歌 と こころ と 心 の さんぽ

歌 と こころ と 心 の さんぽ

2018.09.26
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カテゴリ: みそひともじ

♪ 万葉ののべにまつむしきくよるは灯りをけしてスマホとじせ




 この時期の夜、コンビニに行く時に必ず聞こえる虫の声。チンチロリンと鳴く松虫だ。もちろん蟋蟀も鳴いているが、この声が一番愛らしい。また良く通る声なのでなおさら耳に入って来る。
 25日は折角の仲秋の名月「十五夜」=新月から数えて15日目(毎月ある)」だったのに天気は生憎の有様で、虫の音とのコラボレーションは望めなかった。

2018年9月の月齢
十五夜の翌日は十六夜ー いざよい 、その次は順に「十七夜: 立待月 (たちまちづき)」「十八夜: 居待月 (いまちづき)」「十九夜: 寝待月 (ねまちづき)」「二十夜: 更待月 (ふけまちづき)」

 こんな名前を付けて月を愛でて楽しんでいた古びとは、なんと風流だったことでしょう。今のように電気もなく娯楽も少なく、自然と向き合う時間とそれを楽しむ余裕がたっぷりあった。
 しかし、それは地位の高い人たちのことで、一般の庶民はそんなことは言ってられなかったのかも知れません。
 まあ日本の伝統的文化はほとんどが江戸時代のもので、400年やそこら前のことで、奈良、平安時代の事なんかはそれほど残ってはいない。


 そんなことを思っていたら、日本人が「ひらがな」をどう思っているかという記事があったのを思い出した。
 「仮名」は公文書などで正式に使う漢字=真字(まな)に対する言葉で、女手(おんなで)とも呼ばれていたもので、中国伝来の漢字は男が使うものとされていたわけだ。
 仮の文字ということが幸いし、女性が自由に操ることが許されていたことで「源氏物語や枕草子」といった平安時代のあの雅やかで豊かな文学が生まれることになったというから、歴史というのは面白い。



 それで、朝日新聞が「好きなひらがなはなんですか」というアンケートを募った結果が「 be ランキング」として載っていたわけ。「あ~ん」の48文字のうち一人3字まで選べる。1310人からの回答があった。

  1   469票 --- 元の字は「安」
  2   228票 --- 元の字は「由」
  3   167票 --- 元の字は「美」
  4   160票 --- 元の字は「奈」
  5   126票 --- 元の字は「末」
  6   120票 --- 元の字は「於」
  7   116票 --- 元の字は「加」
  8   112票 --- 元の字は「乃」
  9   110票 --- 元の字は「寸」
  10    95票 --- 元の字は「以」

 好きな字だけあって女の子の名前によく使われる。上から二文字づつ組み合わせると、「あゆ」「ゆみ」「みな」「まな」「まお」、ランダムに「あみ」「みゆ」「みお」「ゆな」「まゆ」「まみ」、三文字なら「あゆみ」「まゆみ」「まおみ」「まなみ」と6位までの字だけでこんなにある。如何にもという感じ。

 この変体仮名というものを考えた人は凄いと思う。毛筆で連綿として書くように考えられているのは当然として、左右対称になる字は一つもない。ひらがなが生まれたのは10世紀の古今和歌集が成立したころと言われているらしいが、詳細は分かっていないという。
 それまでの万葉集なんかは漢字で書かれていたわけで、今の我々にはとても読めるものじゃない。

 例えば、大伴旅人の歌。
 原文は「 生者遂毛死物尓有者今生在間者楽乎有名 」。
 こんなもの庶民が読めるわけがない。千数百年前に中国から伝わった漢字(それまで日本には文字がなかったわけだ)。漢語は一語一音節で日本語の音に当てはめるのはいいとして、そこに訓の読みも混ざっているというところがややこしかったりする。
 で、これを書き下し文にして「 生ける者(ひと)遂にも死ぬるものにあればこの世にある間は楽しくをあらな 」として、我々はこちらを読むことになる。

 日本人は頭がいい。柔軟でどんどん新しいものを取り入れて、しかもちゃんと咀嚼して活用することが出来る。漢字かな混じり文章と毛筆の流麗さが組み合わさった書。日本人の革新性と優れた美的感覚が如実に表れていて、世界に誇れるすばらしい文字文化だと感心してしまう。


「簡体字練習帳」常用漢字

 もし中国語のように漢語だけの世界だったらと思うとゾッとする。中国も簡体文字が主流になっているが、あれなんか見ていると日本語の片仮名を想像する。そのぐらいに簡略化されていて、やっぱり日本の方が優れていると思って優越感を覚えたりする。

 幕末から明治、大正にかけて、漢字を撤廃しようと提唱していた人たちがいる。西洋のように単独の文字であらわすべきだと考えたらしい。

「漢字と日本」高島俊男著

この本に詳しく書いてあります。
 英語採用論を幕末に「森有礼」が、かな論者が明治の「前島密」ら、大正に入ってから「田丸卓郎」がローマ字論を唱えた。しかし、それでは幾ら何でも日本の文化が平明になって文化が廃れてしまう、と大反対されて頓挫してしまったは良かった。

 もしこれらのどれかが通っていたら、今の日本はあり得ないでしょう。






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最終更新日  2018.09.27 05:52:03
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◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
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