Chromecast Audio Chromecast Audioの機能を一言で表すと「アナログ/デジタル音声出力搭載のWi-Fiオーディオレシーバ」。一般的なコンポやアクティブスピーカーなどを、ネットワークプレーヤーのようにスマホからの操作で音楽配信サービスの再生に使えるようにするアダプタだ。Google Play MusicやAWA、KKBOXなど「Google Cast for Audio」に対応した音楽サービスの利用に特化し、価格は4,980円(税込)という手頃さが魅力。海外での発売を見て、国内発売を待ち望んでいた人もいることだろう。
対応する音楽サービスは、「Google Cast for Audio」をサポートしているものに限られており、発表時は「Google Play Music」と「AWA」、「KKBOX」などに対応すると案内していた。製品外箱にも、これら3つのアイコンが対応サービスとして記載されている。スマホ/タブレットの対応OSは、Android 2.3以上と、iOS 7.0以上。パソコンはWindows 7以降とMac OS X 10.7以降、Chrome OS(Chrome 28以降に対応のChromebook)。
再生するアプリごとに細かな違いも まずは、Google Play Musicを使ってスピーカーとアナログ接続して聴いた。Google Play Musicの詳細は以前の小寺信良氏のレビューが詳しいが、このサービスは3,000万曲以上が聴き放題なだけでなく、手持ちの音楽ファイルをクラウドにアップロード(最大5万曲)しておくと、ネットワーク経由でスマホ/PCなどから再生可能。配信サービスと手持ちの曲を混在させて聴くことができるのが特徴だ。聴き放題の楽曲に無いものを、単曲/アルバム単位で購入することもできる。まだ使ったことがない人は、まず30日間の無料期間で試してみるといいだろう。
Google Play Music。曲のアップロードはパソコンから行なう Google Play Musicで、PCからアップロードした楽曲や、配信楽曲を再生。操作感は、アプリ単体で聴いている時と同じで、音量はメニューを呼び出すことなくiPhone側面のボリュームボタンを押すだけで調整できた。アップロード済み楽曲から、同じアーティストの曲や、関連する曲などのおすすめも行なわれるため、知らない曲/アーティストとも出会える。アップロードした曲数がそれほど多くなくても、知っている曲や知らない曲が次々と楽しめる。スマホの配信サービスは、イヤフォン/ヘッドフォンで聴く人が多いと思うが、複雑な設定などせずに、普段使っているスピーカーにキャストして聴けるのが便利で、家族や友人など複数人でも聴ける。
Google Play Musicアプリの再生画面。右下にある四角のアイコンをタップしてキャスト おすすめ曲のプレイリストなども用意 その他の対応アプリとして、定額音楽配信のAWAを試した。邦楽/洋楽含めてユニークなプレイリストも多いAWAの楽曲も、同様にChromecast Audioへキャストしてスピーカーから聴ける。iPhoneのAWA再生画面で右下にChromecastアプリのアイコンに似たマークが表示、そこをタップすると[Cast to]というメニューが現れ、選んだ先のスピーカーから聴ける。操作感はGoogle Play Music利用時とほとんど変わらないが、ボリュームはiPhoneのハードウェアボタンで増減できず、メニューからボリューム画面を呼び出すという違いがあった。このため、画面を見ずにボリューム調整するのは難しそうだ。
光デジタルケーブル。今回使ったのは1,000円未満の低価格なもの そこで、手持ちのUSB DAC「UD-301」(ティアック)とのデジタル接続を試した。丸形-角形の光デジタルケーブルで接続して、Google Play Musicの曲を再生。ケーブルを替えるだけなので、接続したスピーカーから問題無く音が出た。なお、UD-301はハイレゾにも対応しているが、入力のインジケータを見ると、ハイレゾファイルを再生しても、インジケータは常に44.1kHzを示している。Google Play Musicのサイトを確認すると、FLACやALACなども再生はできるが、いずれも320kbpsのMP3に変換して再生されるようだ。使う機器を問わず音が出ることを優先した仕様なのだろう。
スマホだけでなく、PCからも再生できる。一番簡単なのはWebブラウザのChromeからキャストする方法だ。これはHDMI端末のChromecastと同じ方法で、Chromeに拡張機能として用意されている「Google Cast」をインストールすることで、右上にCastアイコンが現れる。これを押すと、Google Play Musicなど、開いているWebページの音声をChromecast Audio経由で接続したスピーカーから聴ける。キャストに非対応のコンテンツもあるが、YouTubeの音声を試したところ、接続したスピーカーから聴けた。
Google Play MusicのChromeブラウザ画面 ただし、ビデオの音声だけをキャストする場合に注意したいのは映像と音声のズレ。これは、パソコンとスピーカー(に接続したChromecast Audio)が個別にWi-Fi経由で受信しているためだ。環境によってズレの大小は変わると思うが、筆者の場合は映像に対して音声が明らかに遅れており、人物の口と音声が合っていなかった。音声だけ聴きたいならこの方法でも問題ないが、映像を観ながら聴きたい場合は、HDMI端末のChromecastを使った方が良いだろう。
Chromeブラウザに拡張機能としてGoogle Castを追加 キャスト先としてChromecast Audioを選ぶ YouTube動画をPCで再生し、音声を別のスピーカーから出力 今回は試していないが、複数のGoogle Cast for Audio機器を連携した「マルチルーム再生」にも対応している。日本ではなじみが薄いと思うが、広い場所に人を呼んでパーティーをするときなどに、リビングやキッチン、庭などに置いたスピーカーから、同じ曲を同時に流せるという機能だ。Chromecastアプリで検出されたGoogle Cast for Audio対応機器を複数選んで「グループ」を作成。それを一つのキャスト先として選ぶことで、複数のスピーカーから同時に出力できる。
似たような機能は他社のオーディオ機器でも実現されているが、Google Cast for Audioの場合はChromecast Audioだけでなく、例えばソニーのWi-Fiスピーカー「SRS-X99」など他社の機器でも「Google Cast for Audio」対応であれば同じグループに入れられるのが特徴。