穏やかな爆弾

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Jul 13, 2004
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カテゴリ: 犬のいる生活
※ 連作みたいになってます。
  前日の日記を読んでない方は こちら からどうぞ。



案の定、一時間ぐらいしか眠れなかった午前四時。

容赦なく鳴り続ける目覚ましのベルを聞きながら
タール状に混濁した意識を無理矢理引き起こしました。
寝癖の頭を掻き毟り
うかうかしてると徐々に剥がれてしまう
朦朧とした自我に楔を打ちます。
何とか立ち上がり、カーテンを開けたところで
母が階段を昇る足音が聞こえてきました。

昨夜、ニヤリ・・と意味深な微笑を
両親に浮かべられ
四面楚歌に陥ったと思い込んだ僕でしたが

どうやら・・起こしに来てくれたようですね。

そっとベットの下に忍ばせた麻のロープは
使わないで済みそうです。


・・・。

あくまで誇張表現ですよ。こんばんは。
まぐろです。



と・・言うわけで

愛犬・飴さんの、初散歩に行って参りました。



折角、飴が自分の足で大地に降り立つ
記念すべき日なので
どうせなら、心行くまで走り回らせてやろうと
自宅から車で十分程の距離にある公園に
連れて行ってやりました。
近所で、テリトリーを広げていくのはまた後日と言う事で・・。

しかし・・。

この公園・・。

異常にでかいです。

田圃をぶっ潰して作られたその総面積は
東京ドーム二個分。
起伏を持った地形に、青々とした芝生が延々と広がり
ちょっとした地平線を錯覚できます。
動物を散歩させるのもOKと、広い懐も持ち合わせているので
まさに大型犬並みの運動量を誇るコーギーが駆け回るには
正に最適の場所でした。



 プロローグ



午前四時半。
朝靄に曇る駐車場には、人の気配を感じられませんでした。
二十四時間開放されてるとは言え
こんな中途半端な時間から起きだしてくる奇特な人はいないようです。
今なら安全・・と子猫三匹を遊ばせていた黒猫が
突然の闖入者に訝しげな表情を浮かべていました。
僕らは、目配せをすると
後部座席に積んでおいた、移動用のケージを取り出します。
白いラインで分けられたアスファルトの大地に
そっと横たえると
鉄柵の中から、飴が獰猛な二つの眼で
じっとこちらを伺っておりました。

どのくらい獰猛かと言うと・・


ハーネスをつけるのに大格闘!

ケージに押し込むのに大格闘!


抜け毛の多い飴の暴挙から
車を守るために買い与えられた、この移動用のケージですが
ただでさえ、拘束を嫌う飴をこの中に詰め込むのは
正に至難の業でした。
練習に・・と一度、餌で釣って閉じ込めたのが災いし
学習してしまった飴は
寝起きの元気さもあいまって、逃げ回る。逃げ回る。

何だか・・物凄い虐待をしてる気分でちょっぴり憔悴。

一時間しか寝てないのに・・。



 第一章・最初の難関



さて・・

車の中では、「自由をちょうだい」と
抗議の視線を痛いほど浴びせかけていた飴さんですが
いざ、ケージを地面に置いて鉄柵を開放してやっても
怖がってなかなか出てきません。

たっぷり時間をかけて待ってやることにしました。

やがて・・
好奇心が恐怖心を克服したのか
ゆっくりと地面にへばりつくようにして・・

一歩・・。

また一歩と・・。

粗目状のアスファルトの感覚を、肉球で確かめながら
前に進み始めます。


物凄いへっぴりですが・・。

取り敢えずは、おめでとう飴。

違う世界に君は生まれたんだよ。


次第に慣れ始めたのか、飴はケージの周囲を
くるくる回りながら匂いを嗅ぎ始めました。
突然ダッシュして、ダンプの下敷きになってはと
僕の手には、予め飴に繋がったリードが握り締めてられますが
全く意味を成さないような牛歩戦術で、周囲を観察し始めます。

ケージを片付け、散歩グッツを手にした両親は
「飴~♪行くよ~♪」と先に発ち
飴を促そうとしましたが
彼はまだ、慣れない世界の匂いに御執心。
業を煮やした両親が「先に行ってるから」と姿を消しても
意に返す様子はなく
延々地面をふんふんとやっています。

まぁ・・焦ることもありません。

ここは、ゆっくりと珍しい匂いを嗅がせてやりましょう。


ふんふんふん。

「・・・。」

ふんふんふん。

「・・・。」

ふんふんふん・・くしゃん。

「あ・・蟻を吸い込んで大変な事になってる。」


ちょびかお前は?と
鼻に蟻を集られてイヤイヤしているハスキー犬の姿を
思い出して笑っていると
やがて、あたりの匂いに満足したのか
徐々に両親の消えていった後を、辿り始めた飴。


しかし・・

不幸にも、彼の目の前には

重々しく立ちはだかる影が・・。



そう・・駐車場と公園の敷地を仕切ってある段差です。



少し横にそれれば、バリアフリーよろしく
なだらかな傾斜が、公園の入り口へと優しく促してますが
飴はそれに気付かないのか
自分の胸ほどある段差の前で、オスワリをしたまま
途方に暮れています。

「おお・・最初の難関!」

さて・・どうするかな?と
敢えて手助けをせず、彼の同行を観察していると・・


ふんふんふんふん。


あ・・匂いを嗅ぎながら来た道を引き返しやがった。

努力しろよ・・飴。



 第二章・わふわふ



仕方がないので、僕が誘導して段差を回避させました。
第一の障害を乗り越えた飴は
打って変わり、歩く速度も俄然快適になってまいります。
コンクリートブロックで綺麗に舗装された地面を
ちったかたー♪と
先行して歩く両親の元へ・・。

やがて、この公園の大部分を占める芝生へと辿り着きました。

飴は、初めて触れる芝生の感覚が面白いのか
ツンツンと伸びる短毛の草に鼻先を押し付け
くんくんと匂いを嗅ぎながら、好奇心のアンテナを立てています。

そんな飴を傍らに、僕は周囲を見渡してみました。
こちらも駐車場同様・・人っ子一人見当たりません。
何だか、この広大な面積を独り占めしたみたいで
実に贅沢な気分。
人間好きの飴は、人影を見ると「愛想せねば!」と駆け寄っていくので
万が一、それが犬嫌いの人だったら大変だ・・と
危惧していましたが
これならば、何の気兼ねもありませんね。
リードをはずし、飴を大地に解き放ってやりました。

「さあ!飴よ!思いっきり走り回るがいい!」

飴は、牧羊犬の血の赴くまま
芝生の大地を蹴ります。
低空飛行で滑走し
解放された魂を、大自然へと投げ出した・・





・・はずでした。



てとてとてと・・。

ごろん。

わふわふ♪



僕の妄想とは相反するように
飴は、手ごろな繁みの上でごろごろ転がり始めました。
一本だけ伸びた雑草に、背中を擦りつけながら
わふわふと嬉しそうな声を上げています。


・・・いや。

これだけ広いスペースを独り占めしてるのに

何故そんなに隅っこで遊ぶのだ?飴よ・・。



後編 に続きます。





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Last updated  Jul 14, 2004 06:34:48 PM
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