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November 11, 2009
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テーマ: ペットの死(563)
カテゴリ: 闘病記

 以下に記す文章は、私自身のための文章になります。啄木が絶命するまでの記録ですので、不快に思われる方もいらっしゃると思いますし、辛くなる方もいらっしゃると思います。お気をつけいただいて、ご自分の気持ちに自信のない方はこの先はご遠慮ください。



10月31日。啄木が亡くなった日の前夜。
夜10時ごろに啄木をリビングからわたしの部屋へ移しました。
どこに寝かせるのが啄木にとって一番良いのかいろいろと考えました。
お気に入りの玄関の冷たい大理石の上が良いのか、
リビングのトイレの近くから動かさないほうが良いのか。
歩くことがまったくできなくなってしまった啄木でした。
今晩がわたしと過ごす最後の夜だと感じていました。
なので、
元気な頃の啄木の定位置だったわたしのベッドの足元に、
啄木お気に入りのフリースマットを置いて、その上に寝かせることに決めました。
ただ、わたしがベッドに寝てしまうと啄木の様態の急変に気が付かないと考え、
わたしは床にマットを敷いて、啄木と並んで一緒に休むことにしました。

啄木には腰から下にトイレシートをあてました。
ウン○はトイレでしかできませんが、
オシッ○は寝たままできるようになっていました。
おむつも試してみたのですが、嫌がっているのがわかりました。

93歳で逝った祖母のことを思い出していました。
彼女も最後までトイレのことをこだわっていて、おむつをすることをとても嫌がっていました。
あの時考えた、人間の尊厳と排泄との関係。
「トイレが大変ならおむつを使えばいいじゃない」という考え方を祖母は嫌いました。
排泄の問題は、祖母が自らの尊厳を保ち続けるための最後のこだわりだったのだと思いました。
そして、
啄木は犬ですが、祖母に似た気持ちを持っていたのかもしれません。

部屋の明かりを暗くして、テレビのボリュームも落として、
ウトウトとしている啄木の背中や腰、手足をさすりたいと思いました。
でも、それでは啄木はゆっくりと眠れないと考え直し、
手を当てるだけにしました。
骨と皮だけになったゴツゴツとした啄木のカラダの感触。
でもカラダの温かさは今まで馴染んできた温かさのままでした。
浅くなってしまった呼吸ですが、それでもお腹は小さく上下していて、
それだけが、その時のわたしの救いでした。
啄木は自ら約15分毎に顔の位置を変えたり、手や足を少しだけ動かしたりしていました。
どこかが痛くて、眠れなかったのかもしれません。
わたしの不安と恐怖が啄木に伝わってしまっていたのかもしれません。
啄木はわたしを心配してくれていたのかもしれません。
何もわかりません・・・。

日付が変わって11月1日。
午前1時過ぎ。
啄木はすっと起き上がりました。
お座りの姿勢をとって、わたしのことを見つめました。
わたしは起きていましたので、そんな啄木がトイレに行きたがっているのがすぐにわかりました。
急いでトイレシートごと抱きかかえて、トイレへ向かいました。
家の中は暗く、トイレのある部屋の明かりぐらいは付けておけばよかったと後悔しました。
暗いままのトイレで、
わたしは啄木の腰と後ろ足を後ろから支えてやりました。
啄木はかろうじて力の入る前足を踏ん張って、
顔をゆがめ、小さな唸り声を上げながら排便しました。
一度の力みでは出し切れないようで、何度も何度も唸り声を上げて、頑張っていました。
納得がいくまで頑張ると、もう力が残っていないようでした。

「タク、もういいの?」と声を掛けながら、
近くにあるマットの上に抱き上げて、寝かせました。
啄木の顔はそれまでの痛みが落ち着いたようで、穏やかな表情に戻っていました。
わたしは汚れた啄木のお尻を濡れタオルでキレイにしてから、
汚れたトイレシートを片付けました。

部屋の中は暗いままでしたが、わたしは暗闇に目が慣れてしまっていました。
うつらうつらしはじめた啄木を抱いて寝室に戻るとき、
時間は2時になろうとしていました。

いつもカーテンを閉めないリビングの窓から見える夜空が明るいことに気が付きました。
満月 でした。

「今日は満月だったんだね、タク」
わたしは啄木にそっと話しかけていました。






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Last updated  November 11, 2009 01:27:42 PM
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