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2022.03.30
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カテゴリ: 古文現代語訳
この姉妹の伯父、すなわち亡き母の兄で宰相であった方には、娘二人と息子が一人いました。この息子は僧侶になって比叡山において近年並ぶ者のない智者験者《ちさげんざ》となり、法相寺《ほうしょうじ》の別当《べっとう》を兼任する僧都《そうず》の位に就いておりました。娘の長女の方は但馬守《たじまのかみ》の妻となって、たくさん子供をもうけて相応の豊かな暮らしをしています。そして次女は、亡き北の方が我が子のように思って育てましたので、北の方が亡くなった後は遺された姫君たちの恰好の遊び相手となり、「対の君」と申して大臣のお屋敷に住んでいらっしゃいました。
 大臣は北の方を失って寂しい独り寝の折々に、この対の君のもとに忍んでお立ち寄りになるのですが、それを対の君はたいへん恥ずかしく嘆かわしく思っておりました。しかし、強いてなんでもないように装って、姫君たちのおそばを離れずに愛情をこめてお世話申し上げます。大君には家柄の良い乳母《めのと》が付き添っていて、大臣は退屈な折にはこの乳母をお召しになる習慣でしたが、この対の君が若く品があって優美な方でしたので、大臣の気持ちも対の君に移ったようでございました。そのため、この乳母はたいへん不愉快に思い、「あの対の君は若奥様気取りだねえ」なとど悪口を言うなど、さげすみ恥をかかせるなどしてつらい仕打ちをしましたので、対の君は大君側にあまり親しくも交わらず、立ち寄ることもなくなりました。
 一方、中の君側は、面倒見の良かった乳母も亡くなり、年増の分別のある女房もいないので、中の君はこの対の君に素直に一途に打ち解けて懐いています。対の君にはそれがまた嬉しく、気の置けない子でもあるので、ただただこの中の君に付き添って起居を共にしています。大臣も「これは良かった。中の君のことを心に掛けて世話をしてください」と言い、何かにつけてお任せになります。対の君はこの中の君のところに留まることが多くなったため、大君の方の乳母や女房たちの悪口は辛辣になっていきましたが、対の君は知らぬふりをして、中の君とますます親密になってゆき、可憐な姫君の憂《うれ》いもつらさも慰めているのでした。





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最終更新日  2022.03.30 18:03:52
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