買い得感、じゃなくて貰い得感が強いのは『ちくま』かな。
なだいなださんの連載が好きなんだが、この号は四方田犬彦さんの「大島渚と日本」が、「原初の死者」と題して、主に『日本の夜と霧』を扱っていて興味深い。



……。「夜と霧」という題名は、いうまでもなくアウシュビッツ強制収容所を体験した心理学者フランクルの回想に由来している。アラン・レネが一九五五年に監督した短編映画の題名にしたこともあって、この言葉は当時、人間の極言状態を示す言葉としてしばしば用いられていた。誰もが擬制の共同体を築き上げるために、暗黙のうちに隠し通してきた原初の殺人。『日本の夜と霧』の意味とは、物語を発動させる父親としてのこの死者をスクリーンに明確に提示することであった。



それは革命を目指す前衛党の犠牲になった人々である。
大島渚監督が京都大学法学部に入学したのは、1950年。
脚本の石堂淑朗さんはその翌年に東京大学文科二類に入学したが、同級生には吉田喜重、藤田敏八、種村季弘といった面々がいたという。

彼らの学生時代は、1955年の六全協直前。
血のメーデー事件、火炎瓶闘争、山村工作隊……。
70年代前半に制作された映画には、この頃の学生たちの数多くの挫折が反映されている。
その嚆矢となったのが、『日本の夜と霧』だ。
(「こうし」って、同音異義語が多いっすね。)

四方田さんが石堂さんに映画制作当時の話を取材する。
映画の死者「高尾」は、石堂さんの同級生をモデルにしたそうだ。
その人物は学内の共産党細胞として活躍していたが、党の方針変更に悩んだ末、実家に戻って首つり自殺をしてしまう。



石堂と種村季弘は彼の追悼集会に出かけたが、参列者が彼を党への殉教者に仕立てあげようとするのに、強い偽善的なものを感じた。集会をブチ壊してやろうかと挑発の口吻を漏らしたところ、たちまち周囲の雰囲気が険悪となり、これはヤバイと一目散にその場から駆け出したという。



映画のシーンそのままのような話だ。
大島渚監督は、商業映画を作る松竹へ就職することを一種の転向だと感じていたようだ。
大島監督がまだ助監督の頃、助監督仲間との同人誌に発表した『深海魚』というシナリオを、四方田さんは詳しく紹介している。
そこには既に『日本の夜と霧』の原型となるべき死者が顔を覗かせているという。

大島映画に登場するこの死者は、今の若者にはピンと来ないのではないだろうか。
世代論は好きではないが、四方田さんが書いているように、「一九七〇年代に大学生活を過ごしたわたしの世代」は、「学生運動への関わりの有無を問わず、つねに内ゲバの脅威と隣り合わせですごした」のであり、「一九五〇年代前半の、多少なりとも政治に意識的な学生たちは、党員であるかないかにかかわらず、前衛党の権威と指導の絶対性という問題に拘泥」などしなかった。
私の世代では、松竹への就職を転向と感じる者など、皆無だったろう。



日本の夜と霧


9条を殺すな!


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Last updated  2008.10.04 03:54:51
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