P-Blog アイデア&インプレッション

2004.01.14
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神田神保町で、ラオス向けの遠隔教育教材の製作ミーティングの後、近くの本屋へ行った。それは、少しでもラオスの人の事がわかる本を探すためだ。
ラオスは、ベトナムとタイとの間にある、山岳にある社会主義国だ。資本主義社会どっぷりの今の日本とは、大きく文化も生活スタイルも違う。そのため、日本の技術を伝える教材とはいえ、ラオスの国民性を理解しないと、ラオスの人に見てもらえるものにはならない。そのためには、情報収集はかかせない。もちろん、現地に行くことになるし、現地スタッフや、現地で研修を行った人からも情報を得るが、研修する立場の人とは違った視点での観察という意味では、ラオスの国民性を知る書籍も重要な情報源の一つである。
大型書店の中を徘徊していると、一冊の本が目に留まった。「アジアの民話」という本である。
この本は、キャシー・スパニョーリの著書を翻訳したもので、アジア各地に伝わる民話30余編が収録されている。その中には、いくつかのラオスの民話が載っていた。
その一つが「"老い"を憎んだ王様」である。この話は、深沢七郎の小説であり、1983年にはカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「楢山節考」と似た、政策的な問題で、親や老人を山に連れて行ってしまうという「姥捨山」の話しである。
「楢山節考」の方は、村の掟に従い、それを受け入れざるを得ない人間の業や運命について描かれている部分が多い。
しかし、ラオスの「姥捨山」である「"老い"を憎んだ王様」は、同じ「姥捨山」の話しでも「日本昔話百選」に掲載されている「親捨山」の話しとよく似ている。特に、老人の知恵を実行して、問題を解決する場面で、丸い木の棒のどちらが、根元の方かどうかの問題と解決方法が同じなのには驚いた。
また、問題を解決した、息子は、領主なり王から、褒美をもらうという結末も同じなのだ。
「アジアの民話」の解説に、訳者が「アジアの民話には、"知恵"と"慈悲"がその基底に貫かれている」と指摘している。
そしてさらに、科学と理性に基づいて、利便性を追求する近代的な発展をすることで、人間が陥りやすい自己中心主義に対し、アジアの民話の中で描かれる"知恵"と"慈悲"を通じ、互いに協力しあう中で、物事を捉える能力をつけていく必要があるという。
近代的な、利便性追求の発想の中で生まれた遠隔教育の教材。それを、ラオスという国の「発展」という名の下に製作する。それは、もしかすると、老人を山に追いやる事になりはしないだろうか。ふと、そんな事を考えてしまった。
できるものなら、遠隔教育の教材も、教育プログラムも、アジアの智慧を伝えるものにもしてゆければと思う。まあ、今回のは無理にしてもね。

★参考文献★

「楢山節考改版」
著者:深沢七郎|出版社:新潮社|発行年月:1993年 01月
ISBN:4101136017|本体価格:362円

「アジアの民話」
著者:キャシー・スパニョーリ/北島義信|出版社:同時代社|発行年月:2001年 03月
ISBN:4886834388|本体価格:1,600円

「日本昔話百選改訂新版」
著者:稲田浩二/稲田和子|出版社:三省堂|発行年月:2003年 07月
ISBN:4385361517|本体価格:1,700円









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最終更新日  2004.08.12 03:29:36
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