The Life Style in The New Millennium

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Master21

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2003.12.05
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ミー子は某有名英会話学校のセールスウーマンになった。
親に無理言って4年生大学を出たけれど、男子が嵐なら
女子は台風と言われるくらい就職は厳しかった。
何とか潜り込んだのが、ここだった。
ミー子の直属の上司の鏡部長というのが、教材販売の営業一筋25年の
超ベテランで、テレビコマーシャルのさわやかなイメージとは
裏腹に「何が何でも取ってこい」と威勢の良い朝礼でハッパをかける。
いくら何でも100万もする教材が、バンバン売れるはずがない。
1ヶ月の内の20日以上は某大手本屋の店頭で
「英会話のご案内やってます」
とカワイイ声で世間知らずそうな若い子に声をかけているだけだ。

今月のミー子は、まあまあで5本契約。
しかし、最後の1本がどうしても気になる。
最近は強引なセールスへの取り締まりが厳しく、
少しでも怪しいと業務停止処分となる。
この契約もそうかもしれない。
ミー子は思いあまって鏡部長に相談した
「どう思います?」
「ノイローゼかもしれないな。精神的な病気の人に契約させたとなると」
「本人も言ってましたし、たしかに少し問題あると・・・」
「役所に持ち込まれたら、やばいなあ・・・
残念だが、危ない橋を渡るのはよそう。今月は順調だし」
どうやら、ミー子の契約したフリーターの男の子が
ノイローゼだったようで
あとで問題になっては困るので、会社の方からキャンセル扱いにしたのだ。

ところが、翌朝、ミー子が出勤すると鏡部長が浮かない顔をしている。
「来てるんだよ」
「誰がですか?」
「昨日キャンセルしたお客様がお母さんといっしょに」
「え、私、失礼なこと何か言ったのかなあ」
「とにかく、問題になったら困るので、僕も一緒に対応しよう」

応接室には、男の子とお母さんが大人しく座っていた。
ミー子と鏡部長が来ても、二人そろって恐縮して丁寧にお辞儀をした。
お母さんが口を開いた
「あの、なんとか、この子に英語を教えてやってください」
何か苦情を言われるのを覚悟だった鏡もミー子も拍子抜けした
「はあ、と言われても・・・」
お母さんは、かなり真面目だった
「そうです。たしかに、この子は人前でろくに話のできない
困った子です。でも・・・そこを何とか」
意外な展開に鏡は
「お母様と連名で申し込んでいただけるのでしたら」
お母さんは少しホッとしたようで
「はい、結構です。この子が払えなければ、
私が、どんなことしても支払って行きます。
恥ずかしい話ですが、この子は離婚した私の元夫に
殴られ蹴られて育ちました。子供の頃から、何の意思表示も
できない子で中学は2年から登校拒否。学校でも
いじめられたんでしょうね。高校にも行きませんでした。
いつも、ぼーっとして、まるで、幽霊のような子でした。
その子が昨日の夜、お母さん、俺、英語の勉強していいかな。
無理だろうけど女優のサンドラ・ブロックに会いたいって・・・」
お母さんは涙を拭きながら話を続けた・・・

二人が帰ってから鏡部長はミー子に
「僕たちの仕事は、人をだます商売だとか、
強引な仕事だとか批判もされるけど
あんな可哀想な子にチャンスを与えることもできるんだよな」
としみじみと語った。そして、
「信じられないかもしれないけど、僕も子供の頃人見知りでね、話しなんかできなかったんだよ」
と恥ずかしそうに付け加えた。ミー子は
「いつもは鬼のような部長も本当は優しい人なんだ」
と思った。






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Last updated  2015.08.29 10:59:42
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