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2003.01.29
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カテゴリ: 岡本綺堂


江戸の思い出(著者:岡本綺堂|出版社:河出文庫)


 「江戸東京の思い出」「震災の記」「怪談奇譚」の三部からなる。
 ほかの随筆集でよんだのもあるが、たいてい忘れているので面白く読んだ。
 初出が明治四十三年の「思い出草」の一編「紙鳶」に、寒風の中でたこ揚げをしていた昔の子供にくらべ、あたたかい恰好をして「無意味にうろうろ[#「うろうろ」に傍点]している今の小児は、春が来ても何だか寂しそうに見えてならない」(p43)というあたり、今も昔も変わらないのである。
 綺堂の感性を示す表現。
 「釣荵《つりしのぶ》は風流に似て俗であるが、東京の夏の景物として詩趣と涼味とを存分に併せ持っているのは、彼《か》の虎耳草《ゆきのした》である」(p89)
 蕎麦屋の変遷。
 「そばやでは大正五、六年頃から天どんや親子どんぶrまでも売りはじめた。蕎麦屋が饂飩を売り、更に飯までもうることになったのである。」(p128)

 誤植?
 「周囲の者どもを睥睨《ひげい》していた」(p138)
 調べてみたが、「睥」に「ひ」の音はない。
 「そこへ或《ある》人が三人ずれで料理を食いに行くと」
 「三人づれ」の誤りのはず。

 目についた言葉。
 「見当り次第に沢山の塚を」(p324)。「見あたり次第にそこらの墓を」(p341)。
 「みあたりしだい」というのは目新しい。手元の国語辞典類で調べてみたが載っていなかった。「見当たる」という語はあるから、「見つかり次第」という事なのだろう。
 なお、「手あたり次第」は(p342)に用例がある。

 この文庫はなかなか良くできていて、巻末に、「初出誌紙・収録単行本一覧」がある。
 これを見れば、それがいつ頃書かれたものか、どの本と内容が重なっているのか分かる。





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Last updated  2005.04.01 21:08:33
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