『とんとこひ・セクスアリテ』

December 16, 2008
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 金素雲氏の、 ハングル版 諺文(おんもん)朝鮮口伝民謡集 』は、1933年、土田杏村氏(「その当時肺患で寝たままで膨大な著述を絶え間なく出していた)と新村出博士(京都帝大)の助力で、東京の第一書房から出版されました。




 また口伝民謡の原文から選んで、新たに 日本語訳 の原稿を作った。四年前に出した『 朝鮮民謡集 』は 詩心に重きを置いた 意訳である点に不満があったので、今度は原歌に忠実たらんことを期し、歌詞一つ一つに原文の歌詞の番号を付して対照できるようにした。--- 



 富も貴も願わないが、 口伝民謡 の整理にもう少し時間を使えたなら---、 三段七百頁の歌詞一つ一つが私の郷土の心のふみ跡なり生活情緒の記録 なのだ。民間習俗や生活様式の変遷、そんな難しい問題はさておいて、まず方言研究一つをとっても、 口伝民謡 は二つとない宝庫である。



口伝民謡 を第一書房から出すとき 方言索引 をつけるはずだったが、その索引だけでざっと三、四百頁を越える計算、 やむを得ず初句索引だけであきらめる外なかった。--- この一事だけは私の手で成しとげておきたい ---けれども、目前に緊急事がある---



 この日本語訳原稿を出版社に渡して金をつくらねばならない。
 脇の下に抱えた風呂敷の中には、出版社で断られた 日訳民謡集 の原稿が入っている。---

 岩波書店の社長を父から受け継いだ青年だと思うほどに粗雑な私の認識だった。



「私が岩波茂雄でございます」---ギョロリとした目にカボチャのような作りの顔---置いて行けという原稿を彼にあずけ---あくる年の正月、こうして『 朝鮮童謡選 』が---続いて八月に『 朝鮮民謡選 』が同じ岩波文庫版で刊行された。---



 悲哀と絶望に衝きあたった私の弱い心を叱り、鞭打ってくれる師、---〈岩波茂雄〉という名前は、出版人と著者というつながりを越えて、ましてや 民族 民族 との距離を越えて、私の行く手に灯を照らしてくれ、人格の真の意味を私に教えてくれた、人生行路の師表だった。



 以上は、
手書きハート書 名 『天の涯に生くるとも』

 出版社 発行所=新潮社
 著 者 金素雲
 印刷年月 1983年5月20日

 より抜粋しました。




































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Last updated  December 16, 2008 02:58:51 PM
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